忍殺TRPGリプレイ【ザ・シークレット・オブ・ブルーオーシャン】
邦題:ふしぎの海のイセ(The Secret of Blue Ocean)
ドーモ、三宅つのです。これは公式のゲームセッティング「ロブスターバース」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意ください。
こないだ重箱に詰め込まれていたアレです。しかしナンシー=サンは、この前ロブスターならぬクレイフィッシュ=サンと遭遇していますし、今回は例の彼女をヒロインとしてみましょう。
◆イセ・ブルーオーシャン/スプレマシー(種別:ニンジャ)
カラテ 3 体力 3
ニューロン 7 精神力 8
ワザマエ 6 脚力 3/N
ジツ 0 万札 10
攻撃/射撃/機先/電脳 3/6/7/7
回避/精密/側転/発動 7/6/6/0
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:0
◇装備や特記事項
●時間差、マルチターゲット
▲▲戦闘用バイオサイバネLV1 バイオ武器LV1、ダメージ2、交渉判定難易度+1
△△ロブスターアーム:バイオ武器を用いた近接攻撃時、以下の戦闘スタイルを使用可能
●切断攻撃:集中状態時のみ出目65で殺伐
●過剰バイオサイバネ(4個):精神力-1
◆ヨロシデリンジャー:連射2、装備時側転難易度+1
◉忠誠心:ヨロシサン(2) 精神力+2
◉知識:バイオ系メガコーポ、甲殻類
◉交渉:理路整然
能力値合計:16
ニューロンとワザマエは高いですがカラテが低く、ウカツに攻撃を喰らえばやられてしまいます。モータル相手には無双できても、ニンジャ相手にはアブナイでしょう。では、始めます。
◆◆◆
序
「解除パスコードは、4、6、4、3……」
ガゴンプシュー!秘密コードを入力され、パーソナル研究室のロックドアが開いた。ヨロシ研究員カードを首から下げた、白衣の女研究員……イセ・ブルーオーシャンは、窓際の水槽へと向かった。青いセルフレームメガネに長い黒髪。白衣の袖には大きなスリットとフレア加工が入っている。
彼女は下唇を噛み、険しい表情だ。「なんてこと……クレイフィッシュ=サンが……!」彼女の手にはシャーレがあった。自ら開発したバイオニンジャ・クレイフィッシュの体組織の破片が、そこに入っている。高温と爆風に晒されたそれは、白や赤、黒に変色し、もはやなんの生命反応も示さない。
バイオニンジャ・ロブスターの研究データを、今は亡きナカタ研究員の遺品から回収した彼女は、甲殻類の可能性に賭けていた。実験中の事故で失った自らの右腕に、ロブスターの腕をバイオサイバネとしてつけるほどに。その時の衝撃で、彼女はニンジャソウル憑依者となった。後悔はない。
報告によると、クレイフィッシュはヨロシサンに逆らったキルジュッテ・ヤクザクランのグレーターヤクザ・アザマを始末するため、クローンヤクザ6人とともに派遣された。相手は重サイバネとリアルヤクザたちだが、ニンジャ戦力もないヤクザクランごとき、彼一人で十分なはずだった。
……しかし、結果はこれだ。自爆装置が仕掛けられていたヤクザ事務所は跡形もなく吹き飛び、クレイフィッシュも犠牲になった。現場にかけつけたイセは、しばし呆然と立ちすくんだものだ。遺っていたのは、彼のわずかな体組織だけ。自慢のハサミも甲殻も、あの規模の爆発には敵わなかった。
QED(証明完了)。イセは机にシャーレを置き、涙を流した。わかっていても、それを認めたくなかった。手塩にかけて育てた、自分が作り上げた最強のバイオニンジャが、この世から失われたのだ。永遠に。従順で、知性と自信に満ち溢れ、強く、そして美しかった。涙がシャーレに降り注いだ。
(((マケナイデ!)))(((マケナイデー!!)))(((ナカナイデー!!)))
