忍殺TRPGリプレイ【ザ・ニンジャズ・オブ・ザ・ショーグン】17
前回のあらすじ:ドラゴン・ドージョーの忘れ形見ユカノはザイバツに拉致された。彼女を救出しザイバツを滅ぼすため、ニンジャスレイヤーはキョート城へ突入!だがロード・オブ・ザイバツのキョジツテンカンホーの前になすすべなし!三神器が揃い、キョート城が浮上する!ナムアミダブツ!
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パラゴンは熱弁を振るう!「江戸時代の支配者であるショーグン・オーヴァーロードの末裔にして、平安時代の支配者であるソガ・ニンジャのソウル憑依者!すなわちキョートと日本の正統なる支配者である!そして今!彼はまさに三種のニンジャ神器を継承され、即位されたのだ!現人神に!」
「「「ワオオーッ!」」」「地上の全てを浄化せよ!モータルを、暗黒メガコーポを、そして国家を!神の裁きを!イカヅチを!ヌンジャの鉄槌を!醜悪なる汚穢の都ガイオンに!邪悪なる貪婪の都ネオサイタマに!諸君は神の尖兵となって戦うのだ!ガンバルゾー!」パラゴンはバンザイした!
ニンジャ達は一斉にバンザイし、唱和した!「ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!ガンバルゾー!」
ナムアミダブツ……おお、ナムアミダブツ!その時、平和なガイオン・シティ地表の住人たちは、突然の不気味な鳴動に驚き、家々の窓を開け放って顔を出した。「地震か!?」「震源は!?」「おい、見ろよ!」誰かが叫び声をあげ、指さした。夜空を舞う鳥たちの彼方に聳え立つキョート城を。
それは揺れ動き、巨大なシルエットをゆっくりと……浮かび上がらせた。いびつな逆三角錐の巨大な土台もろともに。
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キョート城本丸、中層階。「なんだこりゃ!?どうなってやがる!」ハウスバーナーたちは混乱のさなかにあった。ニーズヘグたちに追い込まれたかと思えば彼らがザイバツにムーホンを起こし、ほっと一息かと思いきや城が大地震のように揺れ出したのだ。「……キョート城が、飛んでやがるんだ」
エーリアスは下唇を噛んだ。彼女……否、彼がこの次元のネオサイタマに出現した時の記憶は、イグナイトの肉体を間借りした「エーリアス」になった後のことだ。ダークニンジャがムーホンを起こしてロード・オブ・ザイバツを討ち取り、ザイバツが事実上滅んだことまでは記憶している。だが。
この次元においては、様々なことが違っている。次に何が起きるかは予測もつかない。大きな流れとして同じような事件が起きてはいるようだが。「キョート城が!?」「あ、ああ。監視カメラの映像を……」ザリザリザリザリザリ……激しいノイズが走り、映像は受信できない。「どうすんだ」
ハウスバーナーは必死で考える。陽動するはずだったが、追手はムーホンを起こして立ち去ってしまった。となると。「この隙に、琥珀ニンジャの間へ行くか」「いや……ザイバツの首領のジツを破らねえと倒せねえ。前は……いや、俺は……俺なら、上だ!偉い奴が地下にとどまっているはずもねえ」
エーリアスは「前回」の状況を思い出す。あの時は、自分がどうにかしたはずだ。そうだ、フジサンでの時も……!「なるほどな。アンブッシュができるぜ」ハウスバーナー、ポイズンバタフライ、ヤモト、ナンシー、ライトウォッチャーがうなずく。ニンジャスレイヤーも、きっと上を目指す!
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キョート城、底部!外へとクリスタルを突き出し、地上に死の光を降り注がせるはずのオベリスク群は、異なる挙動をしていた!「グワ……アババーッ!」ナムサン!銀色のオベリスクは、突き刺さったニンジャスレイヤーから、彼の内なる「ギンカク」から、無数のモータルソウルを吸収し続ける!
キンカクが死したニンジャソウルが昇る天国なら、ギンカクはニンジャに殺されたモータルのソウルが集まるジゴクだ。彼らはニンジャスレイヤー、ナラク・ニンジャの燃料として燃やされ、糧となり知識となり、自分たちを殺したニンジャを殺す。だが今、それは城の秘密機構に利用されている!
ニンジャスレイヤーは、直感的に理解した。このままオベリスクに力を搾取され続けるならば、地上のモータルは殺されずにすむ。だがロードを殺すことはできない。ナラクに身を委ねれば、脱出できてもガイオンのモータルが大勢死ぬ。それは、ならぬ。なんたるワガママ・アンビバレンツ!
