忍殺TRPGリプレイ【チャクラ・ディスティニー】02
前回のあらすじ:中国地方の山岳地帯、長野県。ここに、オーガニック・ソバを生産するブディズム系カルト教団の根城「ソード・オブ・アスラ・テンプル」がある。このテンプルからザイバツへのソバ納入が滞っているとの連絡を受け、三人のニンジャチームが派遣された!カラダニキヲツケテネ!
◆
オーガニック・ソバ農園は、要塞めいたテンプルの奥にある。修道士のごとく禁欲的なボンズたちは、祈り、働き、マントラを唱えながらソバを栽培し、収穫する。それがこの地のエテルと結びつき、食べる者に善いカルマを与えるのだ。だが……「なんだ、この足跡は」シルバーナイトが訝しんだ。
テンプルに続いている大きな動物の足跡は、ラマや馬、水牛のものではない。イノシシやカモシカ、熊やゴリラ、パンダでもない。「鹿……にしては大きいのう。ドサンコ・エルクか?」「ここは長野県よ。荷物の運搬用に何か飼育してるんでしょ。たぶん」ゴールデンクイーンは鼻を鳴らした。
「とにかく、潜入して調査するわよ。何かヤバいことになっていたら、可能な限り対処する」「おう」「了解」ここは文明世界を遠く離れた辺境地帯であり、IRCやUNIXのたぐいとは無縁だ。何かあってもザイバツに助けを呼ぶことはできない。三人は気を引き締め、ラマの背を降りた。
ソバ畑
しめやかにテンプルに近づくと、錆びた看板が立ち並んでいるのが見えてくる。『労働・イクォール・善行』『ブッダは見ている』『汗水流しておいしいオソバ』『雄大な自然』『休憩なし』……労働を強制する威圧的スローガンは、マントラめいて労働奴隷ボンズたちの自我を研修し、縛り付ける。
彼らは近隣の村から強制的に徴集され、長期間の奴隷労働を義務付けられた哀れな労働者だ。この程度の暗黒労働環境は、アンダーガイオンでもネオサイタマでも珍しくはない。だが、おお見よ!看板群と塀と鉄条網の彼方、ソバ農園での奴隷労働者らを見張るのは、異様な姿の存在である!
「何よ、あれは」ゴールデンクイーンは訝しんだ。それは大型のドサンコ・エルクに似ていた。少なくとも、首から下は。首があるべき部分から、黒いスーツを着てサイバーサングラスを装着し、サスマタを装備したヤクザが生えている。それが何体も。「クローンヤクザ、か?」「ナムアミダブツ」
エッジビショップは合掌した。あれはつまり、クローンヤクザの上半身を強靭なバイオヘラジカの首から下に繋ぎ合わせた存在なのだ!鹿はブディズムにおけるホーリーアニマルで、信心深い者ならば攻撃を躊躇う。それを悪用するとは、なんたるブッダへの冒涜か。実際戦闘力も高いであろう。
◆エルクーザ(種別:モータル/バイオ生物/クローンヤクザ)
カラテ 3 体力 4
ニューロン 2 精神力 2
ワザマエ 3 脚力 6
ジツ - 万札 3
攻撃/射撃/機先/電脳 4/ 3/ 2/ 2
◇装備や特記事項
◆ショック・サスマタ:ダメージ1+電磁1、リーチ+1
◆チャカガン
◉突撃
◉轢殺攻撃1
能力値合計:8
彼らとは別に、ボンズ・サムエ(作務衣)を纏い頭髪を剃られたクローンヤクザたちもいる。彼らは定期的にタンを吐き、ボンズ用のボーを携えて、油断なく周囲を見張っている。「恐ろしいな。だが、これだけでカチコミをかけるのも……」その時!「アイエエエ!もういやだ!アバーッ!」
ナムサン!ボンズ頭の奴隷労働者がフリークアウトし、暴れ出した!「ザッケンナコラー仏罰!」「スッゾコラー功徳!」近くのクローンヤクザが駆け寄り、囲んでボーで叩く!「グワーッ!グワーッ!」その間も自我を研修された奴隷たちは口々にマントラを唱え、淡々とソバを収穫している。
よくあることなのだろう。巡回するバイオヘラジカヤクザたちも少し注意を向けただけだ。だが!「アイエエエ……イヤーッ!」「「アバーッ!」」KRAAASH!ボーで叩かれていた奴隷が突如跳ね起き、クローンヤクザたちの首をローリングソバットで刎ね飛ばした!ナムアミダブツ!「あれは!?」
奴隷労働者はクローンヤクザたちの死体からサムエを剥ぎ取り、怪力で引き裂くと、その布切れを顔に巻きつけてカラテを構えた!ゴウランガ!彼はニンジャソウルが憑依し、ニンジャになったのだ!「アーポウ!俺はニンジャだ!ワカル!」彼が放つニンジャアトモスフィアは三人にも確認できる!
