忍殺TRPGリプレイ【ディープ・レッド】04
前回のあらすじ:キョート共和国北部、タンバ地方。ニンジャスレイヤーはアンダーガイオンでの調査の末、ここにザイバツの荘園があることを突き止めた。狙うはグランドマスター・イグゾーション!だが敵の凄まじいカラテの前に、ニンジャスレイヤーは倒れ……蘇った!ニンジャ殺すべし!
◆
イグゾーションは訝しんだ。これが、サラマンダーを殺し、ダークニンジャを打ち倒した、ニンジャスレイヤーの真の力……彼に宿ったニンジャソウルの発現なのか。「スゥーッ……ハァーッ……!」『殺す……べし……』「スゥーッ……ハァーッ……!」『殺す……べし……ニンジャ……殺すべし……!』
◆共振状態ニンジャスレイヤー(種別:ニンジャ)
カラテ 17 体力 33
ニューロン 10 精神力 17
ワザマエ 12 脚力 9/N
ジツ 3 万札 30
攻撃/射撃/機先/電脳 17/12/10/10
回避/精密/側転/発動 18/12/12/13
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:8
◇装備や所持品
◆アーチ級生成装束(ブレーサー以外):体力と精神力+3、緊急回避+6
◆家族の写真:精神力+1
◆ブレーサー・オブ・ドウグ:回避ダイス+1、緊急回避ダイス+2
部位防御(腕部):シナリオ中最初に与えられた殺伐出目5の付属効果を無視
◆フックロープ:遠隔武器、ダメージ1、拘束、連射可
カラテ値対抗判定に勝利すると引き寄せ
◇ジツやスキル
☆ナラク・ニンジャソウル(休眠中だがこの戦闘中は使用可能)
☆◉即死耐性:即死効果を無視し、痛打2D6とみなす 超過ダメージを受けても気絶のみ
☆◉ナラク・ウィズイン:体力0以下でも爆発四散せず、カイシャクできない
行動不能状態からD3ターンが経過するとナラク・ニンジャとして復活
☆◉ヘルタツマキ:精神力1を消費しワザマエ判定(H)、2ターン連続使用不可
自身を中心とした5×5マス以内の全員にスリケンによる1ダメージ(回避N)
射撃ではなく特殊範囲攻撃で、出目66ならダメージ2(回避H)
★◉不浄の炎:ニンジャへの近接攻撃に火炎ダメージ+1
攻撃フェイズ開始時に精神力1消費すると手番中の火炎ダメージを+2にする
精神力2消費すると大型ブラスナックルを生成し、火炎ダメージを+3にする
☆◉肉体破壊:素手装備時のみ連続攻撃+1、出目55で殺伐発生
☆◉ナラクの知識:回避や抵抗が可能なジツに対する判定難易度-1
☆◉古の恐怖:マップ上の敵ニンジャ全員は手番開始時にニューロン抵抗判定UH
失敗した者は戦闘中のNSへの近接攻撃判定難易度+1 判定は1回のみ
★◉ヒサツ・ワザ:カトン注ぎ込み
近接攻撃で「ナムアミダブツ」発生時、精神力2と回避ダイス2を消費し発動(H)
回避難易度UH 命中すると火炎ダメージボーナス+2D3
★★★◉共振装束生成
★★★◉欠損部位再生:即死耐性、部位損傷回復(精神力1と攻撃手番消費)
★★★◉半神的存在:ニューロン×3で体力換算
◉◉グレーター級ソウルの力:ニューロン+ジツで精神力を換算
◉◉アーチ級ソウルの力:カラテ+ジツで体力換算
☆ドラゴン・ニンジャクラン、ジツLV3
☆チャドー呼吸LV3:移動や攻撃せずジツ発動判定を行い、出目6の個数だけ体力回復
回復上限は体力の最大値の半分(端数切り上げ)まで
出目6が1個もなかった場合、シナリオ中のチャドー呼吸による回復は不可能となる
☆◉ヒサツ・ワザ:タツマキケン
