忍殺TRPGリプレイ【ライド・オブ・ザ・ヴァルキリーズ】05
前回のあらすじ:謎のニンジャ・アシッドウルフの指令と指導のもと、三人の若き「鷲のニンジャ」たちは次々と任務をこなし、なかなかの手練れに成長しつつあった。今回の任務は、オナタカミが開発した新型戦闘兵器の実験場に潜入し、プロモーションを妨害しつつ機密情報を盗み取ることだ!
◆
陽動班
『ピガッ……!』ドラグーンたちはバイク形態のままゆっくりと近づき、よく馴れたサイバー馬のように大人しくなった。『『『高速移動モードを維持しています。搭乗してください』』』二人は頷き、各々一機にまたがった。残る一機はアースハンド用だ。彼はまだ来ないが、うまくやったのだ!
……その時。「シデムシを倒すとは、なかなかの手練れ。心してかかるとしよう」別のドラグーンに乗って、黒い装束のニンジャが接近してきた!「ドーモ、デッドリーパー=サン、サイバーメイヘム=サン。オナタカミの所属ニンジャ、ブラックオニキスです。貴様らを捕獲し、尋問する」
◆ブラックオニキス(種別:ニンジャ)
カラテ 12 体力 12
ニューロン 7 精神力 7
ワザマエ 10 脚力 7/E
ジツ 0 万札 25
攻撃/射撃/機先/電脳 12/12/ 7/ 7
回避/精密/側転/発動 12/11/11/ 0
即応ダイス:2 緊急回避ダイス:0
◇装備や所持品
▶サイバネアイLV1:ワザマエ判定+1、射撃時さらに+1
◆カタナ
◆ブレードガントレット×2:特殊近接武器、内蔵型、攻撃難易度+1
連続攻撃回数+1、回避H、殺伐なし
◆ステルスニンジャ装束:シナリオ中1回のみ
発動判定なしでステルス・ジツとステルス・アンブッシュ使用可能
◇ジツやスキル
◉◉タツジン:イアイドー
カタナ攻撃の出目6成功時に痛打+1、装備ペナルティなし
●戦闘スタイル
強化精密攻撃:ワザマエで攻撃判定 殺伐(66)、ナムアミダブツ(665)発生可
強化強攻撃:攻撃判定難易度+1、基本ダメージ2 連続攻撃上限3
●移動スタイル:カスミ 回避ダイス1を獲得しつつ移動可能(脚力+2まで)
●イアイ反撃:回避判定出目に6を含んだ迎撃のダメージが2となる
◉ツジギリ:移動しながら攻撃可能
◉常人の三倍の脚力:脚力+1、側転難易度-1
●連続攻撃2、連射2、時間差、マルチターゲット
能力値合計:29
潜入班
その頃、HQ北部のサーバルーム。オブシダンめいた黒いUNIXサーバが所狭しと聳え立ち、青いLED光を明滅させる。アースハンドは首尾よくここへの潜入を成功させ、クラッキングを行っていた。陽動班と比べれば楽な仕事と言えるが、重要な任務だ。「……よし」機密データ吸い出しが完了した。
ほぼ同時に、制御室では別のウイルス入りフロッピーがUNIXコンソールを乗っ取り、ドラグーンの制御を奪い取った。『な、なんだ!?』『ドラグーンの制御が効きません!クソッ!』『ウイルスか!?セプクものだぞ!早くなんとかしろ!』あちこちでエンジニアやオペレーターが悲鳴をあげる。
作戦は成功した。長居は無用、しめやかに脱出フェイズに入るとしよう。アースハンドはフロッピーを回収し、何食わぬ顔でサーバルームを出て、エレベーターホールへ向かった。……そこに!「ドーモ、アルバレストです」
◆アルバレスト(種別:ニンジャ)
カラテ 7 体力 7
ニューロン 7 精神力 7
ワザマエ 10 脚力 6/N
ジツ 3 万札 25
攻撃/射撃/機先/電脳 7/14/ 7/ 7
回避/精密/側転/発動 13/10/10/10
即応ダイス:3 緊急回避ダイス:0
◇装備や所持品
◆アクシス制式ニンジャ装束:回避+3