「ワカルぞ!カラテだ!イカれボンズどもめ!思い知らせて……」「「「ザッケンナコラー仏敵!」」」喚き散らすニンジャめがけ、周囲のヘラジカヤクザが一斉に突進!電磁サスマタを突き出す!ZZZZZT!「グゥワーッ!?」ニンジャは囲んでサスマタで突かれ、ヘラジカの蹄に踏みにじられる!
???
「ウオーッ!また出おったか、悪霊憑きめが!」騒ぎを聞きつけ、屈強な巨漢ボンズが大股で歩み寄ってきた。彼は倒れたニンジャにアイサツした。「喝!ドーモ、拙僧はデヴォーティタンです!」
◆デヴォーティタン(種別:ニンジャ)
カラテ 8 体力 25
ニューロン 6 精神力 12
ワザマエ 5 脚力 6/UH
ジツ 5 万札 10
攻撃/射撃/機先/電脳 9/ 6/ 6/ 6
回避/精密/側転/発動 3/ 5/ 5/12
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:5
◇装備や所持品
◆ブードゥー:精神力+1
◇ジツやスキル
☆ビッグ・ニンジャクラン、ジツLV5
☆巨体化の秘儀LV5:体力+15、回避ダイス-5、緊急回避ダイス+5、
脚力+2、連続側転UH(下限固定)
◉頑強なる肉体:体力+2、毒抵抗カラテ判定ダイス+2
◉突撃:脚力の2倍距離直進し、移動後攻撃に痛打+1 次ターンの回避ダイス0
☆◉歩く武器庫(素手でノダチ持ち状態):基本ダメージ3、攻撃難易度UH、連続攻撃上限3
●戦闘スタイル:回転斬撃 隣接する敵全員に1ダメージ(ワザマエ判定H)
武器や銃器の所持ペナルティ、運搬によるペナルティを全て無視
◉◉グレーター級ソウルの力:ニューロン+ジツで精神力換算
★筋肉の鎧:即死耐性、腕・脚・頭・急所への部位破壊の効果を痛打+D6に
★ハイブリッド:ムテキ・アティチュードLV1
◉ニンジャソウルの闇(1):攻撃・射撃・ジツ発動判定+1
●連続攻撃2
能力値合計:29
「アイエエエ……ドーモ……俺は……」「拙僧が名付けてやろう!貴様の名は、ブッダスレイヴ(ブッダの奴隷)だ!」「アイエエエ……ドーモ、ブッダスレイヴです」ナムサン!アイサツを中断し、ニンジャネームを一方的に名付けて貶めるとは!なんたるニンジャ性への冒涜!「ニンジャとは、罪だ!」
デヴォーティタンはそう叫び、ブッダスレイヴの首根っこを掴み、締め上げた。「いいか!貴様には古代の邪悪な霊が取り憑いておる!貴様の悪いカルマがそれを呼んだのだ!」「アイエエエ……」「ニンジャは悪!ブッダは善!子供でもわかる道理であろうが!拙僧が貴様の性根を叩き直す!」
彼は米俵めいてブッダスレイヴを担ぎ、断崖に沿って聳え立つブッダ・タワーを指さした。「幸い、ニンジャとなってしまった者は、常人よりも身体能力が強化される。貴様はブッダの奴隷として、罪を償うために死ぬまで労働するのだ。あそこで奴隷労働バーを回し、ソバを粉に変える作業をな!」
「……どうする」三人は顔を見合わせる。このテンプルにニンジャがいるであろうとは予想できたが、ニンジャが罪で悪などという教義は、ザイバツ・シャドーギルドとは相容れない。そのような連中が、ザイバツにソバを送るだろうか? つまり……「あいつに乗っ取られた、ってことかしら」
「ここでイクサを仕掛けるか?」「……いいけど、見張りが多いわ。ニンジャだけならともかく、ヘラジカヤクザやクローンヤクザに囲まれると、ちょっと面倒かも」「ではブッダ・タワーへ忍び込んでみるか」「うむ」三人は頷き、しめやかにデヴォーティタンの後をつけ、断崖へと近づく。
管制塔前
……ソバ農園の外れに聳え立つブッダ・タワーは、労働者たちを監視する見張り台、管制塔である。塔の四面には監視カメラ付きブッダアイがあり、四方を睥睨する。周囲のマントラ布は風になびき、エテルにブッダネスを付与している。入口にはクローンヤクザとヘラジカヤクザが門番に立つ。
「警備は厳重だな。どのみち、あいつらを倒して殴り込むしかないか」シルバーナイトは眉根を寄せた。「会話は……通じそうにないわね。カルト教団の上、ニンジャが罪悪とか言ってる連中には」「やるしかないのう」三人は物陰に潜み、チャンスをうかがう。……アンブッシュ重点!
