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【聖杯戦争候補作】Satz-Batz Night By Night

その日、京都市内の全てのテレビ、モニタ、携帯端末に、なんらかの画像が表示された。記録に残らないほどの一刹那。けれど、それは何度も繰り返され、人々の潜在意識に微妙な影響を与えた。

これから、戦争が始まる。
大規模テロが起きる。
ミサイルが落ちる。
大勢の人が死ぬ。
鬼神や悪霊が徘徊する。
京都は地上の地獄と化す。
天変地異が発生する。
世界が終わる。

そんな噂がSNSに流れ、広がっていく。リツイートが増え、まとめサイトが取り上げる。大多数の人々は、苦笑とともに無視する。いつの世も、世界の終わりを唱える者はいた。けれど、その幻想を必要とする者は、いつの世もいる。世界よ終われと唱える者たちが。世界から必要とされない、力なき、名もなき、顔なき者たちが。

確かに年明けから、急に京都市内で物騒な事件が頻発し始めた。噂は信憑性を帯び、尾鰭がついて拡散していく。

その情報は人々の心の暗い部分に、火種を作り、燠火を灯す。いつか灰が掘り起こされ、それが空気に触れた時。それは燃え上がり、町を、人を、世界を焼き尽くす。

「はぁ……」

深夜。アパートの一室。パジャマ姿でベッドに仰向けになり、暗い天井に向けて、彼女は本日何度めかのため息をついた。心が重い。体が重い。

癖っ毛でセミロングの銀髪、色白で碧眼の美女。スタイルも良い。だが生真面目で気弱で、不憫な雰囲気を漂わせる。見るからに悪い男に騙されそうな、幸の薄そうな女性である。

彼女は平凡な一市民。何らの異能も持たず、武術も習得していない。ただの英語教師だ。京都市内の中学校に勤めている。国籍は……ニュージーランドということになっている。本来は、そうではない。彼女の祖国は、この世界には存在しない島国だ。赤道直下、東経150度。パプアニューギニア領ビスマルク諸島の北百数十キロ。北ビスマルクプレート、カロライナプレート、太平洋プレートがぶつかるあたり。

「聖杯……それがあれば、リモネシアも……」

彼女の名は『シオニー・レジス』。祖国を愛し、25歳にして外務大臣となり、そして……知らずとは言え、祖国の首都を消滅させた張本人。いろいろあった末にリモネシアへ戻り、一市民として教職に身を捧げていた。祖国に大災害をもたらし、多数の国民を死なせた大罪人であることを、ひた隠しにして。あの忌まわしい事実から目を背け、忘れようとしていた。これは、その報いなのだろうか。

「…………いやいやいやいや。あれは悪夢。あれは幻。あんなバカなことが起きてたまるか!」

シオニーの精神は、全てを捧げてきたリモネシアが滅んだ時に、一旦崩壊した。その後は、よく覚えていない。記憶に蓋をしてしまった。それからいろいろなことがあり……いろいろなものを継ぎ合わせて、危ういバランスのままだ。時々PTSDの発作を起こすため精神安定剤の世話にもなっている。

リモネシア残存部の住民は先住民や新規移民が多く、自分を知らなかった。大災害での大混乱もある。一応名前も変えた。知っている者もいたのかもしれないが。ようやく落ち着き始め、天職とも言える職業につき、陰ながら祖国復興の一助を担おうとしていた時……何かを拾ったせいで、ここに呼ばれてしまった。聖杯戦争の場に。

「私は京都在住の欧州系ニュージーランド人、中学校の英語教師……恋人募集中……リモネシアなんか知らない……戦争なんか知らない……」

虚しい。涙も出ない。さっき地図アプリで確認したが、この世界にはリモネシアなる島自体が存在しない。帰るべき場所がない。聖杯を手に入れねば、リモネシアが存在する世界へは還れない。そういうことになってしまっている。なんてことだ。いっそこのまま日本で暮らそうか。

