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忍殺TRPGリプレイ【ハイド・アンド・アタック】01

邦題:隠忍攻撃(Hide and Attack)

 ドーモ、三宅つのです。これはとくなが=サンのシナリオ案「シーク・ザ・ミッシング・リンク」および原作小説「レプリカ・ミッシング・リンク」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意ください。

 オイランドロイドボディで復活したニューロチップ再生者ユンコ・スズキを巡り、追手となったり追手と戦ったりするシナリオです。元シナリオではニチョーム所属の善良ニンジャがアマクダリに反抗しますが、今回はソウカイ・シンジケートが動きます。挑むのはこのチームです。

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◆ボーンピッカー(種別:ニンジャ)
カラテ       6    体力        6
ニューロン    11    精神力      10
ワザマエ      6>8  脚力        4>5/E
ジツ        0    万札       26>1
DKK       3    名声       10

攻撃/射撃/機先/電脳  6/13/13/15
回避/精密/側転/発動 12/12/10/ 0
即応ダイス:4  緊急回避ダイス:1

◇装備や所持品
▶▶生体LAN端子LV2:ニューロン判定ダイス+4、イニシアチブ+2
▶▶サイバネアイLV2:ワザマエ判定ダイス+2
 ワザマエによる射撃ダイス+4、ワザマエ以外を用いれば+2
●過剰サイバネ(4個):精神力-1

◆LAN直結型ハンドガン:連射2、時間差・マルチターゲット可
 ●射撃スタイル・論理トリガ(集中時):ニューロンで射撃判定
  時間差・マルチターゲット使用可能
◆テック・ガントレット:射撃ダイス&緊急回避ダイス+1
◆伝統的ニンジャ装束:回避ダイス+1
◆軍用サイバーサングラス:射撃ダイス&イニシアチブ+1
◆トロ粉末:精神力2回復(使い切り)

◇ジツやスキル
◉◉タツジン:ミリタリーカラテ
 装備銃器が基本射撃難易度HARD以上であれば射撃難易度-1
 拳銃・二挺拳銃・ライフル装備を「素手状態」とし、装備ペナルティ無視
 隣接した敵にも射撃可能
 ●移動スタイル:アサルト・タクティクス
  移動フェイズに通常移動しながらグレネードを1個まで瞬時使用可
 ●戦闘スタイル:オートマチック・ピストルカラテ
  カラテかワザマエで素手の近接攻撃を行う(ワザマエ使用時は殺伐なし)
  出目6で痛打+1 二挺拳銃装備時は攻撃難易度+1、連続攻撃+1
 ●ワザ:ロウレス・フロンティア ターン中1回まで
  回避出目66で迎撃発生時、迎撃を2ダメージ(回避HARD)とする

●時間差、マルチターゲット、連射2
◉常人の三倍の脚力:脚力+1、連続側転難易度-1
◉シャープシューター:集中射撃で射撃ダイス+3
◉ウィークポイント射撃:出目6が2つ以上ある射撃に痛打+1
 モータルが食らえばヘッドショットで即死
○生い立ち:サイバネ賞金稼ぎ 重サイバネの死体から万札+1、ボス級なら+5
◉知識:サイバネティクス、ストリートの流儀、ヤクザの流儀
◉交渉:駆け引き

能力値合計:23>25
 前回の冒険で万札25、名声1、余暇4日を獲得しました。名声が10に到達したのでワザマエの成長の壁を越えます。[64]=10>6=成功。「タツジン:ミリタリーカラテ」を2日と万札10で習得し、ワザマエを鍛錬して[621]=9>7=成功。残り万札1。せっかく生体LAN端子がLV2ですし、ハンドガンをもうひとつ買って二挺拳銃にしてもいいですね。なお2月のプラグインでサイバネアイがナーフされたので反映しておきます。

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◆マーダーシュトロム(種別:ニンジャ)
カラテ       6    体力        7
ニューロン     8>9  精神力       9>10
ワザマエ     10>12 脚力        5>6/N
ジツ        4    万札       35>5
DKK       3    名声       13

攻撃/射撃/機先/電脳  6/12/ 9/ 9
回避/精密/側転/発動 12/12/12/13
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:0