どの道キョート城はオヒガンへの門を開き、キンカクへ飛んでいくであろう。このまま直行すれば確実な破滅だ。「なんたるブザマ……!ニンジャ……殺す……べし……!」ニンジャスレイヤーは怒り狂い、もがき、抗う!「に、ニンジャスレイヤー=サン!」ディテクティヴは必死で呼びかけた。
エーリアスとのIRCは、猛烈な磁気嵐のせいか通じない。「クソッタレ!今、そこへ登って助けてやる!引っこ抜きゃあいいんだろ!」彼は銀色オベリスクに駆け寄った!「やめろ……!今、私を引き抜けば、ガイオンで多くのモータルが死ぬ……!」「ブッダファック!」「ならば……!」
ニンジャスレイヤーは覚悟を決めた!「燃料を!くれてやる!イイイヤァアアアーーーッ!」
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……琥珀ニンジャの間には、琥珀の玉座が新たに出現していた。ロードはそれに座り、片手をあげた。パラゴンは頷き、大仰に両手を開き、吠えた。「時は至れり!地上を這う卑しき非ニンジャの虫は、新世界秩序の糧たるモータルソウルに転生昇華され、この城を!ロードの御美体を満たす!」
ズグン!地面が揺れた。ゴリゴリゴリゴリゴリ……!円形のステージは石臼めいた轟音をたてながら、真上に向かって伸びてゆく。天井には円形の穴が開き、上昇するステージを迎える。ロード、パラゴン、ドラゴン・ニンジャらを載せて、ステージは本丸の最上階へ向かって上昇してゆく!
……タタミ、壁、フスマ、ボンボリ、全てが雪のように白く、天井はジェット機格納庫めいた高さがある。非現実的な無限をはらむ光景だ。だだっ広いこの空間に異物めいているのは、中央に位置する円形のステージ。頭上にはホログラム地球儀。琥珀の玉座の前には、白大理石の水盤がある。
ロードは玉座を通じてモータルソウルのエネルギーを吸収する。彼の年老いた肉体に生命力がみなぎってゆく。「ムフォーフォーフォー……クルシュナイ、クルシュナイ」「長う……ございました」パラゴンが跪く。ロードは満悦し、玉座からすっくと立ち上がった。その表情はうかがい知れない。
◆ロード・オブ・ザイバツ(種別:ニンジャ)
カラテ 16 体力 24
ニューロン 14 精神力 23
ワザマエ 16 脚力 9/H
ジツ 7 万札 -
攻撃/射撃/機先/電脳 16/16/14/14
回避/精密/側転/発動 17/16/16/22
即応ダイス:3 緊急回避ダイス:3
◇装備や所持品
◆ドス・ダガー二刀流(カタナ二刀流):連続攻撃+1、側転難易度+2
●戦闘スタイル:防御構え 回避判定難易度-1、連続攻撃上限1、殺伐なし
●戦闘スタイル:回転斬撃 ワザマエ判定Hで発動判定、隣接敵全員に1ダメージ
連続攻撃上限1、痛打・殺伐発生なし
◆伝統的ニンジャ礼装一式:体力・回避・発動・交渉+1、精神力+2、
緊急回避+3、脚力ダメージ軽減1
◆オーガニック・トロスシ:体力4・精神力2回復、使い切り
◇ジツやスキル
☆ソガ・ニンジャソウル、ジツLV7
◉◉グレーター級ソウルの力:ニューロン+ジツ=精神力
◉◉アーチ級ソウルの力:カラテ+ジツ=体力
★★★◉不滅:即死耐性、ラスト・ニンジャ・スタンディング
☆タタミ・ジツ:ムテキ・アティチュード扱い(瞬時解除可)
☆キョジツテンカンホー・ジツ:精神攻撃系(メンポはないため効果範囲は通常)
◉◉タツジン:二刀流 二刀流での攻撃難易度N
●戦闘スタイル:連続回転斬撃
精神力1+回避ダイス2を消費し発動(ワザマエH)
素の連続攻撃回数まで回転斬撃(回数分判定ダイスを分割)
●戦闘スタイル:強化防御構え 連続攻撃上限2、殺伐なし
次の手番開始まで、回避判定難易度-1か射撃ダメージ軽減1を獲得
●ワザ:アキレス・カッター 出目665+で発生
回避H、殺伐出目4(脚部破壊)
●ワザ:捌き突き 出目5+で迎撃発生時、迎撃の回避難易度+1
敵が回避判定できない場合は迎撃ダメージ2に置き換え
◉◉アサシネイト・ドー(記憶)
◉回転斬撃習熟:回転斬撃の回避難易度+1、攻撃2回 出目666で3回
◉ツジギリ:攻撃後に脚力が余っていれば移動の続きが可能
◉グレーター・ツジギリ:移動しながら連続攻撃可能
◉常人の三倍の脚力:脚力+1、側転難易度-1
●連続攻撃3、連射3、時間差、マルチターゲット、ニンジャ第六感
