【今回のあらすじ】三宅つの、戦いを終える。
(薄っすらと目が開く。隣の壁に身を寄せ、脇腹から血を流しているのは……彼だ。この出血量では……。)
……よお、生きてたか。おれは……どうだろうな。ちょっと、胸ポケットのタバコ、出してくれ。ああ、すまねえな……。……………フーッ……うめえ。ハァ……ゴボッ。
そうだな……あと三つ、やらなきゃな……。せめてそれぐらい、やらねえとな……。かっこ悪くて、あの世に行けねえぜ……。
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(前回までのまとめまとめマガジンは2019/1/4に解体しました。ご了承下さい。なお、彼は解説中はピンピンしてます。)
(つのの作品をいくつかピックアップして頂きました。心より感謝します。まだありましたらお知らせ下さい。上のマガジンにもまとめました。)
【next】逆噴射小説大賞 イルカ的PU【space】 │ きょくなみイルカ
https://note.mu/42space/n/n28073773ba7a
逆噴射プラクティス=マガジン │ 太間雷角斉
https://note.mu/not_ikakusai/m/m5a001d0db530
【収集用】逆噴射相撲教習所マガジン │ お望月さん
https://note.mu/ubmzh/m/mcc4897c8da4a
【餅】「逆噴射小説大賞私的ピックアップ」DAY7-DAY10(2018.OCT.14-17) │ お望月さん
https://note.mu/ubmzh/n/ne67e7408bb6f?magazine_key=ma711cb582cdc
【餅】「逆噴射小説大賞私的ピックアップ」DAY14-DAY20(2018.OCT.21-27) │ お望月さん
https://note.mu/ubmzh/n/ndc030f37d316
【ピックアップ】よりぬき逆噴射小説大賞 恐怖の章 │ azitarou (11/6追加) https://note.mu/azitarou0/n/n82f3097991bd
【ピックアップ】よりぬき逆噴射小説大賞 異界の章 │ azitarou (11/7追加) https://note.mu/azitarou0/n/nc5f5141a6ee7
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十九発目。
ヒャッハ!ヒャッハ!
異世界ファンタジーにマッドマックスかジードめいた凶悪な暴走族をブチ込んだ。ただそのままだと整備とかリアルな問題がアレだと思い、魔術によって力づくで解決した。
ボウソウィ族。やつらは異界から来て魔術と暴力を振るう恐るべき蛮族だ。タタール人がタルタロス(地獄)からまさに来たような、ゴグとマゴグのような連中だ。ドラスタルとはブルガリアの町シリストラで、鉄門とはルーマニアとセルビアの国境、カルパチア山脈をドナウ川が貫く渓谷だ。そういう東欧のイメージがある。コーカサス山脈のデルベントや中央アジアの方の鉄門のイメージも含めた。凶暴な遊牧民が魔界のパワーで門をぶち破り、攻め込んで来るのだ。秋山好古はガラス窓を拳でぶち破って血塗れの拳を見せ、「騎兵とはこれだ」と言ったという。高い攻撃力と低い防御力。だがこいつらはチート魔術があるので矢を防ぐ。ヤバイ。
虹色のモヒカンは彼なりのおしゃれなので「#美しい髪」タグをつけた。遊牧民の辮髪のようなものだろう。
もとのイメージは、かつて『ニューロマンサー』シリーズを読んだ時、黒丸尚ほんやく繋がりで読んだゼラズニイの『地獄に堕ちた者ディルヴィシュ』だ。しかしそのままだとそのまま過ぎ、胡乱さも足りない。で、むかし2chの世界史板に「暴走族VSローマ歩兵」という素敵なスレがあった。そことYouTubeで見た『北斗の拳』1話から凶悪な暴走族概念を借りてきて足した。馬はあったが「モンスターマシン・バイク」が足りなかったので、うまくいった。なおこの世界にエールッフ帝国があるかどうかは判然としない。あってもいいし、別の世界でもいい。クロスオーバーさせてもいい。
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二十発目。
異世界ファンタジーに力士をブチ込んだ。とはいえ「力鬼士」は神聖なスモトリではなく、ゴブリンやトロールやゾンビめいた異形の怪物で、むしろバイオスモトリに近い。たぶんボウソウィ族に近い領域の異界から来たのだろう。もとはゴブリンのつもりだったが、そのまま過ぎるのでオスモウ成分を足した。うまくいった。
体が土で構成され、大地から出現するのできっと種族は地霊だ。二身合体でアーシーズになる。土俵上の力士が大地の霊(ゲニウス・ロキ)と合一することは言うまでもない。力鬼士にはスコップとヘッドショットが有効だ。うまくエイミングして土に還してやれ。上位種はアースクエイク・シコとか使ってきそうだが、「アポカリキシ・クエイク」のあいつらは威霊かなんかだろう。(メガテニスト脳)
主人公である元傭兵のデリックは、女房と店を持つ引退した戦士で、今では地元の揉め事解決などを頼まれる男のようだ。長老や兵士らも手を出さないような案件に、彼は義理人情と侠気で首を突っ込み、知恵と人間性とカラテでなんとか解決して戻ってくる。タフな男だ。ガンドーのような私立探偵に近い。シリーズもののひとつということは、この話で彼が死ぬことはあるまいが、ソフィアの父親はどうだろう。力鬼士は実在したが、財宝はどうか?ひょっとしたら「土俵には金が埋まっている」というミームが異界で変質したのかも知れない。
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二十一発目。
金枝篇と姥捨山のクロスだ。森に追放されて中世欧州でいう「狼人間」となった連中が、狂った閉鎖環境で「王」を立てている。象徴としてなのか、共同体内での殺人の抑制としてか。いろんな理由があるだろう。誰もなりたくないような王に、それでもなろうとするやつがいる。なんのために?
人が死ぬのは間違いないが、狂人のバトルロイヤルになるのか、疑心暗鬼でサイコホラーになるのか、それとも群衆を煽動して国盗り物語になるのか。西半球の逃亡奴隷(マルーン)が築いた独立共同体「キロンボ」のイメージも混ぜた。ハイチでは彼らによって革命が起きたが、ここではどうか。
エッテクルッバとは「古代北欧で口減らしのため崖下に落とした老人を叩き殺すための棍棒」という物騒なコトダマだが、実在したかどうかわからないらしい。でもコトダマとして存在した以上、おれの中ではアリになったのでつけた。これはこれで北欧神話ネームだ。
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……以上だ。じゃあ、な。
(タバコの火が消える)
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【El fin】
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