忍殺TRPGリプレイ【アイム・アン・イモータル・エレクトリック・マン】01
邦題:俺は不死身の電撃漢(I'm an immortal electric man)
ドーモ、三宅つのです。これは、ぺりかん=サンのソロシナリオ案「野良ニンジャスカウト」および古矢沢=サンのシナリオ案「エーリアス・ディクタスの災難な日」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意下さい。
どちらもニンジャをスカウトしにいくシナリオですが、前者はそのへんのサンシタ、後者はザイバツをヌケニンしたイグナイト(エーリアス)が相手で、ザイバツのつわものとも戦うこともあります。前者は作成直後のソロ、後者は壁突破数1-2個の手練れが3人と随分異なります。なんとかすり合わせてみましょう。つの次元でエーリアスと因縁があるのは彼です。
◆フレイムスローワー(種別:ニンジャ)
カラテ 3>4 体力 3>4
ニューロン 4>5 精神力 4>5
ワザマエ 6 脚力 3
ジツ 3 万札 37>17
DKK 1 名声 4
◇装備や特記事項
☆カトン・ジツLV3:隣接した3×3マス内の敵に1ダメージ(回避NORMAL)
中心点の敵はD6ダメージ(回避HARD)
☆◉カトン触媒:即応ダイス1を消費し、ジツの精神力コストを1軽減
▶生体LAN端子:ニューロン判定ダイス+2、イニシアチブ+1
○生い立ち:テッポダマ
◉挑発:手番終了フェイズに精神力1を消費し、同じ部屋にいるボス級1体か、
自分よりイニシアチブが低い雑魚全員の攻撃を1ターン引きつける
ボス級の敵はニューロンで抵抗判定可能(NORMAL)
◉知識:ストリートの流儀
◉交渉:威圧
○立ち位置:全能感や野望
能力値合計:19>21 回避ダイス:6 即応ダイス:5
前回の冒険で万札30と名声1、余暇4日を獲得しました。カラテを万札3で鍛錬し、1D6で[4]+2=6>3=成功。万札5でジツスキル「カトン触媒」を購入し、即応ダイスでカトンが5発も撃てるようになります。だいぶ精神力に余裕が出ましたが、まだニューロンが低いので万札6で鍛錬し2D6[12]=3<4=失敗、もう一度で[51]+1=7>4=成功。消費万札は3+5+6+6=20。
彼だけではエーリアスにいい顔をされないでしょうし、相棒をつけましょう。しかし他のつの製ニンジャはこの時期いろいろ忙しく、ソニックブーム=サンもドサンコ出張中です。ならば、新たなニンジャを作成しましょう。多少手練れでないと務まりませんから、あるキャラのコンパチにします。
◆デンパルス(種別:ニンジャ)
カラテ 3 体力 3
ニューロン 4 精神力 6
ワザマエ 5 脚力 3
ジツ 3 万札 10
DKK 0 名声 4
◇装備や特記事項
◉疾駆:通常&全力移動時の移動可能マス数+2
◉忠誠心:ソウカイヤ(2):精神力+2
☆デン・ジツLV3:精神力1を消費し発動判定(NORMAL)
離れていて射線が通っている敵1体に対し1ダメージ&電磁ダメージ1、
さらに回避ダイスダメージ2(回避HARD)
★強化放電攻撃:精神力2を消費し発動判定(HARD)
成功すると自分を中心とする3×3マスの敵全員に電磁ダメージ2(回避HARD)
電磁パルスを帯びた腕で地面を殴りつけ、周囲の敵に強烈な電気ショックを与える
○生い立ち:言いくるめ(ホスト) モータルハント時に万札+1(余暇中1回のみ)
◉知識:ストリートの流儀、高級嗜好品
◉交渉:誘惑、共感
能力値合計:18 回避ダイス:5 即応ダイス:5
インパルス=サンはグリーンエレファント&ガスバーナに殺されたので、そのコンパチ・リペイントです。不死身のエレキマンなため、ハイクを詠んで再ディセンションしたのかも知れません。「強化放電攻撃」もなんか忍極のホストニンジャである右龍みがありますが、彼ほどカラテが強くありません。鍛えましょう。忠誠心が2個あるため「マーク・オブ・ソウカイヤ」がつけられますが、あまりスキルを載せるのもどうでしょう。インパルス=サンは碧眼ですが彼は金眼です。平野耕太作品にいそうなツラですね。
それでは、始めます。
◆
序
