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【FGO EpLW アルビオン】第十四節 Take Me Under

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BAGOOOOOOMMM!! ブリアレオスの触手が塔の壁や床や天井を突き破り、◆◆◆へ引き寄せられる!

「聖杯は! ここにあるぜ!」

水晶髑髏が、衝撃で粉微塵に砕けた。

血飛沫。破片。

「…………え?」

◆◆◆の頭部が砕け、眼球と脳漿が飛び散る。胴体がひしゃげ、四肢がもげ飛ぶ。のたうつ触手が死体をネギトロにし、喰らい、飲み込む。
ダニエルとランサーが眉根を寄せ、マシュが絶句する。

「マスター!」
「……! ……そうか!」
『何を……グワーッ!?』

チャーナキヤが幻術で巨大な掌を造り、蚩尤を掴み、もろともにブリアレオスの体内へ飛び込む!

「……集団自殺か? いや……まさか!」

ランサーが訝しむ中、ブリアレオスの全身が、白く光り輝く。

ヱホバ神、土の塵を以て人を造り、
生氣(いのちのいき)を其の鼻に嘘入(ふきいれ)たまへり。
人即ち生靈(いけるもの)となりぬ。
――――創世記2:7

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何処ともわからぬ空間。蛍光緑色の01の風が吹きすさび、集まり、太陽のように白く輝く。

その白い光の中から、丈高く美しい、ひとりの女性が姿を現す。その頭上には、大きな壺……甕(かめ)が載せられている。向かい合うのは、髭を生やした、逞しい半裸の男。その肌は赤金色に輝いている。

『なン千年ぶりだな。「パンドラ」』

【そうね、あなた】

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聖杯発見

神造神人 真名 パンドラ

アルカイックスマイルを浮かべるその美女は、キャスター『エピメテウス』の妻にして宝具、全ての神々から贈られた宝、『パンドラ』だ。プロメテウスではなくヘパイストスによって泥から創造され、文明の女神アテナから機織りや家事の技術を、美の女神アフロディテから女神の如き美と魅力を、盗賊の神ヘルメスから犬のように恥知らずで狡猾な心を与えられた。故に「全て(パン)を贈られた(ドラ)者」と呼ばれたとされるが、本来は「全てを贈る」豊饒の地母神であったともいう。

また、彼女が持つ甕(ピトス)には、ありとあらゆる災いが詰まっていたとも、ありとあらゆる祝福が詰まっていたともいう。実際、どちらも正しいのだ。彼女は人類にとって善きものも悪しきものももたらす、万物の母ガイア、生命(エヴァ)そのものなのだから。デウカリオンは洪水の後、母の骨―――大地に転がる石を取って、新たな人類を創造したと言われるのだから。然らばすなわち彼女の甕こそは、本来の意味での『聖杯』、大地の母胎、地蔵(クシティ・ガルバ)に他ならない。

【でも……この中には、希望(エルピス)しか残っていないわ。善を……自分に都合の善いことを期待し、未来を予定し、計画し、規定しようとする、人間のエゴしか】

『それでええだ。善くも悪くも、人類には、それが必要だ。より善い未来を選択し、決定し、生き残るためにはな』

ここにいるエピメテウスも、その宝具であるパンドラも、所詮は英霊の座に登録された情報から引き出された影法師。けれども、情報は情報だ。同一の意識と記憶を持つ存在としてある時、それはそれそのものだ。自我(エゴ)が、己の意志がそれを決める。そして希望とは、未来への意志だ。これに行為(カルマ)を伴う時、意志は実現される。

【そうかもね。それで、何がお望み?】

『人類を救う―――ちうても、ランサーとダニエルは別の方法で救おうとしてはいるだな。善し悪しは別にして』

0110101010願いは、決まってンだろ」

01が集まり、マスターの姿を取る。傍らにオーク。エピメテウスは振り向き、声を掛ける。

『フジマルを呼び戻す、だか。それとも、このまま帰るだか』
「違うぜ」

■◇□○

マスター、エピメテウス、蚩尤、チャーナキヤ。それらを呑み込んだブリアレオスの本体が、汚泥が、捏ね上げられていく。 赤黒く、青白く、絶えず色彩を変え、蠢き、蟠り、捻れ、のたうち・・・・・聖杯の力が凝縮する。

