忍殺TRPGリプレイ【ジャンプ・アウト、トゥ・ビヨンド・ザ・ユニヴァース】02
前回のあらすじ:ネオサイタマの闇を駆けるサイバネオイランアサシンのコンビ、ミノリとタマは今宵もビズを請け負った。ヤクザ同士の大トロ粉末の取引現場を襲撃し、ブツを奪うというものだ。首尾よくヤクザたちを始末し、大トロ粉末を手にした2人だったが……カラダニキヲツケテネ!
◆
「イヤーッ!」KRAASH!廃倉庫の屋根が砕け、大きな人影が降ってきた!それは2人の女アウトローの逃げ道を阻むように降り立ち、威圧的にアイサツを繰り出した。「ドーモ、キルフィストです。やってくれたな」
「え」ミノリのサイバネアイがそれを直視し、何者であるかを遺伝子が直感的に理解した。ニンジャ。古き時代に非ニンジャの上に君臨し、支配してきた邪悪な半神。……どくん。ミノリの心臓が強く拍動し……「ア、バッ」彼女は白目を剥いてくずおれ、倒れ伏した。「え?」タマは呆然とそれを見た。
キルフィストと名乗った存在は、何もしていない。ただ倉庫の屋根を突き破って飛び降り、アイサツしただけだ。それだけで、ミノリの命を奪うには充分だった。なぜか? ニンジャだからだ!「う、ウオーッ!?」タマは絶叫した!恐怖と絶望を振り払うために!一撃必殺アトモスフィア!
戦闘開始
1ターン目
「勝手に心臓発作を起こして倒れたか。手間が省けたな」キルフィストは冷たく言い放ち、巨体に異様なカラテをみなぎらせる。タマは震え上がった。勝てるわけがない。たとえミノリがいたとしても。相手は理外の怪物、人外の存在なのだ。だがせめて、大トロ粉末のケースを奪って逃げなければ!
「イヤーッ!」キルフィストの巨体が霞み、爪の生えた剛腕がタマの眼前に迫る!「い、イヤーッ!」タマはスラッシャーとしての戦闘経験をフル活用し、とっさに身を低くして躱す!スモトリなどの巨漢は足元が比較的おろそかだ!そのままゴロゴロと地面を転がり、ミノリの手からケースを奪う!
「逃がすか!イヤーッ!」キルフィストは大股で駆け寄り、タマへ難なく追いついて剛腕を振るう!「う……ウオオオーッ!」死を目前にしたタマの脳内にアドレナリンが弾け、ニューロンと筋肉とサイバネをキックする!彼女は紙一重で剛腕をブリッジ回避し、勢いを利用して跳躍、窓から飛び出す!
逃走成功
「ちいッ!」キルフィストは舌打ちし、窓を振り向く。非ニンジャにも関わらず意外な手練れ。だが、こちらはニンジャだ。連続側転やバック転で難なく追いつける。確実に仕留めるためヘンゲヨーカイ・ジツを使ってもいい。アマクダリ傘下にあるソウカイ・シンジケートをナメた真似を許せば……!
……その時。
???
ミノリ・ミヤザキ=サン、おまえはニンジャになった
◆ニンジャネーム:アイアンソード>???
【カラテ】1【ニューロン】2【ワザマエ】4【ジツ】0(代わりに初期スキルを1個選択)
【体力】1【精神力】2【脚力】2【回避】4 【交渉】4【名声】1【万札】0【DKK】0
生い立ちは『○刀剣マニア』。知識スキルは『◉知識:セキュリティ』。
初期装備は『トロ粉末』。初期サイバネは『無し』だ。
初期スキル1D6[5]=ニンジャソウルの闇
背景タイプ『全能感や野望』
どくん。ミノリの心臓が再び拍動する。視界を覆う闇の中に、極彩色の光の流れが現れ、キラキラと輝く。上方には黄金の立方体が静かに自転している。そこから一本のカタナが飛んできた。否、カタナめいて細身の人影……存在……ニンジャだ。『ドーモ、ミノリ=サン。アイアンソードです』
それはアイサツした。『お前は今から、私になる!』「アイアン、ソード?」ミノリは眉根を寄せた。気に入らない。自分はガンマニアだ。刀剣マニアではない。両方使えて悪いこともないが……「よくわかんないけど、だいたいわかった!」ミノリは飛来したカタナを手に取り、握りつぶした!