「うう……」イセの脳裏に、幻聴が響いた。飼育水槽の中の七色のザリガニたちが、応援するように二つのハサミを振り上げていた。彼女はさまざまなものたちに謝った。おまえたちの可能性を、活かし切れてやれなかったねと。おまえたちの正当な価値を、この世界に知らしめてやれなかったねと。
そして、目を閉じたその時……さらに強い幻聴が彼女の頭に響いたのだ。私の力を使え、と。
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ふと目を開くと、彼女は海の中にいた。
「……え?」海の中。美しいサンゴ礁、上から差し込む太陽光。まるでオキナワだ。しかし呼吸はできる。目を開けても海水で眼球が痛くもならない。これは、なんだ。幻覚か、夢か。現実か。白衣姿のまま、彼女はゆっくりと遊泳を楽しむ。夢だ。自分はさっきまで研究室にいたはずだ。
浮上はできず、彼女はゆっくりと海底へ吸い寄せられていく。蛍光緑色に淡く光る01が下から湧き上がる。なにか、嫌な予感がする。海は次第に青黒く、深くなる。闇の奥底になにかが、巨大ななにかがうごめいているのを感じる。あれは……まさか!それは頭の中に響く声でアイサツを行った。
「シュシューッ!」(((ドーモ、ディープテラーです)))
◆ディープテラー(種別:ニンジャ/バイオ生物/危険生物/大型2x2)
カラテ 12 体力 24
ニューロン 12 精神力 7
ワザマエ 8 脚力 8(陸上では2)/N
ジツ 4 万札 5
攻撃/射撃/機先/電脳 12/8/12/12
回避/精密/側転/発動 12/8/8/16
即応ダイス:8 緊急回避ダイス:0
◇装備や特記事項
●連続攻撃2、連射2、時間差、マルチターゲット
○生い立ち:純正バイオニンジャ
◉バイオニンジャ化:体力+2、交渉判定難易度+1、アイテムによる回復量-1
◉危険生物化:体力+3、精神攻撃無効、交渉判定難易度+2、アイテムによる回復量-2
◉◉スキルを持てず、自発的な精神力の使用コストは本来の2倍になる
●脆弱性:火炎2
●過剰バイオサイバネ:精神力-5
●水中適応、陸上での不利
◉知識:バイオ系メガコーポ
▲▲▲▲▲▲戦闘用バイオサイバネLV3 バイオ武器LV3、ダメージ2
出目6で痛打+1、66で痛打+2
△△△△△△無数の触腕:バイオ武器を用いた攻撃時にリーチ+1
素手/ムチ装備とみなされ、各種スキルを使用可能
●戦闘スタイル:拘束攻撃 連続攻撃上限2、拘束(脱出U-HARD)
●戦闘スタイル:回転斬撃 連続攻撃上限1、痛打・殺伐なし
ワザマエHARDで判定し、隣接する敵全員に1ダメージ(迎撃不可)
●戦闘スタイル:精密攻撃 ワザマエで攻撃判定、痛打・殺伐なし
☆タコ・ニンジャアニマルソウル、ジツLV4
☆カナシバリ・ジツLV3
★マインドブラスト・ジツ:精神力1消費し発動(HARD)
術者を中心とした5×5マス以内の敵全員に精神攻撃(回避HARD)
体力と精神力に1ダメージ モータルが食らえばターン終了まで麻痺
☆◉神経毒触媒:即応ダイス1を消費し、ジツの精神力コストを1軽減
●捕食:近接攻撃でモータルやバイオ生物を殺すと体力2回復(ニンジャなら4)
3体以上を捕食すると即座に部位欠損をすべて回復
●大型2×2:即死耐性、自分より小型の相手による弾き飛ばしや拘束などを無効化
範囲攻撃では最も強いダメージのみを受ける 隣接射撃や通常移動でのまたぎ越し可
●轢殺攻撃1
能力値合計:40
ニンジャスレイヤーの代わりです。こちらのシナリオ案からデータを借りてきて調整し、やや強化しました。もともとこうなので精神力は下がらないかも知れません。
ナムサン……タコだ。体長二十メートルはあろうかという、伝説上の怪物クラーケンめいた大きさのバイオタコであり、しかも、ニンジャだ!「ドーモ、ディープテラー=サン。スプレマシーです!」彼女はニンジャネームでアイサツを返した。だが、到底自分が敵う相手ではない。
「シュシューッ!」(((ようこそ。貴様には私の卵を産んでもらう。そして私がこの世界を征服するのだ)))ディープテラーはおぞましい意志の声を彼女の脳内に響かせた。「卵?バイオニンジャに生殖能力はないはずよ!それに、頭足類と哺乳類ではDNAの構造が」「シュシューッ!」(((黙れ)))
ディープテラーは多数の触手を伸ばし、イセを拘束しようとする。頭足類について甲殻類ほどに詳しくはないが、彼らには交接腕と呼ばれる精包を受け渡すための腕が存在するという。それをメスの外套膜腔に入れて受精を行うのだ。無論、そのようなことをさせるつもりはない。ちょん切ってやる!
