忍殺TRPGリプレイ【ヒット・ザ・サック・アット・フル・フォース】03
前回のあらすじ:ネオサイタマ、トリヨシミツ・ストリートの高級旅館の宴会場に、3人の邪悪ニンジャが突入した。集まったカチグミ・サラリマンたちからカネを奪い取り、山分けにするという完璧な計画だ。だがその時、別の方向から新たな掠奪者たちがエントリー!カラダニキヲツケテネ!
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「イヤーッ!」SPLASH!アイアンアトラスは池からジャンプし、宴会場にエントリーした。そしてぐるりと首をめぐらし、頷く。「つまりテメエら、ニンジャのボーナスマンだな。カネ置いてけ!」一触即発アトモスフィア!
クレーマーとハイブリッジは無言でアイコンタクトし、頷く。到底勝てる相手ではない。充分なカネはゲットした。死んだら終わり、ここは……撤退重点!「「イヤーッ!」」2人は連続側転を繰り出し、ドアから宴会場の外へ飛び出す!「ヌウーッ!?」ディゾルヴァーは泡を噴いて戸惑った。
カチグミのカネを奪ったあいつらを追うべきか?オイランドロイドを捕まえるか?それともこのアイアンアトラスを殴るか?「邪魔をするな!俺のハサミを食らえーッ!」ディゾルヴァーは最も愚かな選択肢を選んだ!「おっと!」ガキィン!アイアンアトラスは恐るべきカラテで難なく防御!
「いいぞディゾルヴァー=サン!そいつを足止めしろ!」サクセサーは冷蔵庫を漁る!「イヤーッ!」SMASH!「アバーッ!?」アイアンアトラスは無造作にディゾルヴァーを蹴り飛ばす!KRASH!壁に激突!キチン質のバイオ装甲にヒビが入る!なんたるカラテ!ディゾルヴァーは泡を噴いて悶絶!
『『『アーレお客様、お触り禁止ドスエ』』』ステージ上のオイランドロイド・ダンサーたちは自己防衛プログラムを働かせ、微笑みながらパインアイランドへ平手打ちを放つ!「イヤーッ!」難なく回避!ニンジャだからだ!「ウオーッ!」パインアイランドはミネウチで反撃!SMASH!『ピガッ!』
オイランドロイド・ダンサーの1体が緊急機能停止し、うなだれた。基板を持ち帰ってもいいが、機体ごと持ち帰った方がカネになる。パインアイランドはカタナを鞘に納めると、オイランドロイドを担ぎ上げた。潮時だ!
作戦継続
マップ
4ターン目
手負いのディゾルヴァーは必死で状況判断する。アイアンアトラスのカラテは圧倒的だ。このままでは死ぬ!ならば撤退重点!「イヤーッ!」叩きつけられた壁から身を引き剥がし跳躍!ガラスの穴を抜けて、庭の池の中に飛び込んだ!庭はテラスになっており、隣の雑居ビルへと飛び移れる!
「イヤーッ!」サクセサーも撤退を開始、池に飛び込む!アイアンアトラスは……「逃がすかよ、ボーナス蟹!イヤーッ!」SMASH!大股で歩いてたちまち池の中のディゾルヴァーへ追いつき、丸太のような脚で踏み潰す!「アバーッ!サヨナラ!」KA-BOOOOOOM!爆発四散!インガオホー!
『『離すドスエ』』オイランドロイドたちは微笑みながらパインアイランドへ平手打ち!SMASH!「グワーッ!」避けきれず命中!ウカツ!「クソ……だが、潮時だ!漁師がカチグミ、オタッシャデー!」パインアイランドは争いを尻目に、オイランドロイド1体を担いで宴会場から逃げ出した。
5ターン目
「お、オタッシャデー!」サクセサーは池から飛び出し、必死で庭の外へ逃げていった。アイアンアトラスはディゾルヴァーが撒き散らしたカネを拾い集め、首を巡らす。「……逃げられたな。まあいいや、カネはゲットできたしよォ」彼は大股で宴会場に戻り、ケモビール瓶を掴んでラッパ飲みした。
宴会場はひどい有り様だ。防弾ガラスには穴があき、6人のカチグミ・サラリマンのうち2人は溶け、2人は気絶し、2人は腰を抜かして震えている。だが……生き延びた。オイランドロイドも1体が奪われたが、2体は残った。「「アイエエエ……」」2人のサラリマンは卓上のケモビール瓶をとった。
そしてアイアンアトラスに近づき、おずおずと差し出しながら、深々とオジギした。命の恩人だ。「「ドーモ……アリガトゴザイマシタ」」「おう、災難だったなァ。アダウチはしてやったぜ」「ドーモ……」「ドーモ……!」アイアンアトラスは2本のビール瓶を受け取り、2本を一度に飲み干した。
6ターン目
『『完璧ソサエティー♪』』ステージ上の2体のオイランドロイドは、何事もなかったように歌い踊っている。アイアンアトラスは次々にビールを飲み、料理を食い、歌と踊りを鑑賞して愉しむ。なんたる傍若無人か。しかし彼はカチグミ・サラリマンたちを死の危険から救い出したヒーローなのだ!
