忍殺TRPGリプレイ【ユートピア・オア・ディストピア】03
前回のあらすじ:ネオサイタマ上空、現世とオヒガンの狭間に浮かぶキョート城は、キョジツテンカンホーの残滓によってキンカクの降臨を防ぎ止めている。だがジツを保つ地上の結界は弱まり、マッポーカリプスは近づきつつある!今こそ再びキョート城へ向かい、とにかくなんとか解決せよ!
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0100101……0100010……010010……01001001011……010010
「グワーッ!」ヘッジホッグ……否、「エーリアス」は叫び声を上げ、意識を回復させた。(俺だ!)彼は心の中で叫んだ。あれから何度も肉体を乗り換えて来たが、久しぶりに男性だ。だがこの肉体は負傷し、ニューロンと全身が激しく痛み、心臓がバクバクと動悸している。死んでいたのだろう。
「聴こえるか!ヘッジホッグ=サン!もう一発いるか?」ぼやける眼の前には、メガネをかけたおかしな目つきのニンジャ。ヴィジランスか。成功だ。ここはキョート城の予備電算室。「アッハイ、いえ」彼は周囲を見回す。UNIXの大部分は爆発し、生き残りのニンジャは数少ない。いける!
0101010101フェイスフルはUNIX爆発により飛び散った01のパーティクルから物理肉体を再構成し、ヴィジランスの頭上に出現!ヴィジランスも、他の直結中のハッカーニンジャたちも気づいていない!アンブッシュ重点!
戦闘開始
0ターン目(PC側のアンブッシュ)
「AAARGHHHHH!」『ヘッジホッグ』は突如身をのけぞらせ、ヴィジランスのニューロンへハッキング攻撃!相手はエコノミック・カラテのタツジンであり、その肉体に生体LAN端子を持たないが、霊的なポートは開いているのだ!「ヒヤリ!」ヴィジランスは瞬時にポートを遮断して防御!
「イイイヤァアアアーーーーーッ!」体勢を崩したヴィジランスへ、空中からフェイスフルのトビゲリが迫る!どくん……!ヴィジランスはニンジャアドレナリンを過剰分泌し、瞬時に状況の把握につとめる。なぜヘッジホッグが急に暴れ出した?この女ニンジャは……ニンジャ第六感が冴えわたる!
「ヒヤリ・ハット!」ヴィジランスは急所へのトビゲリを紙一重でブリッジ回避!ワザマエ!「ちいッ!」アンブッシュ失敗!だがある程度のリソースは削れたはず!「ドーモ、侵入者諸君。私はザイバツ・シャドーギルドのグランドマスター、当電算室の長、ヴィジランスです」彼はアイサツした!
アイサツされれば、返さねばならない。「ドーモ、俺はエーリアスです。ヘッジホッグ=サンの肉体を借りています」「ドーモ、フェイスフルです」「ふむ。フェイスフル=サンは確かドラゴン・ドージョーの門下生で、ニーズヘグ=サンの派閥の客人になっていたはず。ムーホンに乗ったわけかね」
ヴィジランスは油断なくエコノミック・カラテの構えをとりつつ、相手から情報を聞き出すべく問いかける。彼は陰謀渦巻くザイバツのグランドマスターにして、情報処理の専門家なのだ。「無関係です」フェイスフルは手短に答えた。ニーズヘグに世話にはなったが、邪悪なニンジャには違いない。
「そうかね。どのみち君たちは我らの敵、そして火の中に飛び込んで来た羽虫に過ぎない!私がお相手しよう!」ヴィジランスはハッカーニンジャたちにタイピングを継続させ、迎撃体勢に移る!一撃必殺アトモスフィア!
1ターン目
「イイイヤァアアアーーーーーッ!」ヴィジランスは自らの周りにホロ・キーボードを展開し、エーリアスに連続ハッキング攻撃!「イヤーッ!」エーリアスはヘッジホッグの肉体と生体LAN端子を操りカウンターハック!「ヌウッ!」ヴィジランスはポートを遮断し回避!さらに脚技を繰り出す!
「イヤーッ!」「イヤーッ!」体勢を崩したエーリアスを、フェイスフルがかばう!彼女はジュー・ジツのタツジンだ!ヴィジランスのキックを弾いて受け流し、体勢を崩した!好機!「イヤーッ!」エーリアスはユメミル・ジツを放つ!ZZTZT!「グワーッ!?」命中!ニューロンがかき乱される!
「キエーッ!」フェイスフルは壊れたUNIXデスクを蹴って勢いをつけ、ヴィジランスの股間へトビゲリだ!「ヒヤリ・ハット!」ヴィジランスは電算室内の監視カメラをフル活用し、一瞬速くフェイスフルの動きを察知!緊急ブリッジ回避でこれをSMAASH!「グワ、アバーッ!?」ナムアミダブツ!
「アバッ……バカな……!」ヴィジランスは股間を抑えて悶絶する。2人のジツとハッキング能力、カラテとワザマエは、ともにマスター位階にも匹敵するだろう。2人揃えばヴィジランスを圧倒するほどの強敵となる!「観念しな。ロード・オブ・ザイバツもパラゴンも死んだ。ギルドは滅んでるンだ」
エーリアスは無慈悲に宣告する。「俺たちは後始末に来た。キョート城とキンカクをオヒガンの彼方へ遠ざけ、マッポーカリプスを止めるためにな。邪魔しないでくれ」「断る!」ヴィジランスはギルドへの忠誠心を奮い起こす!「パラゴン=サンはともかく、ロードは不滅だ。ギルドとともに!」
彼は……狂っていた。カロウシからの復活、ギルドでの出世。与えられ続ける無数の仕事、終わらぬデスマーチ。キョジツテンカンホー。部下の死。ギルドの崩壊。磁気嵐。彼方からの謎めいた凝視。彼はとっくに狂い果てていた。IRCはどこにも繋がらず、タイピングは何も成果に繋がっていない。
オヒガンと現世の時の流れは異なる。現世では1ヶ月以上が経過したが、キョート城では数日ほどしか経っていない。ゆえに彼は一縷の望みに賭けていた。ロードが再臨してムーホン者を討ち取り、ニンジャ千年王国を打ち立てることを……!「そうかい。じゃあ、覚悟しな」「望むところだ!」
戦闘継続
【続く】
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