◇装備や所持品
▲▲戦闘用バイオサイバネLV1
 バイオ武器LV1(毒手、素手扱い):ダメージ1+毒属性ダメージ1
◆タクティカルスーツ:体力+1
◆トロ粉末:精神力2回復(使い切り)
◆オーガニック・スシ:体力3回復(使い切り)

◇ジツやスキル
☆ヒデリ・ニンジャクラン、ジツLV4
 ☆ヒデリ・ジツLV3:精神力1を消費、発動難易度NORMAL
  術者を中心とする5×5マスの範囲内に火炎属性ダメージ1(回避NORMAL)
  術者に隣接した敵は回避HARD 命中すると回避ダイスダメージ1
 ☆◉ヒデリ触媒:ジツ発動時、精神力1の代わりに即応ダイス1を消費可能
 ★ヒデリ連打:精神力2を消費してヒデリ・ジツを2連打(時間差、触媒可)

◉◉タツジン:ジュージツ
 近接攻撃回避判定難易度-1(素手・スリケン装備時のみ)
 ●ワザ:マウントタックル 出目66で発生、痛打+1、回避難易度HARD
  マウントをとった敵に対する残り連続攻撃は回避不能(殺伐発生せず)
 ●ワザ:フランケンシュタイナー 出目666で発生、殺伐出目2(頭部痛打)
  回避難易度HARD マウント状態に入る
 ●ワザ:受け流し 回避判定に出目66を含み迎撃を発生させた場合、
  1ダメージの代わりに回避不能の回避ダイスダメージ2を与える

●時間差、マルチターゲット、連射2
◉忠誠心:ソウカイヤ 精神力+1
○生い立ち:堕落マッポ 買い物時にトロ粉末を本来より万札1だけ安く購入できる
◉憎悪:NSPD/ハイデッカー
◉知識:犯罪、高級嗜好品
◉交渉:理路整然、駆け引き

能力値合計:32>35
 前回の冒険で万札25、名声1、余暇4日を獲得しました。カラテが足りませんが他の能力値は壁を超えているため、ワザマエを鍛錬しましょう。[625]=13>10=成功、[642]=12>11=成功。壁に達しました。ニューロンを鍛錬して[243]=9>8成功、残り万札8。オーガニック・スシを万札3で調達して、残りは5です。名声15になったらカラテの成長の壁を超えましょう。

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◆アズラーイール(種別:ニンジャ)
カラテ       6    体力        7
ニューロン     9    精神力       9
ワザマエ     11>12 脚力        7/E
ジツ        1    万札       60>42
DKK       0    名声       12

攻撃/射撃/機先/電脳  6/14/10/11
回避/精密/側転/発動 14/13/13/10
即応ダイス:4  緊急回避ダイス:1

◇装備や所持品
▶生体LAN端子LV1:ニューロン判定ダイス+2、イニシアチブ+1
▶サイバネアイLV1:ワザマエ判定ダイス+1
 ワザマエによる射撃ダイス+2、ワザマエ以外を用いれば+1
 ▷全方位監視アイ:回避ダイス+2
◆LAN直結型ハンドガン:連射2、時間差・マルチターゲット可
 ●射撃スタイル・論理トリガ(集中時):ニューロンで射撃判定
  時間差・マルチターゲット使用可能
◆タクティカルスーツ:体力+1
◆トロ粉末:精神力2回復(使い切り)

◇ジツやスキル
☆カナシバリ・ジツLV1
◉◉タツジン:ミリタリーカラテ
 装備銃器が基本射撃難易度HARD以上であれば射撃難易度-1
 拳銃・二挺拳銃・ライフル装備を「素手状態」とし、装備ペナルティ無視
 隣接した敵にも射撃可能
 ●移動スタイル:アサルト・タクティクス
  移動フェイズに通常移動しながらグレネードを1個まで瞬時使用可
 ●戦闘スタイル:オートマチック・ピストルカラテ
  カラテかワザマエで素手の近接攻撃を行う(ワザマエ使用時は殺伐なし)
  出目6で痛打+1 二挺拳銃装備時は攻撃難易度+1、連続攻撃+1
 ●ワザ:ロウレス・フロンティア ターン中1回まで
  回避出目66で迎撃発生時、迎撃を2ダメージ(回避HARD)とする

