忍殺TRPGリプレイ【フライ・ミー・トゥ・ザ・ネオサイタマ】02
前回のあらすじ:ネオサイタマで緊急事態が発生した。キョート城が突如市街地中心部の上空に現れ、殺人光線を乱射し始めた。すなわち、ロード・オブ・ザイバツがナラクを介してギンカクを動力源とし、地上にマッポーカリプスをもたらしたのだ。止めねばならない!カラダニキヲツケテネ!
◆
カスミガセキ・ジグラットは、かつての日本の支配者の住処である江戸城を覆うように建設されている。400年以上前、徳川エドワード家康は各地に点在した霊地・霊脈を繋ぐように川や道、堀や寺社を配置し、ニンジャの侵入を防ぐ霊的結界を築き上げた。それは長年の乱開発で失われたが……。
ザイバツは古文書によって、このネオサイタマに眠る霊的結界を解明し、利用する計画を立てていた。派遣した駐留部隊に命じて各地に魔術的なビーコンを仕込み、ロードのキョジツテンカンホー・ジツをネオサイタマにも及ぼさせる計画を。そして今、ロードとキョート城がここに在るからには!
『ヒカエオラー!』キョート城から、ロードのジツが解き放たれた。ジツはネオサイタマの、東京都の、江戸の霊的結界に作用し、増幅される。……その時、モータルは思い出した。ニンジャに支配されていた恐怖を。鳥籠の中に囚われていた……安寧を。市民たちは涙を流し、一斉にドゲザした。
???
本丸上層部。デミニンジャを蹴散らしながら最上層へ向かっていたハウスバーナーたちも、解き放たれたキョジツテンカンホー・ジツを浴びる!
罪罰罪罰罪罰……「「イヤーッ!」」ナンシーとポイズンバタフライはキアイではねのけるが、他の4人は一斉にドゲザ!ナムアミダブツ!だがデミニンジャたちも一斉にドゲザ!その方向にこそロード・オブ・ザイバツがいるはずだ!「ち、チクショウ!もう少しだってのに!」エーリアスが抗う!
ポイズンバタフライはブラッドカタナを構え警戒した。彼はソウカイ・シンジケートに、ラオモト・カンとチバに対する強固な忠誠心を保っている。
デミニンジャたちは素早くドゲザ姿勢から跳躍し、カラテを構えた。さらに前方から何かが接近してくる。巨大な刃物を装備した巨漢と、獣じみた姿のニンジャ。いずれもザイバツ紋をつけている。『ドーモ、レッドクリーヴァーです』『ワッチドッグです』彼らは無感情な声でアイサツした。
◆レッドクリーヴァー(種別:ニンジャ、大型1×1)
カラテ 8 体力 25
ニューロン 6 精神力 11
ワザマエ 5 脚力 6/-
ジツ 5 万札 10
攻撃/射撃/機先/電脳 8/ 5/ 6/ 6
回避/精密/側転/発動 3/ 5/ -/ -
即応ダイス:3 緊急回避ダイス:6
◇装備や所持品
◆クリーヴァー(大鉈、大型武器):2ダメージ、攻撃難易度H、側転難易度+2
切断攻撃:集中時に出目65+で殺伐
◆パーソナルメンポ:精神力と緊急回避+1
◇ジツやスキル
☆ビッグ・ニンジャクラン、ジツLV5
☆巨体化の秘儀LV5:体力+15、回避ダイス-5、緊急回避ダイス+5、
脚力+2、連続側転UH(下限固定)
◉頑強なる肉体:体力+2、毒抵抗カラテ判定ダイス+2
◉突撃:脚力の2倍距離直進し、移動後攻撃に痛打+1 次ターンの回避ダイス0
☆◉歩く武器庫(素手でノダチ持ち状態):基本ダメージ3、攻撃難易度UH、連続攻撃上限3
●戦闘スタイル:回転斬撃 隣接する敵全員に1ダメージ(ワザマエ判定H)
武器や銃器の所持ペナルティ、運搬によるペナルティを全て無視
◉◉グレーター級ソウルの力:ニューロン+ジツで精神力換算
