【つの版】ニンジャスレイヤーTRPG簡易リプレイ【ツキジ・ファイト・クラブ】
邦題:築地搏撃倶楽部(Tsukiji Fight club)
これは2019年6月9日から10日にかけてTwitter上のnjslyrタグで行われた、ニンジャスレイヤーTRPGの簡易版ゲームでのつののリプレイを纏めたものです。公式のソロアドベンチャーシナリオとしては第五回です。
前回はマーダーシュトロム=サンがトーフ工場へラオモト・チバを救出に行き、モーターヤブをハックして見事に成功しました。
ファンメイドのソロシナリオもリプレイしました。今回、成長させて持ち越ししてもいいと公式から告げられましたが、チーム・ヒップもチームBMもお仕事中ですし、MSh=サンはトーフヤシウゲキに関わってますし、FT=サンもどっか行きましたし、WL=サンはアレですし。せっかくですので新たなニンジャを創造してみることにしました。
◆ニンジャ創造◆
ニンジャ創造もだいぶ手慣れてきました。今回はプラグイン「生い立ち表」から創ってみましょう。
2D6を振ると[31]=刀剣マニアです。
31『○刀剣マニア』:この者は病的な刀剣収集マニアであり、戦利品と思しきカタナやダガーを(時には何本も)肌身離さず持ち歩いている。このPCは「カタナ」を2本初期装備した状態でゲームをスタートする(他の初期装備アイテムがあれば捨てること)。また鑑定眼にも優れているため、刀剣類をブラックマーケットに売却する際に【万札】を追加で1得られる。
オフェンダー=サンかツインソード=サンみたいなやつができました。二刀流で戦うタイプのようです。基礎能力値を4D6で振ると[3,4,5,4]。すなわちカラテ3、ニューロン4、ワザマエ5、ジツ1。副次能力値は体力3、精神力4、脚力3。強すぎもせず弱すぎもせず、ちょうどいい感じです。ジツは[1]=ムテキ・アティチュードです。ハガネ系のソウルでしょうか。二刀流スタイルとはいえサソリとは限りませんが、成長すればサソリとハガネのいいとこ取りができるでしょう。ワザマエが高ければ精密攻撃とかできますし。カタナマニアなのでサイバネするカネもありません(将来的に入れるかも)。ムテキもありますし、久々にノーサイバネで行きましょう。
ニンジャネームはツインソード2とかダブルソードもアレですし、Wikipediaの「二刀流」のページでそれっぽいのを探しましょう。古代ローマの剣闘士には二刀流で戦うディマカエリ(単数形ディマカエルス)というのがいたようです。なかなかかっこいいですね。グラディエーター=サンがグラディウス・ドーの使い手で古代ローマカラテを使わなかったように、このニンジャもそうなのかも知れません(アンダバタエとかラクエリィとかいますが)。
ここに新たなサンシタニンジャ、ディマカエルスが無から発生しました。
◆ディマカエルス(種別:ニンジャ) PL:つの
カラテ 3 体力 3
ニューロン 4 精神力 4
ワザマエ 5 脚力 3
ジツ 1 万札 0
DKK 0 名声 0
◇装備や特記事項
☆ムテキ・アティチュードLv1
◆マカエラ・カタナ2本
○刀剣マニア:刀剣類を売却する際に万札+1
能力値合計:14
イメジはいつものようにぎだ=サンのサンシタニンジャメーカーで作りました。DKKを積みそうな悪人面です(プレイ終了後に作ったものですが)。略称はDMです。ディ・マカエラ(2本のマカエラ/刀剣)を使うからです。
ではリプレイの様子から、このニンジャのアトモスフィアを感じ取っていきましょう。例によってパルプ小説仕立てでやります。
◇🎲◇
◆ソロアドベンチャーパート開始な◆
ネオサイタマ南部、ツキジ・ディストリクト。その地下ダンジョンには旧世紀の冷凍オーガニック・マグロが多数眠っており、極めて高価な値段で取引されている。古くから多くの採掘人が潜り、命がけで発掘して来たものであるが、もしもニンジャの能力をもってすればどうであろうか。
以前ソウカイ・ネットにフリーミッションとしてあげられた時、駆け出しのニンジャチームが挑戦したが、途中でニンジャスレイヤーに遭遇し、重傷を負って逃げ出したという。恐れをなしたニンジャたちはこの案件にあまり手を出さずにいたが、ラオモトは暴君の気まぐれで正式ミッションとした。
「冷凍オーガニック・マグロのトロスシが食べたい。ニンジャスレイヤー=サンに遭遇したら倒せばよいのだ。暇なサンシタニンジャどもを次々送り込め!沢山撃てば実際当たりやすい!ムッハハハハハ!」……かくして、最近ソウカイヤに入ったばかりのサンシタたちが多数ツキジへ派遣された。
その一人がディマカエルス(DM)だ。危険なミッション。手ぶらで帰ればケジメだ。お宝を持ち帰る途中で待ち伏せを受け、チームを組んだ連中に囲んで殴られる可能性も高い。そいつらを出し抜いてマグロを持ち帰れば、ラオモト=サンからの覚えもめでたかろう。DMは単独行動することにした。
「まあセンパイたちが途中まで道を拓いてくれてたし、一人でもダイジョブだろ……ウワーッ!」ウカツ!突如床が崩壊し、DMは最下層まで転落!
