【2019年エイプリルフール企画】魔法少女ハウス☆バーナー
ドーモ!わたし三宅つの!ネオサイタマ市立ソウカイ学園高等部2年の女子高生!突然だけどわたし、ピンチなの!道端で、突然……!
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「ヨオ、マブ!」「オチャしない?物陰で!」「ヘッヘ!前後!」チョンマゲをたくさん頭に結い上げたヨタモノたち!ネオサイタマ市は実際治安が悪くて、こういうヨタモノがどこからともなくPOPするのよ!社会のゴミめ!「アーッ!俺はこういう平坦な胸の女が大好きなんですぜ!」「前後!」
「ンアーッ!」抵抗虚しく手首を掴まれて、路地裏へと引きずり込まれる!ああ、なんてこと!わたしの純潔がこんなクソカスどもにだなんて、考えるだにおぞましいわ!ブッ殺してやるッ!この吐き気を催す害虫ども!わたしの血管に大量のアドレナリンが流れ、主観時間が鈍化した!その時!
「イヤーッ!」BOMB!「「「アバーッ!」」」ゴウランガ!爆炎がチョンマゲ・ヨタモノたちを粉々に吹き飛ばす!ちぎれ飛ぶ四肢や首!ナムアミダブツ!「……エッ?」わたしは呆然と、焦げ臭いゴア肉片や血溜まりを見ていた。幸い返り血はかかっていない。よかった、ゴミはゴミに戻ったんだ。
「……ワッツ?」いや、これは。ヨタモノどもが手榴弾でも持っていたの?それがばくはつした?それとも『◇🎲◇ドーモ、私はモーターロクメンタイです。D6とお呼び下さい』「アイエッ!?」わたしの眼前の空中に、淡い光を放つ六面体のサイコロが浮かんでいた。それが、喋った。
「ど……ドーモ、モーターロクメンタイ=サン。三宅つのです」わたしは掌を合わせてオジギし、それにアイサツした。アイサツは大事だ。古事記にも書かれているし、両親や先生たちにきっちりシツケされている。得体の知れない物体でも、こちらにアイサツされたなら返さねばならない。
『◇🎲◇マーベラス。今貴女が発動したのは「カトン・ジツ」です。超自然的な火炎を喚び起こし、このような破壊をもたらします。こうしたジツの他に、貴女は常人を遥かに超えた物理的な戦闘力……カラテやワザマエを身に着けます。ニューロンの冴えも……今は常人並ですが、鍛錬しましょう』
「エッ?わ、わたしはどうなってしまったの?カトン?ジツ?カラテ?」『◇🎲◇おめでとうございます。貴女は、遥か昔に滅びた魔女たちの霊魂の片鱗……ウィッチソウルに憑依され、人間を超えた存在である魔法少女になりました。力の使い方次第で、世界の王にもなれるかも知れませんよ!』
「ア……アイエエエエエエエ!?」
『◇🎲◇そして、魔法少女にはそれに相応しい名前……ウィッチネームが与えられます。私が決めましょうか?』「い……いえ……なにか……頭の中に浮かんで来たわ……」わかってきた。わたしの中のウィッチソウルが、そう囁いているのだと。「ドーモ。わたしは……ハウスバーナーです……!」
そうだ。わたしは人間を超えた存在、魔法少女になったのだ。恐怖と困惑におびえていた瞳は赤い炎を燃やし、全身の骨肉や神経、血管が急激に変化していくのを感じる。わたしは花粉症対策マスクを鞄から取り出し、鼻と口を覆った。顔を隠さねばならない、という衝動に駆られた。だからそうした。
『◇🎲◇登録しました。私、D6は、ソウカイ学園により貴女のようなニュービー魔法少女につけられるオトモ・ナビゲーター・ドローンです。魔法少女になっているのは貴女だけではありません』「そ、そうなんだ……」ちょっとがっかりした。特別な存在ではあるが、自分だけではないのだ。
『◇🎲◇ソウカイ学園は魔法少女を歓迎します。それは素晴らしい戦力だからです。学園の魔法少女委員会「シックスゲイツ」から下されるミッションを遂行して下さい。成功すれば万札や名声が得られます。失敗したり逆らったりすれば、ムラハチやケジメされたり、粛清されたりするでしょう』
『◇🎲◇魔法少女同士でチームを組んで活動する事もできます。仲の良い友達が魔法少女になっていたら、是非誘ってみて下さいね!』「アッハイ。はぁ……」わたしは思わずため息をついた。突然、全てが変わってしまった。人は突然変われるとは言うけど、人でないものに変わってしまうなんて。
そして、気づいた。わたしはそれを受け入れてしまっている。精神が変容している。常人のままなら、さっきヨタモノたちが爆発した様や無惨な死体を見て、嘔吐や失禁、気絶していたかもしれない。暴力的な気分にもなってきた。カラテし、殺し、命やカネを奪うのだ。わたしは……魔法少女だ!