★筋肉の鎧:即死耐性、腕・脚・頭・急所への部位破壊の効果を痛打+D6に
★★常時大型化:即死耐性、連続側転不可、轢殺1、リーチ+1
●連続攻撃2
●自我破壊済:精神攻撃無効
能力値合計:29
◆ワッチドッグ(種別:ニンジャ)
カラテ 10 体力 12
ニューロン 6 精神力 7
ワザマエ 6 脚力 7/N
ジツ 0 万札 10
攻撃/射撃/機先/電脳 10/ -/ 6/ -
回避/精密/側転/発動 10/ -/ 6/ -
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:1
◇装備や所持品
▶▶▶ワッチドッグ・ユニット:四肢を刃物に置換、射撃・精密不可
ダメージ2、出目6で痛打+1、脚力+2、轢殺2
◆パーソナルメンポ:精神力と緊急回避+1
◇ジツやスキル
◉突撃
◉頑強なる肉体:体力+2
◉ランスキック
●連続攻撃2
●自我破壊済:精神攻撃無効
能力値合計:22
◆フェイスレス/デミニンジャ(種別:超常存在)×3
カラテ 5 体力 5
ニューロン 2 精神力 2
ワザマエ 5 脚力 3
ジツ - 万札 0
攻撃/射撃/機先/電脳 5/ 5/ 2/ -
◇装備や特記事項
●デミニンジャ:交渉・会話不能、スリケン投擲可能、連続側転自動成功、
回避ダイスなし、精神力使用不能 複数体による攻撃・射撃はまとめて回避不可能
●痛烈な一撃:近接攻撃の出目66で痛打、666で痛打+1、回避難易度+1
能力値合計:12
この2人のザイバツニンジャは、キョート城内を徘徊し、警備を行う者たちだ。かつて何らかのシツレイを犯したために自我を破壊され、思考能力を失った奴隷として生かされている。2人が揃えば、アデプト位階であれば太刀打ちできまい。だが!「ドーモ、我々はソウカイ・シンジケートです」
ポイズンバタフライは代表アイサツした。背後でドゲザしていた4人もよろよろと立ち上がる。「この城にカチコミに来ました!」『カチカチカチ』ワッチドッグは涎を垂らしながら牙を打ち鳴らし、レッドクリーヴァーは巨大なナタを構えた。相手にとって不足なし。一撃必殺アトモスフィア!
戦闘開始
1ターン目
「私の物理肉体は守ってね」ナンシーは不敵に微笑むと、キツネ・サインを突き出す。そして生体LAN端子を介し、周囲の濃密な電子とエテルの流れ……すなわちインターネットにアクセスした。0101010101……キンカク・テンプルから流れ出す01。キョジツテンカンホーの罪罰の網目。それが、視える!
『だいぶわかってきたわ』彼女の自我は、キョート城の外へ飛翔した。01の流れに乗り、網目をすり抜け、ネオサイタマを一望する。魔術的なエテルの奔流と、それを制御するシステム。つまりこれはインターネットとUNIX。20世紀後半にUNIXが発明される以前に、それはシステムとして存在した。
彼女はキョート城のワイヤーフレームモデルを視野に収める。罪罰の網目が最も濃密なのは、天守閣の最上層。その下に、カバラ・ボンサイの世界樹モデルめいたエテルの流れが視える。莫大なモータルソウルの奔流。根本から上方へ飛翔するのは、ドラゴンとカラス。下降するのは赤黒い火だ。
ナンシーの視界と意志は、エテルの流れを介して仲間たちに伝わる。エーリアスはこめかみに指をあて、マインドブラスト攻撃!「TAKE THIS!」ZZTZZTZZT!『『『グワーッ!』』』デミニンジャたちは狂い悶える!だが自我を破壊されている2人のザイバツニンジャには無効だ!実際厄介!
