忍殺TRPGリプレイ【ドント・メイク・ミー・ア・シュルー】02
前回のあらすじ:ツキジ・ディストリクトで緊急事態が発生した。住民たち全員の肉体が、突如として性転換したのだ。ツキジを支配するソウカイ・シンジケートのニンジャチームは、調査の末にツキジで発見された古代遺跡から怪しいニンジャアトモスフィアが漂って来るのを突き止めた……。
◆
工事現場
翌朝。ツキジではなんとかいつも通りの競りが行われ、人々は混乱しながらもこの状況に適応しつつあった。三人のニンジャたちは八方手を尽くしての調査の末に、ツキジのとある工事現場にたどり着いた。そこは異変の中心地にあり、実際怪しげなニンジャアトモスフィアが漂って来ているのだ。
工事現場では、バストの豊満な女性が三人を迎えた。「ど、ドーモ。ウットコ建設の現場監督、イワグマです。こちらが私の、元の姿でして……」
「ソウカイ・シンジケートのシャープウォーカーです」「ムーンライトスロースです」「パープルスプラッシャーです」各々アイサツ。「異変の原因を調べた結果、どうもここが怪しくてな。何か妙なことがあるか」「ええと、その……古代遺跡らしいものが発見されました」イワグマは資料を見せる。
イワグマによれば、遺跡の一部は水没しており、現状での調査は危険との判断がなされている。ウカツに破壊すれば何が出てくるかわからないのだ。「遺跡の内部には光り輝く奇妙な藻が自生しており、光源となっています。私も調査隊に参加していましたが、バイオスモトリめいた存在がいて……」
「たぶん、遺跡を守る存在ね。私たちならなんとかなるわ。ニンジャだし」ムーンライトスロースは低い声で呟く。「遺跡にもニンジャがいる可能性が高いな。ダンジョンアタックと行くか」「ええ」「では、ヨロシクオネガイシマス」三人はIRCでソウカイヤに連絡し、準備を整えて遺跡へ潜入した。
遺跡
……遺跡の階段を降りていくと、イワグマが言う通り水没しており、あちこちに光る藻が生えている。ニンジャ視力もあって視界は問題ないが、泳ぐのはやや危険だ。三人は入口付近に命綱を結びつけ、イワグマに借りた小型ゴムボートに乗って、ニンジャアトモスフィアの漂う方向へ進んでいく。
やがて、開けた場所に出た。そこには古代ルーン漢字やカタカナで、この遺跡に関する情報が記され、壁画が刻まれている。三人に古代ニンジャ文明に関する知識は乏しいが、ニンジャ洞察力や第六感がある。「……ベラ・ニンジャクラン……と読めますね」パープルスプラッシャーが顎を撫でた。
ベラ(倍良、遍羅)。それはスズキ目の魚の一種であり、学名はLabrus、英名はWrasseという。全長10cmほどのホンソメワケベラから2mを超えるメガネモチノウオ(ナポレオンフィッシュ)まで様々な種類があるが、ブダイやハゼ、ハタ、モンガラカワハギなどと同様に「性転換」する魚である。
正確に言えば、彼らが行うのは「雌性先熟」という。熾烈な生存競争の中でより多く自分の子孫を増やすため、最初はメスとして繁殖し、成長するとオスに変化するのだ。陸上脊椎動物ではこうした例は少ないが、甲殻類など無脊椎動物、植物の中にも性転換を行う生物はしばしば存在するという。
ニンジャはミームによって繁殖するが、ジーンによる生殖能力はなく、性別が曖昧な者もいる。しかし姿かたちや性別が急激に変化すれば、動揺して混乱し、大きく隙を晒すことになる。自らの肉体の性別を変化させ、諜報や快楽の追求などに利用した者もいた。それが「ベラ・ニンジャクラン」だ。
ベラ・ニンジャクランはスイトン・ジツやアクアカラテを用いるアクア・ニンジャクランの傍流に属する。開祖のベラ・ニンジャは中国奥地に潜んでいた「性転換の秘法」を用いるリアルニンジャと出会い、そのジツを会得したという。彼ないし彼女は自他に繰り返しジツをかけ、研鑽につとめた。
だが、彼ないし彼女は肉体的変化のみならず、ニューロン構造の解析と変化にまで手をつけ、自我を損傷させていった。危険を悟ったベラ・ニンジャは自らのジツの力を「リング・オブ・ベラ」というレリックに封印し、これをある弟子に授けると、海底へ去っていったという。「……なるほどな」
シャープウォーカーはだいたい理解した。「要は、そのリング・オブ・ベラが今回の元凶か」「そうみたいね。それを破壊するか、指にはめて効果の終了を念じればおさまるらしいけど……守護者の体内に埋め込まれている、と書いてあるわ」「そいつをブッ殺して、ブッ壊せばいいわけだ。やるぞ」
シンプルになった。相手がクラン開祖のリアルニンジャだろうが、その弟子だろうが、現世に災いをなすのであれば、囲んで殴って倒せばよい。自分たちにはそれだけの実力がある!……通路はさらに奥へと続いている。三人はゴムボートを担ぎ上げて歩き、再び奥の水面に降ろした。……その時だ!
???