ネオサイタマの一角にある、巨大歓楽街「ネオカブキチョ」。無数の水商売の人間やヤクザが暮らす不夜城だ。ここには他の地域とは比較にならぬほどに高密度で極彩色の巨大ネオン看板が並ぶ。甚だ猥褻で人目を惹きつけるものから、ワビサビで奥ゆかしいものまで様々。その下を、ふたりは歩く。
ひとりは赤いモヒカン、赤い装束、サイバーでないサングラスを装着した剣呑な男。ヤクザかチンピラのたぐいであろう。もうひとりは長身痩躯で金髪金眼、眉目秀麗で危険なアトモスフィアを放つ青年。ホストであろうか。彼らは実際ヤクザであり、暗黒組織ソウカイヤに所属するエージェントだ。
そして彼らは超人的な戦闘能力を持つ半神的存在、ニンジャである。モヒカン男はフレイムスローワー、金髪の男はデンパルス。この街では珍しくないゲイカップル、というわけでもない。仕事中だ。以前フレイムスローワーが遭遇した女ニンジャ「エーリアス」が、この街に潜んでいるらしい。
彼らの上司、ソウカイヤ・スカウト部門筆頭のソニックブームは、現在ドサンコ出張中だ。だが組織の所属ニンジャを増やすスカウト部門の仕事は常に必要で、留守を任されたニンジャたちは羽根を伸ばしつつも、ノルマをこなし査定を上げるべく、ソウカイヤのために日々働いている。
デンパルス、モータル名「カドラギ・タカヒコ」は、最近スカウト部門に入り、急激に頭角を現してきた。巧みな交渉術に加え、ニンジャソウル由来の強力なジツを身につけている。以前殉職したインパルスの生まれ変わりだと噂する者もいるが、彼は否定している。オレは誰の代わりでもない、と。
ニューロンかワザマエで調査判定、難易度U-HARD。「ストリートの流儀」でダイス+2。フレイムスローワー/FTは7+2=9D6で[154614223]成功、デンパルス/DPは5+2=7D6[2622614]成功。ヤサをつかんだ。
「つか、不可(ネ)ッスわ。女の子殴るとかよォ。オレは不可能(デキネ)ッスね」「しゃーねーだろ、あの状況じゃ!俺もヤバかったんだよ!あの女なんかヤベえジツ持ってるアトモスフィアがあってよォ」「で、オレが必要(いる)と。先輩、彼女にキッチリ謝罪(ワビ)入れて下さいねェ」
「わァってるって……」デンパルスは現役ホストなこともあり、実際オンナにはモテる。コワモテのフレイムスローワーとは段違いに。ハッカー吸血鬼シドヤマと知り合いだという噂もあるが、特にそんな事実はない。あれはフィクションだ。しかし、ニンジャはフィクションではない。実在する。
第1タイヘイヨ・ビル、203号室
くだんの女ニンジャのヤサはつかめている。ネオカブキチョの外れ、タイヘイヨ・ストリートの安アパートにいるという。エーリアス・ディクタス、すなわち英語で「またの名、偽名」と名乗っているが、見た目は黒髪で痩せた東洋系の女性だ。何か事情があるのだろうが、マシな偽名とは言えない。
そんな名で部屋を貸してくれるのは、脛に傷がある者が集まる、こうした安アパートだけだ。ヤカタバンナ・ストリートの「ワザ・スシ」という零細スシ屋や、いくつかの鍼灸院でアルバイトを行っており、評判は非常にいいという。なにかのジツを使っているのだろうが、比較的善良なニンジャだ。
ワザ・スシや鍼灸院へ行くことも考えたが、カタギに迷惑をかければ問題があるし、向こうも態度を硬化させてよくない。フレイムスローワーがワビを入れ、敵意がないことをアピールし、あわよくばソウカイヤにスカウトする。無理ならせめてソウカイヤに敵対しないよう味方につけるべきだ。
ニンジャソウル・ディセンション現象は日に日に増えており、ソウカイヤさえ全ての野良ニンジャ、フリーランスニンジャを把握できてはいない。敵対組織ザイバツやイッキ・ウチコワシ、ニンジャスレイヤーなどの味方に引き込まれては厄介だ。そうして釘を刺しに行くだけでも重要な意味はある。
「ここだな。さて、どうする」フレイムスローワーはお詫びの菓子折りを入れた紙袋を用意している。金一封もある。乱暴な真似をしなければ、向こうも話を聞いてくれるだろう。「小細工(コソコソ)するこた不要(ネ)ッスよ」デンパルスは笑顔を作り、インターホンを鳴らす。……出て来ない。
ポストに新聞やチラシが溜まっている様子はない。外出中だ。「留守か。これと名刺置いてくか?」「ここ治安悪ィから、外置いとくと窃盗(ぬす)まれそッスね。解錠(あけ)ます」電子ロックはないが、カラテで破壊するわけにもいくまい。デンパルスは鍵穴を探る。
ワザマエ判定、難易度NORMAL。5D6[16621]成功。
