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【聖杯戦争候補作】未来は僕等の手の中
ヤクザ。
ヤクザとは、江戸時代に現れた言葉であり、もとは「愚かな博奕打ち」を指していた。花札を使った「オイチョカブ」という博奕では、三枚の札を引いて合計値の一の位の大小を競う。8(オイチョ)と9(カブ)の目が出れば合計17で、次に2が出れば最高の「9」になるが、もし「3」が出れば8+9+3=20となり、最低の「0」になってしまう。こうした一か八か(丁か半か)の賭けに出て身を持ち崩す愚か者が「893」、ヤクザなのであるという。
「……はい、頂きます」
「「「ギャーッ!」」」
雑居ビルの一室、ヤクザの事務所。極道たちはサイコロ賭博で全てを巻き上げられ、昏倒した。革張りのソファに座って微笑んでいるのは、見るからに胡散臭い、褐色肌でスーツ姿の中年男だ。
「面倒(だる)い喃(のう)~。こんな極道どもなぞ、儂がスパッと首を刎ねてしまえば早いではないか?」
彼の隣で、若い女が嗤った。その表情は悪魔じみており、片方の瞳は十文字に裂けている。スーツの男は悪魔じみてニヤニヤと嗤う。
「それはまあ、目立ちましょう。これでこいつらの財産は一切合財こちらのもの。囚われた女どもも解放され、情報もサーヴァントも奪えました」
「それは重畳。そこまでは儂には真似できぬで喃。忍術は自在に使えるが、魔術なぞ使えぬ故」
「ただ、サーヴァントの使役までは手に余りますな。魔力の塊としてすりつぶすぐらいにしか使えませぬ」
「充分、充分」
女は嗤いながら立ち上がり、巨大な金庫扉の隣にあるキーボードにパスワードを入力する。先程、彼のサーヴァントである「キャスター」が奪った情報だ。がごん、ぶしゅうと音がして、扉が解放された。「ひいい」「助けて!」麻薬漬けにされた女たちが、泣き叫びながら寄って来る。
女は悲しげな表情をし、腕をしならせ、女たちを一瞬で眠らせる。麻薬を抜くにはしばらくかかろう。
これは都内で流行している新種の麻薬……特殊な香水だ。悪夢を見る者が増え、不眠症が増加しているところに、この香水の流行。何か繋がりがあるやも知れぬ。あるいは、邪悪なるサーヴァントやマスターのしわざか。都内には、他にも多くの事件や災害が頻発している。野放しには出来まい。
女は感情を高ぶらせ、ざわざわと肉体を変化させる。黒い装束はそのままに、背の高い壮年の男性の姿となった。
「上等じゃ喃~!! 我は"全姿全能" 神賽惨蔵! 運命定むる"神の賽"は我に有り!! 全殺しじゃ極道共!!」
◆
【クラス】
キャスター
【真名】
シャクニ@マハーバーラタ
【パラメーター】
筋力D 耐久D 敏捷C 魔力C 幸運EX 宝具A
【属性】
混沌・悪
【クラス別スキル】
陣地作成:A
魔術師として、自らに有利な陣地な陣地「賭場」を作成可能。賭場では物理的な暴力や魔術などによる(キャスター以外の)イカサマは禁止される。
道具作成:-
魔力を帯びた器具を作成可能。イカサマのための骨賽を作成した。
【保有スキル】
イカサマ:A++
賭博におけるイカサマの技術。カルマの法則により、戦う前からキャスターの勝利は確定している。イカサマを見破られることもない。
神性:C
その体に神霊適性を持つかどうか、神性属性があるかないかの判定。ランクが高いほど、より物質的な神霊との混血とされる。ヒンドゥー教の宇宙論における四つのユガ(時代)の第三番目、ドヴァーパラ・ユガの化身とされる。彼を祀る神殿はケララ州の小さな村にひとつだけ存在する。
幻術:B
人を惑わす魔術。精神への介入、現実世界への虚像投影などを指す。さしたる幻術は使えないが、賭場においてはどんな聖人君子でも神の化身でも、必ず賭けの魔力にハマらせる。
【宝具】
『万象毟る魔骨賽(サウバラ・ザ・ギャンブラー)』
ランク:B 種別:対人/結界宝具 レンジ:30 最大捕捉:30
常にキャスターの望む目を出す魔法のサイコロ。獄死した父王スバラの骨から作られた。一つの部屋を結界/賭場とし、その内部に立ち入った者全員をサイコロ賭博の参加者として賭けのルールを押し付け、少しずつ何かを毟り取っていく。初めは微量な魔力や小銭程度だが、賭けを続ける(結界内にとどまり続ける)ごとに多くのものが失われ、妻子や財産、令呪や宝具、マスターとしての権限さえ喪失する。国主がこれにハマれば国を奪い取られる。サーヴァントを取り立てることも可能だが、契約させなければ従うとは限らない。魔力に変換して吸収することは可能。
【Weapon】
宝具である骨賽。一応物理戦闘も可能だが、特筆するほど強くはない。
【人物背景】
古代インドの大叙事詩『マハーバーラタ』の登場人物。インド北西部(現パキスタン)のガンダーラ国王スバラの子。異名は「スバラの子」を意味するサウバラ。姉ガンダーリーはクル族の王ドリタラーシュトラの妃となってカウラヴァと呼ばれる百人の王子を生んだ。だがドリタラーシュトラの弟パーンドゥの五人の王子(パーンダヴァ)はカウラヴァと王位を巡って争い、シャクニはカウラヴァ側についてパーンダヴァを陥れようと画策した。
