忍殺TRPGリプレイ【トワズ・ザ・ナイトメア・アフター・クリスマス】
ドーモ、三宅つのです。これはしかな=サンのソロシナリオ案「キャッチ・ザ・フライング・カリブー」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意ください。
クリスマスなのでやってみましょう。作成したてのニンジャで遊ぶことが想定されていますが、せっかくなので彼を出します。
◆レオパルド(種別:ニンジャ)
カラテ 6 体力 8
ニューロン 4 精神力 6
ワザマエ 5>7 脚力 4>5/E
ジツ 0 万札 53>0
DKK 2 名声 5
攻撃/射撃/機先/電脳 6/ 7/ 4/ 4
回避/精密/側転/発動 7/ 7/ 9/ 0
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:3
◇装備や所持品
◆**クロー・オブ・レオパルド(ブレーサー+アサシンダガー)**
精神力と緊急回避+1、側転+2、スロット1、側転難易度+1(タツジンで相殺)
◆パーソナルメンポ:精神力と緊急回避+1
◆防寒具(タクティカルスーツ):体力+1
◆ニンジャレガース:体力と緊急回避+1、脚力ダメージ軽減1
◆オーガニック・スシ:体力3回復(使い切り)
◇ジツやスキル
◉◉タツジン:アサシネイト・ドー アサシンダガー装備時の側転難易度-1
●戦闘スタイル
強化フェイント イニシアチブが自分より低い敵だけを攻撃する時、
このフェイズ中に攻撃する敵全てを「崩れ状態」とみなす(攻撃・射撃難易度-1)
カラテ・ワザマエどちらでも攻撃判定でき、出目66で殺伐、665+でナムアミダブツ
手術刀の一撃 痛打・弾き飛ばし発生せず、ワザやヒサツ・ワザ派生不可
ワザマエで攻撃判定し、出目66で殺伐、665+でナムアミダブツ
敵がイニシアチブ1か崩れ状態なら殺伐出目2から5のうち任意で選択
捨て身の滅多突き 2ターン連続使用不可、標的1体固定
連続攻撃を+2する 敵がイニシアチブ1か崩れ状態なら連続攻撃+3
カラテ・ワザマエどちらでも攻撃判定でき、出目66で殺伐、665+でナムアミダブツ
フェイズ終了時点で敵を体力0以下にできていない場合、次の手番開始まで受動的行動不可
●ワザ:シグナルロスト 近接攻撃で出目66が出た場合に発動可
殺伐出目2(頭部痛打)とし、命中した場合イニシアチブをさらに-1する
◉常人の三倍の脚力:脚力+1、側転難易度-1
●連射2
○生い立ち:凶悪指名手配犯 DKK+2
◉知識:犯罪、セキュリティ
◉交渉:威圧
能力値合計:15>17
ニューロンはやや低めですが、なかなか手練れに成長しましたね。時系列上は2034年のクリスマスの後、年末です。では、始めます。
◇◇◇
ダンゴウ
ドサンコ・ウェイストランド、サッポロ・コロニー。ネオサイタマからこの地に研修のため派遣されたソウカイニンジャ、レオパルドは、ニンジャとなって初めての年末を迎えようとしていた。数日前のクリスマス・イヴのイクサにより、彼は相当に鍛え上げられ、カラテもソンケイも高まっていた。
「シューッ……!」ソウカイヤ・ドサンコ支部のトレーニングフロア。全身にカラテをみなぎらせ、汗の蒸気をドラゴンめいて立ち昇らせながら、レオパルドは木人相手の鍛錬を終えた。木人はズタズタに斬り裂かれ、急所を滅多突きにされている。まるでドサンコ・グリズリーに襲われたようだ。
外は吹雪だ。クリスマスが過ぎても、ドームで覆われたコロニー中心部のストリートには、きらびやかなネオン・イルミネーション、賑やかな商業的ミュージック、昂揚した表情で腕を組んで歩くカップルが満ち溢れている。だがニンジャとなったレオパルドにとっては、そのどれもが遠く思えた。
否、それはマケグミでスラッシャーだった頃から同じだ。支部長のベアハンターに連れられて繁華街を飲み歩き、オイランたちを侍らせても、どこか虚しく、うつろだった。「寂しい冬な……実際安い……」レオパルドは感傷に満ちた表情で、ハイクを詠もうとした。その時。「ドーモ、コンバンワ」