イセは、スプレマシーは、白衣の下の右腕をあらわにした。青く大きなロブスターのハサミだ。しかし、迫りくる触手の群れに対しては、やや心もとなくも思えた。……その時だ!
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「ドーモ、ロブスターです」
◆ロブスター(種別:ニンジャ/バイオニンジャ/ロブスター/デジタルデビル)
カラテ 4 体力 8
ニューロン 6 精神力 9
ワザマエ 4 脚力 3/N
ジツ 3 万札 0
攻撃/射撃/機先/電脳 4/4/6/6
回避/精密/側転/発動 6/4/4/9
◇装備や特記事項
◉バイオニンジャ化:体力+2、交渉判定難易度+1、アイテムによる回復量-1
●脆弱性:火炎(精神力1)
▲▲戦闘用バイオサイバネLV1:バイオ武器LV1、ダメージ2
☆ブンシン・ジツLV3:手番終了フェイズに精神力1を消費し発動(NORMAL)
自分を中心とした5×5マスに最大4個までのデコイを配置
デコイは攻撃を受けると取り除かれるが本体は無事
移動フェイズにデコイは消え、術者は本体とデコイのどちらからでも動ける
残っていたデコイ1個につき攻撃・射撃ダイス+1
能力値合計:20
スプレマシーの隣に、心強い仲間が現れた!「ど、ドーモ、スプレマシーです!」彼女の目に涙が浮かぶ。これは、夢だ。幸福な夢なのだ。ディープテラーは訝しむが、アイサツを返す。「シュシューッ!」(((ドーモ、ディープテラーです。何匹来ようが同じこと!)))一触即発アトモスフィア!
戦闘開始
イニシアチブ:ディープテラー/DT(12)→スプレマシー/SP(7)→ロブスター/LB(6)
海中にカラテが満ちている!最初からハードモードだ!
1ターン目
DTはSPへ拘束攻撃連打!6D6[536265]6D6[366566]4成功&痛打2&殺伐、6成功&痛打2&ナムアミダブツ!殺伐出目[1][2]弾き飛ばし&頭部痛打!回避難易度HARD&U-HARD2!各ダメージ5!LBがSPをかばい[13][4116]命中!LBは10ダメージを食らって残り体力-2、爆発四散!2D6[15]。
「シュシューッ!」ディープテラーの触手が凄まじい勢いでスプレマシーに迫る!彼女は死を覚悟した!だが!「イヤーッ!」ロブスターがとっさにかばう!「えっ」「アバババーッ!」ナムアミダブツ!ロブスターは触手に弾き飛ばされ、触手を振り下ろされ、頭部が弾ける!エビめいて両眼が突出!
「えっ」「アバッ……サヨナラ!」KABOOOM!ロブスターは爆発四散!「アイエエエ!アイエエエーーーッ!?」スプレマシーは絶叫!やはり到底敵う相手ではない!だが……その時だ!
