忍殺TRPGリプレイ【バッド・アップル】02
前回のあらすじ:タカギ・ガンドーを始末した後、狂気の暴走を続けるガンスリンガーに対し、ザイバツは抹殺指令を下した!ガンスリンガー、スズキ・キヨシことコケシ・ソイチが次に狙うのは、彼を見捨てた父コケシ・サイコウだ。だがザイバツの傭兵ジャッジメントが彼の前に立ちはだかる!
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BLAMBLAM!突如銃声!「「アバーッ!」」廊下を守るクローンヤクザ二人が即死!障子戸に張り付き緑色の血の染みを作る!サツバツ!「え」困惑するサイコウに、ジャッジメントが叫ぶ!「隠れろ!」「ハイ!」サイコウは写真立てを伏せ、机の下に身を隠す!開くショウジ戸!姿を現す怪盗!
「ドーモ、コンバンワー!スズキ・キヨシです!」二挺拳銃から硝煙を立ち上らせつつ、芝居がかったアイサツ!サイコウは震え上がった。十年ぶりに聴く息子の声だ!用心棒はレインコートを脱ぎ捨て、黒いニンジャ装束をあらわにする。「ドーモ、ガンスリンガー=サン、ジャッジメントです」
「「「ザッケンナコラー!」」」「「「スッゾコラー!」」」チャカやカタナで武装したクローンヤクザたちも社長室へスクランブル発進!「ザイバツの依頼で貴様を処刑しに来た。悪く思うな」「ニンジャ一人とは笑わせる。いや、悲しい。ザイバツは俺をその程度にしか評価してくれなかったのか」
ガンスリンガーはハーフハンニャ・オメーンの下で眉根を寄せ、悲しげな表情を作る。そして凶悪に口角を上げ、牙を剥き、舌を出した!「いいだろう、かかって来るがいい!皆殺しだ!」一触即発アトモスフィア!
戦闘開始
1ターン目
「ウォーホー!」BLAMBLAMBLAM!ガンスリンガーは色付きの風と化して飛び回りながら銃弾をばらまく!「「「アバババーッ!」」」三人のクローンヤクザ・チームが同時に眉間を貫通され即死!さらに三人のクローンヤクザが射撃反動回し蹴りでなぎ倒される!「「「アバババーッ!」」」
池が緑色の血に染まる!「イヤーッ!」ジャッジメントは連続側転で接近!彼はカエル型灯籠の上に着地すると、被っていた虚無僧編笠を掴み、ガンスリンガーめがけ投擲!鎖がついた投擲武器だ!「イヤーッ!」ガンスリンガーは紙一重でブリッジ回避!「ヘェーヘェーヘェー!アブナイ!」
ガンスリンガーは高い知能で、笠に危険な金属製ギロチン機構が備わっていることを察知した。あれを被せられればそのまま首を刎ねられるという寸法だ!鎖が引き戻され、笠は手元へ!「俺の暗殺武器トバシ・ケンを躱すとはなかなかやるな。だがこれを見て生きていた者はいない!必ず殺す!」
「「「ザッケンナコラー!」」」BLALALALALAM!クローンヤクザ12名が一糸乱れぬ動きでガンスリンガーへ射撃!サンダンウチ・タクティクスだ!だがガンスリンガーは全ての銃弾を見切って躱す!「イヤーッ!」ブリッジ回避!タツジン!「俺に銃弾は命中しないぞ……ウォーヒヒィー!」
2ターン目
「ウォッホー!」BLAMBLAMBLAM!ガンスリンガーは色付きの風と化して飛び回りながら銃弾をばらまく!「「「アバババーッ!」」」三人のクローンヤクザ・チームが同時に眉間を貫通され即死!さらに三人のクローンヤクザが射撃反動回し蹴りでなぎ倒される!「「「アバババーッ!」」」
「トバシ・ケン!イヤーッ!」ジャッジメントは連続側転で追いながら虚無僧編笠を投擲!殺人ギロチン武器が迫る!「ヒィーヒィー!」ガンスリンガーは難なく見切って回避!「「「スッゾコラー!」」」BLALALALAM!クローンヤクザ6名がサンダンウチ・タクティクス!「ヒィー!」回避!
