忍殺TRPGリプレイ【リターン・トゥ・ゼロ】03
前回のあらすじ:ソウカイ・シンジケートの大規模掃討作戦を受け、ダークドメイン率いるザイバツ・ネオサイタマ駐留部隊主力はポータルを用いて撤退を開始した。だがそこへ謎の存在インクィジターと、ニンジャスレイヤーが立ちはだかる!一撃必殺アトモスフィア!カラダニキヲツケテネ!
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『イヤーッ!』「イヤーッ!」『イヤーッ!』「イヤーッ!」『イヤーッ!』「イヤーッ!」『イヤーッ!』「イヤーッ!」『イヤーッ!』「イヤーッ!」『イヤーッ!』「イヤーッ!」『イヤーッ!』「イヤーッ!」『イヤーッ!』「イヤーッ!」『イヤーッ!』「イヤーッ!」『イヤーッ!』
ゴウランガ!ゴウランガ!二人のニンジャは二つの巨大竜巻めいて激突!激突!激突!互いに必殺のカラテを撃ち合い、躱し、凄まじい情報乱流を生み出しながら、高速でポータル空間を駆け抜けていく!その二つのカラテの間に生ずる圧倒的破壊空間は、まさに歯車的磁気嵐の小宇宙!
だが……両者ともまだ奥の手を見せていない!ニンジャスレイヤーの腰には破壊のヌンチャクが!ダークドメインにはアンタイ・ウェポンがある!ともに必殺ながら消耗も大きい!果たして死闘の行方は!?
戦闘継続
5ターン目
「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは状況判断し、ナラクの声に従い、腰のヌンチャクをついに抜く!多用すれば何らかの浸食を受け危険だが、この敵を倒すには必要だ!ヌンチャクの鎖が瞬時に伸び、黒い炎が宿る!「イイイヤァアアアーーーッ!」激しく回転しながらヌンチャクを解き放つ!
SMAASH!『グワ、アバーッ!』ナムアミダブツ!ダークドメインは紙一重で致命傷を躱したものの、みぞおちに痛烈な一撃を食らい内臓を損傷!メンポの隙間から血反吐が溢れる!だがなおも健在!『イヤーッ!』必死に反撃!SMASH!「グワーッ!」命中!だが浅い!「ニンジャ……殺すべし!」
「イイイヤァアアアーーーッ!」ニンジャスレイヤーはトドメを刺すべくヌンチャクで連打!連打!連打!ヴヴン……ダークドメインは気力を振り絞り最後のヴォイドシフト回避!もはやアンタイ・ウェポンも使えぬ……はずである!だが!ここは現世に非ず、オヒガンの狭間の地!フーリンカザンだ!
『イイイ……!』ダークドメインは目から血涙を流し、傍らの空間を引き裂いて漆黒の反物質塊を引きずり出す!巨大な死神の鎌めいたそれは、命中即必殺の最終兵器!『死ね!ニンジャスレイヤー=サン!死ね!』ガオオン!命を振り絞った最後の一撃が迫る!アブナイ!ニンジャスレイヤー!
どくん……!ニンジャスレイヤーの肉体が、ナラク・ニンジャの自我が、迫りくる死に反応し、ニンジャアドレナリンを過剰分泌させた。見開いた両眼から血涙が溢れ、周囲の全てが泥めいて鈍化する!「イイイ……イイイヤァアアアーーーッ!」紙一重で死神の鎌をブリッジ回避!タツジン!
6ターン目
「モータルの怒りを!思い知れ!」ニンジャスレイヤーはナラクの炎をヌンチャクに宿らせる!ヌンチャクの左右のボーに「忍」「殺」の文字が出現!「イイイヤァアアアーーーッ!」嵐のような猛攻!猛攻!猛攻!猛攻!ダークドメインは……躱しきれない!SMASH!SMASH!『アバババーッ!』
サツバツ!ダークドメインの両腕が、肩から切断されて宙を舞う!もはや戦闘不能……否!否!彼に宿るマイニユ・ニンジャのソウルが、彼自身の矜持とキアイが、なおも肉体を動かす!『イイイ……イイイヤァアアアーーーッ!』残った脚で繰り出すのは、メイアルーア・ジ・コンパッソだ!
攻撃回避と必殺の蹴り、攻防一体のカポエイラ・カラテ!だがダークドメインは大きく体勢を崩しており必殺とはいかぬ!ニンジャスレイヤーは……「イイイヤァアアアーーーッ!」その場で竜巻めいて回転!こちらもメイアルーア・ジ・コンパッソを繰り出した!ゴウランガ!ゴウランガ!
KRAAAAASH!『グワ……アッバーッ!』ナムアミダブツ!ニンジャスレイヤーの蹴りがダークドメインの頭部に再び命中!両者の速度と威力が乗算された百倍の破壊力が彼の首を刎ね飛ばした!『サヨナラ!』KABOOOM!ザイバツ・グランドマスターの一人、ダークドメインは爆発四散!
