忍殺TRPGリプレイ【オペレイション、オペレイション・レスキュー】07
前回のあらすじ:ネオサイタマの北、中国地方に広がるタマチャン・ジャングル。ヨロシサンに追われてここに逃げ込んだサヴァイヴァー・ドージョーは、バイオインゴット不足と分断工作により追い詰められていた。大将サワタリと客人ナーギニーは物資調達と捕虜奪還のため動き出す!
◆
ストームタイガーとラハブ。この作戦に駆り出されたニンジャたちの中では弱いほうだが、二人揃えば油断ならぬ戦闘力を発揮する。サワタリとナーギニーがもし遭遇していれば、倒されはしないまでも苦戦は必至であっただろう。だが彼らの目的は戦闘や殺戮ではなく、掠奪と奪還、生存であった。
「電算室で、やつらは何をしていたと思う」「アタシなら……施設のマップを確認するね。目当てはバイオインゴットと医療品だろ」「そうだ」「後を追うの?」「否。先回りして貯蔵庫を防衛する」「了解」二人は武装クローンヤクザ部隊に第二電算室の制圧と調査を任せ、最深部へと駆け去った。
ストームタイガーはサブジュゲイター、アサイラム、エルトリアトらにもIRCで連絡し、状況を報告する。『了解。私は第三電算室で社員らとともにデータ抽出を行っています。決して近づかせぬよう』サブジュゲイターから返信。『ネズミ袋です。囲んで叩き、サワタリを捕獲しなさい』「了解!」
最深部
「展開!」「展開展開!」「スッゾー!」廊下の角を曲がり、十数人の武装クローンヤクザが走り出る。「展開展開!」……彼らの足音が聴こえなくなるのを待って、天井に張り付いていた二者は床に降り立った。「フゥーム」サワタリは歯でくわえていたククリナイフの刃を舐め、鞘に戻した。
ダクトを這い進んだ二者は別の温室めいた最深部区画に到達、その先の詰所にいた二名のクローンヤクザを殺し、居合わせた研究員を殺した。二者は今、闇の中をしめやかに進むクーガーめいていた。先程の警報に反応し、施設内が騒がしい。クローンヤクザ部隊はなかなかに規模が大きいようだ。
二者は中腰の姿勢で足を運ぶ。足音は殆ど無い。やがてT字の別れ道に到達する。第二電算室で確認した見取り図によれば、第三電算室と実験室に分かれている。ザイバツとの通信が成った今、電算室に用事はない。実験室にこそ目的のものがあるはずだ。二者はしめやかにそちらへ進んだ。
赤外線ナリコ・トラップ等を警戒しながら、すり足で前進する。サワタリは弓矢を、ナーギニーはスリケンを構えながら。敵が現れれば即座に殺す。やがて、壁に「結構防護服が要します」と書かれたパネルを発見。そして、隔離された実験室に通ずる下り階段。階段を降りきると隔壁があった。
カタカナで「バイオハザード」とショドーされている。サワタリは認証鍵パネルを覗き込み、網膜認証を行う。『社員コード認証出来ドスエ』ブルズアイ。数年以上前に外界から打ち捨てられたこの施設は、社員データベースすらも未更新なのだ。二者は二重隔壁を抜け、さらにその奥へエントリー。
二重隔壁を通過すると、二者のニンジャ皮膚感覚は空気中の毒をチリチリと感ずる。モータルが無防備に立ち入れば最悪死ぬが、ニンジャ耐久力がこれを無効化する。暴走したボタニックを哀れな研究員たちがなんとか封じ込めようとした名残りか。……ストココココ、ストココココ、ストココココ。
埃をかぶったUNIX機器はまどろむ獣の寝息めいて、地下室を計算音で満たしている。二者は破損した巨大なシリンダーを見上げた。ガラスに「ボタニック」と刻印されている。他にもいくつか、巨大なバイオ水槽が立ち並んでいる。「ようこそ、招かれざる客人がた」地下室の奥に、ニンジャがいた。
ハイドラではない。サブジュゲイターでもない。だが、見覚えがあった。「ドーモ。ヨロシサン製薬のエージェント、エルトリアトです」
◆エルトリアト(種別:ニンジャ)
カラテ 10 体力 11
ニューロン 8 精神力 11
ワザマエ 10 脚力 5/N
ジツ 0 万札 20
攻撃/射撃/機先/電脳 10/10/ 8/ 8
回避/精密/側転/発動 11/10/10/ 0
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:3
◇装備や所持品
◆対バイオニンジャ用特殊ナイフ(アサシンダガー)
毒属性ダメージ+1、体力を1以上減らした相手に1発ごとに精神力へ1ダメージ
◆ブラッドサッカー・クナイ:弾薬、連射上限3
