忍殺TRPGリプレイ【シャドウ・アンド・トゥルース】03
前回のあらすじ:考古学者ヒラタ・クルミのオフィスに、人探しの依頼が舞い込んだ。依頼者の死んだはずの姉、アブラメ・トウカがケオサキで目撃されたというのだ。それも、首が異様に長く伸びた姿で。クルミたちは彼女に突撃インタビューを行い、事情を把握するが……カラダニキヲツケテネ!
◆
カゲツルの表情が突如、険しくなった。「……弟が、来ているようです」「そりゃ良かった」「よくありません。この気配は……」『AAARGHHH!』一軒家の外、屋上に、獣じみた雄叫びが響き渡る!『姉さんに取り憑いた、邪悪な怪物め!退治してやるぞ!僕の姉さんを返せ!』ナムアミダブツ!
さらに!『『GRRRRR……!』』彼が連れている二頭の犬は、暴徒鎮圧用四脚機械猟犬・ハイエナだ!オナタカミ社が富裕層の邸宅防衛用に販売しており、「オナタカミ・ハウンド」の異名を持つ!
彼は……おそらくクルミやイユの持ち物に発信機か何かを仕掛けて、全てを聴いていたのだろう。そして「独自の調査」とやらと組み合わせ、そうした結論に達したわけだ。なんたる思い込みの激しい男か!「ど、どうしましょう!」イユは慌てた。狂人だとしても、彼は依頼人で、トウカの弟だ。
「貴女の弟でしょう。なんとかしなさいよ」クルミはチベットスナギツネめいた冷たい目つきでトウカを見た。「嫌です。ああなった弟は私でも止められません」「貴女のニンジャパワーでなんとかしなさいよ」「嫌です」トウカは取り付く島もない。あの弟にしてこの姉あり、といったところか。
「じゃあ、どうしろと!」「……彼を止めて下さい。囲んで殴って大人しくさせた後、ニンジャの恐怖を叩き込めば、従順になると思います」トウカ、カゲツルはニンジャらしい意見を述べた。「なるべく私の部屋に足を踏み入れる前に片付けて下さい。でなければ……」「わかったわよ!」
三人は部屋を飛び出し、玄関から入ってきたヨジロとハイエナたちの前に立ちはだかる!ヨジロは……「ドーモ。姉を名乗る化け物はそこですね?どいて下さい」狂気!「ダメよ。貴方に逢いたくないって」「では、強制的に排除します。僕の邪魔をするやつは許さない……!」一触即発!
戦闘開始
初期配置
◆火蛇(種別:モータル)
カラテ 4 体力 4
ニューロン 3 精神力 3
ワザマエ 3 脚力 3/N
ジツ - 万札 5
攻撃/射撃/機先/電脳 4/ 5/ 4/ 5
回避/精密/側転/発動 5/ 5/ 4/ -
即応ダイス:3 緊急回避ダイス:0
◇装備や所持品
▶サイバネアイLV1:ワザマエ判定+1、射撃時さらに+1
▶生体LAN端子LV1:ニューロン判定+2、イニシアチブ+1
▶ヒキャクLV1:脚力と回避+1
◆LAN直結型ハンドガン:連射2
●論理射撃:集中時にニューロンで射撃、時間差・マルチ獲得
◆赤熱ワイヤーウィップ「MF-33」:ダメージ1+火炎1、リーチ+1
攻撃難易度H、連続攻撃上限1、装備時側転難易度+1
●戦闘スタイル:赤熱切断 装甲貫通1、出目65で殺伐発生
戦闘中1回限り使用可、使用後は戦闘終了まで火炎ダメージ1を失う
◇スキル
◉連続側転
◉挑発
◉知識:ストリートの流儀、ファッション
能力値合計:10
1ターン目
「イヤーッ!」クルミは掌にエテルを凝集させ、空気中の重金属粒子を触媒として禍々しいハッポースリケンを生成!ハイエナめがけ投擲!SMAASH!『ピガーッ!』命中!だが一撃では破壊できぬ!「そっちは任せた!」火蛇はLAN直結型ハンドガンを構え、無傷のハイエナへ論理射撃!BLAMBLAM!
『ピガーッ!SAYONARA!』KABOOOM!爆発四散!「ブルズアイ!」「私も!イヤーッ!」イユは負傷ハイエナへスリケン投擲!SMASH!『ピガーッ!SAYONARA!』KABOOOM!爆発四散!「雑魚は片付けたわ!」「貴様ら、依頼主である僕に逆らうのか!ブッ殺してやる!」ヨジロは激昂!