シナリオ中1回限りの使用、移動したターンには使用不可
近接攻撃の出目6666で精神力2を消費し発動、2D6+6回の1ダメージを与える
回避H、時間差あり 1発でも食らうと最後に「弾き飛ばし」を受ける
★◉ヒサツ・ワザ:アラシノケン
シナリオ中1回限りの使用、移動したターンには使用不可
近接攻撃の出目6666で精神力4と回避ダイス4を消費し発動
4ダメージを4回与える(回避下限UH) 属性ダメージ付与不可
1発でも命中し体力を失えば残る全てが回避不能、ムテキも発動不可
2発以上が命中すれば4発目の直後に回避不能の殺伐発動
4発全て命中なら、この殺伐が出目6(即死)となる
◉◉タツジン:ジュージツ 近接攻撃回避判定難易度-1(素手・スリケン装備時のみ)
●ワザ:マウントタックル 出目66で発生、痛打+1、回避H
マウントをとった敵に対する残り連続攻撃は回避不能(殺伐発生せず)
●ワザ:フランケンシュタイナー 出目666で発生、殺伐出目2(頭部痛打)
回避H マウント状態に入る
●ワザ:受け流し 回避判定に出目66を含み迎撃を発生させた場合、
1ダメージの代わりに回避不能の回避ダイスダメージ2を与える
●連続攻撃3、連射2、マルチターゲット、時間差
◉◉憎悪:ニンジャソウルの闇、ソウカイヤ、ザイバツ
◉サイバネ殺し:戦闘用サイバネ化部位への部位破壊による能力値ダメージ+1
◉ランスキック:脚力で攻撃判定(N)、連続攻撃2を選択可能
基本ダメージ1、命中すると殺伐出目1(痛打+1&弾き飛ばし)か出目D6
「鉄拳」が乗るため痛打+2&弾き飛ばし&装甲貫通1になる
◉鉄拳:素手による近接攻撃に痛打+1&装甲貫通1
◉スリケンの見切り:スリケンや弓矢の回避判定難易度-1
◉ツヨイ・スリケン:精神力1を消費しワザマエ判定(UH)、2ターン連続使用不可
非移動時のみ使用可能 視線が通る敵へスリケン射撃(回避UH)、ダメージD6
◉ヒサツ・ワザ:ポン・パンチ 出目666で発動、回避ダイス2か精神力1を消費
痛打+2D3(回避UH)、弾き飛ばし
◉ヒサツ・ワザ:サマーソルトキック
回避判定に出目66を含み迎撃を発生させた場合に発生(ターン中1回のみ)
迎撃ダメージD3、回避UH ニューロンとワザマエに2ダメージ
能力値合計:45
ニンジャスレイヤーは立ち上がり、深い呼吸を行いながら、別人めいた声でニンジャへの呪詛の言葉を吐き出し続ける。トモエめいた力の共振。取り出された心臓はひとりでに胸の穴におさまり、じゅくじゅくと黒い血肉が湧き出して、傷口を塞いでいく。なんたる……なんたるジゴクめいた光景か。
フジキド・ケンジの意志とチャドー呼吸が、眠っているナラク・ニンジャの力を、無理矢理に吸い上げている。否、ここはニンジャの奴隷農園だ。いかに恐怖で従わされ、幸福だと信じ込まされていても、モータルの心の中には虐げる者への反発心が眠っている。それを揺り動かし、呼び覚ます!
「「「あ……アイエエエ!」」」「「「アイエエエ!」」」ナムサン!邸宅内の奴隷オイランや奴隷労働者たちが、凄まじいキリングオーラにあてられて恐慌を起こした!彼女らを縛り付けていた足枷がひとりでに破壊される!正気に戻った、否、狂気に取り憑かれたモータルたちは一斉に逃げ出した!
「フフフ……ハハハハハ!」イグゾーションは力強く笑い、恐怖を払い除ける!「いいだろう!君を倒す!」彼は武者震いしてジュー・ジツを構えた。これを単独で打ち倒せるのは、ロード・オブ・ザイバツを除けば、グランドマスター最強の自分をおいて他にあるまい!……一撃必殺アトモスフィア!
