忍殺TRPGリプレイ【トゥ・プエデス・ヴェニル・ア・ミ・カサ】02
前回のあらすじ:ネオサイタマ、キララ・ストリートをねぐらとする女ニンジャ・ツインテイルズのもとにトラブルが舞い込んだ。巨大な黒猫が率いる野良猫の集団が、近隣から難民として追い込まれて来たというのだ。放置すれば縄張りが荒らされ、治安が悪化してうまくない。捜索し、交渉せよ!
◆
やがて猫たちの足跡は、地下下水道へ降りていく。ネオサイタマの地下に広がる広大な迷宮だ。地上とは異なる縄張りや生態系が構築されており、そこに住み着いて自活するだけなら問題はないが、地上のシマも荒らされてはこちらが困る。地域社会の顔役にアイサツもしないのはシツレイである。
「GRRRRR……!」「GRRRRR……!」下水道の奥には横道があり、大型の野良猫たちが見張りをしている。「ドーモ」ツインテイルズは進み出てオジギした。礼儀は大事だ。「私はキララ・ストリートの野良猫たちの長、ツインテイルズ。ここのオヤブンにアイサツに来たの。手土産にマタタビも……」
見張りの猫たちはコマイヌめいて吠え猛り、通そうとしない。言葉は通じているのかも知れないが、追い立てられて気が立っているのだ。よく見れば肉体には新しい傷跡もある。「通してくれや。オヤブンに恥かかす気か?」キルトゥースは凄むが、彼の言葉は猫たちには通じぬ!一触即発!
「手出し無用ニャ……」ツインテイルズは進み出て、マタタビ入りの手巻きハッパをくわえ、吸い、「スゥーッ……」煙を吹きかける!「ニャーッ!」BOOOM!レッサー・ゼゲン・ジツだ!「「MEOWARGHHH!」」見張り猫たちはマタタビとハッパのにおいにやられ、腹出し降参!ニャムサン!
「どんなもんニャ!」ツインテイルズは勝ち誇る。見張り猫たちは白目をむき、あぶくを吹いてぐったりしている。「口臭がヤバかったんじゃねェか」「シツレイニャ!」「じゃ、行くぞ」3人は見張り猫たちを脇へ寄せ、いよいよ謎の巨大黒猫たちのアジトへと潜入する!カラダニキヲツケテネ!
???
下水道の横道をさらに奥へ進むと、やがて大広間に出た。そこには無数の廃棄コンテナが積み上げられ、その上からは何十匹もの猫が光る目でこちらを見下ろしている。広間の中心には黒い毛皮に覆われた巨大な猫が鎮座し、知性を宿した輝く目で尊大にこちらを見た。そしてアイサツした。
『ドーモ。我はこの群れの長、バンゴローです』
◆バンゴロー(種別:ニンジャ/危険生物)
カラテ 8 体力 14
ニューロン 4 精神力 4
ワザマエ 4 脚力 5/N
ジツ 4 万札 10
攻撃/射撃/機先/電脳 8/ 4/ 4/ -
回避/精密/側転/発動 7/ 4/ 4/ 8
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:0
◇装備や所持品
△ネコの爪牙:ダメージ2
△ネコの下半身:3マス以内の好きな地点へ一直線に飛行移動
そこに敵がいれば轢殺1を与えて押しのけ、難易度+1で攻撃可能
◇ジツやスキル
☆ヤマネコ・ニンジャアニマル、ジツLV4
◉頑強なる肉体:体力+2
★◉異常巨体:体力+4、回避ダイス-1、側転難易度+1
◉即死耐性
◉常人の三倍の脚力:脚力+1、側転難易度-1
◉疾駆:通常・全力移動マス+2
●連続攻撃2
●脆弱性:火炎(精神力2)
能力値合計:24
彼……あるいは彼女の意志の声は、3人には伝わる。ニンジャなのだ。そしてアイサツされれば、ニンジャはアイサツを返さねばならない。「ドーモ、私はキララ・ストリートの野良猫たちの長、ツインテイルズです」「護衛のキルトゥースです」「同じく、シャープフィンガーです」『何用か?』
バンゴローは尊大に問うた。『マタタビのにおいがするぞ。我らに貢ぎ物を差し出し、服属しに来たのか?』「ええと……手土産は持って来たけど、服属しに来たわけじゃないニャ。あんたたち、よそからハイデッカーに追われて来たんでしょ? じゃあ、対等の共闘関係を結ぼうと思って……」
『まずはマタタビだ』「ニャッハイ」ツインテイルズはポケットからマタタビを取り出した。『それを持って我が足元にひれ伏し、忠誠を誓うがよい。そうすれば貴様らを庇護してやる』「……それは、できないニャ。ここはもともと私たちの縄張りで」『ならば、戦って屈服させる。異存はないな』
バンゴローは交渉に乗ろうとしない。野生の本能と、ニンジャソウル憑依によって自我を肥大化させているのだ。「……どうする」「……やるしかないなら、やるしかないニャ!」一触即発アトモスフィア!
