忍殺TRPGリプレイ【イン・ザ・ケージ、イン・ザ・フォレスト】04
前回のあらすじ:ザイバツのネオサイタマ駐留部隊の残党ワイルドハントとイエローフィストは、ヤマブシに扮してヤマ山地の温泉宿を訪れていた。この地に魔術的ビーコンを仕込み、キョジツテンカンホーの範囲を広げるためだ。しかし不運にもニンジャスレイヤーと遭遇!カラダニキヲツケテネ!
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「イヤーッ!」ギャギャギャギャ!SLASHSH!「グワーッ!」命中!ニンジャスレイヤーは猛攻に押される!「イヤーッ!」反撃!狙うはコマに乗ったワイルドハントの股間だ!どくん……ワイルドハントはアドレナリンを過剰分泌し「イヤーッ!」間一髪回避し迎撃!「ヌウッ!」紙一重回避!
「キエーッ!」イエローフィストのトビゲリ!「イヤーッ!」見切って回避!この勝負、互いに譲らずだ!「なかなか手こずらせてくれるな、ニンジャスレイヤー=サン!」ワイルドハントは不敵に嗤う!一騎打ちならともかく2対1ならこちらに勝機あり!果たしてブッダはどちらに微笑むのか!?
「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」月明かりの下、湯煙の中、3人のニンジャは猛攻を応酬!互いに血しぶきが飛び散り、湯船を赤く染める!そしてダメージが大きいのは……ニンジャスレイヤー!「どうだッ!数が多いほうが勝つ!」
ワイルドハントは昂揚状態にある!ギルドを苦しめた難敵の首か身柄を確保し、ロードに献上すれば、グランドマスターの地位も夢ではない!「スゥーッ……ハァーッ……!」ニンジャスレイヤーは呼吸を調え、周囲のエテルを吸収し始める。ナラクが休眠中であろうとも、彼にはチャドー暗殺拳あり!
戦闘継続
7ターン目
「イヤーッ!」ギャルギャルギャルギャル!SLASHSH!ワイルドハントは巨大な岩コマの上に立ち、回転轢殺攻撃とムチ斬撃を同時に繰り出す!「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは躱しきれず裂傷!だが闘志は消えず!「イイイヤァアアアーーーッ!」跳躍して繰り出したのは「ポン・パンチ」だ!
どくん……イエローフィストはニンジャアドレナリンを過剰分泌させる。あれをワイルドハントが食らえば危険だ!とっさに身体が動きインターラプト!「イイイヤァアアアーーーッ!」SMAASH!イエローフィストは、ニンジャスレイヤーのポン・パンチを……威力を殺して受け止めた!タツジン!
「ゴフッ!」イエローフィストは目・鼻・耳・口から出血!流石に無傷とはいかぬ!だが……「スゥーッ……ハァーッ……!」温泉のエテルを呼吸して吸い上げ、カラテをみなぎらせて回復!「ヌウッ!」ニンジャスレイヤーは驚愕した。もしや、自分のチャドー呼吸をラーニングしたとでもいうのか!
8ターン目
「イヤーッ!」ワイルドハントの猛攻!「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは最小限のダメージで防御!だがこのままでは押し切られる!彼は状況判断を迫られる。先に殺すべきは、比較的弱く未熟なイエローフィストか?それとも強敵ワイルドハントか?逃がせば危険なのは……ワイルドハントだ!
「イイイヤァアアアーーーッ!」ニンジャスレイヤーはしつこくワイルドハントへ飛びかかる!標的を定めたからには貫徹すべし!狙うは心臓!「い、イヤーッ!」ワイルドハントはとっさに跳躍回避し迎撃のキック!SMASH!「グワーッ!」命中!「キエーッ!」イエローフィストの三角トビゲリ!