カチリ。デンパルスは手際よく鍵を外し、203号室のドアを開けた。「大家に頼んで開けて貰った、ってことにすりゃいいか。オジャマシマス」ふたりは室内に入り、電気をつけ、中を見回す。比較的雑然としてはいるが、それなりに整理されてはいる。タタミの上には布団が敷きっぱなしだ。
「不如帰」とショドーされた奥ゆかしい掛け軸、フクスケの置物、花のない花瓶などが布団の傍らにある。クローゼットにはパンクス系ファッション。本棚には料理や鍼灸の専門書や雑誌、文庫本などが雑然と並ぶ。化粧台はあるが、女性にしては色気が乏しい。そうした女性も珍しくないが。
ニューロンかワザマエで調査判定、難易度NORMAL。7D6と5D6で[3263534][15456]成功。何かを見つける。
「ン?」チャブ・テーブルの上にライターがある。ロゴによれば『オイランマッサージ店「愛スッキリ」』のもの。そして、壁のカレンダーの今日の日付に「愛スッキリ」と。「そういう店でもバイトしてンのか?」「現実的(アリ)そッスね。鍼灸院でもその手の御奉仕(サービス)してンのかも」
ふたりは笑って頷く。くだんの店はすぐ近く。どうせ男ふたりだ。客として行ってみるとしよう。
オイランマッサージ店「愛スッキリ」
「ダッテメッコラー!いねェってドユコッタコラー!?」「アイエエエ……カエコチャンは、今日はお休みで……」「じゃあ早く彼女呼べッコラー!」「アイエエエ……その、今日は……都合が悪くって……」「アア?他の客かコラー!?そいつの住所教えろッコラー!スッゾコラー!」
……マッサージ店についたふたりは、店の前で店員をつかまえて凄んでいる酔っ払いを目撃した。背中に「超爆発」と書かれたリベット入りジャケットを羽織っており明らかに危険。しかも!「……あのアホ、ニンジャかよ」ふたりは彼からニンジャソウルを感じ取る。野良ニンジャであろう。
「どうする?スカウトすっか?」「ああいう増長(イキ)った野郎には、まず上下関係(ウエシタ)から叩き込めって、ソニックブーム=サンから教育(おそわ)ったッス」「だな」単純に邪魔だし、見苦しい。騒ぎを聞きつけてエーリアスが出てくれば、彼女に与える心象も良いだろう。
「不意打ち(アンブッシュ)しますか」「いや、いらねえ。……おう、ソコマデダゼ」フレイムスローワーが歩み寄り、騒ぐ男の肩に手を置く。「ダッテメッコラー!?」「ドーモ、初めまして。フレイムスローワーです」アイサツをされれば、ニンジャならば返さねばならない。男はビクリとした。
「ど、ドーモ、ハイパーボンバーです」
◆ハイパーボンバー(種別:ニンジャ)
カラテ 3 体力 3
ニューロン 3 精神力 3
ワザマエ 4 脚力 2
ジツ 1 万札 10
◇装備や特記事項
☆カトン・ジツLV1:隣接した3×3マス内の敵に1ダメージ(回避NORMAL)
○生い立ち:放火魔(火炎放射器は売却した)
◉交渉:威圧
○立ち位置:全能感や野望
能力値合計:12 回避ダイス:4 即応ダイス:5
覚えておいででしょうか。いつぞやマーダーシュトロム=サンにサケ・ボムの飲み競べを挑んで負けたサンシタ野良ニンジャです。その後も生き延びて底辺生活を満喫しており、あまりにサンシタなせいかどこのスカウトにも引っかからず、ニンジャスレイヤーに見つかってもいません。
「ドーモ、デンパルスです」互いにアイサツ。「おう、ここは俺らが相手すっからよ、行きな」「アイエエエ……」店員は這々の体で逃げ出す。「テメエ、ニンジャだろ?」「ソダコラー!ヤラッコラー!?」薬物やアルコールを相当摂取しているのか、呂律が回らず眼が据わっている。交渉は無理か。
「一般市民(カタギ)が迷惑(メーワク)してっからよ、大人しくしてろつってンスよ」「アッコラー!?テメエがカエコチャンをネトッコラー!?」「寝言は寝てから言えや!寝かせてやるぜ!」一触即発アトモスフィア!
戦闘開始
イニシアチブ:フレイムスローワー/FT(6)→デンパルス/DP(5)→ハイパーボンバー/HB(3)
1ターン目
「オラァ!」フレイムスローワーが先手を取ってカラテパンチ!
4D6[6543]成功。HBは2D6[22]回避失敗!残り体力2!DPもカラテ、3D6[632]成功。HBは2D6[53]回避。HBはカトン発動、4D6[3223]失敗!残り精神力2!
