荒野のタグ・スリンガー
「「「ホーッ!ホーッ!」」」
荒縄で縛られたスマホを振り回し、web荒野に棲む電子原人たちが襲って来る! 上空に飛び交うのはツィツィ鳥だ。目玉や内臓を突つき出す腐食性の猛禽。俺の死体を食い荒らそうと、気が早いことにやってきたわけだ。だが、やるもんか。
疾走する電子馬の上で、俺は左手で手綱をとり、右掌を上に向け、集中する。エナジーが集い、掌大の「#(ハッシュタグ)」となる。俺の武器だ。
「イヤーッ!」
振り向きざま、電子原人の群れに投擲! 旋回し、分裂し、渦を巻く。
無数の「#」の旋風に飲まれ、ツィツィ鳥ごと吹っ飛ぶ!
「「「ギャバーッ!」」」
断末魔を後ろに残し、土煙を蹴立てて一目散。三、二、一、ゼロ。
KA-BOOOOOOM!! 背後で爆発!
『ツィツィ鳥どもめ、しばらく肉に食い飽きるぜ』
俺の電子馬、サイモンが笑った。
「そうだな。俺も肉を食いたい。原人やツィツィ鳥のじゃなくてな」
と、朽ちかけた看板が見えてきた。
【続く】
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