SMASH!「グワーッ!」命中!だが致命的ではない!ニンジャスレイヤーは巧みに威力を殺しカウンターキック!「イヤーッ!」イエローフィストは紙一重でブリッジ回避!「ヌウーッ……!」さしもの死神も満身創痍!ナラク・ニンジャの力を失えば、かくも弱体化してしまうというのか!
9ターン目
「ギルドに屈服せよ、ニンジャスレイヤー=サン!イイイヤァアアアーーーッ!」ワイルドハントの猛攻!SLASHSH!「グゥワーッ!」岩コマとムチの斬撃、そしてイエローフィストのトビゲリが、着実にニンジャスレイヤーの体力を削っていく!「殺すべし……ニンジャ殺すべし……!」瞳が赤く輝く!
「Wasshoi!」ニンジャスレイヤーは己を鼓舞し、全身全霊を振り絞ってワイルドハントへ飛びかかる!狙うは腕、そして股間!「!」今までとは見違えるような凄まじい速度、そして威力!食らえば即死はせぬまでも戦闘不能は免れぬ!「アブナイ!」イエローフィストはとっさに動き、かばう!
KRAAASH!「ンア……アバーッ!」ナムアミダブツ!腕への致命的打撃はかろうじて防御したが、殺人キックが腹部に命中!内臓を情け容赦なく破壊した!「ゴボッ……!」おびただしい吐血!肉体はなおも動こうとするが、ニューロンへの苦痛が閾値を超え、彼女の意識を灼き切った!「……ムン」
バシャン……!イエローフィストは自らの吐血で汚された温泉の中に倒れ伏し、気絶!戦闘不能!「この……大馬鹿者めがァーーーッ!」ワイルドハントは激昂!「ようやく一人だな。次はオヌシだ、ワイルドハント=サン」ニンジャスレイヤーは無慈悲に宣告した。だが、彼は到底無事ではない!
10ターン目
「「イイイヤァアアアーーーッ!」」ワイルドハントとニンジャスレイヤーは互いのカラテを燃やし、竜巻めいて激突!激突!激突!両者がぶつかり合うたび、ジゴクめいた火花が跳ねる!「「イイイヤァアアアーーーッ」」ぶつかり合い、離れ、またぶつかり合う!コマの旋回軌道が……乱れる!
ニンジャスレイヤーは高速回転巨大コマの威力を高速回転で相殺し、繰り出されるムチ斬撃を紙一重で回避!互いの回転をカラテに変え、再びポン・パンチを繰り出す!「!」ワイルドハントは躱そうとSMAAASH!「グワ、アバーッ!」ナムアミダブツ!弾き飛ばされたのはワイルドハントだ!
KRAAASH!彼は温泉コテージを覆う岩壁に激突し、蜘蛛の巣めいた亀裂の中にめり込んだ。「ゴボーッ!」おびただしい吐血!巨大コマはカラテの激突に耐えきれず粉砕された。ネンリキで浮かべていたコマも落下し、彼は無防備なハリツケの姿となる。「ハイクを詠め、ワイルドハント=サン」
ニンジャスレイヤーは腰を落とし、スリケン投擲姿勢を取る。「スゥーッ……ハァーッ」チャドー呼吸を繰り返し、全身を筋肉の緊張で震わせる。ツヨイ・スリケンの構えだ。ワイルドハントは観念した。「……我が身死すとも/ギルドは不滅/ガンバルゾー」「イイイヤァアアアーーーッ!」投擲!
