忍殺TRPGリプレイ【ザ・ピュア・ヤクザズ・キラー・キッス】04
前回のあらすじ:ネオサイタマの政治的中立地帯ニチョーム・ストリートには、ハイデッカーに追われて日増しに難民が流入し、揉め事が増え続けている。非ニンジャの自警団では手に負えない事態が起きればニンジャ自警団が出動するが、限界は迫りつつあった。そしてついに、大規模な襲撃が!
◆
一瞬の沈黙。サツバツとした風が吹き、ズタズタになった街宣ビラが宙に舞う。ニチョーム勢は先手をとってアイサツした。「ドーモ、ネザークイーンです」「ドミネイターです」侵入者たちはアイサツを返した。「ドーモ、ソウカイ・シンジケート、ディスエイブラーです」巨漢はオジギした。
続いて、小柄なサイバネニンジャが電子音声でアイサツした。『ドーモ、バイセクターです。これより貴様たちを排除する』
「……不可侵条約を忘れたの?」ネザークイーンが低い声で唸る。自身も、その言葉にほとんど意味が無いことを悟りながらも。「ソウカイ・シンジケートは裏切りを許さん」ディスエイブラーはハーレーから降りる。『待て』バイセクターが機械音声で制止する。『こちらのアイサツがまだだぞ』
バイセクターは顎をしゃくって、相方に指図する。「おっと」嗜虐行為への期待に我を忘れかけていた巨漢ニンジャは、思い出したように背中のカンオケのスイッチを押す。直後、ディスエイブラーに背負われていたカンオケが、勢い良く開け放たれた!漂うのは墓場のにおい!『……キョムー……』
姿を現したのはユーレイじみた灰色のニンジャローブを纏う、見るからに不吉なアンデッド・ニンジャ!顔はフードに隠れ、足は無く、ネガティブ・カラテの力により空中30センチ付近を浮遊している!巨漢ニンジャは嘲笑った。「代わりにアイサツしてやるぜ。こいつはスペクター=サンだ!」
ナムサン、3対2だ。他のニンジャ自警団員を合わせれば数では勝るが、彼らを呼べばニチョームにヤクザがなだれ込む!「アータたち、マジでソウカイヤ?ゲイトキーパー=サンやフューネラル=サン、デンパルス=サンたちと話がしたいんだけど」ネザークイーンは慎重に交渉を望む。『ダメだ』
バイセクターは無慈悲に告げた。『皆殺しにする』『キョムー……』「ウオーッ!」ディスエイブラーは盛りのついた犬めいて血の混じった涎を垂らし、嗜虐心に目を血走らせている。もはやモンドムヨー!
戦闘継続
マップ
4ターン目
『イイイヤァアアアーーーッ!』まず動いたのはバイセクター!背負った巨大なギロチンチャブを投擲し、ネザークイーンの首を狙う!「イヤーッ!」ネザークイーンはとっさに身を伏せて回避!だがギロチンチャブはそのまま遥か彼方まで飛び、ブライカンとファイアランナーにも襲いかかる!
「「イヤーッ!」」2人のニンジャはとっさに身を伏せて回避!ワザマエ!ギロチンチャブはブーメランめいて旋回し、たちまちバイセクターの手元に戻る。なんたる恐るべき武器か。だが当たらなければ意味はない!「正当防衛よ!」ドミネイターが進み出て拳を構える。ネザークイーンは止めない!
「イイイヤァアアアーーーッ!」ドミネイターはバリケードを蹴って跳躍しバイセクターへ殴りかかる!BOBOBO!『イヤーッ!』バイセクターは見切って躱す!『キョムー……』スペクターが体勢を崩したネザークイーンへ襲いかかる!「い、イヤーッ!」ネザークイーンは紙一重でタッチを回避!
スペクターに触られることは危険だと直感的にわかっている。だが動きは緩慢!ネザークイーンは腰のひねりをきかせて、痛烈な右回し蹴りを叩き込む!「イヤーッ!」BOOM!手応えは……皆無!躱したのではない、攻撃がスペクターの体をすり抜けたのだ!形をなした濃霧か、水面の影のように!
「何よコイツ!オバケ!?バカじゃないの!?」ネザークイーンは脂汗を垂らした。「南側にニンジャが3人!加勢しやすぜ!」ブライカンは状況判断し、四つ辻から南へ駆け抜けつつスリケン投擲!「イヤーッ!」『キョムー……』だがスリケンはスペクターの体をすり抜ける!物理攻撃無効!
