忍殺TRPGリプレイ【ザ・ニンジャズ・オブ・ザ・ショーグン】11
前回のあらすじ:ドラゴン・ドージョーの忘れ形見ユカノはザイバツ・シャドーギルドに拉致され、キョート城の何処かに幽閉されている。彼女を救出しザイバツを滅ぼすため、ニンジャスレイヤーたちはついにキョート城へ突入した!電算室にはハウスバーナーたちが出現!カラダニキヲツケテネ!
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「……ご苦労さま。半年も寝てたから、体が重いわ」目を覚ましたナンシーは手短に情報交換しつつ、ストレッチを行い体をほぐす。「俺もだ。まあ、こっちは死体だがな」ストーカー……の肉体に憑依したエーリアスが笑う。ライトウォッチャーもモータルの肉体に憑依して復活し、これで6人。
「ヴィジランス=サンを取り逃がしたなら、ストーカー=サンたちの肉体が生きてることを察知して、生体LAN端子から介入して来るかもね。一応処置しといてあげる」「サンキュ」「わ、私もお願いします」ライトウォッチャーとナンシーには以前の因縁もあるが、今は協力し合うべき仲間だ。
「で、これからどうする。グランドマスターは2人撃退したが生きてるぜ。ユカノ=サンを救出して、ザイバツの総大将の首を取るのか?」「そっちはニンジャスレイヤー=サンに任せたいわね。できれば脱出したいけど……」ポイズンバタフライは肩をすくめた。囲んで殴られれば終わりだ。
「安心して。助っ人を呼んであるの」ナンシーがウインクした。「契約のせいで、私は表立ってザイバツには逆らえないけど……まあ何事にも抜け道はあるってわけ。とにかく、ここを離れましょう」「了解」かくして、ナンシー・リーの物理肉体は救出された。では、ドラゴン・ユカノたちは?
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「クッ……!いいでしょう、受けて立ちますよ!イイイヤァアアアーーーッ!」キョート城本丸、予備電算室。ヴィジランスは負傷をスシで癒やし、重大なタスクに当たっていた。彼にしかできぬ業務……キョート共和国への日本国およびソウカイ・シンジケートによるサイバー攻撃への対処だ!
たまたまそこに詰めていたヘッジホッグら生体LAN端子持ちのアデプトやアプレンティスは、ヴィジランスによるデスマーチの軍勢に無理やり組み込まれた。実際責任重大だ。これを看過すればキョートは破滅し、ギルドの収入も激減する。右腕のストーカーはもういない。バイタル反応も消えた。
電算室は彼のドージョーであり、奴隷モータルやニンジャたちはアプレンティス(弟子)であった。ならば、これはアダウチ、弔い合戦だ!冷酷非情なエコノミック・サラリマンの化身である彼は、激しくタイピングしながら新たな仲間たちを鼓舞する!無論、城内の監視と情報操作も同時にこなす!
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……キョート城内に無数に存在する茶室。その一つ。ドラゴン・ユカノは幽閉塔からここに移され、多数の奴隷オイランたちに傅かれながら夕食をとっていた。神秘的な防音システムにより、外界の喧騒やナリコの音はここまで届くことはない。だが……不穏なアトモスフィアは伝わる。
◆ドラゴン・ユカノ(種別:ニンジャ)
カラテ 8 体力 10
ニューロン 10 精神力 11
ワザマエ 9 脚力 5/E
ジツ 3 万札 9
DKK 0 名声 15>14
攻撃/射撃/機先/電脳 8/ 9/10/10
回避/精密/側転/発動 11/ 9/ 9/14
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:0
◇装備や所持品
◆伝統的礼装:精神力・発動・交渉+1
◆ニンジャピルの小袋:体力1回復、持続性の毒を消去
使用後にD6を振って出目が1だとストックが尽きる
◇ジツやスキル
☆ドラゴン・ニンジャクラン、ジツLV3