SMAASH!ツヨイ・スリケンは狙い過たず飛び、ワイルドハントの心臓を撃ち抜いた。「サヨ!ナラ!」ワイルドハントは爆発四散した。
戦闘終了
エピローグ
「……ヌウーッ……」ニンジャスレイヤーはよろめき、温泉の中に片膝をついた。実際恐るべき強敵であった。だが殺した。ナラク・ニンジャの力を引き出していれば、チャドー呼吸による深い共振状態に入っていれば、これほどのダメージを負うことはなかったであろう。彼はイエローフィストを見る。
彼女もカイシャクせねばならぬ。ニュービーに近いが、ワイルドハントの薫陶を受けた手練れだ。生かしておけば禍根を残す。「待ちなさい、フジキド!」「!」闇の彼方からの声が彼を制止した。声のした方を見れば、女ニンジャがラマに乗ってこちらを見ている。彼女のバストは豊満であった。
「ドーモ、ドラゴン・ニンジャです」
「……ドーモ」ニンジャスレイヤー、フジキド・ケンジはアイサツを返す。彼の姉弟子のユカノにしてドラゴン・ニンジャクランの開祖である彼女は、キョート城から帰還後にフジキドたちと離れ、このヤマ山地に新たなドラゴン・ドージョーを築こうとしている。「何事です」「ザイバツニンジャだ」
ラマを降りて駆けつけたユカノに、フジキドは事情を話す。通りすがりにザイバツの残党に遭遇し、苦戦しながらも倒したところだと。「……事情はわかりました。では、彼女の身柄は引き取ります」「ユカノ」「私はドラゴン・ニンジャですよ。ドージョーの門下生が少なくて困っています」
「やめておけ。逃げられればドージョーの位置がザイバツに露見する」「逃さなければいいのです。留守中のフェイスフル=サンの組手の相手も必要ですし、それに」彼女はイエローフィストの手をとった。「まだ若い。ザイバツによる洗脳を解けば、やり直せます」「できるのか」「チャドーならば」
ドラゴン・ニンジャは胸を張った。「情報も聞き出したいですし、おそらく彼女には才能があります。ソウカイ・シンジケートを倒すためにも、仲間は多い方がいいですよ」「私は」「あなただけで戦っているわけではありません。トコロザワ・ピラーやキョート城でのイクサはどうでしたか?」
フジキドは腕組みをし、押し黙った。反論できぬ。……あの後、彼はナラクの力を取り戻すべくマルノウチ・スゴイタカイビルへ向かい、ギンカクに呼びかけてみた。だが、答えはなかった。シルバーキー/エーリアスによれば、ネオサイタマ上空を覆うキョジツテンカンホーの影響かも、という。
アンバサダーとディプロマットによれば、ザイバツはロードのジツをネオサイタマに及ぼすため、魔術的なビーコンを各地の霊地に仕込んでいたという。ならば、それを破壊していくしかない。ナラクの力なくばソウカイヤは滅ぼせぬ。ラオモト・カンを討ち、妻子のアダウチを果たすことはできぬ。
ポータル兄弟の把握しているビーコンのいくつかは発見したが、今回のワイルドハントたちのように、ザイバツの残党がさらなるビーコンを仕込むこともあろう。全て殺す。あるいは何らかの方法でキョート城に乗り込み、直接禍根を絶つか。「……わかった」ニンジャスレイヤーは渋々承知した。
「だが油断するな。彼女が裏切れば、私が即座に殺す」「私が責任をもって預かります。ドージョーの場所が露見すれば、別の場所に遷ればよいではないですか。中国地方とか、岡山県とか」ドラゴン・ニンジャは手早くイエローフィストに応急処置を施し、ニンジャピルを飲ませて回復させる。
ドラゴン・ドージョーの残る門下生のうち、バンブーエルフは行方不明となった。キョートに戻ったディテクティヴ/タカギ・ガンドーからの連絡によれば、キョート城は「最外周の堀から」消失していたという。ならば彼女は脱出できず、キョート城にいるのだろう。いずれ連れ戻さねばならぬ。
「……ところで、フジキド。私もここへ入浴しに来たのですが、片付けておいてくれますか?」ユカノは悪戯っぽく微笑んだ。「ヌウーッ……」フジキドは低い声で唸るが、頷く。「……わかった」「では、後であなたも入浴しなさいね。人生にはリラックスの時間も必要ですよ」「……うむ」
【イン・ザ・ケージ、イン・ザ・フォレスト】終わり
リザルトな