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【聖杯戦争候補作】アウトサイダー

「狩りだ、狩りだ、楽しい狩りだ」

 東京、深夜。黒髪の少女は小さく歌いながら、高層ビルの屋上をスキップし跳ね渡っていく。下はネオンきらめく歓楽街、無数に行き交う人の群れ。鉄の車が道を行き、商賈の声は夜もやまず。

 ばららん。少女が手に持った弓の弦を撫でれば、魔力持つカラスの群れがまとめて死に、極道たちが息絶える。魔獣たちも恐れおののき、闇の中へと逃げ散っていく。少女は次々と弓弦を撫で、それらをたやすく射て殺す。

 死神のごとき狩人に、あたりに潜んでいた英霊たちがおびき出され、一斉に襲ってくる。ばららん、ばららん。少女は目を細め、夜空を踊り、弓弦を撫でて破魔の矢を放つ。英霊の袖をば射止め、魔力の弦を辿りゆき、主君の眉間へ一直線。百発百中、猿号擁柱、古今無双の弓張月。

「見よ!見よ! 我は天才だ!」

 東京、深夜。白衣の少女は鼻歌を唄いながら、かちゃかちゃと金属部品を組み立てていく。施設の実験機器は少々物足りないが、自分の頭脳があれば充分に補えよう。問題は、英霊にこれが効くか否か。

 ……室内の空気が揺らぎ、黒髪の少女が姿を現す。

「戻ったぞ、ご主君」
「おう! 目的のブツは手に入れたか!」
「うむ、これに」

 少女が差し出したのは、南無三、両眼と舌に矢が突き立った生首だ。まだ生きている。首の切断面からは、血液ではなく金色の光の粒が溢れ出している。生身の人間ではない。英霊なのだ。

「早くしないと消えてしまうぞ」
「わかってる! そこへ置け!」

 白衣の少女は生首を机の上に置かせ、黒いバズーカめいた武器の筒口を向けた。隻眼はわくわくと好奇心に輝き、狂気の光を放っている。

「『ブラックベロニカ』試作機、光線発射!」

 ZZOOOOM! 光線が発射され、英霊の生首は瞬時にかき消えた。

「……成功か? 微妙なところだが……データはとれた!再現可能! よし、次は五体満足な英霊で試してみよう!」

 白衣の少女は興奮し、凄まじい勢いでデータを解析して、メモをとっていく。科学の力で魔術的な存在を破壊可能なら、自分も英霊と戦える!

「……そんなものを使わなくても、私が戦えばいいじゃないか」
「ククク、人間の力で戦うからこそロマンがあるんだよッ! さあ褒めろ!讃えろ! ウチは天才だーッ! ウワハハハハハ!」

【クラス】
アーチャー

【真名】
養由基@史実、中国・春秋時代

【属性】
混沌・中庸

【パラメーター】
筋力B 耐久C 敏捷B 魔力C 幸運B 宝具A

【クラス別スキル】
対魔力:C
 魔術詠唱が二節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。文殊菩薩の加護により会得している。

単独行動:C
 マスターを失っても一日間現界可能。

【保有スキル】
無窮の武練:A+
 ひとつの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。心技体の完全な合一により、いかなる精神的制約の影響下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。武装を失うなど、たとえ如何なる状況であっても戦闘力が低下することはない。

千里眼:A+
 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。遠方の標的捕捉に効果を発揮。Aランク以上ならば一種の未来視(未来の予測)や読心さえ可能。故事成語「百発百中」の語源となった英霊であり、狙った時点で因果律的に命中が確定する。

【宝具】
『雲外射雁・雷上動(うんがいしゃがん・らいじょうどう)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:2-100 最大捕捉:30
 日本の軍記物語『源平盛衰記』『前太平記』に登場する弓。狙って放てば稲妻を纏って遥か彼方まで飛び、遮蔽物を貫通して必ず命中する。一発の矢で複数の標的を同時に射抜くことができ、弓弦を鳴らすだけでも魔性のものを畏怖させ、行動不能に陥らせる。

 伝承によれば、いにしえに文殊菩薩が五台山の麓に棲む両頭蛇を捉えて弓となし、法衣の糸を張って弓弦としたものである。また菩薩は自らの両眼の精から水破・兵破という二本の鏑矢を作り、黒鷺と山鳥の羽根を各々矢羽根とし、経文を記した多羅葉を綴って直垂(ひたたれ)を作った。菩薩はこれを自らの化身である養由基に授けて柳の葉を射落とす技を授け、仁者にこれを伝えよと言い残した。

 養由基はこの弓矢と直垂を伝えるべき者を求めて生き続けたが、とうとう見つからずに七百歳で寿命を迎え、娘の枡花女(椒花女)に託した。彼女はさらに千年近く生き続け、寿命が尽きようという時に弟子から日本国の武者である源頼光(948-1021年)の事を聞き、彼の夢に現れてこれらを授けた。頼光はこれを得て日本一の弓の名手となったが、土蜘蛛や酒吞童子退治にはこれらを用いず、玄孫・頼政が鵺退治で初めて用いたという。

【Weapon】
 宝具。二つの鏑矢を用いれば魔獣や軍勢も撃退させられるが、普段は鳴弦による「音の破魔矢」を用いる。

【人物背景】
 養由、養繇基とも。古代中国・春秋時代の楚の大夫。あざなは叔。嬴姓の養国(河南省周口市沈丘県)の出身と思われる。『史記・周本紀』『戦国策』『春秋左氏伝』『呂氏春秋』『淮南子』等に名が見え、伝説的な弓の達人とされる。生没年は不詳だが、楚の荘王(在位:前614-前591年)・共王(在位:前591-前560年)・康王(在位:前560-前545年)の三代に仕えた。