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「ドーモ、ロブスターです」
◆ロブスター(種別:ニンジャ/バイオニンジャ/ロブスター/デジタルデビル)
カラテ 4 体力 8
ニューロン 6 精神力 9
ワザマエ 4 脚力 3/N
ジツ 3 万札 0
攻撃/射撃/機先/電脳 4/4/6/6
回避/精密/側転/発動 6/4/4/9
◇装備や特記事項
◉バイオニンジャ化:体力+2、交渉判定難易度+1、アイテムによる回復量-1
●脆弱性:火炎(精神力1)
▲▲戦闘用バイオサイバネLV1:バイオ武器LV1、ダメージ2
☆ブンシン・ジツLV3:手番終了フェイズに精神力1を消費し発動(NORMAL)
自分を中心とした5×5マスに最大4個までのデコイを配置
デコイは攻撃を受けると取り除かれるが本体は無事
移動フェイズにデコイは消え、術者は本体とデコイのどちらからでも動ける
残っていたデコイ1個につき攻撃・射撃ダイス+1
能力値合計:20
「ドーモ、サイコロブスターです」
◆サイコロブスター(種別:ニンジャ/バイオニンジャ/ロブスター/デジタルデビル)
カラテ 4 体力 8
ニューロン 6 精神力 9
ワザマエ 4 脚力 3/N
ジツ 3 万札 0
攻撃/射撃/機先/電脳 4/4/6/6
回避/精密/側転/発動 6/4/4/9
◇装備や特記事項
◉バイオニンジャ化:体力+2、交渉判定難易度+1、アイテムによる回復量-1
●脆弱性:火炎(精神力1)
▲▲戦闘用バイオサイバネLV1:バイオ武器LV1、ダメージ2
☆カナシバリ・ジツLV3
能力値合計:20
ゴウランガ!爆発四散したロブスターが、二体に増えた!これは、夢だ。幸福な夢なのだ!スプレマシーは勇気づけられ、距離をとりつつディープテラーへヨロシデリンジャー射撃!「TAKE THIS!」BLAMBLAM!
6D6[114615]3D6[263]3D6[136]成功。DTは[23][53]一発命中!残り体力23、残り回避ダイス8!LBとサイコロブスター/PLBは連続側転で接近しながらDTへカラテ、4D6[2322]側転失敗、4D6[5453]4D6[4111]攻撃失敗。LBはブンシン・ジツ発動(残り精神力8)、9D6[635245661]成功。4体のデコイ出現。
「AAARGH!」命中!ディープテラーは苦悶の声をあげる!ロブスターたちのうち、一体はディープテラーへ突進するが躱され、もう一体は01を撒き散らして四体のロブスターを召喚!ブンシン・ジツだ!「スゴイ!これが甲殻類の可能性なのね!」スプレマシーは感涙にむせぶ!
2ターン目
DTはPLBへ連続攻撃、[624562][522316]4成功&痛打2&殺伐、2成功&痛打。出目[2]頭部痛打。PLBは[25][3532]回避!
SPは距離をとってデリンジャー、[534][316]2発成功。DTは[651][344]回避、残り回避ダイス6!
LBは連続側転&カラテ、デコイによりカラテダイス+4!4D6[1432]8D6[14163126]2成功&殺伐!出目[4]脚部破壊!DTは[2565]3成功回避&迎撃!LBは[22143224]命中!残り体力7!DTの残り回避ダイス2!LBはブンシン(残り精神力7)、9D6[441526223]成功。
PLBは集中カラテ、4D6[5235]2成功。DTは[23]命中!残り体力21!
「シュシューッ!」「イヤーッ!」サイコロブスターはディープテラーの触手を見切って回避!ワザマエ!「TAKE THIS!」スプレマシーが銃弾連射!「「イヤーッ!」」ロブスターたちが一斉攻撃!「AARGHH!」命中!