◇🎲◇
◆最下層な◆
ツキジ・ダンジョン最下層。そこは南極のように寒い。旧世紀の冷凍庫がジェネレータによって稼働し続けているのだ。「いつつ……」幸いにDMはかすり傷程度ですみ、無事最下層に到着した。ニンジャ耐久力やニンジャ敏捷性の賜物であろう。「サイオー・ホースだぜ。……!」DMは気配に気づく。
前方の回廊に人影。ここの原住民か?否、それは防寒ヤクザスーツを着込み埋込式サイバーサングラスを装着している。クローンヤクザだ。おそらくどこかの暗黒メガコーポが送り出した、マグロ探索ヤクザ。多数を送り込めばニンジャを送り込むよりは安く、通常のモータルよりは確実性が高い。
「先んじられてたまるかよ!」DMは舌打ちし、スリケンを構えた。「イヤーッ!」
ワザマエ5なので5D6で[1,2,3,3,6]=あやうく成功。
「アバーッ!」DMはそこそこのワザマエでスリケンを投擲し、ヤクザを仕留めた。実際寒い。とにかくマグロを持ち帰ればカネと名声が手に入り、カタナのコレクションが増やせる。やるしかない。「思わずスリケンで倒してしまったが、カタナでやればよかったな…」彼は実践的刀剣マニアである。
◇🎲◇
◆探索な◆
さて、どう探すか。UNIXをハッキングするか?しかし彼にそんな知識やテクニックはない。「ここはひとつインタビューと行くか」彼のニューロンはそこそこ高く、ニンジャの能力を用いれば旧世紀UNIXでもハッキングに成功していたかもしれない。だが彼は実際邪悪な方のサンシタであった。
カタナを集め、カタナを振るって何かを切り裂きたい。おお、ちょうどいいところに、回廊を徘徊する防寒ローブ姿の住民がいる。「アイエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」彼はDMの姿を見て狼狽し、思わず両手でキーボードタイピングの構えをとった。明らかにハッカーだ。
「ツキジ最深部だぞ?こんなところに暮らしててお前、冷凍マグロの在処を知らねえはずもねーだろ。さっさと吐けや」DMは嬉しそうに笑い、2本のマカエラ・カタナをちゃりつかせた。「早く言わないと指を折る……いや、切った方がいいな。何本で吐くかな?」DMはニンジャらしくサディストだ。
「両手の指は10本だ。それでダメなら足の指だな。手足もあるし耳だってある」ナムサン!ハッカーは失禁し後ずさる!「アイエエエ!私は何も知りません!」「イヤーッ!」「グワーッ!」DMは彼の右手小指を切断!「アイエエエ!何も!」「イヤーッ!」「グワーッ!」右手薬指を切断!
「アイエエエ!何」「イヤーッ!」「グワーッ!」左手小指を切断!「アイエエエ!教えます!」「よーし」ハッカーは涙と鼻水とヨダレで顔をぐしゃぐしゃにし、恐怖に引き攣らせている!「わ、私は旧世紀のUNIXの場所を知っています!そこをハッキングすれば!」「イヤーッ!」「アバーッ!」
DMは男の左手薬指と中指を同時に切断!合計5本だ!ストライク!「フー、スッキリした」「アイエエエ!ナンデ!?」ALAS!なんたる暴虐!「両手合わせて5本は残しただろ?ハッキングは可能だ。ケジメドみてえに中指だけ残したがよかったか?」DMはマカエラについた血をぺろぺろと舐めた。
マグロ手がかりダイス5個、DKK5獲得。5D6で[3,2,5,6,6]=成功。三本目で吐いたがついでにストライクしておく。邪悪!