「イイイヤァアアアーーーッ!」ディスエイブラーは両腕の鉤つき鎖を振り回し、射程範囲内に入ったドミネイターへ射出!アブナイ!「い、イヤーッ!」間一髪でブリッジ回避!ワザマエ!そしてディスエイブラーにはタギザワの狙撃弾が迫る!「イヤーッ!」銃弾の軌道を見切り、弾き落とす!
「「「ザッケンナコラー!」」」「「「スッゾコラー!」」」ゲートの外のクローンヤクザ部隊は一斉にチャカガンを構え、ニチョーム内のニンジャたちへ一糸乱れぬ一斉射撃!BLALALALAM!「「「「イヤーッ!」」」」「ムテキ!」「ンアーッ!」ナムサン、ドミネイターが被弾!このままでは!
「大通りじゃあ不利ね。路地裏へ誘い出す?」ネザークイーンは状況判断する。大通りへのクローンヤクザ部隊の突入を許すことになるが、そっちはビル内からの住人や客の銃撃で対処できるだろう。しかし、ニンジャやヤクザ部隊がビル内に突入すれば非ニンジャは皆殺しだ。ここはどうすべきか?
5ターン目
「「イヤーッ!」」ファイアランナーとファイアキラーは状況判断し、路地裏に飛び込む!ネザークイーンは前に飛び出し、負傷したドミネイターをかばう!『無駄だ!イヤーッ!』バイセクターはドミネイターへ拳を乱打!しかしカラテはタツジンではない!「イヤーッ!」見切ってスウェー回避!
「イヤーッ!」ドミネイターはそのまま連続バック転を繰り出し、東側の路地裏へ逃れる!ドゥームキラーもファイアキラーを追って南西の路地裏へ!『キョムー……!』スペクターはネザークイーンに追いすがり、節くれだった長い腕を伸ばしてカラテを吸収せんとす!「イヤーッ!」回避!
「イイイヤァアアアーーーッ!」ブライカンはネザークイーンの傍らへ駆けつけ、バイセクターへ目にも止まらぬイアイ斬撃を繰り出す!狙うは腕だ!SLASHSH!『イィヤーッ!』バイセクターは致命的な攻撃を紙一重で回避!「ドーモ、オヒケエナスッテ!ブライカンです!オミシリオキヲ!」
「ドーモ、ソウカイ・シンジケートのディスエイブラーです!こいつらはバイセクター=サンとスペクター=サンだ!」巨漢ニンジャは代表アイサツを返す。「ちょこまかと逃げ回りやがって……そこらの店のドアをぶっ壊して非ニンジャのクズを嬲り殺すのも面白そうだが」彼は邪悪に目を細める。
「まずは貴様からだ!カンオケに放り込んでやる!イイイヤァアアアーーーッ!」ディスエイブラーはネザークイーンめがけ鉤つきの鎖を大蛇めいて射出!「イヤーッ!」見切って回避!だが大きく体勢を崩す!BLAMN!『ヌウッ!』タギザワの狙撃がバイセクターに迫る!『イヤーッ!』紙一重回避!
「「「ザッケンナコラー!」」」BLALALALAM!南側ゲートの外からクローンヤクザ部隊が一斉射撃!「ムテキ!」「イヤーッ!」キキィン!ネザークイーンとブライカンは問題なく弾く!だが東・北・西のゲートからはヤクザ部隊が再突入!「「「スッゾコラー!」」」「「「テメッコラー!」」」
???
その時!「「「イヤーッ!」」」3つの影がビルから飛び降り、ゲート前に立ちはだかる!「ドーモ、シャドウティアーです」「ナーガストラです」「ブレードルークです。ここは通さねえぜ!」コブラ教団のエントリーだ!
6ターン目
これで南側へ戦力集中可能!「イイイヤァアアアーーーッ!」ファイアランナーは路地裏から飛び出し、バイセクターへアンブッシュをかける!『イヤーッ!』バイセクターはサイバネアイを光らせとっさに防御!「スキアリよ!イヤーッ!」ネザークイーンは回し蹴り!SMASH!『ピガーッ!』
「TAKE THIS!」BLAMBLAM!西側の路地裏からファイアキラーがアンブッシュし銃撃!「イヤーッ!」ディスエイブラーは剛腕で銃弾を叩き落とす!「ちッ」ファイアキラーは舌打ちした。得意のハッキングは通信妨害で使えない。ならばカラテあるのみ!『他を手薄にして、集まって来たか……』
バイセクターは状況判断する。複数のニンジャが南門前へ集結中。ギロチンチャブ投擲で狙うのはネザークイーンかブライカンか、アンブッシュしてきた新手のニンジャたちか。負傷したドミネイターは東側の路地裏へ逃走。追跡……路地裏……死神……彼の脳裏に何か不吉なビジョンがよぎる!
