忍殺TRPGリプレイ【ウェルカム・トゥ・ザ・ティー・パーティー】04
前回のあらすじ:ネオサイタマ県立美術館で緊急事態が発生した。ハック&スラッシュに入られ、倉庫から数億円の価値があるであろうチャワンが盗まれたのだ。事件解決のために集ったのは三人の手練れニンジャ。犯人を探し出して尋問し、奪われたチャワンを取り戻せ!カラダニキヲツケテネ!
◆
ツチノコ・ストリートの廃アパート「メゾン・ツチノコ」の301号室。情報によれば、女ハッカーニンジャ・シャムロックが依頼主にチャワンを引き渡すのはこの場所だ。室内からはいくつかの気配。ニンジャアトモスフィアも感じられる。ギリギリで取引現場に間に合ったのだ。敵戦力はいかに?
0101101……デッドリーハッカーは慎重に監視カメラをハッキングし、室内の状況を確認する。部屋の奥には問題のチャワン「ヨウヘン・テンモク」が安置されている。右側には、猟犬めいた姿のロボットが3体。護衛や警備、暴徒鎮圧などに使われるオナタカミ社製の戦闘兵器「ハイエナ」だ。
「ドーモドーモ。毎度ありぃ♡」ハイエナを周囲に侍らせているのは、若い女ニンジャ。あれがシャムロックだ。
「ああ、ご苦労さん」ハイエナを挟んでシャムロックと向かい合うのは、二人の人影。IRC端末を操作している方は赤い髪の毛を逆立て、長いマフラーを首に巻いたパンクスめいた女ニンジャだ。データにある。ザイバツニンジャ・イグナイト!
「ドーモ、おおきに」着物をまとい、目を布で覆った女ニンジャが微笑む。その布には菱形と目を組み合わせたマークがあり、「罪」「罰」と書かれている。データによれば、彼女はザイバツニンジャ・パフォーマーだ!
ハイエナはともかく、手練れニンジャが三人。こちらも三人とはいえ乱戦となる。チャワンを奪還して速やかに撤退するのが一番だろう。「振り込み確認。じゃ、ブツはそっちのものね。持ってって」「はいな。ただ……ネズミが来ているようやね」「ああ」ザイバツニンジャたちは外の気配を察知!
「マ? そっちとの契約は済んでるから、これ以上……」「カネなら払いますえ」「アイアイ!」再契約成立!このままでは!「「『イヤーッ!』」」KRAASH!三人はドアを蹴破り室内に突入!一撃必殺アトモスフィア!
戦闘開始
1ターン目
「キエーッ!」パフォーマーは素早く跳躍してチャワンを確保!そしてアイサツ!「ドーモ、パフォーマードスエ」「ヘル・オー!イグナイトです!」「シャムロックです」「ドーモ、ゴールデンメイヘムです」「デッドリーハッカーです」『ブラックリーパーです』互いにアイサツ!戦闘開始!
「COME HERE!」シャムロックは監視カメラの制御を取り戻し、周辺に待機させておいたクローンヤクザを呼び寄せる!「「「スッゾコラー!」」」三人がドアから突入!チャカガンを抜く!デッドリーハッカーはシャムロックへ近づき、密かにIRCで情報を送る。『寝返りなさい。罪は不問とします』
さらに協力した場合の報酬が提示される。シャムロックは脳内で電子ソロバンを弾き、ザイバツからの報酬と天秤にかけ……承諾!契約更新!「邪魔しないでくださいね。我々はチャワンを回収しに来ただけです」デッドリーハッカーは神秘的に微笑む。狙うはチャワンを持つパフォーマーだ!
「イヤーッ!」ゴールデンメイヘムが壁を蹴ってパフォーマーへ飛びかかりピストルカラテ!BLALALAM!SMASH!「ンアアーッ!」命中!パフォーマーはチャワンをかばって動きが鈍い!「なにさらしよる、野蛮人!」「それが割れたら大変だなァ。こっちへ寄越しな」「渡しまへんえ!嬢ちゃん!」
「おう!イヤーッ!」イグナイトが割って入り、パフォーマーからチャワンを受け取る!『ゴウオオオオン!』ブラックリーパーが飛びかかる!狙うはチャワンを持つ両腕!どくん……イグナイトはニンジャアドレナリンを過剰分泌させ、これを……「イヤーッ!」紙一重でブリッジ回避!だがその時!