「2本はさっさと吐かなかった罰だ。命はとらねえ。案内しろ」「ハイ!」男は激痛に耐えながらひょこひょこと歩き、やがて「築地電脳中心」と書かれた古いカンバンを見つけた。旧世紀のUNIXがうず高く積み上げられた宝の山「ロービットマイン」だ。DMにも多少価値はわかる。「すげえな」
男は生体LAN端子で旧世紀UNIXに直結し、懐からフロッピーを取り出してスリットに挿入すると、五本指でタイピングを行った。こんな場所まで潜るほどのハッカーであれば相当のワザマエで、根性も座っている。「なかなかやるな。指を残しといてよかったぜ」DMは感心した。「感謝しろ」
「ハイ!」ハッカーは脂汗を流しながらハッキングを行う。スココココ……キャバァーン!ハッキング成功!UNIXモニタにワイヤフレーム地図が表示され、未盗掘と思われるマグロ倉庫の位置情報をゲットした。DMはIRC端末を直結させ、そのデータを吸い出す。「よーし、よくやったぜ」
DMはハッカーの肩を叩く。「ついでに、ここからの出口も教えろ。なるべく知られていないルートだ」「ハイ!」スココココ……キャバァーン!DMは帰路のマップも獲得した。「よしよし。お前こんなところで腐らせとくのはもったいねえな。顔もいい。連れて帰るぜ。俺のために働け」「アッハイ」
DMと男の顔が近い。DMはそっちの意味でも二刀流であった。「お前、名前は?」「アイエエ……エラズマ・カリオです……」「俺はディマカエルスだ。ヨロシクな、カリオ=サン……ウフフ……」「アイエエエ……」
◇🎲◇
◆冷凍マグロ倉庫な◆
DMはハッカーのモータル、エラズマ・カリオを伴い、未盗掘の冷凍マグロ倉庫にやってきた。「よし、隔壁を開け」「ヨロコンデー」カリオは死んだマグロの目でタイピングを行い、パスワードを打ち込んでロック解除する。ガゴンプシュー!圧縮蒸気を吐きながら隔壁が開いた!
「おお……!」DMの目の前に、宝の山と呼ぶにふさわしい光景が広がる。大量の冷凍オーガニックマグロだ。どんな希少な違法薬物よりも高値で取引されるトロ粉末のもと。黄金や宝石の山にも等しい。しかし……なにか嫌な予感がする。DMのニンジャ第六感。冷凍倉庫の奥から何かが来る!
ガツッ、ガツッ、ガツッ!壁や床を巨大なツルハシで叩くような音!それが反響し、近づいて来る!「下がってろ、カリオ=サン!」「ハイ!」来る!来る!来る!「シューーーーーッ!」あれは!マグロ冷凍倉庫に住み着いた危険生物!怒り狂った巨大バイオズワイガニだ!「アイエエエエ!?」
「カニ!?マグロ冷凍倉庫にカニナンデ!?」カリオは急性カニ・リアリティ・ショック(KRS)で再失禁!自我がアブナイ!「下がってろっつってるだろ!」DMも驚愕したが、ニンジャの精神は強靭だ。人間を両断できるほど大きなハサミを振り上げ、泡を吹きながら巨大なカニが襲ってきても。
「イヤーッ!」スリケンを投擲!
5D6で[1,2,3,3,4]=あやうく成功。カニに1ダメージ。
「シューッ!」サンシタと言えど、ニンジャの投げるスリケンはただの石礫とはわけが違う!巨大バイオズワイガニの強固な甲殻を貫き、内部の柔らかい肉にまで達した!緑色のバイオ血液が流れ出す!だが一撃で殺せるほどにヤワではない!
「シューーーーーーーーーッ!」反撃のハサミ攻撃だ!食らえばニンジャと言えど重傷は必死!これはカリオの指をケジメしたDMへのインガオホーであろうか!「やられてたまるか!イヤーッ!」
5D6で回避し[5,3,4,5,6]=成功。
DMは跳躍してこれを回避!背後にはうずくまるカリオ!彼を守るように、DMは両手にマカエラ・カタナを構えた!二刀流!奇しくもズワイガニと同じスタイルだ!
「イヤーッ!」反撃!
