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忍殺TRPGリプレイ【イン・ザ・ケージ、イン・ザ・フォレスト】02

 前回のあらすじ:ザイバツのネオサイタマ駐留部隊の残党ワイルドハントとイエローフィストは、ヤマブシに扮してヤマ山地の温泉宿を訪れていた。この地に魔術的ビーコンを仕込み、キョジツテンカンホーの範囲を広げるためだ。まずは英気を養うべく、2人は温泉へ!カラダニキヲツケテネ!

 しばらくして、夕食が運ばれてきた。山奥の温泉宿らしくイノシシ鍋だ。その他の料理も川魚や山菜、キノコが主である。食事も酒もキョートには及ばないが、ワイルドハントは久しぶりにリラックスした気分を味わった。隣の客を刺激せぬよう、こちらも静かにせねばならぬ緊張感も心地よい。

「……では、行くか」「ハイ」2人は奥ゆかしく言葉を交わし、立ち上がる。いよいよオンセンだ。宿のスタッフに聞けば、入浴施設は宿の裏山の奥にあり、景色を楽しめるものの、少し山道を歩く必要があるという。問題ない。2人はニンジャであり、腹も満ち、疲労もある程度は癒やされているのだ。

 廊下に出ると、隣の部屋のフスマが開き、トレンチコートにハンチング帽の男が姿を現した。単独客のようだ。アイサツせねばなるまい。「ドーモ。スミマセン、お騒がせしています」イエローフィストは奥ゆかしく声をかけてオジギした。「……いえ、ドーモ」男は軽く会釈し、去っていった。


山道

1D6を3回振って、3つのイベントに遭遇する。3D6[456]=落石、霧、山賊。

 ワイルドハントとイエローフィストは、矢印の書かれた看板に従って秘湯への山道を登り始めた。ホロヨイ気分には夜風が心地よく、満たした腹の腹ごなしにもなろう。実際奥ゆかしい、粋なもてなしだ。……だが、その時!ゴゴゴゴゴ……! 地震だ! そして崖の上から巨大な岩が落下して来る!

カラテ判定、難易度HARD。5D6[51255]成功。

「イヤーッ!」KRASH!イエローフィストはとっさにトビゲリを繰り出し、落石を遥か彼方の崖下へ蹴り落とした! ワザマエ!「うむ」ワイルドハントは頷き、何事もなかったかのように先へ進む。ニンジャなら、この程度のことはできて当然だ。温泉地に地震が多いのもまた必然。自然現象だ。

ニューロン判定、難易度UH。3D6[236]成功!

 しばらく進むと、霧が濃くなってきた。これは……ただの霧ではない。有毒の火山性ガスだ! 常人ならこのまま進めば窒息死!「こちらです!」イエローフィストはとっさにニンジャ第六感を働かせ、風上側の道へワイルドハントを導く。「うむ」彼は頷き、難なく有毒ガスを躱して先へ進む。

山賊襲撃!体力6と残り体力分の攻撃ダイスを持ち、回避難易度NORMAL・ダメージ1の攻撃をしてくる。
アンブッシュとして山賊の先制攻撃(射撃)、6D6[514135]3成功。
イエローフィスト/YFは7D6[3312346]回避。

 その時!ヒョウヒョウヒョウ!茂みの中から矢が飛来!アンブッシュだ!「イヤーッ!」イエローフィストは瞬時にワイルドハントをかばい、矢を指の間に挟んで掴み取る!タツジン!「クセモノ!」「ヒャッハー!女だ!」「マブ!」「前後!」ナムサン!茂みから現れたのは凶悪な山賊たちだ!

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「フーッ、無粋な連中だ」ワイルドハントはため息をつき、肩をすくめた。「お前たちのようなクズに、この山道の風情を乱されるとはな。……皆殺しにしろ」「ハイヨロコンデー!」イエローフィストはジュー・ジツの構えを取った。山賊たちは山刀を構えて威嚇する。一触即発アトモスフィア!

戦闘開始

YFはトライアングルリープ&ランスキック[4145215][1411]1成功。
山賊たちは弾き飛ばされて壁に激突、合計5ダメージ受け残り体力1。
山賊の反撃!1D6[1]攻撃失敗!YFはカラテ[62542]成功、山賊全滅!

「キエーッ!」イエローフィストは山道の傍らに聳える樹木を蹴ってトライアングルリープキック!「アバーッ!」山賊の1人がトビゲリをまともに喰らい、ワイヤーアクションめいて後方に吹っ飛ぶ!「「「アバーッ!」」」他の山賊数人を巻き添えにして山道から転落!ナムアミダブツ!「え」

 残る山賊は1人!「え」彼は周囲を見回したのち、「ザッケンナコラー!アダウチダー!」ヤバレカバレでイエローフィストに斬りかかる!イエローフィストは難なく見切って躱し、裏拳を叩き込む!「イヤーッ!」SMASH!「アバーッ!」命中!そのまま山道から転落!ナムアミダブツ!

