忍殺TRPGリプレイ【プア・サム・シュガー・オン・ミー】01
ドーモ、三宅つのです。これは古矢沢=サンのシナリオ案「ブライカンとコブラ教団」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意下さい。
性癖がアレな流浪人女ニンジャ・ブライカンの依頼を受け、コブラ教団にカチコミをかけるタフなミッションです。成長の壁を2-3個越えたニンジャ3人での挑戦が想定されており、かなりハードなビズになるでしょう。
つの次元においては、コブラ教団はすでにネオサイタマで活動を開始しています。最初に送り込まれた使徒メイヘムならぬダークメイヘムはソウカイヤとの結びつきを強めすぎてキョート共和国への遠征に駆り出され、ニンジャスレイヤーに遭遇して殺されかけましたが、アイアンコブラ総帥により回収されました。残された教団組織を維持拡大させるため、総帥は新たな使徒「タクシャカ」たちを派遣しましたが、ソウカイヤを裏切ってザイバツ側についたため襲撃され、全員生き延びたものの追われる身となっています。
とすると、彼女たちが中立地帯ニチョームに隠れ潜み、勢力拡大を図っているとするのが自然でしょう。ネオカブキチョにも反ソウカイヤ領域や中立不戦地帯はありますが、ニチョームの方が比較的安全です。しかしコブラ教団にはタクシャカ、シャドウティアー、ナーガストラ、ブレードルークと手練れニンジャが4人もおり、現在のニチョーム自警団の戦力では排除しようとしても囲んで殴られて始末されかねません。常に全員揃っているわけではないとしても、完全に潰すと総帥が降臨してヤバそうです。つまりソウカイヤに通報すると脅しながら交渉し、救出対象を奪還することになりますね。カラテも必要になるでしょう。
このシナリオはぺりかん=サンの「AOSニチョームキャンペイグン」には含まれていません。ただキャンペイグン第三話と第四話に登場する敵たちは他のシナリオで全員倒されており、状況的にもソウカイヤが滅んでいないため使いにくく、妥協案として今回のミッションをつの次元のニチョームキャンペイグンに加えます。そういうわけで、このチームの出番です。
◆ドミネイター(種別:ニンジャ)
カラテ 6 体力 6
ニューロン 6 精神力 7
ワザマエ 8>9 脚力 4>5/N
ジツ 1 万札 15>4
DKK 0 名声 6>7
攻撃/射撃/機先/電脳 6/ 9/ 7/ 7
回避/精密/側転/発動 9/ 9/ 9/ 7
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:4
◇装備や所持品
◆ストリートニンジャ装束一式:緊急回避+4、脚力ダメージ軽減1
◆ZBRアドレナリン注射器
◇ジツやスキル
☆ハッカー系ソウルLV1:精神力・ニューロン判定・イニシアチブ+1
☆◉超自然的IRC接続:生体LAN端子なしでハッキング可能
◉エコノミック・カラテ:側転後のハッキング判定へのペナルティなし
移動の代わりにハッキングを行えるが、続く攻撃フェイズでは近接攻撃のみ可能
◉kill-9
◉魅了
◉トライアングル・リープ
◉◉ボックスカラテ:連続攻撃+1、攻撃出目6で痛打+1
●戦闘スタイル:精密ジャブ連打 ワザマエで1体に近接攻撃、連続攻撃+2
1発ダメージ1固定(痛打・殺伐・エンハンスなし)、迎撃不可
●戦闘スタイル:ボックスカラテ連打 精神力1+回避ダイス2を消費し発動
連続攻撃+2、標的1体、殺伐なし 精神力2消費すると連続攻撃+3
ただし戦闘終了まで連続攻撃+の効果使用不可に
●ワザ:ハートブレイカー 出目666で発生
痛打+1、回避H 命中すると残る連続攻撃回避不能(殺伐なし)
●連射2
○生い立ち:アーチ級ニンジャソウルの片鱗
◉知識:電子プログラム、オカルト、古代ニンジャ文明、
ニチョーム、旧世紀地下道網 記憶
○背景:違和感や外部存在
能力値合計:22>23
◆ファイアランナー(種別:ニンジャ)
カラテ 6 体力 6
ニューロン 6 精神力 9
ワザマエ 8>9 脚力 5>6/N
ジツ 3 万札 15>4
DKK 0 名声 6>7
攻撃/射撃/機先/電脳 6/10/ 9/ 9
回避/精密/側転/発動 10/ 9/ 9/ 9
即応ダイス:2 緊急回避ダイス:0
◇装備や所持品
▶ヒキャクLV1:脚力と回避+1
◆チャカガン×2
◆サイバーサングラス:射撃+1
◆ウイルス入りフロッピー:ハッキングダイス+3(使い切り)
◇ジツやスキル
☆ハッカー系ソウルLV3:精神力・ニューロン判定・イニシアチブ+3
☆◉超自然的IRC接続
◉kill-9
◉◉タツジン:ミリタリーカラテ
◉トライアングルリープ
●連射2
○生い立ち:元ハッカーカルト
◉知識:犯罪、電子ウイルス、ニチョーム、旧世紀地下道網 記憶
○背景:秘密や陰謀
能力値合計:26>27
◆ドゥームキラー(種別:ニンジャ)
カラテ 6 体力 6
ニューロン 6 精神力 6
ワザマエ 8>9 脚力 4>5/N
ジツ 0 万札 21>2
DKK 0 名声 6>7
攻撃/射撃/機先/電脳 6/ 9/ 7/ 8
回避/精密/側転/発動 9/ 9/ 9/ 0
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:0
◇装備や所持品
▶生体LAN端子LV1
◆カタナ
◆トロ粉末
◆タカハシ・マスターツールキット
◇ジツやスキル
◉◉タツジン:イアイドー
◉kill-9
◉トライアングル・リープ
●連射2
○生い立ち:エンジニア崩れ
◉知識:ファッション、オイランドロイド、ニチョーム、旧世紀地下道網 記憶
◉交渉:卑屈 記憶
○背景:心酔や従順
能力値合計:20>21
では、始めます。
◆◆◆
序
「テーヘンダー!」SMAASH!