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「ンアバーーッ!」ナムサン!雨合羽の少女はオスモウダンプカーに跳ね飛ばされ、重金属酸性雨に濡れたアスファルト道路を転がる!血しぶき!だがダンプカーは止まるどころかスピードも緩めずそのまま駆け去る。ネオサイタマの交通法規では、この道路に飛び出した者が死ぬのは自己責任だ。
「あ……アバッ……」少女は道路を見る。猫はいない。よかった。猫を助けるために飛び出し、瀕死の重傷を負ったが、猫が無事ならいい。これで諸共に轢殺されていたら死んでも死にきれない。右目が見えず、右腕の肘から先の感覚がない。失われている。そこから血液が生命と共に流れ出す……。
重金属酸性雨が降り注ぐ。後続車はまだ来ないが、じきに来る。それに轢き潰されて、少女は原型も分からぬネギトロになるだろう。ショッギョ・ムッジョ。ヘアピンが散らばり、ぼさぼさの緑の髪が雨に濡れる。立ち上がれない。(((ドーモ。このまま死ぬ気か?)))誰かの声が脳内に響く。
そうかも知れない。さっき彼氏に最悪の形で振られ、死にたくなっていたというのはある。けど。轢殺されてネギトロだなんて。流石に酷い。もう少しマシな死に方をしたかった。(((生きたいか)))そうだ。まだ、生きていたい。痛みがやってきた。後続車も。あれが私の死だなんて。嫌だ。嫌だ。
「イヤーッ!」雨合羽の少女は立ち上がった。ボロボロの両脚に力が漲り、失われた右肘の先に鋼鉄製の腕が生えた。失われた右目が修復し、瞳が赤く染まる。見えてきた。迫り来るオスモウダンプカーが。その速度と、バリキを飲みすぎて朦朧としているサイバネ化した運転手の顔までも。見える。
「イヤーッ!」少女はジャンプした。高く。脚力は常人を超えていた。右目は異常な視力を獲得し、鋼鉄の右腕にはカラテが溢れていた。ダンプカーの荷台に跳び乗り、道路の横の障壁を飛び越え、夜のネオサイタマの夜景の中へ飛び降りた。美しい。貪婪なブッダデーモンの宝石箱のように。
彼女は自分が何者になったか理解していた。私は、魔法少女だ。古の魔女のソウルを身に宿し、人間を超越した存在となった。夜の魔物に。私は自由を手に入れた。全てを手に入れられる。一瞬そう考え、全能感と昂揚が心身を駆け巡った。しかし。『◇🎲◇ドーモ、モーターロクメンタイです』
「……ドーモ、モーターロクメンタイ=サン。雨崎しずるです」路地裏で突然現れたそれに、アイサツを返す。『◇🎲◇貴女は選ばれました。ウィッチソウルに憑依され、魔法少女となったのです』「知ってる。理解できたわ」舌打ちし、頭をボリボリと掻く。「で、あんたはどういう存在なの?」
『私、モーターロクメンタイことD6は、ソウカイ学園により貴女のようなニュービー魔法少女につけられるオトモ・ナビゲーター・ドローンです。魔法少女になっているのは貴女だけではありません……』D6はつらつらとお題目を述べた。ソウカイ学園。ちょうどこれから通うことになる学校だ。
『◇🎲◇貴女は……どうやらムテキ・アティチュードの使い手のようです。肉体を鋼鉄化し、攻撃を弾き返すジツ。ただ貴女のように肉体を補完するのはまた別のジツか、かなり高位のウィッチソウルでなければ不可能ですが』「上等なソウルってわけね。ラッキーじゃん」ニヒッと笑う。
『◇🎲◇しかし、反動はあります。貴女の肉体は損傷が激しく、今は無理やりソウルが修復して動かしている状態。数日の間に然るべき処置を行わなければ死にます』「ありゃりゃ」『◇🎲◇学園の魔法少女委員会の医療部で治療を受けられます。無料というわけには行きませんが、分割払いで……』