それにしても聖杯とは。私をここへ呼び寄せ、偽りの記憶を与えるほどの事ができるなら、大概のことは叶えられそうではある。DECとかそういうのに近いなにかか。平行世界。大時空震動。三大国。戦争、戦争、戦争、戦争。抑圧してきた記憶がフラッシュバックしそうになり、薬の紙袋に手を伸ばす。いや、まだ、まだ大丈夫だ。

BBBBBBBBBBB…… 「ひっ!?」

顔の傍らのスマホが振動した。なんだ。誰だ。相手の名前や電話番号は、表示されていない。いたずら電話か。だが一応、出ておこう。学校からかも知れないし。
「……も、もしもし」

違うね

低い男の声。英語だ。誰だ。間違い電話ではないのか。……電話が、切れない。続いて、別々の声がした。女の声、男の子の声、少女の声、老婆の声、濁声、かすれ声、機械音声……。

「お前はそうじゃない」「思い出せ」「愛する祖国を」「リモネシア」「リモネシア」「リモネシア」「リモネシア」「リモネシア」「リモネシア……」

「ひいっ!?」
瞳が揺れる。両眼から涙が溢れ、吐き気がしてきた。鳥肌がたち、脂汗が滲む。やめて、やめて。だが、ここで負けてはダメだ。気力を振り絞り、言い返す。
「だっ、誰だ!? 敵か!?」

スマホの画面に、奇妙な画像が現れた。頭のない、黒いスーツの男を図像化したような。それに重なって、何かがノイズめいて……。

「泣かないで」「安心しなさい」「私は」「お前の味方」「お前のサーヴァント」「『アサシン』さ」「マスター」「シオニー・レジス」「殿」

シオニーの背筋を、さらなる悪寒が走る。頬をつねる。痛い。現実だ。悪い夢などではない。本当に、聖杯戦争が行われようとしているのだ。

サーヴァント。アサシン。暗殺者。脳内に吹き込まれた情報によれば、通常はサーヴァントの中では戦闘力は低い。しかしマスターを暗殺することにかけては、右に出る者はないという。気配を消し、後ろからざくりと殺るのがアサシンだ。ということは。勝ち残るには、生き残るには、こいつを使って『人殺し』をしなければならない。

意図的に人を殺した経験は、ある。あの日、私は自国の大統領を暗殺している。だが、だが、だけど。その結果が、アレだ。なんでも望みが叶う? どうせろくなことにならない。嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘をついている。でも、もし、本当なら。それで祖国が復興するなら。私の罪が、帳消しになるなら。胸を張って祖国へ帰れるなら。私の名が、祖国の英雄として残るなら。頭の中がぐちゃぐちゃになる。とにかく、とにかくだ。

「し……真名を名乗りなさい! そして、姿を現しなさい!」

スマホから、何十人もの、何百人もの笑い声。シオニーを、自らを、嘲笑するかのような。

「私の」「を?」「名は無い」「捨てた」「捨てられた」「仮に名乗ることは出来るけど」「ね」「姿は」「ない」「見ている通り」
「私は」「アサシンの」「サーヴァント」「名は」「仮の名は」「概念としては」「そうだなあ」「こう定義しておこう」

ジジッ。スマホ画面に、奇怪な仮面が浮かび上がる。その口が動き、多数の声で名乗る。ゆっくりと。

「「「『ガイ・フォークス』」」」

ガイ・フォークス。英語圏では有名な、彼か。けど、何をしたんだっけ。記憶が曖昧だ。私は英国へ行ったことはない、と思う。AEUは……どうだっけ。外務大臣だから、行ったとは思うのだが。
「知っているか、知らないか」「お前は多分知らないだろう」「私の所業を」「歴史を」「ブリテンを知っているか」