●時間差、マルチターゲット、連射2
◉常人の三倍の脚力:脚力+1、連続側転難易度-1
◉シャープシューター:集中射撃で射撃ダイス+3
◉ウィークポイント射撃:出目6が2つ以上ある射撃に痛打+1
 モータルが食らえばヘッドショットで即死
○生い立ち:キラーマシーン教育
◉知識:銃器、犯罪
◉交渉:超然
◇ザゼン鍛錬蓄積+1

能力値合計:28>29
 前回の冒険で万札25、名声1、余暇4日を獲得しましたが、両腕と頭部を損傷したため余暇2日と万札10を差っ引いて治療し、万札15と余暇2日です。もとの万札は多いのでワザマエ鍛錬蓄積1を使って鍛錬しましょう。[666]=18+1=19>11=成功、成長の壁に達しました。次はニューロンを鍛錬して[131]=5<9=失敗。万札18を消費。サイバネアイがナーフされたので反映しておきます。

 相変わらずカラテの壁を超えていませんが、ニューロンとワザマエは実際油断ならない数値になりました。では、始めます。

◆◆◆

 ネオサイタマ南部、渾崎地区ケオサキ・ディストリクト。ウシミツ・アワー。ネオサイタマ中心部から遠く、経済的ウマミの少ない辺境の地ではあるが、ここにもソウカイ・シンジケートの手は伸びている。駐屯するニンジャチームもそこそこ手練れだ。近くにはオナタカミ本社要塞が存在する。

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「……暇だね」「ああ」年が明けて2035年。そのニンジャチームは、暇を持て余していた。ウラシマにならぬよう時々交替でトコロザワ・ピラーなどへ向かい、報告書を提出したり情報収集したり、治療を受けたり鍛錬したり。それ以外は、年末のオムラ案件以来、特にこれと言った事件や命令はない。

「まあ、オナタカミ本社要塞へカチコミかけるわけにもいかねェしよ。あちらさんの出方次第ってことになるだろうぜ」ボーンピッカーはサイバネや銃を手入れしながら、アズラーイールとアジトでだべっている。「近頃、サイバネアイの調子が良くねえンだよな……」「僕も。磁気嵐の影響かな」

「さあな」アズラーイールはIRC端末をいじっている。「……あ、前に遭遇した傭兵ニンジャのアサシンケイブ=サンが死んだらしいよ。ソウカイ・ネットに出てる」「へえ。ナンデ」「ニンジャスレイヤーの仕業だって。まあ、インガオホーでしょ」「そうだな。チャメシ・インシデントだ」

 BEEEP。BEEEP。二人のIRC端末に通知音。巡回中のマーダーシュトロムからだ。何か異変があったらしい。

遭遇

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 少し前、路地裏。女ニンジャ・マーダーシュトロムは銃声や爆発音を聴きつけ、現場に急行していた。BRTTTTTTT!BRTTTTTT!KABOOOOM!「イヤーッ!」「ピガーッ!」KRASH!カラテシャウトと、電子マイコ音声による悲鳴!そしてニンジャアトモスフィア!何者かが戦闘を行っているのだ!

 路地裏の闇の中から、人が飛んできた!ワイヤーアクションじみてマーダーシュトロムの眼の前に!アブナイ!

回避判定、難易度HARD。[343641565163]成功。

「イヤーッ!」マーダーシュトロムは危なげなく回避!飛んできた人物は、そのまま柵を突き破り、黒く濁ったドブ川へ落下せんとす!アブナイ!

ワザマエ判定、難易度HARD。[511241525131]成功。

「イヤーッ!」マーダーシュトロムはとっさに飛び出し、空中で抱えて対岸へ!ワザマエ!「む、こいつは」姿かたちから見るに、10代後半のサイバーゴス。全身がサイバネ化され、半壊している。いや、オイランドロイドか。彼女は糸の切れたジョルリ人形めいて脱力し、バチバチと火花を散らす。

 少なくともニンジャではないが、左肩にはスリケン。間違いなくニンジャの仕業だ。「マテッコラー!」「スッゾコラー!」追手はクローンヤクザを率いているようだ。ソウカイニンジャが他にケオサキに来ているとは聞いていない。どこかの暗黒メガコーポか、ザイバツか。「ピガ……ピガガガガ」

