忍殺TRPGリプレイ【ヘヴンズ・フォーリング・ダウン】05
前回のあらすじ:ネオサイタマ南西、磁気嵐の荒野。三人の若きニンジャはここに墜落したツェッペリンを秘密裏に回収し、これを餌として暗黒メガコーポの部隊を誘き寄せた。やってきたのは大量のクローンヤクザと、それを率いるオナタカミ社のエージェント・ブラックメイル!イクサは佳境!
◆
ガシャン!SMASH!「アバーッ!」倉庫北側の窓が割れ、最前列右端のクローンヤクザの頭が弾けて即死!サイオコールの狙撃支援だ!だがクローンヤクザたちは恐れることなく前進!「「「スッゾコラー!」」」「面倒ね。どっちから片付ける?」「こいつからだな」ニンジャ同士なら三対一だ!
「くッ……!」ブラックメイルは状況判断する。この三人だけではなく、もうひとり……スナイパーがいる!威力偵察による敵戦力の分析は充分、ここはクローンヤクザ部隊を盾にして一時撤退し、状況を報告して増援を待つべきか。「逃しはしないわ」サイバーメイヘムは邪悪に嘲笑う!
戦闘継続
4ターン目
「kill-9 U!」「イヤーッ!」アースハンドの遠隔ハッキング!サイバーメイヘムの致命的なカラテ!「ヌウッ、ムテキ!」ガキィン!ブラックメイルはかろうじて防ぐ!「撤退!イヤーッ!」遮蔽物の陰に隠れトロ粉末を吸引!「死ね」BLAMBLAM!SMASH!「「アバーッ!」」ヤクザ二人射殺!
「前進停止!」クローンヤクザ部隊はブラックメイルをかばうように自ら遮蔽物となり、チャカガンを構えて停止!飛び込めば斉射を受ける!
5ターン目
「kill-9 U!」アースハンドが飛び出し遠隔ハッキング!ZZZT!「ヌウッ!」パシン!ファイアウォールが焼き切れ、白い煙が端子孔から噴き出す!「キエーッ!」よろめくブラックメイルへサイバーメイヘムがトビゲリ!「ムテキ!」ガキィン!脚部を瞬時に硬化させノーダメージ!なんたる厄介!
「多勢に無勢、ここは退く!クローンヤクザの相手でもしていろ!イヤーッ!」ブラックメイルは状況判断し撤退!「イヤーッ!」BLAMBLAM!SMASH!「「「アバーッ!」」」銃弾とスナイパースリケンがヤクザ三人を射殺!残り十人!「「「「「ザッケンナコラー!」」」」」
サイバーメイヘムへ一糸乱れぬ一斉射撃!BRTTTTTTTTT!「イヤーッ!」見切って回避!ゴウランガ!『ここは私が引き受けた。ニンジャを追跡し給え!』サイオコールからのIRC通信!「「「了解!」」」仕切り直しだ!
???
三人は倉庫を飛び出し、クローンヤクザ部隊を振り切って、ブラックメイルを追跡する。サイオコールの狙撃により、輸送車両のタイヤはパンクしている。となると、どこか別の建物に隠れたか。三人は手分けしてニンジャアトモスフィアを探る。……やがて、アースハンドが彼女を発見した!
「ネズミ袋だな。この磁気嵐では増援と連絡もとれまい」アースハンドは脂汗をにじませる。仲間とは距離がある。少しの間、一対一でこの手練れニンジャの相手をしなければならない。「……以前の恩義もある。情報を渡せ。そうすれば、命まではとらない」「断る。私のメンツと命に関わる」
ブラックメイルは目を細め、アサシンダガーを構えた。ここで死ぬ気か。潜入工作員は、死ぬのも仕事のうちだ。ニンジャは死ねば爆発四散する。ならば……生かして捕らえるか。「では、行くぞ」「来い」一触即発!
戦闘再開:1ターン目
「kill-9 U!」ZZTZZZTZZTZZZT!アースハンドは遠隔ハッキング!「……ンアーッ!」ブラックメイルは一撃食らう!だが浅い!「イーヤヤヤヤヤ!」駆け寄ってアサシンダガー連打!「イヤーッ!」アースハンドは全て見切り地面に伏せて回避!「なかなかのワザマエだが、タツジンではないな!」
2ターン目
「kill-9 U!」ZZZTZZT!「イヤーッ!」ブラックメイルは遠隔ハッキングをギリギリで回避!そこへ!「キエーッ!」サイバーメイヘムがドアを蹴破ってエントリーしトビゲリ!狙うは腹部!「ムテキ!」ガキィン!瞬時に硬化して弾く!「キエーッ!」背後へ回り込み攻撃!「イヤーッ!」回避!
「イヤーッ!」続いてデッドリーパーが飛び込み、ブラックメイルへピストルカラテ!BLAMBLAM!「イヤーッ!」紙一重ブリッジ回避!「これで三対一!勝ち目はないぞ、降伏しろ」「断る!」彼女はすでにいくつかのミッションに失敗し、後が無い。増援もなくここへ派遣されたということは……!
