亀に追いつくアキレス
「…アーカイブによって確認されたところによると、彼は元来ネット上の腰抜けアホ小説のほぼすべてを忌み嫌っており、その電子的」
ブツん。あれ、切断された。……と、ここを繋げて……よし。
「…比較神話学的に作品を解釈すると、中東神話と登場人物との類似・相同が見ら」
ブツん。これじゃない。っかしいな、どこだっけな。キーがここだろ?
「…金、銀、銅の価格比率は、おおよそ1:12:360である。これは1年が」
ブツん。あれえ?
「ニコよォ、それもうだめじゃねえかな」
「いや、まだ壊れてねえし……くそったれ」
ジャンクヤードから掘り出した、この数十年前の通信機器は、常にどことも知れぬ場所からの電波を受信しているらしい。ちゃんとした文章を紡ぎ出す前に切断されてしまう。興味深くはあるのだが、そも、なんの意味があるのか。
「斜向いにジャンク屋があるからよォ、みてもらおうぜ。だめなら売っちまおう」
「あー、もうそうす…ガピピッ」
【つづく】
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