戦闘開始
1ターン目
「TAKE THIS!」BLAMBLAM!シャープフィンガーはLAN直結型ハンドガンを論理射撃!『グワーッ!』バンゴローは躱しきれず命中!「スキアリ!」ツインテイルズは接近して手巻きのハッパを吸い、巨大黒猫の顔面に煙を吹き付ける!「ニャーッ!」BOOOM!『グワーッ!』バンゴローは悶絶!
「TAKE THIS!」BLAMBLAM!キルトゥースも論理射撃!だがバンゴローは野生の直感で銃弾を躱す!『許さん!死ねーッ!』巨大な腕を振り上げ、ツインテイルズへ振り下ろす!アブナイ!どくん……ツインテイルズはアドレナリンを過剰分泌し、「イヤーッ!」紙一重でブリッジ回避!ワザマエ!
バンゴローの率いる群れは、ニンジャ同士の恐るべきイクサに介入することなく、じっと見守っている。ウカツに手出しすればネギトロであろうし、バンゴローも手出しを許しはすまい。3対1、勝負の行方は、果たして!
2ターン目
「イヤーッ!」シャープフィンガーはツインテイルズをかばいつつ、バンゴローの懐に飛び込みカラテ!SMASH!『グワーッ!』命中!だが頑強な巨体にはさほど通じぬ!「ハァーッ、ハァーッ!ちょっと待ってて!」ツインテイルズは目を血走らせ、懐からトロ粉末を取り出してSNIFF!遥かに良い!
「イヤーッ!」キルトゥースはバンゴローへトビゲリ!『ニャめるな!イヤーッ!』バンゴローは苦悶しながら対空ポムポムパンチで迎撃!SMASH!「グワーッ!」『グワーッ!』両者にダメージ!だが体格の差でキルトゥースの方がダメージは大きい!このままでは押し切られかねぬ!「クソッ!」
3ターン目
「イヤーッ!」シャープフィンガーのカラテ!『イヤーッ!』バンゴローは跳躍回避!ツインテイルズは……フエを取り出し、思い切り吹き鳴らした!ピィイイイーーーッ!その音色はバンゴロー率いる猫の群れをざわめかせ、まっしぐらに呼び集める!これがネコ・スウォーム・ジツだ!『ヌウッ?』
「スキアリ!イヤーッ!」キルトゥースは渾身のトビゲリ!『イヤーッ!』バンゴローは紙一重で跳躍回避し、ツインテイルズへ飛びかかる!アブナイ!どくん……キルトゥースはアドレナリンを過剰分泌し、ツインテイルズを引っ張りかばう!「イヤーッ!」迎撃のキック!SMASH!『グワーッ!』
「ハァ、ハァ……まだやるか!」『GRRRR……!』バンゴローは怒り狂って喉を鳴らす!だがこのまま戦えば、誰かが殺されかねぬ!そうなれば……!「マッタ!」ツインテイルズがマッタをかけた。「ここまでにしよう。私はあなたと交渉して、共闘を持ちかけに来ただけ。命の取り合いはしない!」
???
ツインテイルズはバンゴローの目をじっと見つめ、ジツの力も借りて必死で説得する。周囲ではバンゴローの群れの猫たちが座り込み、じっと見守っている。キルトゥースとシャープフィンガーはカラテを構えて威嚇する。やがて……バンゴローは怒りを鎮め、うなずいた。『よかろう。ここまでだ』
戦闘終了
エピローグ
単独で3人のニンジャと対等に渡り合ったことで、バンゴローのメンツは守られた。とはいえこれ以上戦えば、双方に無視できぬ被害が生じ、怨恨が生まれる。それは、うまくない。力で屈服させるだけではハイデッカーたちと同じだ。対等に共闘関係を結び、ともに外敵と戦うのが一番良い。
バンゴローは部下にスシを持ってこさせる。互いに負傷を回復させねば。「わかってくれてよかったニャ。じゃあ、マタタビ・パーティーしよう!」ツインテイルズはマタタビをばらまき、フエを吹いて踊りだす。つられて周囲の猫たちやバンゴローも踊りだした。少年ニンジャたちも踊りだす。
不思議な音色とダンス、マタタビとハッパのにおいが、野良猫たちの気持ちを解きほぐした。……かくして両者は共闘関係を結び、バンゴローたちは地下下水道にねぐらを得るかわり、互いのシマには干渉・侵略しないことが取り決められた。そして外敵に対しては一致団結して戦うことも。
しかし、問題はこれで解決したわけではない。ハイデッカーたちは周囲の浄化作戦を継続しており、キララ・ストリートには難民が押し寄せている。いずれストリートは包囲され、囲んで棒で叩かれるだろう。そうなれば地上の民は、バンゴローのシマである地下下水道に避難することになる。
内外に緊張関係を孕みつつ、ともあれ両者の和解は成った。混沌の魔都ネオサイタマの片隅で暮らす野良猫たちに、安住の地はあるのだろうか……。
【トゥ・プエデス・ヴェニル・ア・ミ・カサ】終わり
リザルトニャ
つのにサポートすると、あなたには非常な幸福が舞い込みます。数種類のリアクションコメントも表示されます。