戦闘再開
1ターン目
「イヤーッ!」イグゾーションの両眼が白色LEDボンボリめいた光を放ち、カラテが急激に上昇した!これはセルフ・バリキ・ジツ!自らの生命力を異常に活性化させる秘技だ!「フフフ……君は無理をしている。私も頑張ってみようじゃないか……!」イグゾーションは不敵に笑い、カラテを放つ!
「「イイイヤァアアアーーッ!!」」ガガガガガガガガッ!橙色の光と赤黒の光が閃き、ぶつかり合い、衝撃波を発する!KRAASH!KRAAAASH!荘園領主の邸宅は、二人の凄まじいカラテ衝撃波を受けてついに倒壊!ナムアミダブツ!なんたるイクサだ!「「イイイヤァアアアーーッ!!」」
「……グワーッ!」ニンジャスレイヤーが防ぎきれずカラテを食らう!「ハハハハハハハハ!」イグゾーションは躁めいて哄笑!彼のジツが少しずつ己のニューロンをも損傷させているのだ!「ニンジャ……殺す……べし!」ニンジャスレイヤーはカラテを振り絞り、猛攻を耐えしのいで反撃に出る!
おお、見よ!ニンジャスレイヤーの両拳に黒い炎が纏い付き、大型のスリケンの集まりめいた、金属製のブラスナックルを生成した!獰猛な肉食獣の顎めいたそれは……「忍」「殺」の漢字をかたどっている!「ニンジャ!殺すべし!イイイヤァアアアーーッ!」KRAAASH!「グゥワーーーッ!」
ご、ゴウランガ!死神のブラスナックルが、イグゾーションの胴体をとらえた!「ゴボォーッ!」吐血!黒い炎が彼の胸と腹に「忍」「殺」と焼き印した!「ガハッ……!」だがイグゾーションは半神的なニンジャ耐久力と、自らに施したジツの力でこれを耐える!「なるほど……凄まじい……!」
イグゾーションは理解した。これならば、サラマンダーやダークニンジャを打ち倒したことに納得がいく。このままでは自分も危険だ。ならば状況判断し、逃走を選択するか?……否!ここはイグゾーション自身の荘園、フーリンカザンだ!全てを利用し、ここでニンジャスレイヤーを倒すべし!
「イイイヤァアアアーーッ!」イグゾーションは倒壊する邸宅から連続バック転で脱出!農園に残っていた奴隷たちの肩や頭を踏み、手のひらを触れて飛び離れる!「「「「「「「「「アババババーッ!!!」」」」」」」」」ナムサン!奴隷たちの目・鼻・耳・口から白い光が溢れ出る!
「ハハハハハ!実にもったいない!私が選んだ奴隷たちが!」イグゾーションは哄笑しながら腰のマルチタッパーを開き、脂の滴るオーガニック・トロスシを口に入れ咀嚼!急速に負傷とニューロンを癒やす!「だが、必要経費だ!私のために役立ち給え!これが格差社会というものだ!ハハハハハ!」
「逃がすか!イイイヤァアアアーーッ!」ニンジャスレイヤーはイグゾーションの後を追い、大型ブラスナックルを繰り出す!狙うは腕だ!「「イイイヤァアアアーーッ!」」ガガガガガガガッ!イグゾーションは必死で捌き、全てを捌き切る!タツジン!「恐ろしいな……だが、長続きはするまい!」
「「「「「「「アババババーッ!」」」」」」」「!」ナムサン!顔の穴から白い光を放ち、バンザイしながら、農園奴隷たちがこちらへ駆け寄ってくる!「消耗(exhaustion)させてやろう!君と、この奴隷たちの命を!」
2ターン目
イグゾーションは哄笑しながら農園の北側へ連続バック転し、スリケンを連射!「ハハハハハハハ!イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは見切って躱す!「「「「アババババーッ!」」」」だが四人の奴隷たちがバンザイしながらニンジャスレイヤーに駆け寄ってくる!アブナイ!