戦闘開始
1ターン目
「イヤーッ!」ゴールデンクイーンは物陰から立ち上がりセイケンヅキ!背中から多数のカラテミサイルを発射する!KBAMKBAM!KBABABABAM!「「「「「「グワーッ!」」」」」」クローンヤクザ五人が薙ぎ倒され、ヘラジカヤクザ一頭が負傷!「イヤーッ!」シルバーナイトが飛びかかる!
KRAAASH!「「アバーッ!」」ヘラジカヤクザ二頭がトビゲリを食らい、管制塔の壁に叩きつけられ即死!ナムアミダブツ!「と、とっ」エッジビショップは攻撃目標がなくなり、たたらを踏む。「なんじゃ、大したことはないのう」「私たちが強い、それだけよ」瞬時に見張りは全滅した!
戦闘終了
管制塔内
「「「イヤーッ!」」」三人は管制塔内へ突入!正面にはマンダラ図が描かれた見事なビヨンボ(屏風)があり、六人のボンズたちがマントラを唱えながらモクギョを叩いている。その動きは六つ子めいて同じ!彼らは一斉に振り向いてチャカを構えた!「「「「「「スッゾコラー仏敵!」」」」」」
「イヤーッ!」ゴールデンクイーンがセイケンヅキ!KBABABABABABAM!「「「「「「アババババーッ!」」」」」」ナムアミダブツ!カラテミサイルに薙ぎ払われ、クローンヤクザボンズは全滅した!「ナムナム。しかし、クローンヤクザが唱えるマントラに功徳はあるのかのう」「興味深いわね」
ゴールデンクイーンは死体を踏みつけ、入って右側のドアを蹴り開ける。「けど、どうでもいいわ。さっさとさっきのニンジャを締め上げて情報を吐かせ、ソバをザイバツに送らせる。それだけよ」「「うむ」」三人は決断的に管制塔の奥へ進む!だがその時!「イヤーッ!」「スッゾコラー仏敵!」
廊下に出た途端、左手のドアを蹴破って立ちはだかったのは……ヘラジカヤクザが一頭と、ニンジャ!「ど、ドーモ!ブッダスレイヴです!」
◆ブッダスレイヴ(種別:ニンジャ)
カラテ 4 体力 4
ニューロン 3 精神力 4
ワザマエ 4 脚力 3/E
ジツ 0 万札 5
攻撃/射撃/機先/電脳 4/ 4/ 3/ 3
回避/精密/側転/発動 4/ 4/ 4/ -
即応ダイス:0 緊急回避ダイス:0
◇装備や所持品
◆洗脳用ヴードゥー:精神力+1
◉スリケン乱射
◉常人の三倍の脚力
能力値合計:11
「ドーモ、チーム・ゴールデンクイーンです」代表アイサツ。「さっきの奴隷か?」「いや……体格が違う。おそらく同じニンジャネームを押し付け、自我を研修し、レリックか何かで使役しているのじゃな」エッジビショップは冷静に観察する。「要は哀れな奴隷ってわけね。押し通るわよ!」
『侵入者ドスエ。侵入者ドスエ。総員直ちに迎撃体制を……』管制塔に電子音声が響く!奥からは複数の気配!一触即発アトモスフィア!
戦闘開始
【続く】
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