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【つの版】「逆噴射小説大賞2023」応募作品・ライナーノーツ
おれだ。二発撃ち終えたのでライナーノーツだ。今回も試し撃ちはせず、おれなりに脳みそをひねって出してみた。おれのすきなものをかけ合わせたり、おれの過去の作品をかけ合わせたり、左右のバランスをとったりしてできている。続くかどうかはわからない。撃ってないやつは撃て。
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昨年のはこれだ。
一発目:夜山踏み
日本伝奇だ。いつぞやXに流れて来た「夜山踏み/ヨヤマフミ」というネタが面白そうだったので、いろいろ調べてやってみた。香川や徳島(讃岐や阿波)のほうに伝説があるそうだ。与市という夜山踏みが大蛇に呑まれたという話があり、それをひねって夜一とした。よいち、と読むのだろう。山は異界で夜は魔時、そこに踏み入る猟師の話となる。秋の夜の山の静かな雰囲気があり、踏みは文とも音が通じていて奥ゆかしい。夜一に文字が読めるか知らないが、父祖の教えが彼を導くのだ。
当初は火縄銃を撃つ予定だったが、Bingでイメージを作ると弓矢を装備したので弓矢にした。なので鉄砲伝来以前の中世日本だ。屋島の戦いで扇の的を射た那須与一と関係がありそうな気もする。源頼政も弓矢で物の怪退治をしているし、手練れなら単独で夜山に踏み込んでもなんとかなろう。毒や罠もあればさらによい。最近は山から熊とかが降りてきてマジで大変だが、むかしはこういう連中がいて山の獣を間引いていたのだろう。香川県高松市の根香寺には、かつて豪傑に退治された牛鬼の角があるという。
おれは狩猟経験も弓矢を射た経験もないので描写はふわふわしているが、考えてみれば猟犬を連れていないのは不自然だ。描写されていないだけで犬もいるのか、連れずにやるのが掟なのか、それとも夜一が犬なのか。淵に沈んだ蛇女もまた襲ってくるかも知れない。どうなることだろうか。
本作はしゅげんじゃ=サンにピックアップ頂いた。アリガトゴザイマス!
関連作品
◆夜◆
◆踏◆
二発目:新しい契約
ところ変わって中世欧州風ファンタジーだ。昨年から貨幣の歴史についてやたらとつのpediaしているのでなんか溢れ出た。よーく考えなくてもカネは大事であり、おまえの身を物理的に守ってくれる。この世界が史実の欧州かナーロッパかはわからんが、銀貨1枚が万札1枚とすればわかりやすいな。近世には価格革命が起きていて銀の価値が1/3になってしまった。
二発目がどうも難産だったので、つのpediaからネタを引っ張ってきて、昔の逆噴射作品とか忍殺TRPGリプレイとかと絡めて左にひねってみた。登場人物の名前は(一人しか人名が出て来ないが)例によってランダム人名ジェネレーターでダイスを振って決めた。一発目は初っ端から流血で、こっちは最後に血が流れる。囚われのカネモチを女にすればイヤボーンとなるが、あいにく中年のおっさんだ。主人公?も男なので花がない。まあいい。
「新しい契約」と言えばキリスト教世界ではジーザスを仲介者とした神と人類の救済契約のことだが、こいつは悪魔とでも契約したのか、金貨を操ってカラテミサイルめいて飛ばすネンリキ系のジツを使うようだ。『新約・使い魔くん千年王国』ではカネモチのおっさんに取り憑いた堕天使がそんなジツを使っていたし、『ハイパーインフレーション』でも紙幣を射幣して物理的暴力に使っていたな。主人公のはずの悪党は仲間を全員やられてピンチだ。モーガンの旦那に命乞いして「新しい契約」を結ぶか、それとも……?
関連作品
◆Shaking◆
◆Shaking◆
以上だ。健闘を祈る。
【ひとまずおわり】
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