『GRRRRR……GROWL!』バシャン!水中から何か巨大なものが飛び出し、パープルスプラッシャーへ飛びかかった!アブナイ!「イヤーッ!」とっさに察知して側転回避!「守護者とやらのおでましか!」水面から現れたそれは、イワグマの情報通りバイオスモトリじみた存在だ。『GRRRRR……!』
◆ベラ・ゴーレム(危険生物)×4
カラテ 6 体力 6
ニューロン 2 精神力 2
ワザマエ 4 脚力 3
ジツ - 万札 0
攻撃/射撃/機先/電脳 6/-/ 2/ -
◇装備や特記事項
▲▲バイオ武器LV2:ダメージ2、出目6で痛打+1
△拘束器官:バイオ武器を用いた攻撃時、拘束攻撃が可能になる
痛打・殺伐なし、脱出判定H
◉疾駆:通常・全力移動距離+2マス
◉水中移動:水中マスを通常移動可能
能力値合計:12
水面に浮上した怪物たちは、計四体。「バイオスモトリよりは強そうね」「前に似たようなのを倒しましたし、ダイジョブでしょう」「ああ!」三人はカラテを構えた。一触即発アトモスフィア!
戦闘開始
1ターン目
「「「イヤーッ!」」」三人は壁を蹴って色付きの風と化し、怪物たちに襲いかかる!SMAAASH!『『アババーッ!』』たちまち二体が倒される!残り二体!『『AAARGHHH!』』パープルスプラッシャーとムーンライトスロースに襲いかかる!「「イヤーッ!」」『『AARGHH!』』回避し迎撃!
2ターン目
「「イヤーッ!」」SMAASH!『『アバババーッ!』』怪物たちは圧倒的なカラテで瞬時に破壊され、肉塊と化した!ナムアミダブツ!
戦闘終了
怪物たちには太い手足に加え、魚めいたエラやヒレがあり、水中でも陸上でも活動が可能となっている。おそらく自然の生物ではない。古代のリアルニンジャが禁断の秘術で作り出したのだろう……。「調理して食べたらいけそうかしら」「やめとけ。毒があるかも知れねェ」「奥へ進みましょう」
???
……さらに奥へ進んでいくと、水に覆われた開けた空間に出た。そこには先程の怪物たちが複数おり、その中心にいるさらに巨大な怪物からはニンジャアトモスフィアを感じる。あれは……ニンジャだ。『AAARGHHHH……ドーモ、プロテクター・ベラ……デス』脳内に響き渡るアイサツ!
◆プロテクター・ベラ(種別:ニンジャ/危険生物)
カラテ 13 体力 33
ニューロン 6 精神力 12
ワザマエ 8 脚力 9
ジツ 6 万札 24
攻撃/射撃/機先/電脳 13/ 8/ 6/ 6
回避/精密/側転/発動 7/ 8/ -/12
即応ダイス:6 緊急回避ダイス:6
◇装備や特記事項
☆ベラ・ニンジャクラン、ジツLV6
◉水中移動:水中を通常マスのように移動できる
◉頑強なる肉体:体力+2
☆巨体化の秘儀LV6:体力+18、回避-6、緊急回避+6、脚力+2、連続側転UH
☆◉歩く武器庫:武器や銃器の所持ペナルティ、運搬時の行動難易度ペナルティを無視
常に「ノダチ」を所持しているものとみなされる 大型化によりリーチ+1
◉◉グレーター級ソウルの力:ニューロン+ジツで精神力換算
★巨体の怪力:戦闘スタイル、攻撃難易度H、ダメージ2&拘束(脱出UH)
★◉ひねりつぶし:素手時に標的1体へ拘束攻撃(回避・脱出H) 連続攻撃上限2
ダメージ2固定、エンハンス・弾き飛ばし不可、痛打・殺伐なし
拘束中の敵には手番開始時に回避不能の2ダメージ(装甲貫通2)を自動で与える
★筋肉の鎧:即死耐性、殺伐出目2から5の効果すべてを痛打+D6に置き換える
★アースクエイク・シコ:手番移動時か攻撃時に精神力1を消費し発動(H)
隣接する敵味方全員に1ダメージ(回避H)&回避ダイスダメージ1(回避不能)
出目66で敵1体を選び回避ダイスダメージを2とする
★★高出力レーザー:手番攻撃時に精神力2と1行動消費し発動(H)
視線の通っているマスのみ敵味方に直線貫通攻撃(ダメージ2D3、回避UH)
連続使用不可、斜め不可だが1回だけ90度曲げられる
難易度+1しても回避できる出目でなければ、回避してもD3ダメージを受ける
◉◉タツジン:ノダチ
ノダチでの殺伐発生時に痛打+D3か痛打+2を選択可 ナムアミダブツなら+1
●移動スタイル:薙ぎ払い猛進 回避ダイス2を消費
通常移動し轢殺1 轢殺が命中した相手にダメージではなく崩れ状態を与えてもよい
●戦闘スタイル
一掃:連続攻撃上限1、痛打・殺伐なし、迎撃不可、エンハンス可
ワザマエ判定Hに成功すると隣接敵全員に2ダメージ(出目666で3ダメージ)
ノックバック:攻撃H、ダメージ2、連続攻撃上限3、エンハンス可、殺伐なし
迎撃できなかった敵を1マス強制移動、そこに壁があれば崩れ状態にする
すでに崩れ状態なら回避ダイスダメージ1
両断:攻撃に痛打+1か装甲貫通2 集中時のみ、使用後は崩れ状態となる
●大型(2×2):即死耐性、連続側転不可 素手攻撃リーチ+1、轢殺2
●連続攻撃3、連射2
◉狂戦士化3:ダメージを受けると戦闘終了まで攻撃+3、回避-3
能力値合計:39
「ドーモ、シャープウォーカーです」「ムーンライトスロースです」「パープルスプラッシャーです」アイサツを返す。「アンタの体内に、リング・オブ・ベラがあるってわけだな。悪いがみんな迷惑してンだ。ブッ壊させてもらうぜ」『AARGGGHHHH……そのようなことは、許さない……!死ね!』
『『『『GRRRRRR……!』』』』プロテクター・ベラと怪物たちは、侵入者に殺意を向けた!一撃必殺アトモスフィア!
戦闘開始
【続く】
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