ブリテン。それを聞いてふと、口から呟きが漏れる。
「……ブリタニア・ユニオン?」

ざわざわざわ、とスマホの向こうからざわめき。ブーイング。どうも失礼なことを言ってしまったようだ。どうしよう。
「違う」「忌まわしや、あの悪王」「グレートブリテンの王、連合(the Unite)などと」「イングランドと言うべきだったぞ、私」「そうだ私」「すまない私」「ならば、聞け!」
不興を買ってしまった。ブリタニア・ユニオンは、そうだ、欧州ではなかった。アサシンたちがオペラめいて語り出す。

「我らは暗殺者」「我らは反抗者」「悪王を殺すために」「計画を巡らせたぞ」「計画は失敗し」「我らは捕まり」「残虐に処刑された」「我らは死んだのさ」

「死してもなお」「名をば残せり」「ガイ・フォークス」「ガイ・フォークス」「名もなき者も」「我らとなるぞ」「ガイ・フォークス」「ガイ・フォークス」

そうだった。思い出した。彼は17世紀初頭、ジェームズ1世を暗殺しようとしたテロリスト。詳しくは知らないが、そう聞いた。なるほど確かに暗殺者、アサシンだ。暗殺に失敗した暗殺者。そんな彼が聖杯を得たら、何を望むか。いや、そもそも。
「…………あなたは、聖杯が欲しいの?」

問いかけに、再び何百人もの笑い声、嗤い声。いろいろな言葉が一斉に。
「聖杯」「ははは!」「主の聖血を受けた杯!」「知っているさ、欲しいとも!」「普遍公同の教会のため!」「ガイ・フォークスならそう言うだろう!」「今の私は?」「反体制! 反体制!」「火!火!火!」「火と剣!」「お前も望んでいよう!」「聖杯を! 聖杯を!」「祖国のため! 己のため!」「リモネシア!」「リモネシア!」「縁(rim)の島(nesos)!」「西の果てなる我が島!」「東の果てなる汝が島!」「ジャパン!ブリテン!リモネシア!」

ごくり、とシオニーは唾を呑み込む。なにがなんだか分からない。こいつは、こいつらは、狂ってる。
だんだん声が調整され、同じようなトーンになる。オペラめいた台詞。

「我らは戦う」「暴君と戦う」「火薬で」「火薬で」「火薬で」「火薬で」「火薬で戦う」
「我らは戦う」「圧政と戦う」「情報で」「恐怖で」「情報で」「恐怖で」「情報で戦う」

スマホ画面いっぱいに掌が広がる。シオニーが顔を逸らすと、BOMB! 画面の上で、小さな爆発が起きる。
「ひいいいっ!?」
シオニーが怯え、スマホを取り落とす。爆発。怖い。爆発。火。破壊。瓦礫。嫌だ、嫌だ、嫌だ。

「これが武器」「これが我ら」「情報を集め」「情報を流し」「恐怖」「爆発」「パニック」「テロル」「これが武器」「殺しはしない」「傷つけ、怯えさせる」「そうすれば我らは増える」「恐怖と絶望」「変革への熱望」「不満と無力」「それが火種」「火種が増えて」「我らになる」「この街の住民が」「皆我らとなり得る」「殺すのは」「主従だけ」

歯の根が合わない。こいつらは、幽霊じみた存在。情報空間を漂流する怪物。そう伝わってくる。強制的に理解させられる。令呪も効かない。誰の命令も聞かない。混乱と破壊だけが彼らの望み、彼らの存在意義。最悪の愉快犯。テロリストを増やすテロリスト。
「わ……私は、どうすれば。守ってくれる、のよね? 貴方が、貴方達が」

青褪め、呆然とした表情で、シオニーは訊く。せめて、生き残りたい。生きてリモネシアに帰りたい。帰して。
アサシンは、アサシンたちは、無数の声で囁きかけてくる。

「教えてやろう」「お前はマスター」「私はサーヴァント」「けれど」「私はお前を」「特に必要としない」「私の主人は」「この私」「お前じゃない」「無視してもいい」「お前は寝ていてもいいのさ」「私は私で勝手に殺る」「記憶を見たぞ」「お前は独裁者、暴君、虐殺者」「虎の威を借る牝狐だ」「今は反省しているか?」「そうでないなら我らの敵」「我らの情報を漏らすなよ」「お前は知っているからな」「忘れろ」「言えば殺すぞ」「殺す、殺す、容赦なく」「安心しろ、記憶は消える」「令呪に利用価値がある」「生かしておいてやる」「お前は何もしなくていい」「何も出来やしない」「シー・ノー・イーヴル」「それでいい」「「「ははははは!」」」

