【絶鬼パロ】Peace of Mind
「WRRRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!」
猛烈な勢いで! 横から『タンクローリー』が突っ込んで来たッ!
「「!!」」
灯台の下、殺し合いを始めるべく対峙していた花酒蕨とジェイソンは、咄嗟に左右に跳び離れる! この程度の襲撃に反応出来ない二人ではない!
「鬼か、狂人か? それとも両方かの! ひょひょひょひょ!」
タンクローリーは急ブレーキ! 荷台が大きく折れ曲がるジャックナイフ現象を起こす! 鰐の尻尾めいた薙ぎ払いを、蕨は高く跳び上がって難なく回避! 空中でひらりと縦回転し、荷台の上に跳び乗り、運転席の上へ!
「どちらでも構わん! 敵は確実に殺しておくに限るぞよ!」
運転席の天井に、上から刀を突き刺す! しかし……手応えなし! さっきまで確かにいたはずの運転手がいないッ! さらに、急にガッシリと、自分の身体が何者かに押さえつけられる! 動けない!
「!?」
罠か! このまま灯台にぶつけ……爆発させて殺す気か!
そう思った瞬間、タンクローリーは灯台に激突する直前で急停止! そして……背後に気配!
「気に入った・・・殺そうとする一瞬・・・ 汗もかいていないし呼吸もみだれていないな 冷静だ・・・」
ブワァッ、と蕨の全身に冷や汗が噴き出る。こいつは……ヤバい!
圧迫が消えた。刀で背後を薙ぎ払うが、すでにそこにはいない。振り返った眼の前、灯台の壁に……真横に立っている。
その傍らの空中に……幼い子供と、ヘルメットを被った学生らしき少年が、浮かんでいる。少しして、彼らは地面にゆっくりと落下した。生きているが、動かない。気絶しているようだ。
「私の連れだ・・・少し眠ってもらった。さて・・・レディ」
ふわり、と彼は、金髪で体格のいい男は、停止したタンクローリーの荷台の上に降り立った。悠然と、平然と。
「君も私の仲間にならないか? 君は美しく、優れた戦闘力の持ち主・・・殺すのは惜しい」
身体が……動かない。震え、畏怖し、魅了され、威圧されている。なんだこれは。カリスマというやつなのか。
「安心して・・・そんなに怖がらなくていいんだよ。私の名は『DIO』・・・『親』の役さ。友だちになろう。名前はなんというのかね?」
ヤツが話しかけてくる言葉は、なんと心が・・・安らぐんだ・・・危険な甘さがあるんだ・・・だからこそ、恐ろしい!!
「……花酒……蕨……」
声を絞り出すようにして、名乗る。名乗ってしまう。瞳から光が失われていく。
「ふむ、いい名だ、ワラビ。君の、この鬼ごっこにおける『役』は?」
「……親……の、役……です」
『親』と称しているが、こいつは確実に『鬼』だ。今見えた。唇の中に牙が。それに、彼の傍らに何らかの気配がある。さっき彼らを抱え上げ、地面に下ろしたのは、そいつだ。自分を押さえつけ、タンクローリーを無理やり急停止させたのも、そいつだ。姿が見えないが、いる。
「ワラビ。このDIOの仲間になってくれるかな?」
「はい」
片膝をつき、刀を置き、頭を垂れる。こう答えるしかない。断れば殺される、いや……見捨てられる。この方に。それだけはいやだ。……いや、何を考えている。こいつは鬼だ。逃げろ。離れろ。逃げろ!動け!