「女子高生にローン組まそうっての?」『◇🎲◇保護者の方に連絡しますか?』「やめて。秘密にしときたいの。じゃあしばらくタダ働きするから、それで勘弁してくんない」『◇🎲◇了承しました。では、ウィッチネームを登録します。何か思い浮かんだ名前があれば仰って下さい』少女は頷く。
雨合羽のフードを被る。闇に紛れ、顔を隠す。「ドーモ、インパーミアブルです。よろしくお願いします」
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4月。ネオサイタマでは珍しくも重金属酸性雨が止み、晴れ間が覗く。うららかな春の陽気。ソウカイ学園の校舎近辺には桜の花が咲き乱れ、入学生を歓迎する。暗黒メガコーポのネコソギ・ファンドが実質経営するこの学園は自由な校風が売り物で、カチグミだけでなく中流家庭の子女も受け入れる。
「ウフフフ……今年もカワイイ娘たちが入って来る……いい季節ね」教室の窓から見下ろすのは、ピンクの髪の毛をした女生徒。その胸は豊満であった。背も比較的高い。「留年なんかしちゃったけど、新しい娘たちと新鮮な感覚でお付き合いできるわねえ。魔法少女は何人ぐらいいるかしら」
彼女は川平ことり。ソウカイ学園魔法少女委員会に所属する魔法少女の一人であり、ウィッチネームをポイズンバタフライという。目を合わせた相手の意識を混濁させ、思いのままに操る「カナシバリ・ジツ」の使い手だ。同じ魔法少女には効き目が薄いが、常人相手には強力なジツ。そして彼女は。
「今度そのジツを濫用したら退学させるよ」毛皮コートを纏った背の高い女教師、ソニックブームこと風間とにがじろりと睨む。ポイズンバタフライは実際まじめな優等生なのだが、カワイイ女性を見ると暴走する同性愛者だ。カナシバリ・ジツを用いて何人もの非魔法少女を毒牙にかけてきた。
ソニックブームはIRC端末を操作して、通知を見る。同僚のブラックマンバこと黒丸ともえからだ。「ハウスバーナーに、インパーミアブル。D6がまた二人魔法少女を見つけたか」「へえ。モータルネームは?」「教えない。自分で探しな」「はぁい。お友達になりたいわねえ、その娘たちと」
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【魔法少女ハウス☆バーナー、はじまりますっ!】
0110011011000100ザリザリザリザリ・・・・・・
『◇🎲◇テンプルのボンズを皆殺しにして下さい。略奪も許可されています』「「ワースゴーイ!」」「ミコー前後重点!」『◇🎲◇ヤクザを皆殺しにして下さい。略奪も許可されています』「「「ハイヨロコンデー!」」」『◇🎲◇サツバツ!残虐ボーナスでポイント倍点!』「へっ、結構持ってやがったわ。山分けよ」「やっとローンが返せる……」「このオイランどうする?」「売ればカネになるわね」「アタシ、ヨイデハ・ナイカ・パッション重点したーい!フィーヒヒヒ!」「こいつ拷問していい?指折るのやってみたかったんだ」「ボーナスマン発見!レッツ殺戮行為!」「ハッカー・ドージョーを襲撃しましょう。ハッキングで預金額をガンガン増やすの。ダイジョブ、上の連中はオンセン旅行中だから!」「ミカジメ・フィーを倍額にするより儲かりそう!ヤッター!」その時だ!
KRAAASH!
「Wasshoi!!」 アジトの窓をぶち破って禍々しい赤黒の魔法少女が出現!「ドーモ、ウィッチスレイヤーです。魔法少女殺すべし!」「「「アイエエエ!?」」」凄まじい殺気!「ど、ドーモ、ウィッチスレイヤー=サン。ハウスバーナーです」「インパーミアブルです」「ポイズンバタフライです」
アイサツ終了後コンマ2秒!「イイイイヤアアアアアーーーーーーーッ!」ウィッチスレイヤーはその場で回転!無数のスリケンを全方向へ投擲!ヘルタツマキだ!「「「ンアーッ!?」」」『◇🎲◇ピガーッ!?』恐るべき威力!D6がスリケンで破壊され爆発!だが魔法少女たちはクロス腕防御!