何百人もの笑い声、嗤い声。シオニーはスマホを床に投げ、枕を頭からかぶる。けれど、声は聞こえてくる。助けて。

「お前が死んでも」「我らは残る」「お前が消えても」「我らは消えない」「我らはどこにでもいる」

「我らは名無し」「我らは大勢」「我らは許さぬ」「我らは忘れぬ」「我らを待ち受けよ!」

人々の心の暗い部分に、火種を作り、燠火を灯す。
いつか灰が掘り起こされ、それが空気に触れた時。
それは燃え上がり、町を、人を、世界を焼き尽くす。

「We are Anonymous(我らは名無し)」

「We are Legion(我らは大勢)」

「We do not forgive(我らは許さぬ)」

「We do not forget(我らは忘れぬ)」

「Expect us!(我らを待ち受けよ!)」

【クラス】
アサシン

【真名?(仮名)】
ガイ・フォークス@近世英国

【パラメーター】
筋力D 耐久C 敏捷B 魔力C+ 幸運D 宝具B

【属性】
混沌・中庸

【クラス別スキル】
気配遮断:B+
サーヴァントとしての気配を絶つ。完全に気配を絶てば発見することは非常に難しい。攻撃体勢に入ったまま、長時間の潜伏が可能。

【保有スキル】
単独行動:EX(C)
マスターからの魔力供給を断っても自立できる能力。宝具によりEXまで上昇しており、マスターがいなくてもなんの制限も受けない。

反骨の相:EX
反体制の象徴。あらゆる権威を否定し嘲笑う諧謔の徒。何者にも従わず、己の欲することを行う道化。カリスマや皇帝特権等、権力関係のスキルを無効化する。令呪についても具体的な命令であれ決定的な強制力になりえない。

破壊工作:C+
戦闘を行う前、準備段階で相手の戦力を削ぎ落とすスキル。敵兵力に対する直接的な攻撃ではなく、相手の進軍を遅延させたり、偵察や諜報を混乱させる技術。高度なハッキング・クラッキング技術を持ち、IT機器や監視カメラを乗っ取っての情報収集が可能。フェイクニュースで敵を混乱させるのも大得意。

情報抹消:A
対戦が終了した瞬間に、目撃者と対戦相手の記憶から能力・真名・外見特徴などの情報が消失する。マスターの記憶すら編集可能。We are Anonymous.

精神分裂:B
宝具の影響と生前の拷問により、人格が多人数に分裂している。本来一人の英霊だが、複数いるように行動し、相談する。互いに裏切ることはない。We are Legion.

【宝具】
『無頭無貌仮面劇の夜(ナイト・オブ・アノニマス)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:視認 最大捕捉:?

アサシンそのものである宝具。後世に反体制の象徴化された『ガイ・フォークスの仮面』という図像情報。映像や画像にサブリミナル・ノイズとして仕込むなどして、これを認識した「波長が合う人間」に取り憑かせ、「火種」とする。英霊や自他のマスター、視力のない者、動物には無効。波長が合うのは、自分や社会の現状に不満があり、それを変革する必要と、それが出来ない自分の無力さを感じている者に限られる。恐怖や絶望で自我が弱まっている者にも波長が合い易い。

