忍殺TRPGリプレイ【レイン・ソング】02
前回のあらすじ:ネオサイタマを離れた山間の村、ヤナギヤマ・ヴィル。この村に向かう輸送車両を、二人の少年傭兵ジェシーとソールが襲撃した。対立するメガコーポによる依頼だ。首尾よく車両を停止させ、乗員たちを皆殺しにした二人の前に現れたのは、黒装束の男。カラダニキヲツケテネ!
◆
「あっけないね」「まだ気をつけろ。荷台に誰か潜んでいるかも」二人はしめやかにトラックへ駆け寄り、荷台をクリアリングしようとした。その時。
「イヤーッ!」後方でカラテシャウトが響き、ジェシーに何者かが襲いかかった!「イヤーッ!」彼はとっさにしゃがみ、前転して回避!一瞬前まで彼の頭があった空間を、黒い風が死神の鎌めいて通り過ぎた。ジェシーのかぶっていた防水フードがズタズタに切り裂かれ、身代わりとなっていた。
「チッ、運のいいヤツ」アンブッシュ者は……黒装束の男だった。彼は嬉しそうに目を細め、両手に仕込まれたアサシンダガーをおさめると、手のひらを合わせてアイサツを繰り出した。「ドーモ、サンセットです」
◆サンセット(種別:ニンジャ)
カラテ 6 体力 8
ニューロン 4 精神力 4
ワザマエ 6 脚力 3/N
ジツ 0 万札 10
攻撃/射撃/機先/電脳 8/ 8/ 4/ 4
回避/精密/側転/発動 6/ 6/ 6/ 0
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:0
◇装備や所持品
◆アサシンダガー:装備時側転難易度+1
●戦闘スタイル
フェイント攻撃:イニシアチブが自分より低い敵だけを攻撃する場合、
敵を崩れ状態とし、カラテ・ワザマエどちらでも攻撃可能
ワザマエの場合は665で殺伐、6665でナムアミダブツ
精密攻撃:ワザマエで攻撃可能、痛打無効 出目666で殺伐、6666でナムアミダブツ
◇ジツやスキル
☆シュギジキ・アンブッシュ
フーリンカザンとして特殊なギミック部屋を用いることで、
ステルス・ジツLV3とステルス・アンブッシュを、その部屋でのみ再現できる
手番終了フェイズで精神力1を消費し瞬時・自動発動 敵と隣接状態でも発動可能
戦闘終了までステルス状態となり、術者への攻撃・射撃難易度+1(環境効果)
スタイルの使用、敵の攻撃によるダメージ、10マス以上の移動で解除
ダメージを受けても精神力1(火炎なら2)支払えばステルス維持
ステルス時の出目6を含む近接攻撃に痛打+1
近接武器で隣接敵1体を精密攻撃する場合、連続攻撃上限1、回避難易度H
出目6を含む近接攻撃に痛打+2 出目66で殺伐、666でナムアミダブツ
敵が崩れ状態なら回避ダイス4個(小型近接武器なら2個)を支払い連続攻撃上限2
◉ニンジャソウルの闇(2):体力・攻撃・射撃・ジツ発動判定+2
◉狂気:暗黒カラテ衝動、邪悪の化身
能力値合計:16
「「ファック!」」二人は距離をとってハンドガンを構えた。アサシンだ。危うく死ぬところだったが、ツイてる。「多少は歯ごたえがありそうだな。いいぞ」サンセットと名乗った男は不気味に笑った。一触即発!
戦闘再開
1ターン目
「「死ねーッ!」」BLAMBLAMBLAMBLAM!ジェシーとソールは本能的恐怖に駆られ、サンセットへありったけの銃弾を叩き込んだ!論理射撃により回避は極めて困難!まともに食らえばスモトリでも即死だ!「グワーッ!」サンセットは銃弾の雨をまともに浴び、血しぶきを上げてのけぞった!
だが……「ウフハ……よくもやってくれたな、ガキども!」血みどろのサンセットは狂った笑みを浮かべながら、ゆっくりと上半身を起こした。かなりの重サイバネで肉体を強化しているようだ。だがもう一度二人で銃弾の雨を浴びせれば……!「イヤーッ!」サンセットのシルエットが歪み、消えた。
SLASH!「え」すれ違いざまに、ソールの右手首が切断され、ハンドガンごと宙を舞った。サンセットがアサシンダガーでやったのだ。ナムアミダブツ!「あ……アバーッ!?」ソールは激痛に顔を歪め、うずくまった!サイバネを入れればなんとかなるだろう。ここから生きて還れたなら!
2ターン目
「ウオオーッ!」ジェシーはサンセットへ論理射撃!「ブッダミット!」ソールも手首ごとハンドガンを拾い上げ、必死で射撃!BLAMBLAMBLAMN!「イヤーッ!」サンセットはジグザグの動きで銃弾を全て躱す!タツジン!「「バカなーッ!?」」二人は眼前の光景を疑う!まさか、彼は!