「イヤーッ!」ライトウォッチャーは三角形のスリケンを生成し、デミニンジャへ投擲!肉体はモータルでも、ニンジャが憑依したならニンジャとなるのだ!SMASH!『グワーッ!』命中!だが浅い!ハッカーニンジャの彼女には物理戦闘力は乏しい!「任せときなさい」ポイズンバタフライが構える!
「イイイヤァアアアーーーッ!」SLAASH!!ワッチドッグめがけて必殺のブラッドカタナが鞘走る!どくん……ワッチドッグは本能的に死を直感し、アドレナリンを過剰分泌してジグザグ回避!『GRRRRR!』だがそこへハウスバーナーが斬りかかる!「イヤーッ!」SLASHSH!『AARGHH!』命中!
「行けッ!」ヤモトは周囲のエテルを凝集し、カラテミサイルとなして射出!射出!射出!PAPAPAPAPAM!『『アバーッ!サヨナラ!』』KABOM!デミニンジャ2体が爆発四散し、残る1体も01分解しかかる!これが神話級のアーチニンジャ「シ・ニンジャ」の力だ!「カカッテコイ!」挑発!
『GRRRR……イヤーッ!』レッドクリーヴァーは突出したポイズンバタフライへ駆け寄り、斬りかかる!SMASH!「グワーッ!」命中!だが浅い!『GRRRAARGHH!』ワッチドッグは壁や天井を色付きの風と化して駆け回り、後列のエーリアスへ飛びかかる!アブナイ!「うおおッ!」回避!
『イヤーッ!』残るデミニンジャはハウスバーナーへ飛びかかる!「アミーゴ!」難なく見切って躱し、サソリ・キックで迎撃!SMASH!『アバーッ!サヨナラ!』KABOOOM!デミニンジャたちは全滅!ナムアミダブツ!だがキンカクから降り注ぐニンジャソウルは城内のあちこちで実体化し始める!
2ターン目
罪罰罪罰罪罰……「グワーッ!」ハウスバーナーはキョジツテンカンホーを受けて悶絶!だが他の5人は回避!おそらく網目に引っかかるか否かには一定のマナーに従ったプロトコル、ルールがあるのだ!まるでキョート貴族同士の複雑怪奇な礼儀作法のように!ナンシーはそれを全員に共有する!
010101010101……ナンシーはネオサイタマ全域を覆う電子ネットワークにアクセスし、情報を流していく。磁気嵐をものともせず稼働を続けるカスミガセキ・ジグラットに。湾岸警備隊に。ヨロシサン製薬に。オムラ・インダストリに。ソウカイ・シンジケートに。『SOS』『共通の敵』『一致団結』
断片的な情報は、受け取られる側によって解釈され、読み解かれ、それぞれの都合の良いように結論づけられる。彼らはキョート城を、ザイバツを共通の敵であると状況判断し、決起する……はずだ。キョジツテンカンホー・ジツを克服できた者がいくらかでもいれば。例えば……ダイダロス!
「「イイイヤァアアアーーーッ!」」SLASHSHSH!ポイズンバタフライとハウスバーナーの斬撃がワッチドッグを襲う!ナラク・ニンジャをも退けた刃の嵐!『アバババーッ!』異形のニンジャは斬り刻まれ、苦悶の叫びをあげる!その自我が破壊され精神攻撃を受け付けずとも、苦痛は感じるのだ!
