忍殺TRPGリプレイ【マネー、ゲット・バック】02
前回のあらすじ:情報屋兼ピザ屋の『ピザタキ』で緊急事態が発生した。店主のタキが身に覚えのない借金を背負わされ、破滅寸前に陥ったのだ。緊急IRCを受けて駆けつけたストリートニンジャ・レッドフォックスとタキ、アルバイトのコトブキは協力して捜索し、犯人を発見!囲んで殴れ!
◆
スココココ……スココココ……UNIX音が静かに鳴る中、彼は無防備に眠っている。カスガ・ストリートはお世辞にも治安が良いとは言えないが、この廃倉庫群は好き好んでヤクザやアウトローが訪れる場所でもなく、比較的静かだ。ゆえに警備はあのクローンヤクザだけで十分だと思っていたのだろう。
「チャンスだな。LANケーブルを引っこ抜いて、ニューロンを焼いてやる」「ハイ」二人はしめやかにハッカーニンジャへ近づく。……その時!『侵入者感知!ネギトロ重点モード、ドスエ!』合成電子マイコ音声が鳴り響き、床から二台のセントリーガンがせり上がった!ナムアミダブツ!
「フーッ……敵か。面倒な」ハッカーニンジャは寝椅子から身を起こし、アイサツした。「ドーモ、インポースです」
「ドーモ、レッドフォックスです」「コトブキです!悪逆非道の振る舞い、私が許しませんよ!」コトブキは芝居がかったアイサツを行う。「フン、サンシタニンジャにオイランドロイドか。どうやってここを嗅ぎつけたか知らんが、貴様の個人情報も抜き取って1000万円の借金を背負わせてやる!」
インポースはハッカー特有のタイピング・カラテの構え、すなわちホームポジションのポーズをとった。レッドフォックスとコトブキもそれぞれカラテを構える。一触即発アトモスフィア!
戦闘開始
1ターン目
「TAKE THIS!」インポースは連続側転で距離を取りつつ、コトブキめがけて遠隔ハッキング!ZZTZZT!「ハイヤーッ!」コトブキはとっさにLANポートを閉じ、インポースめがけトビゲリを放つ!「イヤーッ!」インポースは側転回避!ワザマエ!カラテは乏しくとも、彼とてニンジャなのだ!
「い、イヤーッ!」レッドフォックスはスリケン投擲!「イヤーッ!」インポースは見切って躱す!「ハァーッ、サンシタめが!貴様には生体LAN端子がないようだが、ならば銃弾を食らわせてやる!」
2ターン目
ウイーン……二台のセントリーガンが銃口をレッドフォックスへ向ける!『『侵入者を許さないです』』BRTTTTTTT!「グワーッ!」ナムサン!躱しきれず一発銃弾を食らう!カラテの乏しい彼には無視できぬダメージだ!「よくも!ハイヤーッ!」コトブキが強烈なカンフー・トビゲリを放つ!
「イヤーッ!」インポースはブリッジ回避!ワザマエ!「クソが……!イヤーッ!」レッドフォックスは血を拭いながらスリケン投擲!「グワーッ!」命中!「ザマミロ!」「ヌウーッ、ならばこうだ!」
3ターン目
インポースはセントリーガンから飛び離れ、再びコトブキめがけ遠隔ハッキング!「借金を背負うがいい!kill-9 U!」ZZZTZZT!「ンアアーッ!」命中!アブナイ!コトブキのIPが!「許せません!ハイヤーッ!」コトブキは怒りに燃えて反撃!「イヤーッ!」側転回避!なんたるニンジャ敏捷性か!
「クソッタレ!イヤーッ!」レッドフォックスはインポースへスリケン投擲!「イヤーッ!」バック転回避!ゴウランガ!「ちいーッ、少々手こずらせてくれるぜ……!」レッドフォックスは苛立つ。彼には切り札のヘンゲヨーカイ・ジツがあるが、長持ちはしない。今こそ使うべき時か?
……その時!ウイーン……セントリーガンが動き、銃口をインポースへ向けた!「え?」これは……ハッキングだ!コトブキが食らった遠隔ハッキングをバックドアとして、タキがセントリーガンを乗っ取り、遠隔操作しているのだ!『クソ野郎を許さないです!ハッハー!』これぞモータルの怒り!
◆タキ(種別:モータル)
カラテ 1 体力 1
ニューロン 4 精神力 4
ワザマエ 3 脚力 2
ジツ - 万札 5
攻撃/射撃/機先/電脳 1/ 3/ 6/ 8
回避/精密/側転/発動 4/ 3/ -/ -
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:0
◇装備や所持品
▶生体LAN端子LV2:ニューロン判定+4、イニシアチブ+2
◆トロ粉末
◆ウイルス入りフロッピー
◇スキル
◉kill-9
◉サモン・クローンヤクザ
◉知識:ハッカーの流儀、電子ウイルス、犯罪、セキュリティ
◉交渉:駆け引き
能力値合計:8
4ターン目
インポースは状況判断する。敵ハッカーはセントリーガンを直接ハッキングしたのではなく、あのオイランドロイドを中継地点としている。ならば、あれを介してハッキング返しだ!「イヤーッ!」ZZTZZZT!コトブキへ遠隔ハッキングが飛ぶ!「ハイヤーッ!」とっさにポートを閉じて防御!