◆スリケンボウガン・ブレーサー×2:素手・スリケン・二挺拳銃
連射+1(乱射併用・累積可)、ダメージ1
本人の連射・時間差・マルチターゲット使用
◇装備やスキル
☆ヤギ・ニンジャクラン、ジツLV3:射撃+3
◉スリケン乱射:回避ダイス2を消費し発動
スリケン/ナガユミによる射撃時に連射+1(時間差・チェーンターゲット可)
◉シャープシューター:集中時に射撃+3
☆◉◉タツジン:フタツイシユミ・ドー 隣接敵にスリケン射撃可能
●射撃スタイル
防御的スリケン投擲:標的1体固定
次の手番開始まで標的からのあらゆる攻撃回避難易度-1
誘い込み:標的1体固定
標的は次の手番終了まで不覚状態となり、次の移動フェイズに必ず移動
●戦闘スタイル:オートマチック・ピストルカラテ
カラテかワザマエで素手の近接攻撃を行う(ワザマエ使用時は殺伐なし)
出目6で痛打+1 二挺拳銃装備時は攻撃難易度+1、連続攻撃+1
●連続攻撃2、連射2、時間差、マルチターゲット
能力値合計:30
「ど、ドーモ……アイエエエ……」ニンジャだ。アースハンドはモータルのふりをしてアイサツを誤魔化そうとした。「ニンジャだな。アイサツしろ!」アルバレストは脅しつける。「……アースハンドです」やむなくアイサツを返すと、アルバレストは目を細めた。「見つけ出したぞ、腐れネズミめが」
かなりの手練れ。アースハンドは脂汗を垂らす。エレベーターはLED照明を落として動作停止していた。ここで待ち受けていたのだ。「殺しはせん。洗いざらい吐いてもらおう。貴様らの背後をな」一対一。カラテに乏しいアースハンドにとっては、正面きってのイクサでは分が悪い。ならば……!
エレベーターが使えぬ以上、窓を突き破ってHQの外に飛び出し、制御を奪ったドラグーンに飛び乗って逃げるしかない。位置は……わかる。だがおそらく、陽動班にも別のニンジャが向かってきていよう。爆発四散させる必要はない。全力で逃げに徹すべし!「行くぞ!」一撃必殺アトモスフィア!
戦闘開始
1ターン目
「イヤーッ!」アースハンドは一瞬早く連続バック転を繰り出し、トイレへ飛び込む!さらに周囲の電子の流れを読み取り、監視ドローンを遠隔ハッキングして窓の近くまで呼び出す!「遅い!イヤーッ!」アルバレストは駆け寄りながら両腕の特殊ブレーサーを変形・展開させ、スリケンを射出!
仕込みスリケンボウガンだ!さらにその射出反動を利用して回転し、肘打ちや蹴りを連続で繰り出す!これぞヤギ・ニンジャクランに伝えられた秘技「フタツイシユミ・ドー」!火薬以前に発明されたピストルカラテだ!「イヤーッ!」アースハンドは見切って躱し迎撃!「イヤーッ!」回避!
「サラバ!」KRASH!アースハンドは連続バック転を繰り出してトイレの窓を突き破り、空中へ飛び出す!彼はピラミッドめいたビル斜面を転がりながら周囲をスキャンし、爆発物を見つけ出す!「イヤーッ!」アルバレストは後を追って飛び出し連続攻撃!「イヤーッ!」回避!迎撃!防御!
2ターン目
「かかったなアホが!TAKE THIS!」アースハンドは斜面を連続側転で転がり落ちながらスリケンを投擲!さらに制御を奪われた監視ドローンがアルバレストへ銃口を向ける!「ヌウッ!?」アルバレストは側転回避!だが足元に突き刺さったスリケンを中心として爆発!KABOOOM!「グワーッ!?」
スリケンは正確にビル外に設置された電子機器を貫いていたのだ!連鎖爆発が起き、アルバレストが爆炎に包まれる!「ハハハ!まだまだ爆発物はあるぞ!足元に気をつけろ!」「ヌウーッ!」なんたる厄介!ハッカーニンジャのアースハンドにとって、このビルは内外ともにフーリンカザンなのだ!