3ターン目
「ウォーホッ!」BLAMBLAMBLAM!ガンスリンガーは色付きの風と化して飛び回りながら銃弾をばらまく!「「「アバババーッ!」」」三人のクローンヤクザ・チームが同時に眉間を貫通され即死!さらに三人のクローンヤクザが射撃反動回し蹴りでなぎ倒される!「「「アバババーッ!」」」全滅!
「オノレ!キエーッ!」ジャッジメントは連続側転で追いながら虚無僧編笠を投擲!殺人ギロチン武器が迫る!「ヘヒィー!」ガンスリンガーは嘲笑いながらブリッジ回避!「これで一対一になったなァ……!」彼は冷静に敵を観察する。手練れだが、戦闘スタイルは単純。距離をとって撃てば倒せる。
が、それは美しくない。自分のスタイルに合わない。それにこの庭園は、カチグミの割にやや手狭で、連続側転で逃げても追いつかれる。奥の机の下に隠れている男を人質にとるか?否、美しくない。ここは圧倒的な実力で、華麗にジャッジメントを打倒して見せようではないか!「ご照覧あれ!」
4ターン目
「ウォーホホーッ!」ガンスリンガーは雄叫びをあげながらジャッジメントの懐へ飛び込み、乱舞!嵐のようなマグナム・ピストルカラテを繰り出す!BLAMBLAMBLAM!SMAASH!「グゥワーッ!?」ジャッジメントは躱しきれず負傷!「オノレ!イヤーッ!」トバシ・ケン!「ホーッ!」回避!
「まだまだーッ!」BLAMBLAMBLAM!ガンスリンガーはさらにピストルカラテ乱舞!「グワーッ!」命中!だが浅い!ジャッジメントのニンジャ耐久力はこれに耐える!「死ねーッ!」距離をとってトバシ・ケン!「ウォーヒヒィー!」ガンスリンガーは紙一重で見切って回避!なんたるワザマエ!
5ターン目
「ショウタイムだッ!」BLAMBLAMBLAM!ガンスリンガーは瞬時に銃弾を装填!華麗に回転しながら、凄まじい速度でピストルカラテを放ち続ける!「グワ、アバーッ!」ジャッジメントは逃げられない!「ウオオーッ!」トバシ・ケン!当たれば逆転勝利は可能!「ヒィーッ!」だが、当たらぬ!
「無駄、無駄、無駄ァーッ!」BLAMBLAMBLAM!「アバーッ!」ゴ……ゴウランガ!ガンスリンガーの38口径リボルバーが火を噴き、ジャッジメントの両膝と両肘を同時に撃ち抜いた!タツジン!「アバッ……バカ、な……!」全身に穿たれた弾痕から出血しながら、ジャッジメントは仰向けに倒れた。
戦闘終了
室内庭園は絶命したヤクザで満たされ、松の木からはバンザイ状態の死体が垂れ下がる。生き残ったのは二人のニンジャと、コケシ・サイコウのみ。killin',killin'…ガンスリンガーの足元に、サツバツとした音を立てて薬莢が転がり落ちる。彼は無傷。だが、ジャッジメントが無能だったわけではない。
「君は決して弱くなかったぞ。戦闘スタイルも悪くない。ただ、俺が君より強かった。それだけだ!ヒィーッハハハハ!」ガンスリンガーは勝ち誇る!「ま、マッタ!俺は雇われただけだ……!」暗殺者ニンジャは命乞いする。傭兵に過ぎぬ彼に、ザイバツへの忠誠心はない。生き残れば次はある!
『重点、重点、救援要請』BLAMN!『ピガーッ!』ジャッジメントが従えていたドローン「モーターチビ」が、無言で撃ち落とされた。増援を呼ばれても面倒だ。これまでのイクサは、ガンスリンガーが連れている方のモーターチビが全て撮影している。生体LAN端子を通し映像が脳内で無限再生可能!