命中して体力を失った標的は、フェイズ終了時にカラテによる毒抵抗判定(H)
失敗すると追加で体力を1失い、以降の自分の手番開始ごとに同じ判定を行う
これは抵抗判定に成功するまで続く
◆伝統的ニンジャ礼装一式:体力・回避・発動・交渉+1、
精神力+2、緊急回避+3、脚力ダメージ軽減1
◆バイオなめし革製の医療鞄(レリック):精神力+1
◇ジツやスキル
◉◉タツジン:アサシネイト・ドー
アサシンダガー装備時の側転難易度-1
●戦闘スタイル
強化フェイント:イニシアチブが自分より低い敵だけを攻撃する時、
このフェイズ中に攻撃する敵全てを「崩れ状態」とみなす(攻撃・射撃難易度-1)
カラテ・ワザマエどちらでも攻撃判定でき、出目66で殺伐、665+でナムアミダブツ
手術刀の一撃:痛打・弾き飛ばし発生せず、ワザやヒサツ・ワザ派生不可
ワザマエで攻撃判定し、出目66で殺伐、665+でナムアミダブツ
敵がイニシアチブ1か崩れ状態なら殺伐出目2から5のうち任意で選択
捨て身の滅多突き:2ターン連続使用不可、標的1体固定
連続攻撃を+2する 敵がイニシアチブ1か崩れ状態なら連続攻撃+3
カラテ・ワザマエどちらでも攻撃判定でき、出目66で殺伐、665+でナムアミダブツ
フェイズ終了時点で敵を体力0以下にできていない場合、次の手番開始まで受動的行動不可
●ワザ:シグナルロスト 近接攻撃で出目66が出た場合に発動可
殺伐出目2(頭部痛打)とし、命中した場合イニシアチブをさらに-1する
◉暗殺者の眼:崩れ状態以上のキャラへの近接攻撃に痛打+1
●連続攻撃2、連射2、時間差、マルチターゲット
◉知識:サラリマンの流儀、危険生物、バイオ系メガコーポ、旧世紀地下道網
◉交渉:欺き、威圧、駆け引き
能力値合計:28
そして、もう一人。大柄な身体に四本の腕を備えた、異形のニンジャがアイサツした。「ドーモ、アサイラムです」
◆アサイラム(種別:ニンジャ/バイオニンジャ)
カラテ 12 体力 17
ニューロン 11 精神力 9
ワザマエ 10 脚力 7/N
ジツ 0 万札 24
攻撃/射撃/機先/電脳 12/10/11/11
回避/精密/側転/発動 12/10/10/ -
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:4
◇装備や所持品
▲▲▲▲戦闘用バイオサイバネLV2:バイオ武器LV2、ダメージ2 出目6で痛打
△△△△イアイドーアーム:バイオ武器装備時もカタナ/二刀流装備を前提としてスキル使用可
エンハンス不可、装備ペナルティやスロット消費なし 二刀流時は連続攻撃+1
▲▲戦闘用バイオトルソーLV1:脚力+1、体力+3
◉バイオニンジャ:体力+2、交渉判定難易度+1、アイテムによる回復量-1
●過剰バイオサイバネ(10個):精神力-4
●脆弱性:火炎(精神力1)
◇ジツやスキル
◉◉タツジン:二刀流 二刀流での攻撃難易度N
●戦闘スタイル
連続回転斬撃:精神力1+回避ダイス2を消費し発動(ワザマエH)
素の連続攻撃回数まで回転斬撃(回数分判定ダイスを分割)
強化防御構え:連続攻撃上限2、殺伐なし
次の手番開始まで、回避判定難易度-1か射撃ダメージ軽減1を獲得
●ワザ
アキレス・カッター:出目665+で発生 回避H、殺伐出目4(脚部破壊)
捌き突き:出目5+で迎撃発生時、迎撃の回避難易度+1
敵が回避判定できない場合は迎撃ダメージ2に置き換え
◉ヒサツ・ワザ:マサシズ・パニッシュメント 出目65+で迎撃時に発生
迎撃ダメージ2、回避UH 命中した敵に崩れ状態か攻撃フェイズ強制終了効果を付与
1ターン中1回までの使用 二刀流装備時のみ
◉ヒサツ・ワザ:ムーンシャドウ 精神力1か回避ダイス2を消費し発動
カタナによる近接攻撃で「ナムアミダブツ」が出た場合にも選択可能
痛打+2D3、回避UH、迎撃不可 回避の可否に関わらず、
使用者は攻撃後に標的の後方へ最大3マスまで追加移動可(ナナメ可)
◉暗殺者の眼:崩れ状態以上の状態異常を持つ敵への近接攻撃に痛打+1
◉緊急ブリッジ回避:回避判定直前に精神力1消費し使用宣言 シナリオ中1回のみ
この回避判定の難易度を-2し、この回避判定にのみ使用可能な緊急回避ダイス+6
他のいかなる回避難易度軽減効果とも累積せず、1回の回避判定にのみ有効
◉忠誠心:ヨロシサン 精神力+1
●連続攻撃2、連射2、時間差、マルチターゲット
能力値合計:33