「俺をナメるなよ……!」アルバレストはその場に片膝をつき、スリケンボウガンの狙いを定める。「イーヤヤヤヤヤ!」バシュシュシュシュ!アースメイヘムにスリケンの雨が降り注ぐ!「グワーッ!」躱しきれず命中!無視できぬダメージだ!「ヤギにとっては、断崖こそフーリンカザンよ!」
「い、イヤーッ!」アースハンドは駆け下りながらスリケンを投擲!爆発物に突き刺さる!KABOOOOM!「イーヤヤ!」アルバレストは冷静に回避しスリケンボウガン連射!バシュシュシュシュ!「グワーッ!」命中!このままでは射殺されてしまう!「クソッ!」アースハンドは歯を食いしばる!
3ターン目
「イヤーッ!」アースハンドは全力疾走しながらスシを取り出し咀嚼!同時に監視ドローンが爆発物を撃つ!KABOOOM!「イーヤヤ!」アルバレストは見切って躱し、ジグザグに動きながらスリケンボウガン連射!バシュシュシュシュ!「グワーッ!」アースハンドは必死で回避するが避けきれない!
体中にアドレナリンがみなぎり、肩に命中したスリケンの痛みもあまり感じない。アースハンドは目前に移動してきたドラグーンめがけて跳躍しながらスリケン投擲!「イーヤヤヤヤ!」アルバレストは冷静に見切って躱し、断崖を駆け下りるヤギめいて接近しながらスリケンボウガン連射!
バシュシュシュシュ!「グワーッ!」またも一発がアースハンドの背中に突き刺さる!だが間一髪でドラグーンに飛び乗り、ビル群の中へ!「逃がすわけねェだろ!」アルバレストはドラグーンを破壊すべくスリケンボウガンを構える!だが周囲のドラグーンが集まり、アルバレストへ銃口を向けた!
「!?!」アルバレストは目を見開いた。監視ドローンやドラグーンの制御を遠隔ハッキングで奪い取り操縦するぐらいなら、手練れのハッカーならば可能だろう。一機や二機なら。だがこれは……それどころではない!「電子ウイルスか!」『『『反社会反社会反社会』』』BRTTTTT!BRTTTTTT!
「い、イヤーッ!」アルバレストはかろうじて側転回避!『ピガーッ!』しつこい監視ドローンをスリケンボウガンで撃ち落とすが、ドラグーンは続々と集まってアースハンドへの追撃を妨害する!「クソッタレ!ヤバいぞ!」アルバレストは全速力でHQの最上階へ駆け戻る!ヘリで脱出せねば!
戦闘終了
陽動班
その、少し前。「ドーモ、デッドリーパーです」「サイバーメイヘムです」二人はブラックオニキスにアイサツを返す。「名前が売れてて嬉しいけど、こっちの仕事はだいたい終わったわ。またね」「逃さん」ブラックオニキスは油断ならぬカラテを構えた。一撃必殺アトモスフィア!
戦闘開始
1ターン目
「イヤーッ!」ブラックオニキスは一瞬早く動き、両肘に仕込んだブレードを展開してデッドリーパーへ襲いかかる!SLASH!「ンアーッ!」命中!相当のカラテだ!「逃げるわよ!イヤーッ!」「イヤーッ!」二人はドラグーンを操縦し全速力で離脱!サイバーメイヘムは振り向きざまにスリケン!
「フン」ブラックオニキスは首を傾け難なく回避!デッドリーパーはスシを取り出して咀嚼し、負傷を癒やす。「逃さんと言っただろう」ブラックオニキスはドラグーンにまたがる。……だが、様子がおかしい!『ピガ……!反社会反社会反社会勢力!パンク!カラテ!ピガーッ!』「!? なんだ!?」
『カラテ!』ブラックオニキスを載せたドラグーンが突如馬立ちになり、アームパンチを展開して殴りかかった!「ヌウッ!」側転回避!『『『ファック・ユー!』』』駆け去った三機のドラグーンも口汚い電子音声を発し、アームバルカンを展開!ブラックオニキスへ一斉射撃だ!BRTTTTTTT!
「グワーッ!?」躱しきれず命中!アースハンドが流し込んだウイルス・プログラムが、この実験場内のドラグーンを汚染し、狂わせている!「なんだと……!?」ブラックオニキスは低く唸った。そうであれば、この場のドラグーン全てが敵に回る!手練れニンジャであろうとも危険な状況だ!