☆チャドー呼吸LV3:精神力1を消費し発動(UH固定)
移動や攻撃せず発動判定を行い、出目6の個数だけ体力回復
回復上限は体力の最大値の半分(端数切り上げ)まで さらに回避ダイス+2
毒への抵抗判定に精神力1を消費してジツ値と同数のダイスを追加で振れる
●連続攻撃2、連射2、時間差、マルチターゲット
◉疾駆:通常・全力移動マス+2
◉常人の三倍の脚力:脚力+1、連続側転難易度-1
◉トライアングル・リープ:連続側転で壁に触れて移動した時、
直後の近接攻撃の難易度上昇を無視し、一発目に痛打+1
◉◉タツジン:スリケン スリケン射撃時に連射+1、射撃スタイル選択可
●制圧射撃:連射+1を+3とし、時間差・チェーンターゲット可
1発のダメージ1固定(エンハンス・殺伐・痛打なし)、回避EASY
命中したモータルはターン終了まで移動不能 ダメージを与えないこともできる
●強投擲:カラテで射撃判定(H)、連射はワザマエ由来 痛打+1
集中時のみ出目666で殺伐、6666でナムアミダブツ
●防御的スリケン投擲:射撃判定HARD、連射-1、時間差・マルチ不可、殺伐なし
次の手番開始まで、自分が標的から受ける攻撃・射撃の回避難易度-1
●全弾投擲:集中して精神力2と回避ダイス2を消費し発動
戦闘終了まで連射数がワザマエ値の半分となる(固定)
時間差・チェーンターゲット可、殺伐なし
◉◉タツジン:ユミ・ドー(記憶スロット)
◉ニンジャピル作成:余暇を1日費やし、ニンジャピルの小袋を再使用可能にする(自動)
◉浮世離れ:UNIXやIRCなどによるハッキング判定難易度+2
◉知識:伝統的アート、貴族の流儀、古代ニンジャ文明(断片的)、テックガジェット、
公僕の流儀
◉交渉:超然、誘惑
◇カルマ:善
◇ユウジョウ:ナンシー(親密度3)、イグナイト(親密度1)
能力値合計:33
ここに連れて来られて半年。フェイスフルやバンブーエルフ、ディミヌエンドとの面会も少なくなり、彼女は孤独の中にいた。だが……ジャッジメント、あるいはディテクティヴとも名乗る男が、幽閉塔にいたユカノに希望のある情報を伝えてくれた。ニンジャスレイヤーたちが救出に来てくれると。
可能なのか。否、信じよう。信じるしかない。いざとなれば彼らと合流して戦えばよい。……しかし、ザイバツはなにゆえ自分をここに軟禁しているのか。グランドマスター・パラゴンの言うには、自分は神代のドラゴン・ニンジャその人であり、その記憶が必要なのだと言うが……思い出せない。
フジサンでのサツガイとのイクサ、ヒャッキ・ヤギョ、そしてシ・ニンジャとの出会いにより、おぼろげながらドラゴン・ニンジャとしての記憶は蘇りつつある。だが……それが自分自身だとは感じられない。この自分、ドラゴン・ユカノは、ドラゴン・ゲンドーソーの孫娘である……はずだ。
ならば、ユカノとしての自我を保ったままでいよう。ザイバツが求める記憶など、このまま思い出さない方がよい。何らかのジツや拷問で無理やり記憶を引きずり出され、今の自我が失われるなら、むしろセプクしたがよい。かくて彼女は自我を強く保ち、キョジツテンカンホーに抗い続けている。
「ドーモ。お食事はいかがでしたかな」不意に、茶室に小柄な人影が現れた。ロード・オブ・ザイバツの最側近、パラゴンだ。
「ドーモ。大変結構でした」ユカノはオジギした。礼儀正しく振る舞っていれば、この男は丁重にこちらを遇してくれる。「何か思い出されたかな?」「いえ、何も」「では、そろそろやり方を変えてみましょうかな……」
パラゴンは低く陰気な声で告げ、丁重に彼女を茶室の外へ導く。「そろそろ外へ出してくれるのでしょうか。気分転換がしたくなってきました」「食後の運動をされるといい。カラテ・ドージョーで汗を流し、ゆっくりと湯浴みをされよ」「フェイスフル=サンたちは?」「今はお会いさせられぬ」
「では、あなたがカラテの相手をなさるのですか?」「私ではない」パラゴンは足音もたてず、板張りの廊下を滑るように進む。そして、ドージョーのフスマをしめやかに開いた。ユカノは息を呑む。そこにいたのは……!