3ターン目
「kill-9 U!」ZZTZZT!「ンアーッ!」遠隔ハッキング命中!アースハンドは彼女の脳内UNIXから、何らかの機密情報を盗み取った!「キエーッ!」サイバーメイヘムが追撃!「ムテキ!」ガキィン!ブラックメイルはジツで致命的な攻撃を防ぎ、懐からスシを取り出し瞬時に咀嚼!体力を回復させる!
「まだまだ!イイイヤァアアアーーッ!」アサシンダガーでデッドリーパーを攻撃!「イイイヤァアアアーーッ!」デッドリーパーは回転回避し、ピストルカラテを放って反撃!BLAMBLAM!「イヤーッ!」ブラックメイルは紙一重で回避!ワザマエ!「シューッ……!」なんたる手練れだ!
4ターン目
「kill-9 U!」ZZTZZT!「ンアーッ!」遠隔ハッキング命中!大きく体勢を崩したブラックメイルに、サイバーメイヘムが渾身の回し蹴り!「イイイヤァアアアーーッ!」ブラックメイルは目を見開いた。目と鼻と耳から血液が溢れる。アドレナリンが溢れる。だが……ジツが、これ以上は……!
SMAAAAASH!「アバーッ!」ナムアミダブツ!サイバーメイヘムの痛烈な殺人キックが、ブラックメイルの顔面に命中!そのまま首を刎ね飛ばす!「サヨナラ!」KABOOOOOM!爆発四散!
戦闘終了
エピローグ
「「「シューッ……!」」」三人はザンシンする。実際油断ならぬ相手であった。だが殺した。手練れといえど、三対一なら倒せるのだ。三人は自分たちの成長を確かめた。「ナムアミダブツ」デッドリーパーは小さく呟き、ブラックメイルの冥福を祈った。自分は、殺人機械ではない。感傷がある。
「やれやれ、手こずったが……機密情報もハッキングで盗み取った。あとはここを爆破して撤退するだけだな」アースハンドは息をついた。ニューロンを酷使したため、彼の充血した目からは血涙が溢れている。スシやトロ粉末を補給して少し休めば治るだろう。「命令通り、きっちり殺ったわよ!」
サイバーメイヘムは勝ち誇る。カトン・ジツがなくとも、カラテがあればなんとかなる。アースハンドはニューロンを、デッドリーパーはワザマエを鍛錬し、役割分担すればいい。『……任務ご苦労。こちらもクローンヤクザ部隊を殲滅し、増援も足止め中だ。すぐにここを離れろ。爆破する』
サイオコールからのノーティス。「了解しました」アースハンドが答え、三人は頷く。潜ませていたサイバー馬に飛び乗ると、振り返ることなく全速力で離脱する。……やがて倉庫で凄まじい爆発が起き、きのこ雲がそびえ立った。マグロ・ツェッペリンのニューク燃料炉が爆発したのだ。
三人はあらかじめ用意してあった企業用セーフティ・シェルターにしばらく潜み、水と食糧を補給しながら、アシッドウルフやサイオコールからの連絡を待つ。外は磁気嵐と放射能が荒れ狂い、ニンジャといえど危険だ。
デッドリーパーは、自らの感傷を黙って確認する。ブラックメイルは死んだ。だが……彼女が遺したものは、情報は、記憶は……生き続け、世界を動かし続ける。それがある限り、彼女は生きている。誰かが覚えている限り。
◇◇◇
……その頃。磁気嵐の荒野の奥、旧世紀の秘匿された軍事基地にて。
機械の指が汚れたレンズを拭い、ほこりを拭い取る。それから数度小突かれて、スキャナーはようやく青白い走査光を放ち、アシッドウルフの眼を読み取り始めた。甲高くハウリングするような機械音、破壊されたレーザー砲塔が腐食して立てるシュウシュウという不快な音だけが響き渡る。
彼らは健気にもこの場所を守り続けていたが、致命的に狂っていた。あるべきものが欠けていれば狂ってしまうのは、機械も、人も同じだ。網膜パターン……虹彩……指紋……。幾つかの生体情報認証が完了し、『キャ…バ……ー…ン…!』ノイズ塗れの不気味な音声ガイドが彼を歓迎した。
『よ…こそ……偉大な…る………の…た』彼は僅かに頭を引き、メンポで顔を、青い眼を覆った。少々手間取ったが、ようやくここまで辿り着いた。手勢も揃えた。サイオコールによれば三人は合格。巻いた種は芽を出し始め、滴した毒は着実に相手の土壌を汚染しつつある。「……さあ、ここからだ」
世界を、あるべき状態へと進めなくてはならない。主には、忠実で勇敢な戦士が。戦士には、仕えるべき偉大なる主が必要だ。どちらも用意した。その役割に相応しい価値を証明できるかどうかは、彼ら次第だ。「……俺は、期待している」彼は呟き、巨大な集積UNIXの前で足を止めた。
それは彼を歓迎するかのように煌々とLED光を放ちながら、再起動する。
「お前たちの、可能性に」
【ヘヴンズ・フォーリング・ダウン】終わり
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