戦闘終了

「食後の運動にもなりませんでしたね」「うむ」ワイルドハントは頷き、何事もなかったかのように先へ進む。当然の勝利だ。相手は取るに足らぬ非ニンジャのクズで犯罪者であり、何人殺そうが問題ない。むしろ世の中のためになる。これでこの道も安全になり、麓の温泉宿も繁盛することだろう。

 宿を出てから数時間後。ウシミツ・アワー。2人は月光の照らすサンスイめいた領域へと到達していた。既に標高は2000メートル近い。切り立った黒い岩山の間から、硫黄の香りの神秘的な霧が立ち上る。急斜面にまばらに生えたバイオパインと鳥居が、白い霧の中で墨絵めいたシルエットを刻む。

 砂利に覆われた山道の左手は底の見えぬ崖。右手の岩壁には2フィートほどの細い溝が一直線に走り、色褪せた神秘的なコケシやレッドカウ・ブードゥーが、物言わず立ち並んでいた。キョートやネオサイタマのようなメガロシティとは何もかもが違う。まるで別の惑星だ。「道は合ってますか?」

 イエローフィストが不安げに問う。「問題ない。見ろ」ワイルドハントは前方の岩山を指差す。スプーンで抉り取られたスゴイカタイアイスめいて、黒い岩肌にぽっかりと大穴が空いている。その内懐に、慎ましやかな木造瓦屋根のオンセンコテージがあった。「や、ヤッタ!到着したんですね!?」

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「ああ」ワイルドハントはコテージの周囲のノボリを見つめる。「とても標高」「江戸時代」「古さ」……知られざる築数百年の歴史を奥ゆかしく雄弁に物語っている。あれこそは徳川エドワード家康が利用したオンセンに違いない。そして、この周囲の霊脈の要だ!「先に入る。見張れ」「ハイ」

 ザイバツ・シャドーギルドは、ニンジャがモータルを奴隷として支配するのが正しい社会の秩序であるという教義「格差社会」を標榜している。ニンジャ同士は平等という建前だが、実際は厳然たる身分やネンコによる格差が存在する。位階が下の者が、上の者より先に入浴するなどもってのほかだ。

 ワイルドハントはキョートの武家系下級貴族の家柄で、共和国軍の下級将校であった過去を持つ。その後の様々な経緯により、彼は通常のマスター位階のニンジャよりは階級社会に対して柔軟だが、それでも格下の存在に対しては呼吸するように目下に見る。現地採用組のイエローフィストは当然だ。

 イエローフィストは元カラテカであり、センセイや目上、年上に従うのは当然だと考えている。体育会系のネンコ・プロトコルが、うまくザイバツの教義に当てはまったのだ。それに実際上司と混浴セッタイなどしたくない。幸いワイルドハントは奥ゆかしく、無体を強いてくることもないのだが。

秘湯

 カコーン……。本物のシシオドシ音が、岩露天風呂に心地よく響く。「フーッ……」ワイルドハントは肩まで湯に浸かり、月明かりの下で神秘的なエテルを深呼吸する。なんたる贅沢な時間か。イエローフィストはバンブー柵とノーレンの向こう、オンセンコテージの入口で周囲を油断なく警戒する。

 ニンジャに限らず、無防備な入浴中の暗殺例は歴史的にも多々ある。平安時代のショーグン「グンペイ・ヘイケ」の父と子は、ともに入浴中に殺されたという。このような辺境の地までワイルドハントを殺しに来るニンジャはそういまいが、バイオパンダや山賊などが襲撃してくる可能性は実際ある。

 カコーン、とシシオドシが鳴った。ワイルドハントは再び曇天に隠れゆく月を見上げた。その時……彼は湯煙の向こうに、もう一人の入浴者を見た。見覚えのある顔。宿で隣の部屋に泊まっていた客の男だ。彼が先に入っていたとは。「……ドーモ」ワイルドハントは奥ゆかしくアイサツした。

「ドーモ」男は静かにオジギした。見るからに精悍な男だ。湯から出た肩や首筋には筋肉が盛り上がり、無数の傷跡がついている。明らかにカタギではない。ヤクザか、あるいは……「!」ワイルドハントは微かなキリングオーラを感じ取る。相手の奥深くに染み付いた血の臭い……ニンジャソウルを!

 反射的に、ワイルドハントの目が険しく変わる。果たして何者か!「……シツレイながら、ニンジャとお見受けするが」「……そうだが」「何者かは詮索しないでおこう。このような場所で無粋な争いはしたくない」ワイルドハントは奥ゆかしく告げた。「今はリラックスし、オンセンを楽しもう」

「……」先客は答えず、頷かず、表情を険しくした。余計なことを言ってしまったか。間合いを保ったまま、両者はしばらく睨み合う。やがて先客は立ち上がり……その傷だらけの肉体が、瞬時に赤黒い装束に包まれた!「!」ワイルドハントは反射的に立ち上がる!相手はアイサツを繰り出した!