戦闘終了
エピローグ
ダークドメインの破片は蛍光緑色に輝く01のパーティクルと化し、オヒガンの彼方へ飛び散っていく。実際恐るべき強敵であった。少しでもタイミングがズレていれば、ニンジャスレイヤー自身がこうなっていたかも知れぬ。だが殺した。ザイバツ・グランドマスターは、これで三人が死んだのだ。
謎の戦場で破壊のヌンチャクを手に入れたニンジャスレイヤーは、四体のリアルニンジャのミイラを破壊して戦場を粉砕し、広大なオヒガン空間に投げ出された。ヌンチャクとナラクが行き先を、キョート城を指し示し、それに従って進むうち、インクィジターとダークドメインたちに遭遇した。
インクィジターが何者かは分からぬが、ダークドメインは殺した。他のザイバツニンジャたちは取り逃したが、インクィジターに捕まれば命はあるまい。前に殺し損ねたサンバーンやコンジャラーの姿もあったが……いずれ必ず殺す。そして……01010101……前方の闇に、インクィジターの群れ。
それらは空中に立ちはだかるように留まり、一斉にオジギした。(((ドーモーモモモーモーモーインクィジタータータータタター)))さらに後ろから迫るのは巨大インクィジター!カラテ竜巻による防御なき今、万事休すか!あるいはカラテで押し通るか!この先は……その時、傍らの壁に亀裂が生じた。
亀裂は内側から光り輝き、奥へ手招きする意識体の存在が知覚できる。罠か。あるいは……躊躇の時間は無い。迫る敵から逃れるべく、彼は亀裂へ身を投じた!「イヤーッ!」01010101010……
「バカな……行き止まりとは……!」ニンジャスレイヤーが足を踏み入れたのは、タタミ敷きの四角い小部屋であった。それはシュギ・ジキと呼ばれるパターンで、十二枚のタタミから構成されている。四方は壁であり、それぞれにはライオン、バタフライ、ゲイシャ、イカの見事な墨絵が描かれていた。
小部屋の中央には、一人のザイバツニンジャがザゼンしている。ニンジャスレイヤーは身構えたが、そのニンジャは即座にハンズアップした。「マッタ。敵意はない。降伏する」「……ドーモ、ニンジャスレイヤーです」アイサツを受け、彼はアイサツを返した。「ドーモ、アンバサダーです」
アンバサダーはニンジャスレイヤーを座らせ、これまでの事情を語った。ポータル・ジツのこと。双子の兄ディプロマットともども、ザイバツの便利な道具として飼われていたこと。師父イグゾーションが、実の両親の仇であったこと。それを知って以来、ザイバツへの反抗心が芽生えたこと。
「……ネオサイタマにおけるザイバツのアジトの場所をソウカイヤにバラしたのは、俺だ。こうなるように仕組んだ。兄とテレパシーで交信してな」「ムーホンか」「ああ。ソウカイヤにつくのもごめんだ。貴様に協力する」「なぜ、私だ」「……兄のところに、とある男が来てな。貴様を紹介した」
ディテクティヴ。タカギ・ガンドー。非ニンジャであった彼はニンジャとなり、ザイバツを打倒するために密かに行動しているのだという。あの時彼と別れてから、現世ではどれほどの時間が過ぎたのか。「ポータルの彼方には、俺の兄とディテクティヴ=サンが待っている。見張りは始末してある」
アンバサダーの言葉に嘘はないようだ。ニンジャスレイヤーは頷いた。「わかった」「ああ。ポータルを運良く抜けて来たザイバツニンジャたちもいるかもだが、そいつらも頼む。なるべく離れ離れになるように誘導したがな」「うむ」「後は、キョート城へ潜入する方法だな」「後で考えよう」
ニンジャスレイヤーはアグラ・メディテーションとチャドー呼吸を行い、内なるナラクを制しながら体力と気力を回復させる。コトダマ空間は時間の流れが現世とは異なる。ウラシマ伝説にある通りだ。休息して負傷を癒やし、次のイクサに備えねば。「まずは休むがいい。スシとチャもあるぞ」
アンバサダーは虚空から盆に乗ったスシとチャを取り出し、ニンジャスレイヤーに勧める。ここはアンバサダーの隠し庵、あるいはローカルコトダマ空間のようだ。「もらおう。感謝する」ニンジャスレイヤーはオジギし、それを受け取る。アンバサダーは目を細めた。意外に奥ゆかしい男だ。
……かくして、ニンジャスレイヤーは現世へ、キョートへ帰還する。キョート城へ潜入し、ユカノやナンシーを救出し、ザイバツ・シャドーギルドを滅ぼすために。マイナスからゼロへ戻るために。再出発だ!
【リターン・トゥ・ゼロ】終わり
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