目を血走らせ、口角から泡を噴き、バールを振り上げてクルミへ駆け寄り振り下ろす!だが怒りのあまり手元が狂い、あらぬ方向へ!SMASH!「落ち着きなさい!」「AAARGHHHH!」ヨジロは薬物でもキメているのか、話を聞こうとしない!ジャンク・チャカガンも所持しており危険だ!
2ターン目
「「イヤーッ!」」「TAKE THIS!」クルミのスリケン、火蛇の銃弾、イユのカラテがヨジロを襲う!SHSHSH!BLAMBLAM!SMASH!「グワ……アバーッ!」命中!命中!もはや瀕死!だがかろうじて銃弾一発を躱し、血みどろのまま立ち上がる!「姉さん……!AAAARGHHHH!」ヨジロは……!
ヤバレカバレ!クルミへ駆け寄りバールを振り下ろす!狂人の筋力も相まって恐るべき威力!当たれば昏倒しかねない!だが!「……イヤーッ!」クルミはニンジャの感覚でバールの動きを難なく見切り、躱す!「スリケンや銃弾だと殺してしまうわ。ミネウチでなんとかしましょう」「「了解!」」
3ターン目
「イヤーッ!」クルミはヨジロへセイケン・ツキ!「AARGGHH!」回避!「イヤーッ!」火蛇は脚部サイバネを稼働させ、ヨジロの背後からトビゲリ!「AARGHHH!」ヨジロは転がり回避!「キエーッ!」イユは踵落としを放つ!「AAARGHHHH!」ヨジロは転がり回避!なんたる執念!
「GRRRR!」獣めいて吠えながら、バールをクルミへ振り下ろす!だが手元が狂い、かすりもしない!「しつけえぞ!サイコ野郎が!」火蛇はキアイを入れる!護衛として雇われた以上、この二人を守らねばならないが、自分があえてかばわずとも彼女たちは見切って躱してくれる。これがニンジャ!
4ターン目
「シューッ……!」クルミは胸元に隠したハッポースリケンを握りしめ、大気に禍々しいエテルを振りまく。彼女に憑依した謎めいたニンジャソウルが身じろぎした。ニンジャ同士がイクサを行う時、大気中にカラテ粒子が放出され、互いの攻撃は躱しにくくなるという。これは実際それに近い!
「「「イヤーッ!」」」三人はヨジロを囲んで叩く!「AAARGHHH!」だがヨジロは全て防御!クルミへバールを振り下ろす!「AAARGHHHH!」「イヤーッ!」回避!「クソ、なんてしぶとい野郎だ……」火蛇は息を荒げる。銃を使えばもう少しラクだろうが、狂人を生け捕りにするのは難しい。
5ターン目
「「「イヤーッ!」」」三人はヨジロを囲んで叩く!SMAASH!「アバーッ!」イユのミネウチ攻撃がようやく命中!「ムン……」ヨジロは白目を向き、うつ伏せに倒れた。ゴウランガ!「フーッ……手こずりましたね」三人はザンシンし、汗を拭う。「私はカラテが弱いから、実際助かったわ」
戦闘終了
クルミは胸元からハッポースリケンを取り出すと、ヨジロの顔に突きつけた。そしてゆらゆらと揺らしながらエテルを注ぎ込み、暗示をかける。「あなたの姉は生きている。あなたは彼女を受け入れ、匿い、ともに暮らしなさい」「あ、アア……ハイ……」ヨジロは朦朧とした表情で頷く。
エピローグ
「……彼を説得しました、カゲツル=サン……いえ、トウカ=サン」「有難うございました」トウカは強化障子戸を開き、部屋から出て来た。その首は長く伸びている。「ヨジロ。手当てするから、今夜はここにお泊まりなさい。朝になったら一緒に帰りましょう」「……ハイ、姉さん」ヨジロは頷いた。
トウカは深々とオジギした。「本当に有難うございました。報酬は後で弟に支払わせます。このことは他言無用に願いますね」「「「ハイ」」」三人もオジギ。「これで一件落着ね」「じゃあ、私たちはこれで」「報酬は前金で貰ってるな。このハイエナのジャンクパーツ貰っていいか?」「ドーゾ」
……こうして『ケオサキのろくろ首』事件は解決した。ろくろ首はケオサキからいなくなり、噂はじきに忘れ去られた。クルミたちには、トウカたちから御礼の言葉とともに報酬が振り込まれた。なんとかなるだろう。「遺産はあるそうだし、金づるにはなるわね」「あまり再会したくないですよ」
【シャドウ・アンド・トゥルース】終わり
リザルトな