◆
DIOは蕨をひざまずかせたまま車を降り、もうひとり……ジェイソンの方へ向かっていく。彼は既に何度も死に、黄泉還り、不死身の存在と化している。紫外線で塵と化す程度の吸血鬼などものの数ではない。ジェイソンは躊躇せず、この男を殺そうと向かってくる。DIOは余裕の表情を崩さない。
「話が通じそうにもないか・・・ならばしょうがない」
肩を竦めたDIOは、振り下ろされるマチェットを左手で払い除け、右手の人差し指をジェイソンの眉間に突き刺した。
「私の下僕になってもらう」
ズキュウウウン! DIOの指先が蜘蛛のように変形し、鋭い針が伸びてジェイソンの脳みそに食い込むッ! これは『肉の芽』! 吸血鬼DIOの細胞から成る脳のコントローラー! DIOに対して、ヒトラーに従う兵隊のような、邪教の教祖に憧れる信者のような気持ちを呼び起こすッ!
「GUUUUUUUU・・・・・・」
ズシィン。ジェイソンの巨体がその場に崩れ落ち、膝をつく。そのまま平伏し、DIOに忠誠を誓う。
「よしよし。これで手駒は二つ増えたというわけだ・・・。こいつの名前はわからんが、どーでもいいことだな・・・運転手にでもするか」
DIOはついでに、ジェイソンが腰にぶら下げていた支給品入りの紙袋を奪う。これを持っているということは、当然こいつは鬼だ。
くるり。後ろを振り返ると、ワラビがいない。逃げたか。いや……気配は、上。灯台の上だ。行き止まり、どん詰まり、逃げ場なし。無駄。
そこへ逃げるわけもない。あるいは―――何か、誰か見つけたか。そいつを助けて、隙を見て飛び降り、逃げるか逃がすか。無駄。
否。ホージョーとかいう、あの子供がいない。ワラビが拐って逃げたか。DIOは笑う。活きが良い獲物は面白い。
「いいだろう。降りてこいワラビ。私はここで待っているぞ。灯台の上にはこいつを向かわせよう」
ぱちり。指を鳴らすと、ジェイソンが立ち上がり、灯台の扉を蹴り破る。
恐れをなして戻ってくればよし。こいつを切り伏せ、堂々と脱出してもよし。殺される程度ならそれまで。刃向かって来ても、我が『ザ・ワールド』に勝てる能力の持ち主ではない。無駄だ。肉の芽を埋め込み、改めて下僕にしてやろう。血を吸ってもいい。
「安心しろ。殺しはしない。手駒は多いほうがいいからな・・・フフフフハハハ」
【I-10(灯台)/01時25分】
【花酒蕨@武装少女マキャヴェリズム】
[役]:親
[状態]健康、DIOへの畏怖
[装備]:太刀・棒手裏剣
[道具]:防弾ベスト・閃光弾、豊穣礼佑(気絶中)
[思考・行動]
基本方針:親か子と合流する。
1:DIOから逃げる。
※その他
自分の役・各役の勝利条件・制限時間を把握。ルールの本質に気付きました。豊穣は「はいぱーびじょんだいありー@未来日記」と「スマートフォン(子)」を持っています。
【ジェイソン・ボーヒーズ@13日の金曜日シリーズ】
[役]:鬼
[状態]:健康(肉の芽)
[装備]:アイスホッケーマスク、マチェット
[道具]:
[思考・行動]
基本方針:DIOの命令に服従する。
1:灯台の中に潜む者を見つけ、皆殺しにする。
【DIO@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
[役]:鬼
[状態]:健康
[装備]:タンクローリー、スマートフォン(鬼)、『ザ・ワールド』(スタンド能力、時間停止は五秒ほど)
[道具]:四次元っぽい紙袋(不明支給品3つ、ジェイソンから奪取)
[思考・行動]
基本方針:親として振る舞い、子を集めて全員捕まえる。親や他の鬼は血を吸うか下僕とする。
1:仮面の大男(ジェイソン)を蕨にけしかけて様子を見る。
※その他
足元に織田敏憲が気絶させられて転がっています。
◇
◇
DIOはああいうやつなので実際つよい。蕨もジェイソンも轢殺攻撃は回避したが、カリスマと肉の芽にはひざまずいてしまうだろう。スタンドも見えないしな。蕨は豊穣を攫って灯台の上へ逃げたが、ジェイソンが追ってくる。織田は気絶しっぱなしだ。どうなるだろう。