「ドーモ、ネペンテスです」
◆ネペンテス(種別:ニンジャ)
カラテ 5 体力 9
ニューロン 7 精神力 8
ワザマエ 9 脚力 5/H
ジツ 0 万札 0
攻撃/射撃/機先/電脳 5/11/ 8/ 9
回避/精密/側転/発動 9/ 9/ 9/ 0
即応ダイス:2 緊急回避ダイス:1
◇装備や所持品
▶生体LAN端子LV1:ニューロン+2、イニシアチブ+1
◆ナガユミ:射撃、2ダメージ、射撃難易度H、連射上限2、
マルチ・時間差可、側転難易度+2
●ヘッドショット:出目66で痛打+1(モータルのモブ敵は即死)
●スナイプ:連射上限1、出目666で殺伐発生
◆近代的タクティカルニンジャ装束一式
体力+3、射撃+2、緊急回避+1、脚力ダメージ軽減1
◇ジツやスキル
◉◉タツジン:ユミ・ドー
ナガユミ装備時の側転難易度上昇を+1に軽減、集中時のみ連射上限を無視
●強化スナイプ:出目666(集中時665+)で殺伐、
6666(集中時6665+)でナムアミダブツ
●強射撃:カラテで射撃判定H、連射値はワザマエ由来 痛打+1、貫通2
集中時のみ出目666で殺伐、6666でナムアミダブツ
●矢の雨:射線上の2×2マスの全員に1ダメージを2回時間差で与える(回避H)
◉タクティカル移動射撃:移動しながら射撃可能
◉頭上からの死:側転時に出目666を出すか、精神力1を消費し発動
手番移動時に頭上を通過した全ての敵に射撃可能(回避難易度+1)
範囲射撃・弾き飛ばし・ワザやヒサツ・ワザへの派生不可
◉ペネトレイター:縦横斜めの1方向(隣接射撃不可)へ射撃判定H
近い順に直線上の3体までの敵へ2ダメージを与える 殺伐なし
1体目は回避Nと痛打+2、2体目は回避Hと痛打+1、3体目は回避UH
◉トライアングルリープ
◉ランスキック
●連射2、時間差、マルチターゲット
◉忠誠心:イッキ・ウチコワシ>ザイバツ(洗脳状態) 体力と精神力+1
◉交渉:超然、誘惑 記憶
能力値合計:21
ドージョーの奥の弓道場でナガユミの鍛錬をしていた女ニンジャは、こちらを振り向いてアイサツした。「ドーモ、パラゴンです」「……ドラゴン・ユカノです」アイサツを返す。「良く似ておられる。まるで双子のように。では一つ、互いに手合わせして見られよ」パラゴンはうっそりと告げた。
ドラゴン・ニンジャの記憶の手がかりを探していたパラゴンは、ザイバツニンジャ・アラクニッドの占いにより、ネオサイタマにいた女ニンジャ・ネペンテスに目をつけた。そして傭兵ニンジャ・ブラックヘイズと、ネオサイタマ駐留部隊の生き残りのフェイタルに命じて、彼女を誘拐させたのだ。
イッキ・ウチコワシのエージェントとして彼女が活動を始めた時期は不明だが、ユカノと何らかの関係があるであろうことは見るからにうかがえた。あるいはドラゴン・ニンジャの片割れかも知れない。パラゴンにとって彼女たちの自我や人格などどうでもよいことだ。彼は後ろ手でフスマを閉じた。
「……いいでしょう。腹ごなしの運動をします」ユカノはうなずき、備え付けの高級ジュー・ウェアに着替えて準備運動を始めた。見たところワザマエは互角だが、カラテはこちらが上だ。それにスリケンやナガユミで殺し合うわけではない。あくまで鍛錬だ。しかし、なぜ彼女とカラテをさせるのか。
それはやはり、自分に記憶を取り戻させるためであろう。……両者は武器を持たず、ドージョーのタタミで向かい合う。ネペンテスの瞳はぼやけ、自我の薄さを感じさせる。ジツによって洗脳状態にあるようだ。ならばむしろ彼女の自我を取り戻させ、協力関係を結ぶことができればよかろう。
パラゴンは居住まいを正し、組手を見守る。果たしてドラゴン・ニンジャのカラテ記憶は取り戻されるか。「よろしいか。……では、ハジメテ!」
戦闘開始
【続く】
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