「「ドーゾ、ドーゾ」」「おう」カチグミ・サラリマンたちはアイアンアトラスにペコペコしながら酒を注ぐ。この惨事をどう処理すべきか考えながら。セキュリティに問題があったなら旅館の責任だが、ニンジャをどうこうできるとも思えない。ならばハイデッカーを呼ぶか?彼を酔い潰させるか?
「やれやれ……」その頃、ハイブリッジは宴会場前のトイレから何食わぬ顔で出てきた。仲間とは二手に別れてトイレ側から抜け出すつもりだったが、あいにく窓がなかった。しかし幸いにも、トイレにいた別のカチグミ客からカネを追加でゲットできた。これで万札40にはなろう。充分な収穫だ。
廊下ではオイランドロイドを担いだパインアイランドが、クレーマーと一緒に一目散に逃げ出している。「フン」ハイブリッジは鼻を鳴らし、内心で仲間たちを侮蔑した。なんと野蛮なことだろうか。彼はトイレにいたカチグミ客から衣服も奪い取り、完璧なカチグミ・サラリマンに変装している。
これなら客やスタッフ、マッポやハイデッカーに誰何されても問題ない。誰にも怪しまれず、誰も傷つけることなく、スマートかつクールにこの場を立ち去ることができる。これが真の犯罪者だ。彼はほくそ笑んだ。
……その時!
SMAASH!宴会場のドアが内側から蹴破られ、アイアンアトラスが出現!「「アイエッ!?」」パインアイランドとハイブリッジは驚愕した。自分たちの万札を回収しに追って来たのだ!このままでは!「ヒック……オイ、えっと」「ぱ、パインアイランドです」「ハイブリッジです」「そう、それ」
アイアンアトラスは……パインアイランドの方を指さした。「オイランドロイドは置いてけや。3人1組なんだろ」「え?」ハイブリッジはハンズアップして敵意のないことを示しつつ、パインアイランドに目配せした。相手はディゾルヴァーたちの万札を奪って満足している。下手に逆らえば死ぬ!
パインアイランドは状況判断し……「ほらよ」オイランドロイドをアイアンアトラスに投げ渡した。このまま背負って逃げれば目立つし、アイアンアトラスに追われるのも嫌だ。「ドーモ!」アイアンアトラスはオジギした。彼は、戦意喪失して逃げる相手は、あまり追わない。面倒だからだ。
7ターン目
「「「オタッシャデー!」」」3人の悪党は、這々の体で逃げ出した。アイアンアトラスは後を追わず、オイランドロイドを担いだまま宴会場へ戻る。「オイ、奪い返して来たぜ。早くこの子を直してやれや」「アッハイ……」カチグミ・サラリマンたちは顔を見合わせた。どうすればいいのか?
戦闘終了
エピローグ
……かくして、闖入者6人のうち1人が爆発四散し、4人が逃げおおせ、1人は宴会場にとどまった。リロン・ケミカル社のサラリマンたちは、結局ハイデッカーを呼ぶことはせず、セキュリティに問題があったとして旅館の責任者を呼びつけることにした。ニンジャに逆らえば何をされるかわからない。
アイアンアトラスがその後どうなったかはさておき、ハイブリッジたちはカチグミや警備員からカネを奪い取り、無事に生還した。これで借金が返済でき、カニキャッチ漁船に送られなくても済む。「どうだい。今回も俺の作戦は完璧だっただろ?」ハイブリッジは笑いながらサムアップした。
【ヒット・ザ・サック・アット・フル・フォース】終わり
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