●キョート城の秘密機構:体力・精神力等をターン終了時に瞬時回復
●手番2回:同ターンにもう一度行動可能(イニシアチブの半分値で)
能力値合計:60
「地上のモータルを焼き払う必要はなかろう。奴隷とはいえ、コメやスシを作る者がいなくなれば我らも飢えるばかりじゃ」ドラゴン・ニンジャは不満げだ。「なれば、この装置をなぜ作られた?」「そのためのものではない。これは本来ギンカクの力を利用して、キンカクへ至るための船じゃ」
「ギンカクの力?」パラゴンは訝しんだ。「さよう。ナラク・ニンジャ……ニンジャスレイヤー=サンを通してな。今、キョート城は彼を動力源としておる。……どの道オヒガンへの、キンカクへの道は開く。後は黄金の林檎を見つけ出し、キンカクのバックドアを」「そんなことはどうでもよい!」
パラゴンは血相を変えた。「ガイオンに死の光が、モータルを殺す光が降り注ぐのではないのか!」「ギンカクの力が調達できねばそうなるはずであった。ソガ・ニンジャが勝手に機構に手を加えよってな。だから私は神器を盗み出し、隠匿した。あやつも結局モータルの社会を守るため断念したが」
「ダマラッシェー!この骨董品が!」パラゴンは激昂した!「黄金の林檎なぞ、どうでもいい!ロードこそヌンジャ!この場所こそキンカクなのだ!私は復讐のため」「くだらぬ!そんなことのために私を呼び覚まし、この城を勝手に動かしおるとは!アホタワケが!」ドラゴン・ニンジャも激昂した!
「ヤンナルネ」ロードは溜息を漏らした。「両方やれば済むこと。いまや余にとって、地上の有象無象などどうでもよい。だがケジメだ。まずはモータルの時のくだらぬ些事にケジメをつけ、パラゴン=サンのために復讐を果たす。黄金の林檎はその後といたそう」「おお……ロード!マイロード!」
ゴゴゴゴゴゴ……!キョート城は凄まじい勢いで上昇!上昇!上昇!なんたる凄まじいギンカクのエネルギーか!城の底部では琥珀ニンジャ像の目から光が放たれ、キモンの方角に据え付けられたオブツダンの扉が次々と開いていく!それに対応して、空中にオヒガンへの9つの門が開いていく!
「パラゴン=サン、目的地を変更せよ。東へ、ネオサイタマへ。ヨロシサン製薬本社要塞へ」「ヨロコンデー!」パラゴンは感涙にむせび泣き、懐からヨウヘン・テンモク茶碗を取り出すと、水盤に近づいた。茶器とは霊力をコントロールする制御盤であり、現代のUNIXに相当するアーティファクトだ。
パラゴンは茶碗を水盤にかざし、東へ向けた。キョート城はオヒガンへの門をいくつか潜り抜け、01の渦の中を東へと飛んでいく!……オヒガンにおいては時間も距離も複雑に交錯し、自我を強く保たねば01に分解されて消滅してしまう。キョート城はそれを防ぎ、オヒガンを自在に移動するのだ!
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キョート城下層では、ニーズヘグらムーホン者とパーガトリー・スローハンドら率いるザイバツニンジャの激戦が続いていた。だが多勢に無勢、ムーホン側はジリー・プアー(訳注:徐々に不利)となって次々に討ち取られ、本丸の外の中庭へ、ホウリュウ・テンプルへと追い込まれていく。
「ちと厄介よの」「然り」状況は目まぐるしく変わる。キョート城は夜空に飛翔し、あたりには01が飛び交う不可思議な有様となる。しかし、やるべき事に変わりはない。ムーホン者どもを討ち取り、パラゴンら側近派閥を取り込み、ロードのもとで永遠の王国を支配する。貴族派の共通の目的だ。
そのためには、限りある手勢やスシをウカツには消費できぬ。地上から切り離された今、対日本戦争の最前線に送られている手勢は呼び戻せず、補給もきかぬ。手勢と物資の数こそ、このイクサの後の派閥の権勢の源となる。ムーホン者に降伏を呼びかけて手勢に加えても、疑いを招くだけだ。
「カカカ……ゆえに、ここが踏ん張りどころよ!」ニーズヘグはテンプルを堅固な要塞とし、出入口を固めて籠城戦の構えだ。そして彼らを陽動の囮として、ムーホンの総大将は、すでに!
……罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰「イイイヤァアアアーーーッ!」
【続く】
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