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アポカリキシ・クエイク
「あれは、ただの地震ではない。『釈迦ヶ嶽雲右衛門』がロサンゼルスに現れたのだ」
谷松と名乗った老人は、そう、ぼくに告げた。
「………一応は知ってますけど、あれですか? あの大惨事が、その、江戸時代の力士によって?」
ぼくは彼の正気を疑った。そんなニュースは当然、どこにも見当たらない。
「そうだ。彼らは『見えない』。普通の人にはな。大地のエネルギーを感じ取れ……」
「帰って下さい! うちは仏教です!」
その時だった。地震が来たのは。
ごおおおおお・・・・ぐらっ、ぐらぐらぐらっ、ごごごごご・・・・・!!
ばりばりばりばり・・・・・ずずずずずずず・・・・みしみしみしっ・・・・!!
谷松は手から光り輝く力場を発し、ぼくをその中に包み込んだ。地震から守る、というだけじゃない。見えた。南海トラフの奥底から、巨大な力士が身をもたげた。そのビジョンが。
「見えただろう。そして、あれが『雷電』だ」
谷松はそう告げた。目に涙があった。
【続く】
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