ガンスリンガーは虚無僧編笠を拾い上げ、ジャッジメントの頭に被せた。「ヒッ!」「鎖を引くと、刃物が飛び出す仕組みか?」「待ってくれ!俺を殺しても、他のニンジャがお前を殺すぞ!ザイバツは本気だ!十人ものニンジャが派遣された!俺を助ければ虚偽の報告でお前を逃がして」ガシュン!
サツバツ!ガンスリンガーは無慈悲に鎖を引っ張り、虚無僧笠に仕込まれた必殺ギミックを作動させた。ギロチンめいた金属音が響き、ジャッジメントは首を刎ねられる!「サヨナラ!」KABOOOOM!爆発四散!
???
「アイエエ……」コケシ・サイコウはへたり込んだ。わけがわからないが、ジャッジメントは殺された。あれだけいた彼の兵隊も全滅だ。「ヘェーヘェーヘェー、父さん、久しぶりだね……俺が怖いか?俺が信じられないか?」ガンスリンガー、コケシ・ソイチは、ニタニタと笑いながら机へ近づく。
サイコウは胸元から拳銃を抜く。セプクするか。否!「ウオーッ!」机の下から飛び出し、ガンスリンガーめがけ射撃!BLABLAMN!「グワーッ!」ガンスリンガーは機先を制し、銃弾を迎撃!サイコウの銃弾は弾き返され、拳銃を弾き飛ばし、両膝に二発の銃弾が突き刺さる!なんたるタツジン!
「ALAS!何たる悲劇でありましょう!悲しみで狂った哀れなソイチは、己の父にまで銃を突きつけられたのでありました!」ソイチは涎を垂らしながら片膝をつき、血を流すサイコウを抱き抱え、彼の額に銃口を突きつけた。サイコウは呻いた。「……わしを殺してどうする?コケシ社を乗っ取るか?」
「ハ!」ソイチは禍々しく笑い飛ばす。「相変わらずだ!何もわかっちゃいない!俺のことも!」彼は息を荒げ、震えながら引き金を引こうとする指をもう一方の手で押さえつける。「こんなくだらない会社が欲しいかって?バカバカしい!もう筋書きはできてるのさ……ヘェーヘェーヘェー!」
彼は狂っている。「怪盗スズキ・キヨシことコケシ・ソイチを陥れた全ての黒幕、元凶は、彼の父コケシ・サイコウでありました。ソイチは泣く泣く父を撃ち殺し……後悔の念に苛まれ、自分の額を撃ち抜いたのです。あゝ!
……劇終……!」「バカ息子が!」サイコウは激昂した!「せめて生きろ!」
「……生きろ?残酷だな」ソイチは不意に黙り込み、空ッぽの、虚無の目を向けた。サイコウは心の底から戦慄した。「俺は殺人犯の脱獄囚で、ザイバツからも抹殺指令が出ているお尋ね者だ。俺の実力なら、逆らって生きようと思えば生きられるだろうが……嫌だね。美しくないなァ、そんなのは」
ソイチは昂奮して語り続ける。「これで俺のドラマは終わりだ。全ての悲劇をまとめてIRCに放流し、ドラマは、俺は、永遠に生き続ける。最高の幕引きだろ!刑務所では怖くてセプクできなかったが、ニンジャになった今ならできる!最高の悲劇とともに、俺は時間を巻き戻す……黄金時代へ!」
彼は引き金を引きかけ、そして……止めた。「待てよ、父さん。何か隠してるだろ?俺は知能指数が高いんだ」サイコウは怯えて震え上がった。自分が恨まれて死ぬのはまだいい。だが……!「机の上に、随分と写真立てが増えたなァ……なんで、伏せた?」サイコウは絶望し、目を閉じて祈った。
……その時だ!
KRAAAASH!社長室のスモークガラスを突き破る影!その手にはロープ!彼は社長室へ転がり込み、武骨に着地し、アイサツした!「てめえの辛気臭えドラマは真っぴらだぜ……ドーモ、ディテクティヴです!」
【続く】
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