「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」

◆ニンジャスレイヤー(種別:ニンジャ)
カラテ      13    体力       17
ニューロン     7    精神力      12
ワザマエ     10    脚力        7/N
ジツ        3    万札       10

攻撃/射撃/機先/電脳 13/10/ 7/ 7
回避/精密/側転/発動 15/10/10/10
即応ダイス:6 緊急回避ダイス:8

◇装備や所持品
◆家族の写真:精神力+1
◆アーチ級生成装束(全身、標準的な)
 体力と精神力+4、緊急回避ダイス8、回避+2、脚力ダメージ軽減1

◇ジツやスキル
☆ナラク・ニンジャソウル(休眠中)
 ☆◉即死耐性
 ☆◉ナラク・ウィズイン
 ★★★◉アーチ級装束生成(今回だけ)

☆ドラゴン・ニンジャクラン、ジツLV3
 ☆チャドー呼吸LV3
 ☆◉ヒサツ・ワザ:タツマキケン

◉◉タツジン:ジュージツ
◉ランスキック
◉スリケンの見切り
◉ツヨイ・スリケン
◉ヒサツ・ワザ:ポン・パンチ
◉ヒサツ・ワザ:サマーソルトキック

●連続攻撃3、連射2、マルチターゲット、時間差
◉◉憎悪:ニンジャソウルの闇、ソウカイヤ、ザイバツ
◉狂気:暴走するプロ意識、異常執着

能力値合計:36

 ナラクは休眠中で、いろいろスキルが封印されています。装束は生成、家族の写真はオマモリ・タリスマンに入れているとして、フックロープやブレーサーは入浴中は持ち込めないので脱衣所に置いています。

 ニンジャ同士のイクサにおいて、アイサツは神聖不可侵。アイサツされれば返さねばならない。古事記にも書かれている。裸のワイルドハントはやむなくアイサツした。「ドーモ、ワイルドハントです。貴様の噂は聞いているぞ。ソウカイヤばかりか、ザイバツのニンジャも殺しまくる狂人だとな!」

 ニンジャスレイヤーは「忍」「殺」の禍々しい漢字が刻まれたメンポから硫黄臭い息を噴き出した。「そうだ。全ニンジャ殺すべし。オヌシについても、ザイバツニンジャを拷問インタビューして聞き出したことがある。ザイバツ・ネオサイタマ駐留部隊の長だったとな。死んだと聞いていたが」

 ワイルドハントは脂汗を垂らす。相手のカラテは凄まじい。この状況は圧倒的不利だ。ならば!「あいにくこうして生きている。……貴様もソウカイヤを憎んでいるのだろう。手を組まんか」「断る」死神は無慈悲に告げた。「ソウカイヤもザイバツも、私の妻子の仇だ。全て滅ぼす。私が決めた」

「妻子?」「……すでに私はキョートへ行き、オヌシの大事なギルドを潰滅させて来た。サラマンダー、イグゾーション、ダークドメイン、ケイビイン、パラゴン。そしてロード・オブ・ザイバツも殺した。残党も殺す。オヌシも後を追うがいい」「バカなーッ!?」ワイルドハントは目を剥いた!

『ど、どうされました!?』脱衣所の彼方からイエローフィストが声をかける。「クセモノだ!敵だ!ギルドに仇為す憎き敵!ニンジャスレイヤー=サンだ!」ワイルドハントは湯船の中を後じさりながら必死で情報を伝える。ここは市街地から遠く離れた辺境の地、誰も助けに来る者はいない!

「麓で見た山賊の死体もオヌシらのしわざだな。相手が悪党とはいえ、オヌシらはモータルを殺した」ざわざわとニンジャスレイヤーの装束がなびき、赤黒く輝く。ナラク・ニンジャは休眠中だが、ニンジャに殺されたモータルの怨念は、ニンジャスレイヤーに復讐のための力と情報を与えるのだ!

「い、今行きます!イヤーッ!」イエローフィストは意を決し、脱衣所を駆け抜けて露天風呂へ突入!ワイルドハントへ籠ごと装備一式を投げ込む!「かかってくるがいい、ワイルドハント=サン。それとも仇敵を前にして、尻尾を巻いて逃げ出すのか」ニンジャスレイヤーはジゴクめいて告げた。

「ここでオヌシらと出会ったのは実際偶然だが、生かしておく理由はない。殺す」ナムアミダブツ!これも運命の巡り合わせか!ワイルドハントは怒りに震え、瞬時に装備を装着してカラテを構えた!「ここで逢ったが百年目!ギルドのために貴様を殺す!」澄んだ大気にカラテが満ちる!一触即発!

戦闘開始

【続く】

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三宅つの
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