3ターン目
DTはPLBとLBたちにマインドブラスト、即応ダイス1(残り7)と精神力1(残り6)を支払い発動!16D6[5244445454516664]成功。LBのデコイ4体消滅、LBとPLBは6D6[546524]6D6[344511]回避。
SPはデリンジャー、3D6[563]3D6[343]2発成功。DTは[22][65]1発命中!残り体力20、回避ダイス8!LBとPLBは集中カラテ、[4253][2556]2成功、3成功。DTは[3364][5313]回避!LBはブンシン(残り精神力6)、9D6[115445264]成功。
「シュシューッ!」ディープテラーは強烈な精神波を周囲に放つ!ロブスターたちのブンシンがかき消された!「TAKE THIS!」「「イヤーッ!」」スプレマシーとロブスターたちは諦めず攻撃!「AARGH!」命中!少しずつだがディープテラーの体力を削っていく!「これがロブスターの可能性よ!」
4ターン目
海中にカラテがみなぎる!ウルトラハードモード突入!
DTは連続側転&SPへ連続攻撃2。[55461425][422641][362113]1成功2発、それぞれ痛打+1。16マス動いてリーチ+1なので届く。SPはアドレナリン・ブーストして[521][4445]ギリギリ回避!残り精神力7!
「シュシューッ!」ディープテラーは業を煮やし、スプレマシーへ凄まじい勢いで泳ぎ着く!「えっ」間合いを見誤っていた!再び触手が襲う!彼女はアドレナリンを過剰分泌させ、おぞましい攻撃を間一髪回避!タツジン!「ハァーッ!アブナイ!」だがこの距離では、いずれ追いつかれる!
ロブスターたちともかなり距離が開いてしまった。かばってくれる仲間が近くにいない。あたりのカラテアトモスフィアが高まってきた今、再び触手を喰らえば!「い、イヤーッ!」必死で逃げる!
連続側転&デリンジャー、6D6[122412]側転失敗!ウカツ!崩れ状態となる![142][133]射撃失敗!LBとPLBは連続側転、[2521][1146]成功。
「アアッ!」だが焦ったせいで足がつる!泳いで逃げることができない!「て、TAKE THIS!」BLAMBLAM!デリンジャーの弾丸も明後日の方向へ!ロブスターたちは必死で追いすがるが追いつけぬ!このままでは!やはり幸福な夢などではなく、悪夢なのか?彼女はここで力尽きてしまうのか!?
「助けて……!」……その時だ!
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彼女の周囲に01が舞い飛び、別のロブスターたちが現れる!「ドーモ、ベノムロブスターです」「アーマードロブスターです」「サンダーロブスターです」そして!ひときわ巨大なロブスターが、海底から現れる!「ドーモ、メガロブスターです!」ゴウランガ!ブッダも照覧あれ!ああ、そして!
「ドーモ、イセ・ブルーオーシャン=サン。クレイフィッシュです」
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QED(証明完了)
エピローグ
……目を覚ますと、彼女はパーソナル研究室の机に突っ伏していた。眠っていたらしい。やはり、夢だ。だが、いい夢だった。「……お別れを言いに来てくれたの?それとも……」シャーレの中の細胞片に語りかける。答えはないが、イセ・ブルーオーシャンは穏やかな気持ちになっていた。
あれが甲殻類の、ロブスターの可能性。ザリガニの可能性。まだまだ自分は未熟で、若輩者だけど。そうだ、自分が彼らの可能性を信じてやらないでどうする。ふと見上げると、壁にかかっているナカタ研究員の写真も、自分に微笑みかけてくれているように見えた。幻覚だ。だが彼女はそう感じた。
ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ。白衣のポケットに入れていたストップウォッチが鳴り始めた。バイオザリガニたちに餌をやる時間だ。落ち込んでいる場合ではない。もっと研究を重ねて、甲殻類の可能性を証明し、さらなる成果をあげて……いつか必ず、ヨロシサンのCEOになってみせる!
(((マケナイデ!)))(((マケナイデー!!)))
飼育水槽の中の七色のザリガニたちは、彼女を応援するように二つのハサミを振り上げていた。
【ザ・シークレット・オブ・ブルーオーシャン】終わり
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