やがて、ひとのかたちとなる。白く輝く、眼も鼻も耳も口もない、奇怪な、身長十数メートルの巨人の形に。その顔に亀裂が生じる。爛々と赤く輝く七つの眼、牙の並んだ真っ赤な口を開き、それは両掌をあわせ、しめやかにアイサツを繰り出す。

『ゴボッ……ドーモ……「アルビオン」……です!』

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真名判明

神人 真名 アルビオン

ランサーが神妙にアイサツを返す。既に蚩尤らとはアイサツを交わしたが、これは……別物だ。
「ドーモ、アルビオン=サン。『コンスタンティヌス』です」

GRRRRRRR・・・・巨人アルビオンが獣じみて唸る。その背から白い触手が伸び、マシュを絡め取って拘束衣を破壊。背に乗せ、縛り付ける。聖杯のエネルギーがマシュの負傷を急速修復する。アルビオンは四つん這いになり、四肢に力を漲らせ……飛びかかる!!

『AAAAARRRRRRGGGHHHHHHHHHH!!!』

KRA-TTOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!

聖槍の塔の頂上が粉々に砕け、一行は空中へ飛び出す!

ランサーは体内のウェンディゴの霊核を解放し、風の巨人体を生み出して飛翔!

『マシュ! 掴まってろい!』

アルビオンは空中に掌をかざし、魔力で多数の竹槍を生成! ミサイル状に束ねられ、後方から火炎を放って飛翔するそれに、マシュを背負ったアルビオンが乗る! サーフィンめいた姿勢で巧みに制御し、ランサーへ突撃! なんたるバランス感覚か!

『理性の神(ユリゼン)! てめぇも俺とひとつになれ! 多様のうちの、ひとつとなれ!』
「ほざけ、悪魔めが! お前を討ち取れば目的には充分! 聖槍と聖杯の糧となるがよい!」

もはや標的はただひとり! ランサーは聖槍の力を凝集させ、穂先から光線を発射! 山をも消し飛ばす威力!

『遅ぇ!』

アルビオンの姿が揺らぐや、ランサーの近くに出現! ランサーも瞬間移動を繰り返し、アルビオンから距離を取る!

『ちょこまかと逃げやがって!』

アルビオンの全身から、アーチャーの矢が射出!ZBAOOOOOOOOOOM!複雑な軌道を描きながらランサーに殺到!

「無駄だ! 古代ローマカラテ奥義!

ランサーは多重マジックシールドを展開し防御! 背中から四本の腕を生やし、各々に剣を持つ! 聖なる槍と、二人のセイバーの双剣が、共鳴し発光!さらに全身の甲冑が太陽の如く光り輝く! 必殺技(ヒサツ・ワザ)!

「『無敵の太陽神(ソル・インウィクトゥス)』!」

ランサーを中心として球状に白い光が広がり、全方位にカラテミサイル光弾を射出!射出!射出!

KRAAAASH!KRAAAASH!KRAAAASH!KRAAAASH!

両者は凄まじい量の矢や光弾を撃ち合いながら、青空を高速で飛び回り、雲を突き抜ける! マシュは周囲にマジックシールドを張りつつ、振り落とされぬよう、必死でアルビオンにしがみつく!0101010110100……アルビオンの肉体が、急速に01分解して崩壊していく! 時間がない!

「聖なる槍がある限り、彼は倒せません! あの塔を破壊せねば!」
『よォし!』

マシュの助言を受け、アルビオンは竹槍ミサイルを制御して塔へ急行! ランサーの放つカラテミサイルを逸らし、弾き、塔へぶつける! 修復していたバリアにヒビが入る! そこへチョップ突きを食らわし、こじ開ける!