背後から声。若い女の声。レオパルドはギクリとした。先程のつぶやきを聴かれていたか。そしてここにいるからには、ニンジャに違いない!彼はゆっくりと振り向いた。そこにいたのは、身の丈に合わぬブカブカのミリタリーコートを纏った小柄な少女だ。「ソウカイヤ所属、オーキッドです」
◆オーキッド(種別:ニンジャ)
カラテ 3 体力 4
ニューロン 6 精神力 6
ワザマエ 6 脚力 3/H
ジツ 2 万札 10
攻撃/射撃/機先/電脳 3/ 6/ 6/ 6
回避/精密/側転/発動 6/ 6/ 6/ 8
即応ダイス:3 緊急回避ダイス:0
◇装備や所持品
◆ヒートナイフ(ヒートカタナ扱い)
1+火炎1ダメージ、連続攻撃上限2 装備時側転難易度+1
●戦闘スタイル:精密攻撃 ワザマエで攻撃判定、痛打無効
出目666で殺伐、6666でナムアミダブツ
◆ショットガン:射撃、ダメージ2 装備時側転難易度+1
●射撃スタイル:ショットガン接射 隣接敵1体に難易度+2で射撃
出目66で2マス弾き飛ばし 666で痛打+1、回避H、4マス弾き飛ばし
◆防寒ミリタリーコート(タクティカルスーツ):体力+1
◆オーガニック・スシ:体力3回復(使い切り)
◇ジツやスキル
☆ヘンゲヨーカイ・ジツLV2:カラテ+3、脚力+2(2ターン)
○生い立ち:危険生物ハンター
◉憎悪:危険生物 危険生物への攻撃・射撃+1
◉知識:危険生物
能力値合計:19
「ドーモ、レオパルドです」鷹揚にアイサツを返す。見るからに年下だし、カラテは自分ほどでもない。「何の用だ」彼女は即答した。「付き合って下さい」「ア?」レオパルドは眉根を寄せた。無愛想な表情だがカワイイな顔つき。ティーンの少女は趣味ではないが、ついに春が来たというのか?
「……構わんが」「よかった。じゃあ、トナカイ狩りに行きましょう」オーキッドは無表情に言い放ち、踵を返した。レオパルドはずっこけながらも、鼻を鳴らして凄んだ。ナメられても良くない。「待てやコラ!トナカイ狩りだと!?説明しろ!」「ついてきてください」オーキッドは歩き出す。
レオパルドはタオルで汗を拭き、ニンジャ装束に着替えながら、IRC端末で上司のベアハンターに連絡する。「モシモシ!なんかいきなりオーキッドとかいうガキが来て、トナカイ狩りに誘われたんスけど!」『ハァ?……ああ、オーキッド=サンか。確かにウチの支部にいる。危険生物ハンターだ』
「ハンター?」『無表情で口数が少なくて、何を考えてるかわからんが、腕は確かだ。ドサンコ支部ではお前よりセンパイだぞ』「アッハイ」『たぶんお前の腕を買われて気に入られたんだろう。付き合ってやれ。それに彼女はカワイイだろ?』「アッハイ……」「そういうわけで、行ってきます」
オーキッドは突然レオパルドの後ろに現れ、IRC端末越しにベアハンターにアイサツした。「アイエッ!?」『ああ、気をつけてな』ベアハンターは鷹揚に答え、通信を切った。どうやら行くしかなさそうだ。ここで一人寂しく鍛錬に励むより、美少女ニンジャと一緒に行動した方が遥かに良かろう。
「それじゃあまあ、ヨロシクオネガイシマス」「ヨロシクオネガイシマス」二人は改めてアイサツし、トレーニングフロアを後にした。
トナカイ・ストリート
サッポロ・コロニー、トナカイ・ストリート。オーキッドは人通りの多いこの通りで立ち止まった。「このあたりで目撃情報がある」レオパルドは首を傾げた。「こんな街なかに、トナカイが?コロニーの外じゃあなく?」「うるさい」「アッハイ」「ただのトナカイじゃない。空を飛ぶやつ」
オーキッドは真顔でそう告げた。「サンタクロースの橇を牽くやつかァ?クリスマスは数日前に過ぎてるぜ」「うるさい」「ハイ」童話を信じるほど純真な少女にも見えない。だがレオパルド自身もクリスマス・イヴに不思議な体験をしているし、何かニンジャ絡みの案件かも知れない。その時。
「ウェーイ!」「キミ、カワイイネ!なにしてんの?」「そんなやつほっといて、オレらと遊ばない?」ナムサン!唐突に絡んできたのはアルコールに浮かれたと思しき無軌道大学生たちだ!見た目からして判断力が鈍っていると考えて間違いない。不愉快なのでカラテをお見舞いしてやろう!