「ウオーッ!ザッケンナコラーッ!」インパーミアブルが殴りかかる!「イヤーッ!」回避!さらにカウンター!「ンアーッ!」インパーミアブルは鳩尾を殴られくの字になって悶絶!「ダッテメッコラーッ!」ポイズンバタフライがトビゲリ!「イヤーッ!」ウィッチスレイヤーはブリッジ回避!
そしてカウンターキック!「ンアーッ!」壁へ蹴り飛ばされるポイズンバタフライ!「死ね!ウィッチスレイヤー=サン!死ね!イヤーッ!」一瞬の勝機!ハウスバーナーがカラテを漲らせ飛びかかる!だがウィッチスレイヤーはその場でブレイクダンス回避!「イヤーッ!」当たらねば無意味!
反撃のサマーソルトキック!「イヤーッ!」「ンアーッ!」強烈な一撃!天井に激突!「惨たらしく死ぬのはオヌシたちだ。ハイクを詠むがいい」三人がかりで手も足も出ぬ!相手はカラテモンスター!まさにベイビーサブミッション!「「「チクショ!オタッシャデー!」」」「逃しはせぬ!」
逃亡を図る三忍に先んじ、ウィッチスレイヤーが動く!ワン・インチ距離に接近!「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」一方的カラテ暴風!
「イイイイヤアアアアアーーーーッ!」SMAAASH!ウィッチスレイヤーのローリングソバットが三人の魔法少女の首を刎ねる!「「「ンアアバーッ!サヨナラ!」」」三人揃って爆発四散!ナムアミダブツ!インガオホー!
【魔法少女ハウス☆バーナー 終わり】
0110011011000100ザリザリザリザリ・・・・・・
「アイエエエ!?」インパーミアブルは目を覚ました。事務所のソファの上だ。まだ暗い。「あ、なんだ。夢か……」妙な夢だった。サケも今日は飲まなかったし、ヤクもやってない。サイバネに残った電子ノイズかなにかか。IRCゲームやアニメの広告を見すぎたのか。ええい、バカバカしい。
「…………」窓の外は街の喧騒。スズリは仮眠室、ハウスバーナーは応接室。ポイズンバタフライは知り合いとノミカイだ。カバノキは……自宅か。いつの間にか仲間も随分増えた。そのうちみんなでハナミでもしたいものだが、毎日忙しい。「………センコでも買うか」ぽつ、と呟く。供養せねば。
今の夢は、亡き妻タネコが見せた。そんな気がしたのだ。
【おわり】
これは、ブラッドレー・ボンド&フィリップ・N・モーゼズ著、本兌有&杉ライカ訳の大人気小説『ニンジャスレイヤー』の二次創作です。公式とは一切関係がありません。
◆ニンジャスレイヤーTwitter◆https://twitter.com/NJSLYR
◆ダイハードテイルズ公式サイト◆https://diehardtales.com/
少女たちの画像はPicrew「ゆる女子メーカー」で作りました。プロフィールは診断メーカーの「あなたを女子高生化してみたー」、CVは同じく「あなたのCVは誰なのか」でランダム生成(日替わり)されました。つののはここです。これらを組み合わせることで、あなたも女子高生を無から無限に生成できます。ただCV診断には男性声優もいますのでご注意下さい。女性声優だけの診断もあるでしょうが、つのはなんかこれを見つけてしただけです。
◆オーマケー◆
「ふわぁ……夜更かし禁止って決めたばかりなのに……」小柄な女生徒があくびをしながら、通学路を駆けていく。そのバストは豊満だ。走るたびに揺れる。「ショートカットしよっと。この路地の突き当りの壁を越えれば……えいっ!」色付きの風めいた速度と跳躍力。彼女の脚力は常人の三倍である!
スカートがふわりと春風に揺れる。だが見えぬ。そしてその脚は、クロヤギめいた異様な姿に変化している!彼女の名は日田橋らん。ウィッチネームはシャープウォーカー。ヘンゲヨーカイ・ジツを使う魔法少女だ!「遅刻遅刻ーッ!」ゴウランガ!なんたる機敏なパルクールか!走れ!らん!走れ!
【おわりです】
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