カラテ3だが3D6で[1,1,6]=あやうく成功!カニに1ダメージ。
「シューッ!」巨大バイオズワイガニの関節部分にマカエラの一本が突き刺さる!緑色のバイオ血液が噴出!手負いの巨大バイオズワイガニは思わぬ反撃に恐れをなし、生存本能に駆られ逃げ出した。「オトトイキヤッガレ!」DMは勝ち誇り、キツネ・サインを突き出す。カリオも無事だ。
DMは刀剣マニアだが、そのカラテはニンジャとしては大したことはない。手練であればカニのハサミを切断していたことだろう。それでも彼は己のカラテに全てを賭け、敵に勝利したのだ。DMの胸を達成感が満たした。モータルでは成し得なかったことだ。「立てるか、カリオ=サン」「ハイ」
◇🎲◇
◆帰路◆
「やれやれ、目的のものはゲットした。さて帰るか」DMは冷凍マグロとカリオを担ぎ上げた。さっきカリオが見つけ出した秘密の抜け道がある。ロービットマインもだ。これをシンジケートに伝えれば、さらなる褒美は間違いなし。DMは鼻歌を歌いながら、意気揚々と帰路を急ぐ。
「ニンジャスレイヤー=サンがツキジに出たとか噂になってたが、結局都市伝説だな……あのカニを見間違えたのかなァ」そういえばあのカニは赤黒かったような気もするが、巨大バイオズワイガニとニンジャを見間違えるようなアホもいまい。「ンなわけねえか!ハハハ!」DMは一笑に付す。
DMのDKKは5。2D6で合計が5以下(5含む)ならWasshoi。[5+6]=11、10本切っててもダイジョブだ。DKKを積極的に稼げばカルマロンダリングでいい結果が出せるかも知れないが、まあ奥ゆかしくしていこう。
出口が見えてきた。下水道が海へ注ぎ込むあたり、波打ち際だ。くろぐろとした重金属酸性海水に胸まで浸かる。マグロとカリオを頭の上に掲げ、DMはどうにか陸上へ到達した。時刻は深夜。「ひでえとこだな。まあ確かにこれなら見つかりにくいか。さーて、車を調達して戻るとするか!」
◇🎲◇
◆トコロザワ・ピラーな◆
ソウカイヤの本拠地トコロザワ・ピラー。カリオを縛って車内に留め置き、マグロを担いで戻ってきたDMは取次のニンジャに報告を行い、マグロを引き渡す。そしてシャワー室で身を清めた後、天守閣の謁見室へ向かった。しばらくして。「ムハハハハハ!見事な働きであった、DM=サン!」
謁見室にラオモト・カンがエントリーした。冷凍マグロは解凍されて専門の職人によって捌かれ、脂の滴るようなオーガニック・トロマグロスシにされている。ラオモトはどっかと座ると、金髪オイランたちが差し出すそれをムンズと掴み、豪快にも一度に二つ同時に食べた。ゴウランガ!
「うまい!ムッハハハハハ!」満悦!「アーレエエエエーッ!」ラオモトが愉快そうに笑うと、その歓喜に当てられて四人の金髪オイランが同時に絶頂に達した!「褒美をくれてやろう!」ラオモトは手を叩き、オイランたちに万札を運ばせる。万札15はあろう。命を賭けただけはある報奨だ!
DKK5でカルマロンダリングすると出目は4、万札10を追加でゲット!合計獲得万札は25だ!やったぜ!ラオモト=サン、バンザイ!
さらに!「面白い奴だ、これでサケでも飲むがいい!」上機嫌のラオモトは懐から無造作に万札束を取り出し、DMへ投げつけた!「アリガタキシアワセーッ!」DMは深々とドゲザ!伏せた面は満面の笑顔!ラオモトはさらに大きな盃でサケをグイと飲み干すと、大声で笑いながら退出した。
マグロを持ち帰れなかったサンシタたちは既に別室でケジメしている。DMは彼らの怨みを買うだろう。DMも覚悟の上だ。それらをも排除してのし上がる。ソウカイ・ニンジャたるものそうでなくてはなるまい。この世はマッポー、毒蟲たちが相争い食い合う戦場。蠱毒の壺だ。
【ツキジ・ファイト・クラブ】終わり
◆リザルトな◆
◆ディマカエルス(種別:ニンジャ) PL:つの
カラテ 3 体力 3
ニューロン 4 精神力 4
ワザマエ 5 脚力 3
ジツ 1 万札 25
DKK 0 名声 1
◇装備や特記事項
☆ムテキ・アティチュードLv1
◆マカエラ・カタナ2本
○刀剣マニア:刀剣類を売却する際に万札+1
能力値合計:14
◆忍◆
つの版ニンジャ名鑑#xxx
【ディマカエルス】
ソウカイヤの末端ニンジャ。マカエラ・カタナ二刀流で戦う。カラテは乏しいがワザマエはそこそこ。危険な刀剣マニアであり、しばしばモータルをケジメやツジギリして愉しむ、典型的な邪悪ニンジャである。
◆殺◆
FT=サンでDKKを積むのがタノシイだったので、今回は邪悪なサンシタにしてみました。ロクメンタイチャンは彼のニンジャソウルの導きということにします。リプレイを書いているうちに気がついたらそっちの意味でも二刀流になり、かわいそうなハッカーのエラズマ・カリオ=サンが爆誕しました。ところで大熊猫=サンはカワイイですね。つのは主人公の幼馴染の中性的なサポート役の美少年とかにとてもよわく、彼らを引き離すやつを激しく憎悪します。まあカリオ=サンは幼馴染でもなければ美少年でもないので、特に気にしません。ニンジャや巨大カニに遭遇してるので自我が心配です。
以上です。つの産のこうしたニンジャたちを、あなたは自由に活用して下さい。つのはとても喜び、あなたの記事にスキをつけたりするでしょう。
【以上です】