「邪魔」オーキッドは振り払おうとするが、相手はかなり体格の大きなジョックたちだ。巧みに彼女をレオパルドから引き離し、肩や腰に手を回す。そのまま近くに停めてある前後ワゴンへ運び去ろうと「イヤーッ!」KRASH!「アバーッ!」ムカついたレオパルドの裏拳がジョックの顔面を砕く!
「テメエら、ヤクザのスケにコナかけてタダで済むと思ってンのか?ア?」レオパルドは不穏なアトモスフィアを立ち昇らせ、ゴキゴキと拳や首を鳴らして凄む!「アイエエ!?」「ヤクザ!?」「スミマセン!」無軌道大学生たちは一斉にハンズアップ!「ドゲザしろコラー!」「「「ハイ!」」」
無軌道大学生たちは道路にドゲザし、財布を差し出した。「「「ドーモスミマセン!」」」「ケッ、これで勘弁しといてやる。消えろ」「「「ハイヨロコンデー!」」」彼らは失禁しながら這々の体で逃げ出した。「ドーモ、アリガトゴザイマシタ。あなたのスケになった覚えはないけど」「方便だ」
路地裏
数十分後。二人は「空を飛ぶトナカイ」の情報を聞き込み等で集めながらストリートの路地裏に足を踏み入れた。ここはドームの外で極寒だが、ニンジャ耐久力と防寒具があれば耐えられる。「空を飛んでるなら足跡も見つからねえな」「においとアトモスフィアを感じる。このあたり」その時!
「アイエエエ!」BOOOM!スノーモービルが目の前に飛び出した!乗っているのはヤクザめいた身なりの男で、後生大事そうに小さなカバンを抱えている!「マテッコラー!ドロボウメー!」別のヤクザが彼を追って路地裏から飛び出すが、こちらは徒歩だ!このままでは逃げられてしまう!
「イヤーッ!」レオパルドは振り向きざまにスリケンを二枚投擲!スノーモービルヤクザの背中に突き刺さる!「アバーッ!」KRASH!ヤクザはたまらずスノーモービルごと転倒!「や、ヤッタ!」「アリガトゴザイマス!」裏路地から駆けつけたヤクザたちがレオパルドにオジギし、相手を捕縛する。
「何事だ」問いながらクロスカタナ紋のバッジを見せると、ヤクザたちは恐れ入ってオジギした。「ど、ドーモ。こいつがクランのカネやトロ粉末を盗んで逃げやがったんで……お見苦しいところを」「どうでもいい。手間賃を寄越せ」「ハイヨロコンデー!」ヤクザたちはトロ粉末を差し出した。
「先を急ごう」オーキッドが苛立つ。「まあ待て。お前ら、空飛ぶトナカイの噂を知らねえか」レオパルドが問いかけると、ヤクザたちは顔を見合わせた。「サンタクロースの?」「クリスマスはもう終わりましたぜ」「知らないか。ならいい、忘れろ」レオパルドは気恥ずかしくなり、踵を返した。
……その時だ。
???
『ロウオオオーーーーン!』突如、夜の闇から咆哮が轟く!上だ!上空から雪とともに、何か巨大な質量が振ってくる!「うおおおッ!?」レオパルドはニンジャ第六感でとっさに察知し前転回避!だが!KRAAAAAAAAAASH!「「「アバババーッ!」」」ヤクザたちは巨大質量に押し潰されて即死!
「ンアーッ!」近くにいたオーキッドも巻き添えを食ってふっとばされる!『GRRRRRRR……!』おお、ナムアミダブツ!そこにいたのは悪魔じみた巨大な角を持つ……トナカイである!『AAARGHHHHH!』
◆フライング・カリブー(種別:危険生物/超常存在)
カラテ 8 体力 10
ニューロン 2 精神力 2
ワザマエ 4 脚力 6(飛行)
ジツ - 万札 10
攻撃/射撃/機先/電脳 8/ -/ 2/ -
◇装備や特記事項
●巨大な角:ダメージ2、攻撃/回避H
●連続攻撃2
◉突撃:脚力の2倍移動し直後の攻撃に痛打+1
◉頑強な肉体:体力+2
◉轢殺攻撃1
◉即死耐性
能力値合計:14
「出やがったな!」異様な存在だが、少なくとも……ニンジャではない!ならばアイサツは必要なし!「手加減無用!行くぞ、オーキッド=サン!」「狩る!」一触即発アトモスフィア!