「ハイヤーッ!」ズシン!コトブキは震脚からのカンフー・パンチを繰り出す!「イヤーッ!」インポースは側転回避!『TAKE THIS!』BRTTTTTTTT!タキの操るセントリーガンがインポースめがけ火を噴く!「イヤーッ!」紙一重で回避!ニンジャに銃弾はめったにあたらぬ!だが体勢を崩した!
「ヘンゲヨーカイ・ジツ!」レッドフォックスがキアイを入れると、彼の肉体が瞬時にパンプアップ!恐るべき野生を放つ獣人と化した!ゲット・ワイルド!「GRRRRR……AAARGHHHHH!」よろめくインポースへ猛然と襲いかかる!狙うは頭部!どくん……インポースはアドレナリンをSMAAASH!
「グワ、アバーッ!」サツバツ!レッドフォックスの瓦割りパンチが、邪悪なるハッカーニンジャの頭蓋骨を叩き割った!「アバーッ……ムン」ニンジャ耐久力で爆発四散はこらえたものの、たまらず昏倒!ナムアミダブツ!
戦闘終了
???
「や、やったぜ……!」レッドフォックスはヘンゲを解除し、息を荒げる。「やりましたね!」『よし!』コトブキとタキも喜ぶ!「こいつはソウカイヤに突き出すことにして……この後はどうする」『やつのUNIXを確認して、ハッキングだ。頼むぜ』「アイアイ」二人はUNIXデッキへ近づく。
……UNIXのデータを確認すると、口座情報を含む大量の個人情報が入っていた。インポースはこれを使って成りすまし、ふわふわローンからカネを借りまくり、負債を他人に押し付けていたわけだ。『そいつのUNIXにバックドアを仕掛けた。外付けファイアウォールを操作して無効化してくれ』
「どうすんだ」『外付けファイアウォールに電源ケーブルがあるだろ。そのコンセントを物理的に引っこ抜け。失敗すると爆発して危険だが、一応無効化はされるな。ニンジャなら耐えられるだろ』「無茶言うな」レッドフォックスはそれらしきものを発見し、コトブキに確認する。「それですね」
「よし。イヤーッ!」レッドフォックスはニンジャ器用さを発揮し、素早く電源ケーブルのコンセントを引き抜いた!……爆発はしない。「これでいいか」『OK。ハッキングするぜ』「頼む」コトブキは気絶したインポースを手早くLANケーブルなどで拘束している。どのみち彼は破滅だろう。
『……よし……よし!』タキはウイルス入りフロッピーを使って慎重にハッキングを行った。これでタキを含む全員の借金がインポースのIPへ結び付けられ、彼が全ての債務を背負うことになる。インガオホーだ。『どこのニンジャか知らねえが、オレに楯突くとはふてえ野郎だ。ザマミロ!』
エピローグ
「フーッ……」ピザタキ。タキは大きく深呼吸し、ぐったりと椅子にもたれた。彼は破滅の運命を免れたのだ。そして、多くの市民やニンジャをも破滅の運命から救出した。ちょっとした救世主になった気分だ。「どうなるかと思ったが、助かったぜマジで」彼は気付けの薬物ドリンクをあおった。
『ソウカイヤに連絡はしてある。お前らはそこで後始末部隊の到着を待っててくれ』「「了解」」インポースの事務所。レッドフォックスとコトブキは室内を調べ、スシやドリンク、金目のものを漁っている。タキの出せる報酬などたかが知れているのだから、戦利品は多いほうがよい。「これは……」
レッドフォックスはインポースのUNIX机の引き出しから、異様なものを見つけ出した。菱形のバッジだ。目玉と罪・罰の漢字を組み合わせた意匠は、噂に聞く反ソウカイヤの暗黒組織「ザイバツ」のものだ。これをソウカイヤに報告すれば、より多くの報酬が見込めるだろう。思わぬ収穫と言える。
「ソウカイヤにもザイバツにも、あんまり関わりたくねえんだがなァ……」レッドフォックスはため息をつく。彼は自由なストリートニンジャであり、実力も実績も駆け出しのニュービーだ。ピザタキは一応ソウカイヤ所属であるが、雰囲気は緩く居心地がいい。彼らを守るためなら……戦える。
『これでまた安心して、エッチ・プログラムが楽しめるな!ハハハ!』タキは安堵と薬物の影響でハイになっている。「懲りねえ野郎だ。またマルウェア踏んでも知らねえぞ!」レッドフォックスは呆れ顔でどやした。
【マネー、ゲット・バック】終わり
リザルトな