 その弓勢の強さは一本の矢で甲冑七枚を貫き、精密なことは蜻蛉(とんぼ)の翅だけを射るほどであった。ある時彼と弓の腕前を競う者がおり、五十歩離れた板に同時に三本の矢を放って命中させたが、養由基は百歩離れた場所にある柳の葉に目印をつけさせ、その中心を射抜いてみせた。さらに葉に番号をつけ、その順番に射て「百発百中」であった。ある人はこれを見て「一発でも外せば名声を失う。ほどほどにしておけ」と忠告したという。また楚王の飼っていた白猿が逃げ出して柱の上に止まった時、王は人々に射落とさせようとしたが、白猿は矢を回避したり掴み取ったりして手に負えなかった。そこで養由基を呼んで射させようとすると、白猿は彼が弓の準備をしただけで恐れをなし、柱を抱擁して泣きわめき、自ら降りてきたという。

 前597年、河南省鄭州市で楚と晋が激突した邲(ひつ)の戦いにおいて、養由基は右翼の車右(指揮官の護衛)に任じられている。また前575年、楚と晋が再び対決した鄢陵の戦いにおいては、敵将の魏錡に目を射られた共王に命じられて射返し、ただ一矢で魏錡を射殺した。楚軍が撤退する時はしんがりをつとめ、一矢で複数の敵を射抜くなど天下無敵の腕前を発揮し、敵を寄せ付けなかった。だが戦には敗れ、楚はやや衰えた。前560年に共王が亡くなると子の康王が即位したが、混乱に乗じて呉が楚に攻め込んできた。養由基は司馬の公子午(子庚)の副将としてこれを防ぎ、伏兵を設けて撃破した。前558年、康王は彼を宮廐尹に任じたが、以後の消息は不明である。邲の戦いからこの時まで40年近くになり、寿命で亡くなったものであろう。

 この次元では女性。姿は黒髪のチャイナ少女。性格は傲岸不遜で空気を読まず、弓を射ることしか頭にない。慢心しやすく怒りっぽいが、忠告は受け入れるし、主君に命令されれば出撃は控えるし、敵の情勢を見て伏兵を仕掛ける程度の智謀はある。なお春秋時代の楚国では騎兵がまだおらず、二輪戦車に乗っていたため、馬にまたがったりはしない。

【サーヴァントとしての願い】
 なし。ただ弓を射たい。

【方針】
 マスターに従い、護る。

【マスター】
フォックステール博士@ケモ夫人

【Weapon・能力・技能】
 天才的な頭脳。悪の天才科学者であり、凄い発明品を作ることができる。作中では高い破壊力を持つ銃「ブラックベロニカ」、マジックハンド型捕獲機械「ムーンタッチャー」、光を投射した物体や現象を静止させる「暗い部屋(オブスクラ)」、量産型戦闘車両「レッドリベンジ」などを作成した。

【人物背景】
 漫画『ケモ夫人』の登場人物。外見は金髪をサイドテールにした少女で、牙めいた八重歯があり、左目は空洞、右目は瞳が渦巻状。Yシャツの上に白衣を羽織り、ニーハイソックスとスカートを穿いている(ジャージのこともある)。一人称は「ウチ」。自信家でハイテンションなマッドサイエンティスト。「悪の天才科学者」を自称しており、世界に災厄をもたらす「巨人」を自分の発明によって討伐することを目的としている。

 情緒は不安定で、子供扱いされると激昂し、おだてられると機嫌を直して喜び、興味を抱いたものには好奇心を高ぶらせ、自分が生命の危機に陥ると絶望して狼狽する。包容力のあるケモ夫人には反発しつつも懐いており、今は精神を安定させるためにも必要不可欠。倫理的にヤバイ過激な発言や行動をすることもあるが、仲間や無辜の市民の人命を大切にはする。

【ロール】
 悪の天才科学者。都内の理系大学に「ギフテッド」として飛び級で入学しており、博士号を持つ。大学内の研究施設をある程度自由に使える。

【マスターとしての願い】
 元の世界に戻り、「巨人」を解析して討伐したい。

【方針】
 聖杯狙い。人命を優先し、サーヴァントをアーチャーに狩らせるか、マスターを無力化して脱落させる。自分も可能なら戦いたい。

【把握手段】
 原作。

【参戦時期】
 不明。原作第一巻終了後ぐらいか。


 残るはアーチャーとランサーで、チャイナ鯖がまだいないのでオーソドックスなアーチャーを出した。伝承も調べてみるとなかなか面白い。慢心家の天才肌だが、弓を射たいだけなので戦場をくれる主君には従う。枡花女が混ざったのかこの次元では少女の姿だ。こいつの主君はというと、なんか似たやつがいたな、というわけでフォックステール博士だ。前にメーガナーダをノヴァ教授と組ませたりした。相性がいいかどうかはともかく危険な事態に陥れば守ってくれるだろう。包容力は期待するな。頼光はFGO次元や新ゲッターロボ次元では女性だし、なんらかのなんか繋がりで養由基のバストも豊満かも知れない。備えよう。

 ところで、やはりしたらばに書き込みができない。仕方ないのでここに書いて置いておく。代理で投下できればしてくれ。だめならまあいい。

https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/12648/1648303280/

【続く】

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