ネオサイタマ、ニチョーム・ストリートのゲイバー『絵馴染』の店主ザクロは、飛び込んで来た客を見て眉根を寄せ、こう言い放った。「カネなら貸さないわよ」ボディサットヴァめいて慈悲深いザクロに、開口一番にこう告げられ、飛び込んできた客はたたらを踏んでよろめいた。
そして、浅ましい笑顔とともにペコペコとオジギし、アイサツした。「エヘへェ……ドーモ、ブライカンです。今日はカネの話じゃねェんです、信じてくだせェ。いや、カネを貰えるなら頂きやすが……とにかく違うんです。ちいっと手助けして頂きてェんで。カネじゃ……いや、カネも絡むかも」
◆ブライカン(種別:ニンジャ、重サイバネ)
カラテ 9 体力 12
ニューロン 4 精神力 4
ワザマエ 7 脚力 5/H
ジツ 0 万札 0
攻撃/射撃/機先/電脳 12/ 9/ 5/ 6
回避/精密/側転/発動 12/ 8/ 8/ -
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:1
◇装備や所持品
▶生体LAN端子LV1:ニューロン+2、イニシアチブ+1
▶サイバネアイLV1:ワザマエ+1、射撃時さらに+1
▶クロームハートLV1:体力と精神力+1
▶▶▶テッコLV3:カラテと回避+3
▷アーム射出ユニット:シナリオ中1回限り使用、リチャージ2
手番終了時に瞬時行動で射出、自動成功
3マス以内の敵に1ダメージ(隣接不可、回避H)
▷▷内蔵型アーク放電ライフル
●過剰サイバネ(9個):精神力-3
◉重サイバネ化:体力+2、脆弱性:電磁(1)
◆カタナ
◆サイバー三度笠(パーソナルメンポ):精神力と緊急回避+1
◆オイランの写真(ブードゥー):精神力+1
◆ZBRアドレナリン注射器
◇ジツやスキル
◉◉タツジン:イアイドー
◉回転斬撃強化
◉知識:高級嗜好品、ニチョーム、サイバネティクス 記憶
◉交渉:卑屈
能力値合計:20
ザクロは冷たい視線を向け、ため息をついた。「要は、なんかのトラブルね。いいわ、聞きましょ。今夜はお客もこの3人だし」「エヘへ、ドーモ」ブライカンはペコペコと頭を下げ、サイバー三度笠を脱いだ。容姿は比較的端麗だ。身長は170cmほど、体型は標準的だがサイバネ化されている。
「ドーモ、ファイアランナーです」「ドゥームキラーです」「ドミネイターです」3人の客はアイサツする。この場の全員がニンジャだ。「ハジメマシテ、だよね。どういう人?」新人のドミネイターが訊ねる。「ザクロ=サンにああ言われるぐらい、だらしない女よ。腕は確かなんだけど」「エヘ」
ファイアランナーに蔑みの目で見られ、ブライカンは汚らしい笑顔を浮かべた。彼女は極めて享楽的で自堕落な性格であり、酒と博打とオイラン遊びに身を持ち崩している。そのため常に文無しか借金まみれで、知り合いや通りすがりの者にさえ自尊心なく泣きついてカネを無心し、軽蔑されている。
彼女は同性愛者、それも自分を罵ってくれるほど強気でタフで美しい女が大好きで、わざと卑屈な態度をとって罵られたがる被虐趣味者の変態だ。幸い邪悪でなく義心があり、暴力でカネを奪うことはないため、ニチョーム自警団の末席に名を連ねている。「だいたいわかった」
ドミネイターは端的な説明を受け、ブライカンに蔑みの目を向ける。幸いドミネイターは嗜虐趣味者のケがあった。「あ、ありがとうごぜえやす!卑しいです!」ブライカンはドゲザした。親とのファックを強いられ記憶素子に保存されるほどの強烈な屈辱の快感が全身を駆け巡る!