『『『GRRRRRR!』』』「「「ザッケンナコラー!」」」ハイエナが暴徒鎮圧用ショットガンを展開!クローンヤクザたちがチャカガンを向ける!狙うのは……イグナイトだ!「テメッ……!」「アブナイ!」パフォーマーがかばう!BRTTTTT!BRTTTTTT!「キエーッ!」紙一重でマワシウケ防御!
「テメッコラー!裏切りやがったな!」イグナイトは激昂!「さっき電子契約を済ませたから、今はこっちの味方。口約束じゃダメよ」「ファック!」「これで我々の圧倒的有利。チャワンを寄越しなさい」これがカネの力だ!
2ターン目
「頼みましたえ!」パフォーマーはイグナイトをかばいつつスシを食べ、負傷を癒やす!「COME HERE!」「「「スッゾコラー!」」」シャムロックがさらにクローンヤクザ部隊を召喚!「ザッケ……!」「冷静に。ここが我慢のしどころや」パフォーマーはイグナイトを制する。位階は彼女が上だ。
「「イヤーッ!」」デッドリーハッカーとゴールデンメイヘムがイグナイトへ飛びかかる!「クソッタレ!」イグナイトは必死で躱すが、チャワンを割るわけにはいかず動きが鈍い!迫るピストルカラテ!「キエーッ!」パフォーマーがかばう!BLALALAM!SMASH!「ンアアーッ!」命中!痛烈!
「行きや!うちはここまでや!」「……了解!」イグナイトは怒りに歯噛みしながらジツを発動!「サラバ!」KABOOOOOOM!その場でイグナイトは爆発四散!否、自ら生み出した炎の輪の中に飛び込み爆炎とともに消失したのだ!……ボウ!ベランダの外、空中で再び炎の音が鳴る!「え」
デッドリーハッカーはそちらを見た。炎の輪が円く点き、炎とともにイグナイトの姿が現れ、また消えた。ボッ、ボッ、ボッ……炎の音は遠ざかり、路地裏の彼方へ消えていく!これがイグナイトの隠しワザ、連続で短距離テレポートを行う「カトン・ジャンプ」だ!チャワンは持ち去られた!
「ハイ、オシマイ」パフォーマーはケラケラと笑い、ハンズアップした。「うちはここまでや。死にたくないから降伏するでェ」「ヌウウッ……!」ゴールデンメイヘムは唸った。ザイバツの目的のため、パフォーマーは自らを切り捨てたのだ。ここはどうすべきか?「……我々の、計画が……!」
デッドリーハッカーは美貌を歪め舌打ちした。イグナイトを追うべきか。それともパフォーマーを確保し、せめて報酬の足しにするか。「嬢ちゃんを追うなら、足止めはするで。このへんはうちらの縄張りやさけ、他のニンジャも呼べば来るやろしなァ」「……わかりました。貴女の降伏を認めます」
戦闘終了
エピローグ
「おおきにな」パフォーマーはヘラヘラと笑う。ブラックリーパーは彼女へ近づき、拘束する。「あんたら、ソウカイ・シンジケート?」「違います」「ほな、オナタカミか。せやったらダイジョブやね。協力しようやないの」「約束のカネもちゃんと支払ってよ。でないと悪い噂を流すからね!」
シャムロックはデッドリーハッカーの肩を抱き、ニヤニヤと笑ってIRC端末を見せる。「……いいでしょう。その代わり、あなたとパフォーマー=サンには我々に協力してもらいます。ゴールデンメイヘム=サンにも」「俺は傭兵だ。できる範囲の仕事はキチッとしたぜ。然るべき報酬を寄越せ」
ゴールデンメイヘムは肩をすくめた。目的のチャワンは回収できなかったが、犯人の一人であるデビルクローを倒し、シャムロックを確保し、ザイバツの手練れニンジャを捕虜にしたのだ。ソウカイヤでないなら、ザイバツを敵に回せばうまくない。ここらが潮時だろう。「……わかりました」
かくして謎めいたチャワン「ヨウヘン・テンモク」はザイバツの手に渡った。彼らがそれをどうするのかは不明だ。ネオサイタマ県立美術館側は「最初から所蔵品にはなかった」ことにして、一連の事件を不問とした。凶悪なテクノギャング団が始末されたことで、治安はややマシになるだろう。
オナカタカミ……否、秘密結社『アマクダリ・セクト』には、そう報告された。果たしてこれが何をもたらすのか……報告を受けたネオサイタマ知事代行シバタ・ソウジロウは、眉根を微かに寄せただけであった。
【ウェルカム・トゥ・ザ・ティー・パーティー】終わり
リザルトな