 オイランドロイドはノイズめいた電子音を発している。ターコイズ色とクリーム色をした、LANケーブルのサイバーゴスヘアが風に揺れる。その肌は雪のように白い。マーダーシュトロムは色付きの風と化して複雑な路地を駆け抜け、廃ビルの一室に潜んだ。どうやら追手を撒けたようだ。

スシ……ヲ……クダサイ」オイランドロイドの喉の奥から、旧世代の電子マイコ音声が漏れた。そして震える右手で、マーダーシュトロムの腰のタッパーを指差す。そこにはオーガニック・スシが収められている。「スシが欲しいか」オイランドロイドにもスシを食べる機能はあるが、栄養にはしない。

「早く……エネジィ……ないです」彼女は、そうした機能を持つ高度なオイランドロイドなのか。あるいは重サイバネのサイバーゴスなのか。マーダーシュトロムは少し逡巡したのち、タマゴ・スシを取り出し、彼女の舌の上に置いてみた。……すると、オイランドロイドはスシを咀嚼し始めた。

「ウウウウウ……ウマーイ……」電子マイコ音声が鳴り、彼女の瞳に表示されたエネルギバーが微量回復する。非常に高度なエネルギー変換メカニズムが作動しているようだ。「なるほど。追われていたのはこのためか」オイランドロイドは更に言葉を続ける。「……トロ……ヲ…クダサイ!」

 まさかスシネタの好みがあるとは。マーダーシュトロムは、続けてトロ・スシを彼女に与える。「ウウウウウ……ウマーイ……」瞳に『セーフモード解除な』の文字が映り、生気を取り戻しつつある。機械に過ぎないオイランドロイドが生気というのも奇妙だが、そうとしか言いようがないのだ。

 その時!『ニンジャソウル感知!ニンジャソウル感知!』警報が鳴り、右目に「戦闘用」の漢字が出現!……しかし、すぐ漢字は「医療用」へと切り替わる。「ただちに医療行為しますね」オイランドロイドはマイコ回路由来のしなやかな動きでマーダーシュトロムの首に腕を絡ませた。そして。

「……ブッダ・ファック!」急に瞳を見開くと、腕を離した。まるで人間のような表情だ。「こ、ここは!?あなたは!?」「質問はひとつずつにしておけ」マーダーシュトロムは鼻を鳴らし、アイサツした。「ドーモ、マーダーシュトロムです。通りすがりだ。追手から救出し、スシを君に与えた」

交渉判定、難易度HARD。出目6は成功数2とする。「知識:高級嗜好品」「交渉:理路整然、駆け引き」で+3され15D6[121532435641225]5成功。

 彼女は困惑の表情を浮かべ、アイサツを返した。「ドーモ、私は……ユンコ・スズキです。アリガトゴザイマス」「いくつか質問させてもらおう。シツレイだが、君は……人間か?オイランドロイドか?」マーダーシュトロムの問いに、ユンコは怒りの表情を浮かべた。「私は人間!」「そうか」

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 独特な姿かたちをしているためPicrewでは再現しにくいですが、つの次元では仮のイメージとしてこうしてみました。

 マーダーシュトロムは恩を着せつつ、情報を引き出していく。ユンコはぽつぽつと事情を話す。彼女はカネモチ・ディストリクトに父親とともに暮らしていた無軌道大学生で、サイバーゴス。だが、ある日突然、父親が何者かに殺された。駆けつけたマッポはクソ野郎で、自分を逮捕しようとした。

 犯人に仕立て上げようというのだろうが身に覚えはない。必死で抵抗し、家にいたオイランドロイドが暴れている隙に逃げ出した。馴染みのサイバーゴスクラブに逃げ込んで知り合いと話をしたら、自分は半年前に死んでいるはずだと言われた。わけがわからない。マッポも追ってきて、そして。

「……私の体中からたくさん武器が出てきて、マッポを蹴散らし始めたの。身体が勝手に動いて、意識は怒りに塗り潰されて。でも、途中でニンジャが出てきて。怖くなって逃げ出して……後は、覚えていないわ」「なるほど。だいたいわかった」マーダーシュトロムは頷き、彼女の肩に手を置く。

 彼女は、物理的には全身機械だ。ニンジャソウルも、モータルの生身の肉体の温度も感じない。おそらくは脳までも。しかし、どれほど高度なオイランドロイドのプログラムでも、ここまで「人間的」にはできない。技術はそこまで追いついていないはずだ。とすると、やはり、人間なのか。