彼女のエゴによりカタナは形を変え、バラバラに砕け、粒状になって再び固まる。銃弾の形に!「アタシは今から……アイアンバレットだ!」
◆ミノリ・ミヤザキ>アイアンバレット(種別:モータル>ニンジャ)
カラテ 3>4 体力 4>6
ニューロン 3>5 精神力 3>5
ワザマエ 3>7 脚力 2>4/N
ジツ 0 万札 -12
DKK 0 名声 1
攻撃/射撃/機先/電脳 5/14/ 6/ 7
回避/精密/側転/発動 7/ 8/ 8/ 0
即応ダイス:3>5 緊急回避ダイス:1>3
◇装備や所持品
▶生体LAN端子LV1:ニューロン判定+2、イニシアチブ+1
▶サイバネアイLV1:ワザマエ判定+1、射撃時さらに+1
▷高性能赤外線ターゲッター:射撃+3
◆チャカガン二挺拳銃:連射2、射撃H
◆テック・ガントレット:射撃と緊急回避+1
◆タクティカルスーツ:体力+1
◆トロ粉末
◇スキル
◉ニンジャソウルの闇:体力・攻撃・射撃・発動+1
●連射2
○生い立ち:ガンマニア
◉トリガーハッピー:回避ダイス2を消費し連射+2、バースト3×3
マルチ・時間差・弾薬不可、射撃難易度+1
◉知識:大型兵器、バイオ系メガコーポ
○背景:全能感や野望
◇憑依直後暴走状態
能力値合計:9>16
どくん。心臓が強く拍動し、噛み砕いたシャカリキ・タブレットと、空中に飛散した大トロ粉末が体内に吸収され、ケミカル・スパークを起こす。全能感に満たされたミノリ……アイアンバレットは、瞬時に立ち上がり、キルフィストの背中めがけて二丁拳銃を構えた!一撃必殺アトモスフィア!
戦闘再開
2ターン目
「TAKE THIS!」BLALALALAM!窓を振り向いたキルフィストの背後から、4発の銃弾が飛来した!「なにッ!?イヤーッ!」キルフィストはニンジャ動体視力で見切り、跳躍回避!硝煙の彼方にゆらりと立つのは、先程何もできぬままブザマに倒れ伏した、女アウトローの片割れだ。だが……今は!
彼女は邪悪に濁った目で嘲笑いながらアイサツを繰り出した。「ドーモ、キルフィスト=サン!アタシは今からアイアンバレットです!」ナムサン!死にかけた人間にしばしば起きるという、ニンジャソウル憑依現象である!「ドーモ、アイアンバレット=サン。キルフィストです。悪運の強いヤツ」
キルフィストは状況判断し、新手のニンジャに立ち向かう!「ゴアオオオオン!」彼女のたくましい肉体がさらにパンプアップし、恐るべき猛獣と化してアイアンバレットに飛びかかった!「イヤーッ!」だがアイアンバレットは鋭敏なニンジャ感覚で見切って躱し、そのまま連続バック転を放つ!
「オタッシャデー!」KRAASH!タマとは逆方向の窓を突き破り、廃倉庫の外へ飛び出した!「ファック!」キルフィストは歯ぎしりした。動きの遅い非ニンジャの方を追うべきだったか。おそらく2人とも、ツキジのマンホールから下水道へ向かったのだろう。面倒だが、追わねばならぬ。
アマクダリからソウカイヤにスパイとして派遣され、ソウカイヤが崩壊したら出世できるかと思えば、相変わらずアマクダリ傘下のソウカイヤの下っ端として使い走りだ。くだらないビズでも失敗すれば査定が下がる。何より、自分のメンツとソンケイに関わる!「イヤーッ!」彼女は駆け出す!
エピローグ
「よくやった」フィクサーのロイは2人をバーで出迎え、大トロ粉末の入ったトランクケースを受け取った。「ちょっと死にかけたけど、ニンジャになって蘇ったわ」ミノリ……アイアンバレットは挑発的に嘲笑う。ロイは鼻で笑おうとしたが、危険なアトモスフィアを感じ真顔になった。「マジかよ」
タマも笑わない。ミノリはニンジャになったのだ。理外の怪物に。「それなら、これからはもっとデカいヤマに手を出せそうだな。タマ=サンも死にかけてニンジャになるかい」「冗談じゃない」タマは鼻を鳴らした。「ともあれ、これが今回の報酬だ。ご苦労さん」ロイは万札の束を手渡した。
かくて今宵、1人の女ニンジャ「アイアンバレット」がネオサイタマに出現した。彼女とタマは混沌の魔都でどう生き抜いていくのだろうか……。
【ジャンプ・アウト、トゥ・ビヨンド・ザ・ユニヴァース】終わり