この宝具を情報として認識した「火種」は、アサシンが宝具を発動すると自我が消失し、アサシンのアバター『アノニマス(名無し)』と化す。姿は変化しないが戦闘能力はアサシンと同等で、両手に拳銃を持ち、命知らずに戦う。アバターがやられてもアサシン本体にダメージはなく、別の「火種」に乗り移って復活できる。「火種」が増えれば増えるほど、アサシンの魔力は増し、操りやすくなる。何千、何万でも同時に操れる。「火種」同士の記憶情報共有は出来ないが、アノニマスは全ての記憶を共有出来る。宝具を解除すれば、アノニマスは人間に戻る。アノニマスだった時の記憶は失われるが、疲労と高揚感は覚えているであろう。そして「火種」は残る。

『爆殺火薬陰謀劇の夜(ナイト・オブ・ガンパウダー・プロット)』
ランク:B 種別:対人-対軍宝具 レンジ:1-99 最大捕捉:1-500

魔力で生成される大量の黒色火薬。アサシン(アノニマス)の掌や指先から任意の量を射出する。罠として仕込んでおいて、任意のタイミングで爆発させる。自爆も可能。アノニマス1体につき、最大で2.5t、36樽ぶんの火薬を出せる。一度に出して爆発させ、ビルや城塞、地盤を崩落させることも可能。火薬を出し切ると「火種」は消えてしまう。黒色火薬の威力は、おおむねTNT火薬の0.55倍程度とされるので、TNT換算で1.375tとすると約6GJ、雷(1.5GJ)の4倍の威力。人間を殺すには充分。アノニマスが増えるほどに総火薬量は増える。

【Weapon】
二丁拳銃、軍刀、各種爆弾。『アノニマス』は全てこれらを自動的に支給される。掌からは宝具である黒色火薬を射出する。その場にある武器や車両、兵器等を用いて攻撃することも当然可能。ところで京都市内には自衛隊の駐屯地とかがあるようだ。

【人物背景】
17世紀初め、イングランドとスコットランドの王であるジェームズ1世を暗殺しようとした「火薬陰謀事件」の実行犯の一人。グイド・フォークスとも。1570年ヨーク生まれ。イングランド国教会で洗礼を受けるが、父の死と母の再婚後、継父の影響でカトリックに改宗。成人すると大陸に渡ってスペイン軍に参加した。背が高く体格もよく、赤毛の髪で八の字の口髭と濃い顎髭をたくわえ、陽気で誠実で知的であり、軍事にも精通した人物であったと友人からは絶賛されている。

1603年にエリザベス1世が崩御してプロテスタントのスコットランド王ジェームズがイングランド王位につくと、ロバート・ケイツビーらと共に国王暗殺を企て、ウェストミンスター宮殿内の議事堂の地下に大量の爆薬を仕掛けて、国王や政府要人を一挙に爆殺しようとした。だが1605年11月5日、仲間の密告で発覚し、逮捕される。激しい拷問の末に共犯者の名と計画を明かし、1606年1月27日に裁判を受け、31日に処刑された。彼は絞首刑の時点で即死したが、死体は四つ裂きにされ晒し者となった。

ロンドン市民は国王が無事だったことを寿ぐため、彼が逮捕された毎年11月5日を「ガイ・フォークス・ナイト(ボンファイア・ナイト)」とし、篝火を焚いて祝うようになった。後には花火を打ち上げたり、ガイ・フォークスを象った人形を焼いたりするようにもなり、18世紀末には彼の仮面をつけた子供たちが夜中に金をせびって歩くという風習もできた。19世紀の大衆小説ではアクション・ヒーローともなり、アメリカではその名の「ガイ」が「男」を意味する語ともなった。

さらに1982年から始まった漫画『Vフォー・ヴェンデッタ』、2005年のその映画では、口髭と尖ったあごひげで様式化されたガイ・フォークス・マスクが「反体制」の象徴となった。それ以来、このマスクは「抵抗と匿名の国際的シンボル」として、政治家、銀行、金融機関に抗議する集団によって使われるようになった。このサーヴァントは、そうした「ガイ・フォークス」にかける無数の人々の想念が凝結した存在であり、正確には彼本人ではない。

【願いと方針】
あらゆる暴君・圧政への反抗、反体制。すなわち、この聖杯戦争をも破壊する。そのために手段を問わず敵マスターを全員殺し、聖杯を獲得する。マスターが死のうと生きようと、彼らは存在する。147万2000人の京都市民や観光客の中に『アノニマス』となり得る人間が存在する限り。そのため、彼らは一般市民を無闇矢鱈に殺すことはない。「火種」が減るからだ。むしろ彼らの命を守りつつ心身を傷つけ、恐怖と無力感を与えるだろう。そうなればなるだけ「火種」は増える。彼らを完全に殺すには、市民や観光客を殺し尽くすか、あるいは……?