2ターン目
「オノレ……!イイイヤァアアアーーーッ!」ブラックオニキスは両肘ブレードを納めて連続側転を繰り出し、ドラグーンに乗る二人に追いつく!彼の脚力は常人の三倍である!「げっ」「イイイヤァアアアーーーッ!」背中のニンジャソードを抜き払い、サイバーメイヘムに斬りかかる!タツジン!
「い、イヤーッ!」サイバーメイヘムは必死で躱し迎撃のキック!「イヤーッ!」ブラックオニキスは並走しながら跳躍回避!「イヤーッ!」「TAKE THIS!」シュン!BLAMBLAM!二人のニンジャは自動運転で駆けるドラグーンの上からスリケンと銃弾を放つ!「ヌウッ!」カタナで切り払い防御!
だがドラグーンたちは疾走しながらアームバルカンを展開し、ブラックオニキスに狙いを定める!『『『『コーポ・オフ!』』』』BRTTTTTTT!BRTTTTTT!「グワーッ!」手練れのニンジャといえど凄まじい弾幕を躱しきれぬ!被弾、負傷!『ブラックオニキス=サン!撤退しろ!』緊急IRC!
「チッ……これは、ダメか」ブラックオニキスは状況判断し、装束のステルス機能をオンにすると、闇に溶け込むように姿を消した。一人では無理だ。アルバレストも潜入者の捕獲に失敗したと伝えてきた。二人とも潜入者にあたっていれば捕まえられただろうが……判断ミスだった。仕方あるまい。
戦闘終了
エピローグ
ドラグーンたちの「反乱」によって実験場は大混乱に陥り、あちこちで爆発や火の手が上がり始めた。三人はその混乱に乗じ、北側の通用口を突破して脱出する。無傷とはいかなかったが作戦は大成功だ。メイライとオナタカミの役員たちは、護衛ニンジャたちとともに武装ヘリコプターで脱出した。
今回の事件により、オナタカミの株価は相当なダメージを受けたはずだ。プロモーション担当のエンジニアやオペレーターはセプクだろう。ドラグーン自体は兵器として有用であるため開発・研究は続くにしろ、この有様では実戦配備は遠のくに違いない。「……どうです?方舟はこっち側だ!」
ネオサイタマ、カラカミ・ファンド社本拠ビル最上階。暗黒投資家たちを集めた秘密カンファレンス会場では、ヤッピーめいたスーツ姿の男がスクリーンを指し示す。オナタカミの株価が急落し、オムラの株価が急上昇していく様が映し出され、暗黒投資家たちは一斉に拍手した。「エクセレント!」
青年実業家カラカミ・ノシトは両腕を広げ、天井を仰いで万雷の拍手を受け止める。「そして実際、今回のビッグディールの裏側には、こちらのシンマキ・ソウキュウ=サンの的確なアドヴァイスがあった。ありがとうございます!」彼はステージの横に座る男を指し示し、深々とオジギした。
「君の才能に惹かれた。それだけだよ」シンマキは鷹揚に笑いながらIRC端末を操作し、カラカミ・ファンドへ追加投資を行う。キャバァーン!「スゴイぞ!彼らが手を組むなんて!」「私も!」「よし!」キャババババババーン!暗黒投資家たちも先を争って追加投資!ゴウランガ!「ハハハハ!」
ノシトは虚無的に哄笑した。彼はNSTV社をはじめとするメディア各社、そしてネコソギ・ファンド社の筆頭株主である。オムラとネコソギ・ファンドは物理的に癒着しており、オムラの株価上昇は彼の得になる。「そして、ここでお知らせだ。キョートとの特別軍事作戦、まもなく次のステージです」
「「「おお……」」」ノシトは預言者めいたカリスマで聴衆を惹きつける。「詳しいことはまだ言えないが、大きく戦局が動くことになる。膠着状態が打破され、バランスが崩れる!その時、正しくあなた方を導くのは誰か?」ノシトは言葉を切り、聴衆を見回す。「あなただ!」「ノシト=サン!」
万雷の拍手! おお、ナムアミダブツ……!日本とキョートの間で続く、終わりの見えぬ戦いに、一体何が起きるというのか?アシッドウルフは何を目論み、どう行動するのか? 今、歴史が大きく動き始める!
【ライド・オブ・ザ・ヴァルキリーズ】終わり
リザルトな