戦闘開始
1ターン目
「TAKE THIS!」BLAMN!オーキッドは距離を取って体勢を立て直し、ショットガンでトナカイを撃つ!『AAAARGHHH!』命中!トナカイは超自然的な悍ましい悲鳴を上げて悶える!コワイ!「いいぞ!イヤーッ!」レオパルドは俊敏な豹のように飛びかかり、ダイヤモンドチタン製クローを振るう!
SLAASH!『AAAARGHHHH!』ナムアミダブツ!クローがトナカイの前脚を大きく傷つけた!よろめくトナカイ!「へっ、所詮は非ニンジャ!ニンジャ二人なら充分勝てるぜ!」レオパルドは勝利を確信する!『ロウ……ロウオオオーーーン!』トナカイは苦しげに叫び、巨大な角を振り立てる!
トナカイは……飛んだ!全身から謎めいた蛍光緑色の01を撒き散らしながら、天高く飛び上がったのだ!「え」『ゴアオオオオオン!』そのまま稲妻めいてオーキッドへ飛びかかり……押しつぶす!KRAAAAAAAAAAASH!「ンアアアアーッ!」ナムアミダブツ!オーキッドは重傷を負い倒れた!
ニンジャ耐久力でなんとか爆発四散はこらえたが、全くの無防備!カイシャクされればそのまま死ぬ!「お、オーキッド=サン!」「チクショ……!不覚……!」なんたる攻撃力!「く、クソッタレ!だが……俺がこいつを仕留めりゃあ済むってこったな!」レオパルドは覚悟を決める!
2ターン目
「イイイ……イイイヤァアアアーーーーッ!」レオパルドは全身のカラテを振り絞り、ダイヤモンドチタン製クローを振りかざす!狙うは……心臓だ!SMAAASH!『アババババーッ!』ナムアミダブツ!ゴウランガ!彼の研ぎ澄まされた一撃が、あやまたず凶暴なトナカイの心臓を貫いた!
レオパルドの、彼のニンジャソウルの、狩猟者としての本能が……鍛え抜かれた戦闘技術が、鈍重な敵を見事に仕留めたのだ。『ロウオオオーーーン……!』空飛ぶトナカイは断末魔の咆哮をあげ、どくどくと赤緑色の血液を撒き散らし、横ざまに崩れ落ちた。「シューッ……!」ザンシン!
戦闘終了
エピローグ
「う……」オーキッドはどうにか身を起こし、懐のスシを取り出した。ニンジャならば、スシを食えば少々の負傷はすぐに癒える。「カイシャクするかよ、オーキッド=サン」レオパルドはクローを振って血を道路に散らした。「……ちょっと、待ってて」オーキッドはよろめきながら立ち上がる。
だが、その時。『ロウオオオーーーーン……!』おお、見よ!上空から声とともに光が差し、斃れたトナカイを照らし出したではないか!トナカイの肉体は01に分解しながら、光に吸い込まれていく……!『モータルたちよ……このトナカイは、我が手の間より漏れ落ちたもの……返してもらうぞ……』
超自然的な声が空から響く。見上げると、巨大なトナカイのシルエットが雲間に垣間見えた。『ドーモ……トナカイ・ニンジャ……です……』
「ど、ドーモ、レオパルドです」「オーキッド……です……ムン」オーキッドは圧倒的なニンジャ存在感を浴び、再び昏倒した。トナカイ・ニンジャの影はやがて雲間に消え、満天の星空が頭上に戻った。レオパルドは呆然と空を眺めている。「何だったんだ……ああっと」彼は正気に戻り、地面を見た。
彼女をこのままにしてはおけない。彼はベアハンターに連絡すると、オーキッドを担ぎ上げてその場を後にした。残されたのはヤクザたちの惨殺死体と、大量の血液だけだ。……空飛ぶトナカイは、実在した。だが、仕留めて持ち帰ることはできなかった。結果としてはそうなる。それでよかろう。
……あのトナカイ・ニンジャを、敵に回すよりは。
【トワズ・ザ・ナイトメア・アフター・クリスマス】終わり
リザルトな