忍殺TRPGリプレイ【ビューティフル・ビースト】03
前回のあらすじ:ネオサイタマ、オハヤシ・ストリート。対立する2つのケモノパンクス・クランの抗争は、ストリート内外に経済的悪影響を及ぼしていた。これに対処すべく、ソウカイ・シンジケートは3人のニンジャを派遣し、手段を問わずに抗争を鎮圧せよと命じた!カラダニキヲツケテネ!
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「い、命は取りません!降伏してください!イヤーッ!」マインドシーカーは降伏勧告しながらスリケン投擲!だが狙いを外す!『『AARRGHHH!』』2頭のケモノは猛然とソーサレスキャットへ襲いかかる!「イィヤーッ!」猫めいた俊敏さで緊急ブリッジ回避!ワザマエ!「するかよクソが!」
ソーサレスキャットは比較的弱そうなマインドシーカーに狙いを定める!「テメエから死ねーッ!」猫めいたバネで高く跳躍しデン・スリケン射出!ZZZZZTTT!「アイエエエ!」マインドシーカーは涙目で横に転がり回避!「ぼ、暴力反対!」「だったらこいつらに暴力をやめさせろ!」正論だ!
戦闘継続
3ターン目
「暴力はやめてください!イヤーッ!」マインドシーカーは涙目でソーサレスキャットを見つめ、カナシバリ・ジツを発動!ZZTZZT!「ンアーッ!?」命中!大きく体勢を崩す!『GRRRR……AAARGHHHH!』レッドフォックスが背後から飛びかかり、ハンマーパンチを放つ!SMAASH!「アバーッ!」
ナムアミダブツ!ソーサレスキャットの頭蓋骨が叩き割られ、顔中の穴から出血!よろめいたところへキルフィストが飛びかかる!『AAAARGHH!』SMASH!「ンアアーッ!」命中!もはや瀕死だ!だが彼女のニンジャソウルとバイオサイバネはまだ屈服しない!猫には9つの生命あり!「AARGH!」
ボコボコボコ……!ソーサレスキャットの筋肉が膨張する!ニンジャソウルと獣人化バイオサイバネの暴走だ!彼女は空中高く舞い上がり、渾身のカラテを込めて、マインドシーカーの背中へ鋭利な爪を向ける!狙うは心臓!「AAAARGHHHH!」「え」『アブナイ!』レッドフォックスがかばう!
SMAAAASH!ギリギリで必殺の攻撃は防がれた!「あ、アリガトゴザイマス!」マインドシーカーはブルブルと恐怖に震え、涙目を向ける!
4ターン目
「暴力反対ーッ!イヤーッ!」ZZTZZTZZT!マインドシーカーは渾身のカナシバリ・ジツを放つ!「アババババーッ!」ゴウランガ!暴走したソーサレスキャットの無防備なニューロンにジツが突き刺さり、灼き切られた!「アバーッ……ムン」白目をむいて昏倒!「や……ヤッター!スゴイヤッター!」
マインドシーカーは喜びの声をあげ、ネコネコ・カワイイ・ジャンプじみて跳躍!かわいいね!「「シューッ……!」」レッドフォックスとキルフィストはヘンゲを解き、元の姿に戻る。油断ならぬ強敵であった。
戦闘終了
???
ソーサレスキャットは倒したが、ここからが問題だ。この状態でも抗争は止まるだろうが、円満な解決には説得して両者の仲を取り持つ必要がある。もう一方も壊滅させるよりは手間がかからない。3人は気絶したソーサレスキャットとケモノパンクスたちを手早く捕縛し、説得の構えに入った。
「アバッ……殺せ……チクショウ……」ソーサレスキャットは屈辱に震え、涙を流している。レッドフォックスは溜息をつき、しゃがんで視線をあわせた。彼はストリートの流儀に長けている。「なあ、何も死ぬこたァねーんだよ。抗争の原因を調べさせてもらった。つまらねェ意地の張り合いじゃねェか」
「つまらねェとは何だ……」「つまらねェし、くだらねェンだよ。俺はヘクスオオカミ=サンのことも調べた。寂しがってるってよ」「あのクソ犬野郎の名前を出すな!」「じゃあ、なんで一緒にいた?」「それは……つうか、そういう仲じゃねェンだよ!ニンジャソウル同士の通信っつうか……」
両者は『アニマ・ニンジャクラン』のソウル憑依者であり、獣の霊と深い関わりを持つ。このクランはオヒガンの一領域を通した霊的な交信を得意とし、夢を通してそこへ意識を没入させ、かつての同志と意志を疎通させることができるという。両者はニンジャになった後、それによって知り合った。
意気投合した2人はバイオサイバネ手術を受けてケモノパンクスとなり、周辺のケモノパンクスを平定して大規模なクラン連合「オミナス(ominous/不吉な)ビースト」を立ち上げた。しかし……最近、夢の彼方から奇妙な声やヴィジョンを受け取るようになり、次第に仲違いを始めたのだという。
「……きっかけはどうあれ、抗争は始まっちまった。まあ……クソ、そうだ、つまらねェことさ」ソーサレスキャットはうなだれた。頭部に痛打を食らいニューロンを灼かれたことで、彼女に届いていた声は聞こえなくなったようだ。「仕方ねェ。降伏する。抗争をやめて、賠償もする。これでいいか」
「よし」レッドフォックスはサムアップした。「言質はとったぞ。録音もした。誓約書にハンコをつき、ともにヘクスオオカミ=サンを説得しろ」キルフィストは容赦しない。「わぁったよ!」
エピローグ
「……わかった。俺たちは和解し、ソウカイヤの傘下に入る」ヘクスオオカミは、ソーサレスキャットの謝罪と説得を素直に受け入れた。そしてズタボロの彼女を優しく抱きしめたのだ。「ヒューッ!」レッドフォックスは口笛を吹いた。彼女は必死で否定していたが、実際に良い仲ではあったらしい。
「俺の方もダセェ意地張っちまってたぜ。テメエをこんな目にあわせちまうなんてよ」「は、離せ!ハズいだろォが!」「じゃあ、俺たちはここらで退散するぜ。後はヨロシク」「誓約書にハンコをつかせてからだ」……こうして、オハヤシ・ストリートを騒がせたケモノパンクスの抗争は終結した。
重金属酸性雲の隙間からはドクロめいた月が顔を覗かせ、下界に不吉な光を投げかける。その光の大部分は眠らぬ街のネオン光に掻き消されてしまうが、かすかに闇を照らし出す。寄り添い生きる、美しき異形の者たちを。
【ビューティフル・ビースト】終わり
リザルトな