イグゾーションのジツはセルフ・バリキ・ジツだけではなかった!ニンジャスレイヤーは危険を察知し、躱そうとする!だが……「アバーッ」「!」ウカツ!奴隷がニンジャスレイヤーの足を背後から掴んでいた!飛びかかる奴隷たち!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは拘束を振り切り……!
KABOOOOM!KABOOOOOM!KABOOOOOM!KABOOOOOOM!ナムサン!奴隷たちが一斉に爆発!「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは巻き込まれて大きなダメージを受ける!「ハハハハハハハハ!どうだ!これがバリキ・ジツ!これが我がフーリンカザンだ!」イグゾーションは嘲笑う!
「殺すべし……ニンジャ殺すべし……!」爆発した奴隷たちのアズキめいた血肉が、ニンジャスレイヤーに取り込まれていく。彼に取り憑いたナラク・ニンジャは、ニンジャに殺されたモータルの憎悪と怨念をエネルギー源として活動するのだ!「イイイヤァアアアーーッ!」死神の大鎌が閃く!
イグゾーションはニューロンを焦がす昂揚感に酔い痴れながらも、橙色に輝く両眼で冷静に攻撃を見切る!「ハハハ……ハハハハハ!」流麗に回避!回避!回避!回避!致命的な攻撃を全て躱す!弾く!逸らす!なんたるカラテだ!だが迎撃まではならず!「イイイヤァアアアーーッ!」
イグゾーションは太陽のごとく全身を発光させ、苛烈極まる連続攻撃を叩き込む!どくん……ニンジャスレイヤーはニンジャアドレナリンを過剰分泌させ、目から血涙を流して……「イイイヤァアアアーーッ!」回避!回避!回避!回避!ゴウランガ!全て見切って躱し切った!「……行けッ!」
「「「「「アババババーッ!」」」」」ナムサン!イグゾーションの号令一下、バリキ爆弾と化した奴隷五人が一斉にバンザイ突撃!KABOOOOOM!KABOOOM!KABOOOM!KABOOOM!KABOOOM!「グゥワァーッ!」ナムサン!無視できぬダメージだ!だが……なお動く!「AAARGHHH!」
血みどろのニンジャスレイヤーは、爆煙の中から獣めいてイグゾーションへ飛びかかる!両腕のブラスナックルはドラゴンの顎めいて開かれ、敵の肋骨を砕いて臓腑を、心臓を啜り喰らおうとする!イグゾーションは……己のカラテを、極限まで振り絞る!「……イイイヤァアアアーーッ!」KRASH!
「グゥワーッ!」KRASH!イグゾーションは……瓦礫に叩きつけられた!だがダメージは軽微!彼は致命的な攻撃だけをギリギリで躱し、自ら後ろに弾き飛ばされることで、ダメージを最小限に抑えたのだ!タツジン!「よくぞ躱した。だが、残るはオヌシ一人。モータルの怒りを思い知るがいい!」
ニンジャスレイヤーはジゴクめいて告げた。イグゾーションは優雅に立ち上がり、ジュー・ジツを構えつつ作戦を練る。バリキ爆弾たちは充分なダメージを与えたが……弾切れだ。もっと多くの手駒を調達しなければ。すでに荘園の警備クローンヤクザたちには招集をかけた。足りるか。足りる。
だが……遠い。倒壊した邸宅の東、ニンジャスレイヤーの背後から、こちらの手勢が駆けつけて来るまでには遠い!ならば攻撃をかいくぐり、クローンヤクザたちのところへ駆けつけ、バリキ爆弾化してぶつけるしかない!「モータルの、怒りだと?」イグゾーションは目を細め、鼻で笑った。
「地を這う虫けらどもが何匹死のうが知った事か。平安時代も江戸時代も、現在も……過去も未来も、モータルどもはニンジャの奴隷だ。我ら貴族が、高等市民が、下賤な労働者どもをこき使うのと同じだ。それが格差社会だ。現世に秩序をもたらすために!我々は……支配しなければならない!」
【続く】
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