彼はパーンダヴァの五王子の長男ユディシュティラにサイコロ賭博を持ちかけ、「挑まれた勝負から逃げるのは武家(クシャトリヤ)の恥だ」と挑発して賭けに乗らせた。そして少しずつ賭け金をつり上げ、全ての財産、弟たち、妻、自分自身の身柄と王位継承権までも毟り取ってしまった。五王子は妻とともに王国を追放され、十三年間森をさまよった後、王国奪還を目指してカウラヴァに戦いを挑むことになるのである。シャクニはこの戦争で五王子の末子サハデーヴァに息子ウルーカともども殺されている。
8世紀のジャイナ教の伝説によると、ガンダーリーは生まれた時に「夫の寿命が短い」と占われたため、父スバラはヤギと仮に結婚させ、これを生贄にして殺すことで災厄を避けようとした。後からこれを知ったカウラヴァの師ビーシュマは「未亡人を娶らせるとは」と怒り、スバラと多数の息子たちを牢獄に入れて米を一人一粒ずつ与えて餓死させようとした。スバラたちはシャクニが彼らの中で最も賢く、生き残って復讐ができると考え、米粒を全てシャクニに与えて生き残らせた。シャクニは餓死した父王の骨をサイコロに加工し、カウラヴァとパーンダヴァを相争わせて滅ぼすべく策謀を巡らしたというのである。ただ『マハーバーラタ』の中ではスバラたちは普通に生きており、戦いの中で死んでいるので、これは後付の伝説に過ぎない。
【サーヴァントとしての願い】
特になし。一切を取り立てて我が物とする。
【方針】
マスターたちを賭場に招き入れ、一切を取り立てる。
◆
【マスター】
神賽 惨蔵(かさい・ざんぞう)@忍者と極道
【Weapon・能力・技能】
『全姿全能』
「なんでもできる、なんでもなれる」を体現する特異体質。声音や姿形、性別や筋力や体質を(赤子から大男程度の人間の範囲内で)自在に変え、他の忍者の技や特異体質すら模倣でき、掛け合わせることすら可能。動物やただの物体には変化できず、衣服や武器は調達する必要がある。また模倣やそれを掛け合わせる発展は得意だが、0から1を生み出すような「発明」はできない。また脳髄まではコピーできないし、分身もできない。
『忍手・暗刃』
璃刃壊左が編み出した必殺の貫手。忍者の身体能力により音速を超え、人体を容易く破壊する。腕を自在に伸ばして遠距離(最大射程50m)の敵を攻撃する「如意暴」、灼熱の皮膚片を周囲に撒き散らし火炎を放つ「灼華繚乱」といった特異体質もコピーしており、両者を合わせた「老腕若火の帰還」は現状手持ちで最強の攻撃である。他の忍者の暗刃も、コピー可能なものは使用可能と思われる。
『忍者体質』
忍者としての超人的な身体能力。長年の修行により筋力・耐久力・瞬発力・回復力等は常人を遥かに超えており、人体を素手で容易く破壊し、飛び回れば常人には色付きの風にしか見えない。銃弾などが命中すれば負傷はする。忍者としての様々な諜報技術も当然心得ている。
『鳥獣使役』
多数のカラスやネズミに人間の言葉と諜報技術を仕込み、密偵として使役している。カラスは「べしゃり烏」、ネズミは「鼠坊衆(チューボーズ)」と呼ばれる。戦闘力はないが調査能力は高い。
【人物背景】
漫画『忍者と極道』の登場人物。少なくとも江戸時代前期、400年以上前から生きている最強最古の忍者であり、東京の無辜の民を悪の手から守る忍者集団『帝都八忍』の長。姿は能力により変幻自在で、十文字に裂けた異形の瞳を持つ(変化で隠せる)。一人称は儂(わし)、語尾は喃(のう)。
都内各地の不動産や株を大量に保有しており、それによって得られる莫大な収入を元手として、個人的に悪を退治している怪人物。政治権力からは距離を置き、悪と断じた者には容赦しない。仲間思いの熱血漢ではあるが、非情で老獪な側面も持ち合わせる。メンタルは割と若々しく、大の野球ファンでもある。性別は男性だが女性に変化して楽しむこともある。感情が高ぶると肉体が勝手に変化してしまう。
【ロール】
自由自在。誰にでも変化できるため神出鬼没。
【マスターとしての願い】
特になし。非道な者の手には渡らぬようにする。
【方針】
悪即殺。極道や悪党は全殺し。手を組める者とは手を組む。
【把握手段】
原作。
【参戦時期】
不明。総理官邸襲撃事件以前か。
◆
◆
ぼく鯖wikiで面白そうなやつをみつけたので採用し(ブギーマンもここで見つけた)、Wikipedia英語版とかを漁って味付けしてみた。マスターはカイジや仗助ってのもあれだし、サイコロ繋がりでこいつだ。かなりピーキーな性能をしてはいるが、結構いいコンビなのではないか。長は超人だがサーヴァントとは直接戦えず、マスターをブッ殺したするか、サーヴァントをキャスター・シャクニの結界にハマらせて倒さねばならない。
ところで、なんか昨日からしたらばに書き込みができない。Janeでもブラウザでもだめだ。「書き込みに失敗した模様」とか出てきて書き込めない。仕方ないのでここに書いて置いておく。代理で投下できればしてくれ。
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/12648/1648303280/
【続く】
◆
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