『知能も高い……狭い路地裏に……』バイセクターは忌まわしい電子的デジャブに囚われ、うわ言を呟く。そして迷いを振り切るように、ドミネイターを追って猛然と路地裏へ!『イイイヤァアアアーーーッ!』ニンジャアトモスフィアから位置を推測し、先回りしてギロチンチャブを縦回転投擲!
ギャギャギャギャ!恐るべき殺戮機械は大質量で路地裏の劣化アスファルトを切り裂き、ドミネイターに襲いかかる!「イヤーッ!」ドミネイターは跳躍回避!ビル壁を飛び渡り、ブーメランめいた軌道でバイセクターの手元へ戻るギロチンチャブを躱しきった!『死神を……殺す……前とは違う……!』
バイセクターはうわ言を呟きながら震え、隙だらけだ!勝機!「イイイヤァアアアーーーッ!」ドミネイターはビル壁を蹴って勢いをつけ、嵐のような精密ジャブ連打!BOBOBO!SMASH!『ピガーッ!』命中!しかし堅牢なサイバネボディは生半可なカラテでは壊し切れぬ!『死神を……殺す……!』
「おいおい、どうしたバイセクター=サン。あの小娘を嬲り殺したくなったのか?」ディスエイブラーは東の路地裏へ視線を向ける。その時!「イイイヤァアアアーーーッ!」西の路地裏からドゥームキラーがイアイ・アンブッシュ!狙うは脚と頭!「何ッ!?」ディスエイブラーは振り向いた!
躱しきれない!「イヤーッ!」彼は瞬時に腕を大きく上に伸ばし、体をひねって奇妙な構えをとる!SLAAAASHSH!「グワ、アバーッ!」ナムアミダブツ!巨体が上から下に切り裂かれ、アキレス腱からこめかみにかけて裂傷!しかし!「アアーッ……イイーーッ!」巨漢ニンジャは歓喜に震える!
ゴボゴボゴボ……!ディスエイブラーの傷口に血と肉が盛り上がり、瞬時に塞がった!これが自らに与えられた苦痛をエネルギーに変換する恐るべきジツ、イタミ・ジツだ!「虚像だろ」「フーッ……心地よいイタミだ……ドーモ、ディスエイブラーです」彼は平然とアイサツを繰り出した。
「ファイアランナーです」「ファイアキラーです」「ドゥームキラーです」3人はアイサツを返す。「多勢に無勢だ。大怪我しねェうちにお帰り願いてェが」「寝言は寝て言え……おお、気持ちいい……」ディスエイブラーは負傷が治りきらないのか、恍惚の表情でふらついている。『キョムー……?』
スペクターは増えた標的のどれを襲うか迷い、まごつく。彼の自我は希薄なのだ。『キョムー……』ひとまず手近のファイアランナーへ接近!「イヤーッ!」回避!「あっしは……ドミネイター=サンの援護にまわりやす!イヤーッ!」ブライカンはとっさに状況判断し、東の路地裏へ連続側転!
「シューッ……貴様にも心地よいイタミを味わわせてやろう!イヤーッ!」ディスエイブラーは凄まじい殺気を放ち、距離を取ってフックつき鎖をドゥームキラーへ投擲!狙うは脚だ!どくん……ドゥームキラーはアドレナリンを過剰分泌し、これを……SMASH!「グワ、アバーッ!」アキレス腱断裂!
「アアーッ!イイーッ!」ディスエイブラーはメンポの隙間から涎泡を噴きこぼし、歓喜に身を震わせる!彼は嗜虐趣味と被虐趣味を併せ持つ変態だ!「ドゥームキラー=サン!」ネザークイーンは負傷したドゥームキラーをかばう!クローンヤクザ部隊の一斉射撃!
「「「ザッケンナコラー!」」」BLALALALAM!「ファック!」ファイアランナーは残った遮蔽物で防御!「ンアーッ!」ファイアキラーが被弾!ここで戦うのはやはり危険だ!ネザークイーンは指示を飛ばす!「全員、路地裏へ撤退!」「「「了解!」」」ニチョームでのイクサはさらに激化する!
戦闘継続
【続く】
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