「ここはそういうプレイのお店じゃないの。さっさと用件を言いなさいよ」ザクロは促した。「あ、ありがとうごぜえやす。実は……」
ダンゴウ
ブライカンによれば、事情はこうだ。エンガワ・ストリート側に近いニチョームの一角に、最近フィットネス・ヨガのジムがオープンした。トレーナーやトレーニーはセクシーで健康的な美女揃いで、ブライカンの入れ込んでいるハイオイラン「オタマ」も通い出した。そこで調べてみたところ……。
「……びっくりしやしたねェ。ジムの正体は、カラテカルト教団『ドクノキバ』でやした。オタマ=サンたちもすっかり洗脳されて取り込まれちまい、店にも出て来ねえ有様で……なんとかオタマ=サンだけでも救出しようとしたンですが、めっぽう手練れのニンジャが複数。こりゃヤバいってんで」
「逃げ出して来た、と。マズイわね」ザクロは眉根を寄せた。「ドクノキバって、確か前はソウカイヤとも提携してて、ネオロポンギに拠点があったはず。でもソウカイヤを裏切ってカチコミかけられて、幹部は消息不明になったと聞いたわ」「誰に?」「ソウカイヤの、ネオカブキチョ支部からよ」
ニチョームは政治的中立を保つため、ソウカイヤともオナタカミともそれなりに関係を持っている。特にネオカブキチョに支部を持つソウカイヤにはホスト業のデンパルスなど話の通じる相手も多い。以前「ピュア・オハギ」案件で世話になった恩義もある。しかし……通報するわけにも、いかない。
「『ドクノキバ』に注意せよ」とソウカイヤから警告は受けているが、すでにニチョーム内に拠点を置いているならば、ソウカイヤの敵であろうとおいそれと通報も追い出しもできない。通報したとて、ニチョーム内でソウカイヤによる敵対勢力へのカチコミを黙認するのも、政治的に難しいのだ。
ブライカンはこう見えて相当の手練れであり、彼女を追い返すほどの手練れニンジャが複数いるとなると、現状のニチョーム自警団の戦力では、事態のカラテによる全面的な解決は難しい。ならば……「交渉ね。奥ゆかしくしないとソウカイヤに通報すると脅して、こっちの要求を飲ませるしかない」
ザクロはダンゴウしながら状況を整理し、そう結論づける。ニンジャ案件とはいえ、誘拐殺人や危険薬物の大量流通等を行っているわけでは、まだ、たぶん、ない。オタマたちトレーニーが「自分の意志」で従っていると言い張られるのなら、こちらが介入・干渉する正当な理由は薄い。「うーん」
ドミネイターは腕を組む。「ソウカイヤを明確に裏切った危険な連中を、ニチョームにこのまま抱えとくのはヤバい気もするけど」「逆に考えれば、味方につけておけば、ソウカイヤや周辺勢力への牽制になる」ファイアランナーは傭兵らしくシビアだ。「ニチョームがカルト教団の集まりになるぜ」
ドゥームキラーは肩をすくめた。「だいたい報酬は支払えるのか?こいつによォ」「エヘ」ブライカンは下卑た笑顔を浮かべた。「その、カルト教団からいくばくかを掠奪してですね」「完全に敵に回しちゃヤバいッつってんの」「まあ、この場の全員で行けば、結構圧はかけられそうだけど……」
「ニチョームの自治独立に関わる高度な政治的案件だから、報酬はアタシが出すわ。仕方ないけど」ザクロはため息をつく。この街はなぜこうも厄介事が絶えないのか。「ネオカブキチョにも一応非ソウカイヤ系の領域や中立地帯はあるし、そっちへ遷ってもらうのが一番いいけど、期待はできないわ」
ザクロは腹をくくる。「まずは……各方面へ状況報告。ニチョーム自治会やオタマ=サンのお店。ソウカイヤは……一応、黙っときましょ。報告義務があるわけじゃないから」「「「了解」」」ファイアキラーなど自警団所属ニンジャは他にもいるが、あまり多数で赴き事態を荒立ててもうまくない。
「『草むらをボーで叩いたらコブラにアンブッシュされて噛まれた』だかってコトワザもあるのよ。奥ゆかしくして、むやみにトラブルを起こしさえしなきゃあいいの。肝に銘じておいて、特にブライカン=サン」「アッハイ。アタシのクロームハートに刻んでおきやす」かくて一行は蛇の巣へ向かう!
作戦開始
【続く】
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