 そして彼女のボディには、オムラの雷神紋が刻まれている。いつぞやのモーターカネダと同じく、オムラ社のプロダクトなのだ。とすると、オムラに返還すべきか?追手はオムラか?オナタカミか?「他には、何か覚えていないか?何でもいい」マーダーシュトロムは優しい声音でささやく。

交渉判定、難易度UH。12D6[135244462151]1成功。

 ユンコは震えながら、つぶやいた。「……『スズキ・マトリックス』。追手がそう言っていた、と思う」「なるほど。私はテックにさほど詳しくないが、仲間がいる。彼らに相談してみよう」「私は、どうなるの?どこかの暗黒メガコーポに引き渡されるの?絶対NO!」「とにかく、調べてみよう」

事務所

 マーダーシュトロムは半壊したユンコを抱きかかえ、追手に気取られぬよう事務所へ運び込む。二人にはIRCで軽く説明済みだが、詳しい情報は口頭で伝えたがよい。「……なるほど。俺は一応サイバネには詳しいから、軽く修理しとくぜ」ボーンピッカーは道具箱を漁り、ユンコの負傷を見る。

ワザマエ判定、難易度UH。「知識:サイバネティクス」で+2。14D6[13362656166642]成功。

 彼は重サイバネを狙った賞金稼ぎで、サイバネに関しては闇サイバネ医ほどではないが詳しい。手早く応急処置を施し、火花を止め、見た目には負傷がわからないほどまで修復した。「アリガトゴザイマス」「俺は医師じゃねえから、あくまで応急処置だ。しっかりしたとこで診てもらってくれ」

「アッハイ」「しかし、オムラの結構いいパーツ使ってンな。ただのサイバネやオイランドロイドボディじゃねえ。戦闘兵器だぜ」「私は人間!」「わかってるって。お嬢ちゃんが眠ってる間に改造手術したやつがいるってこったろ。たぶん、あんたの父親が……」「ファック!」ユンコは激昂した。

「まあまあ。あんたが半年前に死んだってンなら、生き返らせてやろうとしたんだろうよ。で、そのテックを狙うやつらに追われてると」「オムラに引き渡しちゃうのが一番早いけどね」「ファック!」ユンコはアズラーイールにキツネ・サインを向けた。喧嘩っ早い性格だ。「けど、どうするの?」

 アズラーイールはため息をついた。「戸籍上は死人で、ボディは機械。マジで行き場がないよ」「私は自由!」「重サイバネのオイランアサシンにでもなる?」「ファック・ノー!」三人は肩をすくめた。「どうする?チバ=サンに連絡する?」「『オムラに渡せ』と言ってくると思うけどよ」

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 BEEEP。三人のIRC端末に通知。ラオモト・チバからだ。『ぼくだ。貴様らのいるあたりに、オムラ社の試作戦闘用オイランドロイドが逃げ込んだ。捕獲しろ』「ドーモ……ええと、その」『どうした。ぼやぼやするな』ボーンピッカーはため息をつく。「……ここにいます」『……なんだと?』

 ラオモト・チバは事情を聞き、鼻を鳴らした。『……なるほどな』「私を引き渡すつもりなら、暴れてやる」『やめておけ。貴様が戦闘兵器でも、ニンジャ三人に勝てるつもりか』「……!」ユンコは下唇を噛む。自分はニンジャ一人が相手でも勝てなかった。それが三人だ。勝てる気はしない。

「結局、追手はオムラだったのかな」『それなら、ここにソウカイニンジャのチームが駐屯していることは知っているはずだ。……オナタカミが関わっていそうだな』チバが推理する。『オムラのニンジャが撃退され、やむなくこちらへ、というわけだろう』「そっちに渡すわけには行きませんね」

『よし。そのニンジャを誘き寄せて、捕獲するか殺せ。ユンコ=サンを囮にしろ』チバが冷徹な声で告げる。「ちょっと!」『協力すれば、悪いようにはせん。それともストリートオイランにでもなりたいか。こっちは、貴様を追手から救い、スシを与え、修復し、匿ってやったぞ。返礼しろ』

 ユンコはガクリと項垂れ、頷いた。「……わかった」『よし。では、作戦開始だ』「「「ヨロコンデー!」」」

【続く】

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