「……ドーモ。サヴァイヴァー・ドージョー、フォレスト・サワタリです」「ナーギニーです」アイサツを返す。ともに恐るべき手練れだ。そして、アサイラムの姿にも見覚えがある。かつてサヴァイヴァー・ドージョーにいた四本腕のバイオニンジャ、ノトーリアスによく似ているのだ。「ククク」
アサイラムが低く笑った。「ここに来ると思ってたぜ。ネズミ袋だ。思ったよりは早いが、今ここへ別の部隊も接近中だ」「ノトーリアス=サンの後継バイオニンジャだな」「そうなるな。あのプロトタイプは死んじまったようだが、俺は違う。俺のバイオ・イアイドは無敵だ」「無敵の者はいない」
サワタリは低く構え、低く呟く。「バイオインゴットとメディキットを頂戴する。ハイドラ=サンはどこだ」「教える義理はないな、胡乱者どもめ」エルトリアトが肩をすくめる。……ナーギニーは周囲を見回し、檻の中にいる別のニンジャを発見した。彼は態度悪くねそべり、アイサツしない。
「……ドーモ」ナーギニーはそちらへアイサツした。アイサツをされれば、返さねばならない。ニンジャの礼儀だ。「おっと、シツレイ!」彼は起き上がってアイサツした。「俺は……特に名前はない。誰かのプロトタイプさ」彼の顔立ちはサブジュゲイターそっくりだが、装束はモノトーンだ。
◆"プロトタイプ"(種別:ニンジャ/バイオニンジャ)
カラテ 3 体力 5
ニューロン 9 精神力 9
ワザマエ 3 脚力 2/N
ジツ 3 万札 0
攻撃/射撃/機先/電脳 3/ 3/ 9/ 9
回避/精密/側転/発動 9/ 3/ 3/12
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:0
◇装備や所持品
◉バイオニンジャ:体力+2、交渉判定難易度+1、アイテムによる回復量-1
●脆弱性:火炎(精神力1)
◇ジツやスキル
☆プロト・ヨロシ・ジツ(カナシバリ・ジツ読み替え)LV3
非ヨロシ者や上位権限者には無効
精神力1を消費し発動(N)、隣接する3×3マスの敵全員に精神力ダメージ1(回避N)
モブ敵ならこのターン中の手番を失わせる 精神力0になったモブは戦闘不能
LV2:さらに効果範囲内の敵1体に精神力ダメージD2(回避H)
命中した全員をターン終了まで崩れ状態(敵からの攻撃・射撃難易度-1)とする
LV3:この敵1体にさらにカナシバリ付与(ニューロン抵抗H)、モブ敵なら即死
カナシバリ:術者の次の手番まで拘束状態(崩れ+移動不能、行動難易度+1、集中不可)
●時間差、マルチターゲット
能力値合計:21
「勝手にやってくれ。俺はここで寝転んでるからさ。カラテも弱いし」"プロトタイプ"は再び寝そべった。ボタニックの暴走で放置されていたのだろう。「そうか。味方になってくれるとありがたいがな」サワタリは水を向けた。「そうはいかん。彼は我がヨロシサンのプロダクトだ。脱走はさせんぞ」
エルトリアトはアサシンダガーを構え、アサイラムは両腰のカタナの柄に掌を置いた。一触即発アトモスフィア!
戦闘開始
1ターン目
「「イヤーッ!」」アサイラムとエルトリアトがナーギニーへ飛びかかる!「バイオ・イアイド!」四本の腕で二本のカタナを振るう異形のイアイ!「ブラッド・サッカー!」対バイオニンジャ用特殊ダガーでの連続刺突!いずれも食らえば致命的!「……イイイヤァアアアーーーッ!」紙一重回避!
「モッチャム!」サワタリは二人の敵を相手にせず、バイオインゴット保管庫めがけて駆け抜ける!周囲にトラップを設置しつつドアに到達、ニンジャ器用さで瞬時に解錠!「キエーッ!」ナーギニーはその傍らへ跳躍し、エルトリアトへ牽制のスリケン!「イヤーッ!」回避!「無駄だというのに!」
このままサワタリとナーギニーがバイオインゴットやメディキットを奪って逃げれば、一応の任務達成だ。だがハイドラの奪還はまだだ。それにそこの"プロトタイプ"も気になる。捨て置けぬ。サブジュゲイターのプロトタイプであるならば、やつのヨロシ・ジツにある程度は対抗できるのでは?
「ナーギニー=サン、物資を頼む。俺はあのバイオニンジャを救出する」サワタリはニンジャ第六感に導かれ、そう告げた。「了解」ナーギニーは頷いた。だが敵の援軍も迫っている。まさにファスト・アズ・ライトニング……電光石火で行動しなければならない!イクサはさらに加速する!
戦闘継続
【続く】
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