忍殺TRPGリプレイ【プラン・N】03
前回のあらすじ:ネオサイタマ南西部、磁気嵐の荒野を進む人影あり。ドラゴン・ドージョーの門弟フェイスフルと、彼女に背負われたエーリアス。潜んでいたトレーラーが狙撃で破壊され、徒歩で荒野を横断する羽目になった2人を、ソウカイニンジャコンビが発見した!カラダニキヲツケテネ!
◆
「イヤーッ!」ZTZTZTZT!エーリアスはセンチピードのニューロンへユメミル・ジツ!「イヤーッ!」カラテで弾く!だが体勢を崩した!「スゥーッ……ハァーッ……!」フェイスフルは精神を集中し、見様見真似の疑似チャドー呼吸を行う。彼女はドラゴン・ドージョーの門弟であり、そして!
「……イイイヤァアアアーーッ!」ニンジャスレイヤーからジュー・ジツのインストラクションを受けたタツジンだ!よろめくセンチピードめがけ嵐のような猛攻を繰り出す!SMASH!KRASH!「グワ……アバーッ!?」サツバツ!サイバネ装甲を貫いてインパクトが伝わり、股間と内臓を破壊!
センチピードは苦痛に悶絶し、白目を剥く!意識がホワイトアウトする直前、彼は最期の賭けに出た!「チクショウ……テメエらも道連れだ!俺と一緒にバラバラのガンモになりやがれーっ!」FLASH!サイバネに内蔵された自爆装置が作動!「サヨナラ!」KABOOOOM!センチピードは爆発四散!
「イヤーッ!」フェイスフルは一瞬早く反応し、地中へ潜って爆炎と破片を防いだ!タツジン!『バカナ!?』ガントレットは驚愕した。まさか、あのセンチピードが殺られるとは!ならば敵の次の標的は、自分だ!『……アダウチ重点ダ』ガントレットは覚悟を決めた。ここに到達する前に、殺す!
戦闘継続
5ターン目
マップ
ガントレットは眼下の荒野に目を凝らし、舌打ちする。巨大サボテンがいかにも邪魔だ。あれがなければセンチピードは生き残り、敵は爆発四散していただろうに。だがガントレットたちの失策ではない。最初の狙撃の時は生えていなかった。混沌極まるこの磁気嵐の荒野ではよくあることなのだ。
しかし、実際偶然だろうか。あのニンジャたちのどちらかのジツによるもの、という可能性も否定できない。センチピードは実質的に2対1の勝負を強いられた、のかも知れない。……否、余計なことは考えるな。集中すべし。僅かな兆候も動きも読み取り、今度こそスナイパースリケンを……01010101
『ヌウッ!?』ガントレットのサイバネアイに01ノイズが走った。磁気嵐の影響か? それともニンジャのジツか? 両者は断崖を挟んでショーギじみた手の読み合いに入る。どのサボテンの陰に潜んでいるのか、それとも動かないでいるのか……磁気嵐と埃が視界を遮る。フーリンカザンはどちらに?
6ターン目
0101010101……『グワーッ!?』ガントレットのサイバネアイのノイズが酷くなり、生体LAN端子を介して脳内UNIXまでダメージが及ぶ!間違いなくこれは、敵の遠隔ハッキングだ!だが、どこから? 敵はどこに潜んでいるのだ!? 彼は重サイバネだがハッカーではない。逆探知はできない!
7ターン目
01010101『イヤーッ!』ガントレットはポートを閉じてハッキングを防ぐ!敵の作戦は理解した!次に来るのは!「イイイヤァアアアーーッ!」背中から仲間を降ろし身軽になった敵ニンジャが飛び出す!常人の三倍の脚力で巨大サボテンを跳び渡り、崖の上のガントレットめがけてトビゲリだ!
どくん……!ガントレットはアドレナリンを過剰分泌し、これをSMASH!『グゥワーッ!』躱しきれず命中!のけぞって倒れるガントレット!だが、まだ動ける!ここで仕留めるしかない!『オノレ!ドーモ、ガントレット、デス!』「ドーモ、レリジャスです!」偽名!最終決戦アトモスフィア!
8ターン目
ガントレットの注意がフェイスフルに向いた、瞬間!01010101……ZZZT!エーリアスは磁気嵐に載せて電子的ゴーストを飛翔させ、生体LAN端子を介してサイバネ腕に取り付けられたスナイパースリケン・カタパルトに侵入!KA-BOOOOM!爆発!『アバーッ!?』サツバツ!なんたる無慈悲!
頼みの綱の武器が破壊され、ガントレットは瀕死の重傷を負ってうずくまる。もはや戦えぬ。「貴方はとても強かった。センチピード=サンも。私だけでは勝てませんでした」フェイスフルはオジギし、カイシャクのためにジュー・ジツを構えた。「ハイクを詠みなさい、ガントレット=サン」
ガントレットは頷いた。『……スリケンデ/世界ヲ制スル/ICBS』「ICBS?」『我ガ理想ダ。我ガ肉体ハ滅ブトモ、ミームハ遺シタ』ガントレットは低く笑い、首を差し伸べる。『イザ』「コトダマに包まれてあれ。イヤーッ!」カイシャク!『サヨナラ!』KABOOOOM!ガントレットは爆発四散した。
「ナムアミダブツ……」フェイスフルは合掌し、ブッダに彼の魂の平穏を祈った。彼女はモータルの時から信心深く善良なニンジャである。邪悪なニンジャといえど殺したくはないが、彼を生かしておけば多くの罪もない命が奪われるだろう。彼に狙撃された、あのトレーラーの運転手のように。
エピローグ
「……やったか」「ハイ」フェイスフルは一度崖を飛び降り、サボテンの陰に潜んでいたエーリアスを回収して、再び背負った。「あいつら、こんな荒野の真ん中に徒歩で来たってことはないだろ。近くに移動手段があるはずだぜ」エーリアスは崖の上を指さした。「車じゃ無理だな。ってことは……」
フェイスフルはエーリアスを背負い、イラクサの生える断崖上によじ登って、周囲を見回した。エーリアスも注意深く観察する。「……あれだ」イラクサの茂みの中、迷彩シートにてカモフラージュされていたのは、小型セスナである。「よし、鍵はついてるな。俺が操縦する。乗りな」「ハイ!」
やがて稲妻を走らせる厚い黒雲を背後に、カトンボのような小型軽飛行機は離陸した。目指すは西に聳えるフジサンだ。急がねばならない!
……ところで、2人は与り知らぬところだが……我々は知っている。ガントレットとセンチピードは、かつてニンジャスレイヤーによって倒されていることを。ならば、彼らはユーレイだったのか。それとも異なる次元からやってきたのか。混沌極まる磁気嵐の荒野では、そういうこともあるだろう。
それでも、結末は同じだった。定められた運命通りに。
【プラン・N】終わり
リザルトな
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