【聖杯戦争候補作】Choose Your Destiny
それは何時代(いつ)から存在していたのか……そもそも地球上(この世)のものなのかもわからない……。
ただ一つ言えることは――食うことと子孫を残すことしか欲望が無かった人類が、それを目にした瞬間(とき)から――歴史(ラグジュアリー)は始まった! それはただの鉱石(いし)なのか、それとも―― 13万年前、それを初めて所有(テニ)した人類の脳に"声"が響いた!
贅(ラグジュアリー)に目覚めよ!! 贅(ラグジュアリー)を極めよ!!
かくして所有者(オトコ)は、その圧倒的な贅沢欲(モチベーション)で文明・文化・芸術――それに富・階級・権威を生み出し、その果てに――
破滅した!!
◇
2021年、東京――――実際には、東京を模して再現(リプロダクション)されし疑似空間(バトルフィールド)! 多数の並行世界の因果(カルマ)が凝って出現した「界聖杯(ユグドラシル)」は、此処に超絶倫人(ヤバスゲエオトコ)を召喚した!
『あ……あああーーッ! 昇天する(スカイハイクラス)ぅーーッ!』
高層ビルの屋上から光がほとばしり、曇天を貫く! それは英霊(サーヴァント)が昇天、消滅せし姿! 想定外な規模の贅沢(ラグジュアリー)を味わい、満足死(イ)ッたのだ!
『どうよ……満足したか?』
「は……ハイ! 完膚なきまでに! 腹出し降参(カンシャ)致します!」
『だろォ~~?』(ホッコリ)
歓喜の涙にむせぶ相手のマスターの肩に太い腕を回し、豪快に笑いかける全裸の中年男性(チョイワルオヤジ)! 彼こそがセレブを超えしセレブ、セレベスト・織田信長である!
『いつの間にかくたばったのか、英霊の座とやらに登録されちまったが……なあに、やることは同じ、出来ること(カノウセイ)が増えただけよォ! 何になろうが、俺は信長! だろォ~~!』
織田信長は、屋上を吹き抜ける心地よい夜風を全身の毛穴(ケヌス)に浴び、贅(ラグジュアリー)な心地を味わう。どれほど金や権力があろうと、自由な心、楽しむ心がなければ、快楽を味わい尽くすことは出来ぬ。
『さあマスター、こいつの会社をゲットしたぞ! これで貴様もCEOよ!』
「あー……いえ、いいです。その人に任せておいて下さい」
『ほう? まだ足りなかったか?』
「いえ。もう十分なので……」
屋上の隅に立つ冴えない中年男は、缶ビールを手にしてホッコリ笑った。その心は満ち足りている。彼にとっては、この異常事態も――ナマの映画を観ているようなものなのだ。
彼の名は、村田克彦。またの名を「ステーション・バー村田」である。
◆
【クラス】
セレベスト
【真名】
織田信長@セレベスト織田信長
【パラメーター】
筋力B 耐久A 敏捷B 魔力EX 幸運EX 宝具EX
【属性】
混沌・善
【クラス別スキル】
領域外の贅:EX
詳細不明。恐らくは地球(この世)の理では測れない程の贅(ラグジュアリー)を宿している事の証左と思われる。26億年以上を生きて地球を13万年も間接的に支配した贅神セレベウスを飲み込み、魂の内部で「おもてなし」して昇天させた「神殺し(おもてなし)」の逸話を持つ。
単独行動:EX
マスター不在でも行動できる能力。もはややりたい放題。
【保有スキル】
カリスマ:EX
大軍団を指揮・統率する才能。ここまでくると人望ではなく魔力、呪い、否……神賜魔(カミスマ)である。
黄金律:EX
人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。一生金には困らないどころか、金がありすぎて逆に困る。聖書(バイブル)の黄金律(ゴールデン・ルール)「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」にも合致している。