「グワーッ!」まともに食らうハイパーボンバー!「イヤーッ!」「い、イヤーッ!」デンパルスのキックをギリギリで転がって躱す!彼はニンジャなのだ!「クソッタレ!お、俺のヒサツ・ワザを喰らえッ!カトン・ジツ!」ハイパーボンバーは両手を広げて叫ぶ!ふたりは警戒!……だが!
「ア?」なんらかのエテルがハイパーボンバーの前の空間に凝集するが、爆発を起こす前に散ってしまう。酩酊しているせいかジツは不発に終わった!「ビビらせンじゃねえ、ドサンシタが!」「駄目(ダッセ)ェスねェ!」
2ターン目
「「イヤーッ!」」囲んで殴る!
[2226][561]成功。HBは[45][11]FTへ反撃、DPのカラテを食らい残り体力1!FTは6D6[434611]回避。HBは1D6を振って奇数ならFT、偶数ならDPへ攻撃する。出目[6]、DPへカラテ。3D6[342]1成功。DPは5D6[21452]2成功&反撃!HBは回避ダイスがなく、残り体力0!
「イヤーッ!」ハイパーボンバーはキアイを入れてフレイムスローワーのカラテを捌き反撃!「イヤーッ!」フレイムスローワーはこれを弾く!ぐらついたハイパーボンバーにデンパルスのキックが命中!「グワーッ!テメッコラー!」「イヤーッ!」「グワーッ!」怒りの反撃を冷静に見切り迎撃!
「……ムン」ハイパーボンバーは白目を剥いて倒れた。「ちょっとは根性見せたか。こんなアホでも、鍛えりゃ多少はモノになるだろ」「捕縛(しば)っときますね」
戦闘終了
野次馬がざわざわと集まってきた。デンパルスは女性たちに差別なく微笑みかけ、次々と名刺を配る。「オレ、クラブ『深海魚』のカドラギ・タカヒコ。御指名お願(ナ)シャス」黄色い声が飛ぶ。「おい、目的忘れンなよ」「了解(アイアイ)。じゃ、依頼(ヨロ)」デンパルスは振り向いた。
店の中から若い女が駆け出てくる。黒髪のショートボブ、眉毛のかわりにイバラめかした刺青。フレイムスローワーが以前持ち帰った映像で見た顔。エーリアス・ディクタスだ。オイランの格好ではなく普段着である。まさか客として来ているのだろうか? そういう趣味の女性もいるが。
◆エーリアス(種別:ニンジャ)
カラテ 3 体力 3
ニューロン 10 精神力 16
ワザマエ 6 脚力 3
ジツ 5 万札 12
◇装備や特記事項
◆パーソナルメンポ(マフラー):精神力と緊急回避ダイス+1
◆ストリートウェア(パンクス):緊急回避ダイス+1
●時間差、マルチターゲット
☆謎のニンジャソウル、ジツLV5
☆ユメミル・ジツLV3:精神力1を消費し発動(NORMAL)
視界内の敵1人か、クローンヤクザ全員に精神力ダメージ1(回避HARD)
時間差で2回攻撃可能
★精神防火壁:精神力ダメージ軽減1
★★マインド潜航攻撃:近接攻撃の出目66で発動
回避U-HARD、命中時に精神力ダメージD6を与える
◉◉グレーター級ソウルの力:精神力をニューロン+ジツで算出
◉ニンジャアドレナリン強化:アドレナリン・ブーストの上限回数+1
★◉ブレイズ化:気絶したフェイズ終了時に「ブレイズ」として復活
○生い立ち:アーチ級ニンジャソウルの片鱗
◉知識:古代ニンジャ文明
◉交渉:共感、独立小組織
◇カルマ:善
能力値合計:29 回避ダイス:10 緊急回避ダイス:2 即応ダイス:5
元シナリオのデータを整理するとこうなります。カラテこそ低いものの、なかなか強力です。フレイムスローワー=サンはよく無事だったものです。
「とっ、たっ、あれ?」店先で暴れる男を取り押さえに出てきたようだが、既に彼は捕縛済みだ。拍子抜けした彼女は周囲を見回す。「ドーモ、デンパルスです」「フレイムスローワーです」小声でアイサツ。ニンジャならば、返さねばならない。「アイエッ、ドーモ。エーリアスです」オジギした。
「って、アンタ確か」「あー、マッタマッタ。戦う気はねえ。むしろ謝罪に来たんだわ」フレイムスローワーはハンズアップし、紙袋から菓子折りと金一封を取り出す。「ドーモ、その節はスミマセンでした」「お、おう、ドーモ」エーリアスは面食らい、オジギして受け取る。野次馬がざわめく。
エーリアスはマフラーで顔を隠す。「ああ、えと、まァ店ン中入ろうや。ここは目立ってさ」「快諾(イ)ッスよォ。一寸会話(ちょっとオハナシ)しましょうやァ」デンパルスが快活に笑った。
【続く】
◆