「ヒカエオラー!」ヤモトはパワーワードを放ちながらカラテミサイルを連射!連射!連射!『イヤーッ!』レッドクリーヴァーはワッチドッグをかばい、全弾をその巨体で受け止める!PAPAPAPAPAM!カラテと筋肉の鎧により弾かれて無傷!なんたる堅牢なビッグニンジャ耐久力か!『GRRRRR!』
『『AARGHHHH!』』レッドクリーヴァーとワッチドッグは恐るべき叫び声をあげながら襲いかかる!「「イヤーッ!」」ハウスバーナーとポイズンバタフライが飛び出し、刃を振るって防ぐ!キキキキキキィィン!全て防御!カラテだ!「流石に少々手こずるが、この程度ならよォ!」
3ターン目
罪罰罪罰罪罰……「「グワーッ!」」「ンアーッ!」ポイズンバタフライ、エーリアス、ヤモトがキョジツテンカンホーを食らいよろめく!『グワーッ!?』だがレッドクリーヴァーもよろめく!ナンシーがザイバツ電算室からハッキングで奪ったドローンによる射撃を食らったのだ!ナムサン!
「ザッケンナ……コラー!」ポイズンバタフライはヤクザスラングを叫び、罪罰の網目を払い除け、ブラッドカタナでワッチドッグへ斬りかかる!SLAAASH!『アバーッ!』ワッチドッグは重傷を受け昏倒、戦闘不能!残るはレッドクリーヴァーだけだ!「行くぞ!」「シ・ニンジャ!」
「「イイイヤァアアアーーーッ!」」ハウスバーナーとヤモトがジツでエンハンスした刃で斬りかかる!SLASHSHSHSHSH!『グワ、アバババーッ!』猛攻をまともに受け、巨体が傾く!だが堅牢な筋肉の鎧で致命傷を防いだ!
『ゴアオオオオン!』レッドクリーヴァーは獣めいて咆哮し、ハウスバーナーめがけて力任せに大鉈を振り下ろす!「アミーゴ!」ハウスバーナーは見切って躱し、敵の脳天へサソリ・キック!SMAASH!『アバーッ!』痛烈!非人間的なメンポが割れ砕け、自我ケジメ手術を受けた素顔が露出した!
4ターン目
罪罰罪罰罪罰……「「「グワーッ!」」」ハウスバーナー、ポイズンバタフライ、エーリアスがキョジツテンカンホーを食らいよろめく!BRTTTT!レッドクリーヴァーへドローン射撃!『ウオーッ!』筋肉の鎧で防ぎ意に介さず!オヒガンの接近が彼のニンジャソウルの力も高めている!だがもはや!
「イヤーッ!」エーリアスは倒れ伏したワッチドッグへ駆け寄り、カイシャクの踵落とし!SMAASH!『サヨナラ!』KABOOOM!爆発四散!「イヤーッ!」ライトウォッチャーはレッドクリーヴァーへスリケンを投擲!『グワーッ!』命中!チャンスだ!「イイイ……イイイヤァアアアーーーッ!」
SLAASH!ポイズンバタフライのイアイが、巨漢ニンジャの胴体をトランスアキシャル面切断!サツバツ!臓腑と血液が流れ落ち、巨体が傾き、崩れ落ちる!『サヨナラ!』KABOOOM!爆発四散!
戦闘終了
???
戦闘は瞬時に終わったが、異変は解決していない。このまま最上階へ突入しても、ロード・オブ・ザイバツのジツが直撃すればドゲザさせられるだけだ。ナンシーとエーリアスは城内の記憶を探り、ディテクティヴたちとアクセスし、ニンジャスレイヤーの敗北を悟る。ならば……ハッキングだ!
「俺たちがジツを抑える。その隙に物理でカチコミかけてくれ」エーリアスの指示を受け、ハウスバーナーとポイズンバタフライは頷く。「アタイは」「俺たちの物理肉体を守ってくれ。俺とライトウォッチャー=サンはニンジャだが非力だ」「わかった」ヤモトは頷く。『ハッキングなら任せて』
ナンシーの論理肉体は磁気嵐と罪罰の網目を躱しながら、ネオサイタマを飛翔して支援を呼びかけ、キョート城のセキュリティに穴を空けていく。城を攻め落とせば宝物が、機密情報が手に入ると噂を流す。電脳の魔都ネオサイタマに潜む有象無象が、邪悪な格差社会のシステムに牙を剥くのだ!
【続く】
◇