贅の蔵:EX
彼は財宝のコレクターでもある。
【宝具】
『天魔の贅宝(ゲート・オブ・ラグジュアリー)』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
空間をつなげ、宝物庫にあるモノを自由に取り出せる。所有者の財があればある程強力な宝具になるのは言うまでもない。あらゆる財宝を納め、そして出ていく「神の門(バーブ・イル)」。彼の発想力が続く限りほぼ無尽蔵にあらゆる富や美食、達人を召喚でき、おもてなしに活用できる。誰かを傷つけ蹂躙するのではなく、互いに良い気分になるために用いる。
仏教における第六天魔王(マーラ)とは六欲天の主であり、あらゆる欲望を司っている。彼が住む天界・他化自在天の住民は、他者の快楽を自在に己の快楽として味わうことができるという。
【Weapon】
高い身体能力と知能、オトコとしての巨大な器を持つ。無尽蔵に近い財力を持つが、どこへ行ってもそれなしでもやっていける。デカくてアツい背中には複数の背後霊(オバケ/残留思念)が憑いており、時々助言を与える。彼の雄汁(フェロモン)はオンナもオトコも惚れさせる。高い確率で全裸。
【人物背景】
漫画『セレベスト織田信長』の主人公。50歳過ぎの壮年の男。財団法人「第六天魔」会長。セレブを極めた「セレベスト」のひとりであり、全セレベスト界の統一をもくろんでいる。ライダーなどの適性もあるが、今回はセレベストとして出現した。
【サーヴァントとしての願い】
無限の願望器である聖杯の獲得そのもの。それを用いて全人類をおもてなしする。死者を復活させることはセレベストにも不可能だが、贅神(カミ)になれば可能かも知れない。
【方針】
聖杯を獲得する。マスターやサーヴァントは殺さず、「おもてなし」によって勝利する。熟女(イイオンナ)がいれば手に入れる。
◆
【マスター】
村田克彦@こづかい万歳
【Weapon・能力・技能】
少ないこづかいをやりくりし、発想力と想像力で十分な満足を得ることができる。週刊誌『プレイボーイ』を持っている。
【人物背景】
漫画『こづかい万歳』に登場する人物。名古屋在住。妻子を持つ一般市民の中年男性。こづかいは1万5000円。外で飲まない代わりに、駅のキオスクで酒とおつまみを買い、構内の片隅で晩酌をする「ステーション・バー」が生き甲斐という小市民。駅構内で見かけた人物を見ながら飲んでは涙ぐみ、「生の映画を観ているようなモンだよ」と発言する。昼食はいつも駅構内のきしめんで、週刊誌『プレイボーイ』を「人生の全てが詰まっている」と断言する。
奇人変人呼ばわりされるが、少ないこづかいをやりくりすることでむしろ満足を得た哲学的な男であり、息子の進学のためにこづかいを減らすなど社会人・家庭人としても立派な人物。作者の幼馴染で、実在する人物であるが、ここにいるのはフィクションの登場人物としての彼である。
【ロール】
妻子を持つ一般市民。
【マスターとしての願い】
特になし。強いて言えば帰還。
【方針】
普段どおりの生活を送る。
【把握手段】
原作9話。
【参戦時期】
不明。
◆
次はフォーリナーでも書(や)ろうかと思ったら、贅沢次元から織田信長が特攻(ブッコ)んで来た。前にどこかのパロ聖杯戦争にいたような気がする。武力より経済力とおもてなしで殴って来るので書くやつの格(クラス)が試されるが、扱う力量と勇気があったら採用してくれ。
マスターをと考えたら、ある意味やつの対極にいる男が名古屋に住んでいたので連れてきた。織田信長とは名古屋つながりだ。足るを知る、で完全に満足しているので、たぶんセレベストにも屈しない。能力的には全くの一般市民だし妻子もいるので無事に過ごして欲しい。実在の人物とは無関係だ。
【続く】
◆