「イヤーッ!」SLAASH!「アバーッ!」ナムアミダブツ!サンセットは恐るべき速度でソールに駆け寄り、彼の右足首を切断した!おびただしい血液が流れ、ソールは血の海に沈み、動かなくなった。死んだのだ。ZBRアドレナリンでも射てば息を吹き返すかも知れないが……「そ、ソール……!?」
ジェシーの視界が歪み、うねる。ソールが。死んだ。こんな稼業をやっていれば、いつかは来たであろう死。それはそれとして、彼を殺したのは。この、サンセットという男は。サイバネ野郎……ではない。こいつは!「に、ニンジャ?ニンジャ、ナンデ……?」ジェシーは思わず失禁していた。
「そうだ。ニンジャだ」サンセットはあっさりと答えた。「ニンジャは実在する。フィクションではない。常人よりも遥かに強く、銃で撃たれても躱すことができる。多少銃弾を食らっても死にはせん」「アバッ……」ジェシーはあまりのショックに腰を抜かし、両膝をつき、うつ伏せに倒れた。
「パク、パクパク」声が出ない。息ができない。心臓に強烈なパンチを食らったように、脳震盪を起こしたように、身体が動かない。彼は砂浜に打ち上げられたマグロのように痙攣し、口を無意味にパクつかせた。「おやおや、もうおねんねか。もう少し骨があるものと思っていたのになァ」「う……」
サンセットは嘲笑い、ソールに歩み寄る。足で踏みつけるかチョップを放つかして、首を無慈悲に切断するつもりだ。重サイバネを警戒すれば当然の行動だ。ジェシーは、動けない。カイシャクが済めば、次は自分だ。視界がモノクロになり、霞んでいく。自分とソールは、ここで無意味に死ぬのか。
……否。
???
ジェシー=サン、おまえはニンジャになった
◆ニンジャネーム:キルトゥース
【カラテ】2
【ニューロン】4
【ワザマエ】4
【ジツ】0(代わりに初期スキルを1個選択) 1D6[4]=魅了
……どくん。ジェシーは、闇の中で目を覚ました。眼の前にはネズミめいた長い前歯を持つ異様な存在……ニンジャが立っている。『ドーモ、ジェシー=サン。キルトゥースです』ニンジャはアイサツを繰り出した。「……ドーモ、ジェシーです」ジェシーはアイサツを返した。アイサツは大事だ。
『お前は常人としては死んだ。だが蘇る。今から私はお前だ。私の力を貸してやる』キルトゥースは前歯を長く伸ばし、ジェシーに突き刺した。そのまま彼はジェシーの体内に溶け込んでいく。『お前はニンジャになったのだ』自分が。ニンジャに。フィクションの怪物に。『さあ、立って戦え!』
◆ジェシー/キルトゥース(種別:ニンジャ)
カラテ 2>4 体力 2>4
ニューロン 3>7 精神力 3>7
ワザマエ 4>8 脚力 2>4
ジツ 0 万札 -10
DKK 3 名声 1
攻撃/射撃/機先/電脳 5/ 8/ 8/ 9
回避/精密/側転/発動 9/ 8/ 8/ 0
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:4>0
◇装備や所持品
▶テッコLV1:カラテ判定と回避+1
▶生体LAN端子LV1:ニューロン判定+2、イニシアチブ+1
◆ストリート装束:緊急回避+4、脚力ダメージ軽減1
◆LAN直結型ハンドガン:連射2
●論理射撃:集中時にニューロンで射撃、時間差・マルチ獲得
◇スキル
○生い立ち:キング・オブ・アーケード
◉魅了
◉知識:独立小組織
◉狂気:暴走するプロ意識
●連射2、時間差、マルチターゲット
●憑依直後暴走状態
能力値合計:9>19
戦闘再開
1ターン目
ジェシー……キルトゥースは、うつ伏せのままハンドガンを握り、背中を見せたサンセットへ銃口を向けた。そしてニューロンを加速させ、論理トリガを思い切り引いた!BLAMBLAMBLAMBLAM!「なにッ!?イヤーッ!」サンセットは一瞬遅れて反応し、側転回避!「グワーッ!」一発命中!
「ドーモ、サンセット=サン」ジェシーは身を起こし、アイサツした。「俺は今から、キルトゥースだ」「……ドーモ、キルトゥース=サン。サンセットです」相手もアイサツを返した。「まさか、ニンジャになるとはな」彼は凄みのある笑みを浮かべた。「こっちのガキは死んだままのようだが……」
「さあな。起き上がってくるかも」キルトゥースは笑った。身体に力がみなぎってくる。サンセットはマヌケにも銃弾の雨を浴び、負傷している。今の自分なら、勝てる。「油断大敵。これだから死体は念入りに殺し、首も刎ねねばならんのだ」「させねえよ」キルトゥースはハンドガンを構えた!
サンセットの額に脂汗が滲む。憑依直後で暴走状態のニンジャは、通常のニュービーニンジャより手強いという。ならば……奥の手を使うしかない。「イヤーッ!」サンセットは色付きの風と化し、八連続側転でトラックコンテナへ飛び込んだ!「逃がすか!イヤーッ!」キルトゥースは後を追う!
「何処へ逃げようと無駄だ…!」彼は怒りに燃える眼差しでサンセットを追い、コンテナ内へと乗り込んだ。敵もまた油断ならぬ手練だ。追いつめられ頭だけ穴に入れるウサギめいて、このコンテナに逃げ込んだか?そうではあるまい。キルトゥースは警戒を怠らぬまま、目の前のフスマを開く。
「バカな……行き止まりとは……!」キルトゥースが足を踏み入れたのは、タタミ敷きの四角い小部屋であった。それはシュギ・ジキと呼ばれるパターンで、十二枚のタタミから構成されている。四方は壁であり、それぞれにはチューリップ、ひまわり、彼岸花、水仙の見事な墨絵が描かれていた。
【続く】
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