【マスター】
シオニー・レジス@第2次スーパーロボット大戦Z

【Weapon】
なし。

【能力・技能】
25歳で小なりとは言え一国の外務大臣を務めるほどにはエリート。たぶん語学には堪能。しかし本質的に気が弱く不憫。精神コマンド:偵察・鉄壁・必中・分析・突撃・愛・直撃が使える気がする。特殊技能:Eセーブ、戦意高揚、気力限界突破、底力L8、闘争心が使えるといいな。気力はマイナスに限界を突破している。

【人物背景】
ゲーム『第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇』に登場する女性。25歳。CVは小林沙苗。太平洋の小国、リモネシア共和国の外務大臣。リモネシアは超次元エネルギーを引き出す特殊鉱石DECの産地として急速に発展したが、DECの涸渇による国家存亡の危機が迫っていた。そんな時、彼女はある男からの「祖国を救う手がある」という甘言に乗せられ、大統領にも相談せず独断で協力、実施にこぎつける。それはDECを用いて異次元からの超エネルギーを得、リモネシアを大国にのし上がらせるというものだったが、男の真意は別にあった。

現れたのは超エネルギーではなく、全てを破壊する「破界の王」と呼ばれる存在。その出現の余波でリモネシア都市部は消し飛んでしまう。精神の平衡を失ったシオニーは、「破界の王」を皇帝とする新帝国インペリウムの筆頭政務官に任命され、独善的で傲慢な独裁者へと変貌してしまった。立場の高い者には歪んだコンプレックスを抱いており、インペリウムの力を己のものと誤認して他者を恫喝、土下座を強要したりする。しかし攻撃を受けたり脅されたりするごとに怯えたり錯乱したりと小物感が溢れまくり、妙な嗜虐欲をそそる存在として歪んだ人気を集めた。

最後は旗艦ごとフルボッコにされ爆炎に消えるが、実は救出されてリモネシアに帰還しており、教職に一生を捧げたという。続編の『第2次スーパーロボット大戦Z 再世篇』『第3次スーパーロボット大戦Z 天獄篇』にもちらっと登場。子供たちには「お姉さん先生」と呼ばれている。

【ロール】
中学校の英語教師。国籍はニュージーランド。

【マスターとしての願い】
リモネシアに帰してよぉ……。

【方針】
何も考えたくない。胃が痛い。自分がマスターで、どこかに自分のサーヴァントがいること、自律的に動き令呪が聞かないことは記憶している。

【把握手段・参戦時期】
本編終了後、リモネシアで教職についている頃。そろそろ26歳かも。「破界の王」からとあるメッセージを預かっているが、過去の記憶に蓋をしているため思い出せていない。

◆◆◆

例のアノニマスだ。英霊化したら面白いだろうなと思って作ってみて、マスター候補を探したところ彼女に白羽の矢が立った。オルガマリーよろしく、そういう星の下にいるらしい。おれは別に彼女のアンタイでもヘイターでもない。宝具は武装錬金のパピヨンのあれだ。とにかく数で押すタイプなので人口密集地では皆殺しにするしかなく、エピロワでは弱体化させてなんとか倒せるようにした。のちにゲゲゲの鬼太郎6期で出てくるとは思わなんだ。

なお、この音楽はおれのすきなやつだ。ちょうどいいのでここで出す。歌詞もちょうど逆噴射先生の昨日のあれのようだ。和訳を探してみろ。

【続く】

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