『てめぇらの神聖なんざァ! クソ喰らえ!!』

BORRRRRRRRRRRRRRRRRRRR!!

指先からブリアレオスの汚泥を大量射出! アルビオンの巨体が縮む! 巨大な頭足類の姿をしたブリアレオスが再び顕現し、塔をへし折り、砕き、渾沌の渦へ呑み込んでいく!

ZZZMMMMMMM…………!! 世界が揺らぐ!塔が繋ぎ止めていた『世界のベール』が剥がれる!虚実が裏返り、万物が虚無の暗闇へ投げ出される!

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「やってくれたな! だが、まだだ! ブリアレオスを解き放った今、お前も……グワーッ!?

怒り狂うランサーの顔面に、人間大になったアルビオンの拳が突き刺さる!

「ば……バカな……!?」

見えない。先程までの動きとは違う。ブリアレオスの巨体を捨てたことで、より速くなったとでもいうのか。

『イヤーッ!』「グワーッ!」『イヤーッ!』「グワーッ!」『イヤーッ!』「グワーッ!」『イヤーッ!』「グワーッ!」『イヤーッ!』「グワーッ!」『イヤーッ!』「グワーッ!」『イヤーッ!』「グワーッ!」『イヤーッ!』「グワーッ!」

いや……見えないどころではない!

『イヤーッ!』「グワーッ!」『イヤーッ!』「グワーッ!」『イヤーッ!』「グワーッ!」『イヤーッ!』「グワーッ!」『イヤーッ!』「グワーッ!」『イヤーッ!』「グワーッ!」『イヤーッ!』「グワーッ!」『イヤーッ!』「グワーッ!」

認識できない! こちらの思考より速く! 先に! 上回ってくる!

『「思うより先に(プロ・メテウス)」!』

片足立ちで竹槍に乗るアルビオンの拳に、手刀に、炎が宿っている。青白い炎。プロメテウスの火が!

「余は負けぬ! 滅びぬ! 永劫に! Eloim Essaim Frugativi et Appellavi(炎の神よ、我は求め訴えたり)!」

ランサー・コンスタンティヌスの全身が炎上! 古代ローマカラテ究極奥義、カラテの炎で自分ごと敵を焼き尽くす『羅馬の火(ピュル・ロマイコン)』だ! 理論上、この火で燃えない物質・霊質は存在しない! そして両腕を広げ旋回!

「イイイヤアアアアアアアーーーーーーーーッ!」

猛烈な回転により炎の竜巻と化し、アルビオンへ飛びかかる!

「死ね! アルビオン=サン! 死ね!」

アルビオンは……背からマシュを引き剥がし、虚空の中へ投げ飛ばす!
「ンアーッ!」
そして迫り来るコンスタンティヌスへ! 飛びかかる!

『WASSHOI!』

瞬間移動! コンスタンティヌスの背後へ!

『「後から気がつく(エピ・メテウス)」!』

しがみつき、羽交い締めにし、天地逆転! 火炎が燃え移るも意に介さず! 遥か底に見える、白い月めいた巨大岩盤へ向かって……旋回!カラテ加速!

『イイイヤアアアアアアアーーーーーーーーッ!』

超高々度

アラバマ落とし!!

「お
 お
 お
 お
 お

 お

 お


 お

 ぉ

 ぉ


!!!!」

KRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAASH!!!


異世界
始祖ブリミル降臨暦6423年
永焉交叉立方体 アルビオン

定 礎 粉 砕

ゴウランガ! 岩盤ごと頭蓋骨が砕け、歯が飛び散り、脳漿・脳髄・血液・眼球が溢れ出す! 全身が足の先までネギトロと化す!

『「サヨ・・・ナラ!!」』

ランサー・コンスタンティヌスは、マスターのダニエル・ヒトラーもろとも爆発四散! インガオホー!

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三宅つの
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