【2023年エイプリルフール企画】異世界転移〆切探偵ザザ
ザザとは! ダイヤモンドの義眼を持つ超常探偵である! 彼は様々な期日を察知して現れ、人類に害をなす超次元存在を退治するのだ。放て! 義眼光線!
◆◆◆
序
俺はハウスバーナー。ネオサイタマをシメる暗黒組織ソウカイ・シンジケートの幹部、シックスゲイツの「六人」の一人だ。いつの間にやら出世したもんだぜ。……しかしこの世界には、ソウカイヤもなければニンジャもいねえ。ドラゴンが空を飛び、オーガが人を殴って殺すファンタジー世界だ。
◆ハウスバーナー(種別:ニンジャ)
カラテ 14 体力 17
ニューロン 6 精神力 13
ワザマエ 10 脚力 7/N
ジツ 5 万札 20
DKK 0 名声 20
攻撃/射撃/機先/電脳 14/10/ 6/ 6
回避/精密/側転/発動 16/10/10/11
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:3
◇装備や所持品
◆ナイフ二刀流(アサシンダガー)
◆伝統的ニンジャ装束一式:体力・精神力・即応+1、回避+2、
緊急回避+3、脚力ダメージ軽減1
◆オーガニック・スシ:体力3回復(使い切り)
◇ジツやスキル
☆ヒツケ/サソリ・ニンジャクラン、ジツLV5
☆カトン・ジツLV3
☆◉◉タツジン:サソリ・ファイティング・スタイル(SFS、アサシネイト・ドー扱い)
アサシンダガー装備時の側転難易度-1
●戦闘スタイル:強化フェイント イニシアチブが自分より低い敵だけを攻撃する時、
このフェイズ中に攻撃する敵全てを「崩れ状態」とみなす(攻撃・射撃難易度-1)
カラテ・ワザマエどちらでも攻撃判定でき、出目66で殺伐、665+でナムアミダブツ
●戦闘スタイル:手術刀の一撃 痛打・弾き飛ばし発生せず、ワザやヒサツ・ワザ派生不可
ワザマエで攻撃判定し、出目66で殺伐、665+でナムアミダブツ
敵がイニシアチブ1か崩れ状態なら殺伐出目2から5のうち任意で選択
●戦闘スタイル:捨て身の滅多突き 2ターン連続使用不可、標的1体固定
連続攻撃を+2する 敵がイニシアチブ1か崩れ状態なら連続攻撃+3
カラテ・ワザマエどちらでも攻撃判定でき、出目66で殺伐、665+でナムアミダブツ
フェイズ終了時点で敵を体力0以下にできていない場合、次の手番開始まで受動的行動不可
●ワザ:シグナルロスト 近接攻撃で出目66が出た場合に発動可
殺伐出目2(頭部痛打)とし、命中した場合イニシアチブをさらに-1する
☆◉ヒサツ・ワザ:サソリ・キック アサシンダガー装備時のみ使用可能
回避判定時に出目66を含んで成功した場合に発動、1ターンに1回のみ
迎撃ダメージD3、回避UH 命中した敵のニューロンとワザマエに2ダメージ
◉頑強なる肉体:体力+2
◉◉グレーター級ソウルの力:ニューロン+ジツで精神力を換算
★カトン・エンハンス:手番開始フェイズに精神力1消費し瞬時発動(N)
戦闘終了まで、自分の武器1つに近接攻撃ダイス+1、火炎ダメージ+1
★★カトン・ジャンプ:精神力2を消費し発動(H)
周囲12マス以内の空いた1マスに瞬間移動
移動直後の近接攻撃の際、自分よりイニシアチブの低い敵を「崩れ状態」とみなせる
出目666で成功すると出現時に隣接敵全員へ火炎ダメージ1(回避UH)
●連続攻撃3、連射2
◉ニンジャアドレナリン強化:アドレナリン・ブースト回数+1
◉忠誠心:ソウカイヤ 精神力+1
◇シックスゲイツの「六人」
○生い立ち:錠前破り 物理錠前や物理罠の解除判定ダイス+1
◉知識:ストリートの流儀、ドラッグ
◉交渉:煽り、共感
能力値合計:40
「アイエエエ!」「オーガだ!オーガが出た!」「早く逃げアバーッ!」「AAARGHHH!」そう、山の中で目が覚めたら、いきなり叫び声が聴こえたんだ。近くの山道でオーガが人間を殴り殺していた。青空の彼方にはドラゴンとしか言いようのねえもんが飛んでいた。俺は……駆け出していた。
「イヤーッ!」SLAASH!「アバーッ!」サツバツ!アサシンダガーが一閃し、オーガはたちまち首を刎ねられた。「アイエエエ!?」「盗賊!?」「タスケテ!」「今助けてやっただろ。ドーモ、ハウスバーナーです。ここはどこだ」俺はオーガの生首を拾い上げ、腰を抜かした連中に問いかけた。
いつ、どうしてここに迷い込んだのか、どうしても思い出せない。確か、キョート共和国に潜入して仲間を救出し、そして……とにかく、ここはキョートでもネオサイタマでもメキシコでもねえ。山道でオーガから助けてやった村人に話を聞けば、ワドルナッケングリアって名前の王国だという。
わけがわからんが、コトダマ空間とかオヒガンとかいうやつの一種なんだろう。幸い腕に覚えはあるし、現地の人間と会話はできる。村では歓迎してくれたが、貧しくて俺を養うほどの食糧もないという。当座の食い扶持を稼ぐため、俺は翌日山から麓へ降り、中世欧州めいた城下町までやって来た。
???
このまま野盗になるならともかく、現世へ戻るならこの世界について知らなけりゃなるまい。傭兵だか冒険者だかのギルドに登録すれば市民権が貰えるらしい。「ふーん。流れ者で、どこから来たかも言えないって?実に怪しいねえ」ギルドの受付のベイブは、小馬鹿にした口調でそう言った。
「俺もそう思うが仕方ねえだろ。ただ言っとくが、俺はそこそこ強いぜ。昨日はノーツって村の近くで、村人を襲ってたオーガを仕留めて来た」俺は証拠品のオーガの生首をどんと置いた。「オーガねえ。ノーツ村なら知ってるけど」ベイブは物珍しくもなさそうだ。「とにかく、登録してえんだよ」
「カネがいるよ。マンサツ銀貨五枚」「アー、今持ち合わせが……」「それじゃ、田舎に帰りなよ」「「「ギャハハハ!」」」酒場に屯しているチンピラじみた先輩たちが嘲笑った。「体格はいいが鎖帷子も甲冑もなし。装備は小汚い布の装束にダガーだけか。貧乏人め!」「哀れな野郎だ!」
さて、どうするか。カラテであいつらをぶちのめして、カネを奪うか。簡単だろうが、ここの連中を、ひいては国を敵に回す。この冒険者ギルドは、要はワドルナッケングリアって国が荒くれ者どもに首輪をつけるために運営してる組織だ。実際ソウカイヤやザイバツに近い。敵に回せばヤバい。
じゃあ、こうだ。「実力を見せりゃいいんだろ。ボトルネックカットチョップで勝負だ」「ボトル……何?」「酒瓶とかあんだろ。それの首を素手のチョップで切断し、いっぺんに切れた本数を競う。俺の故郷じゃそうやって実力を示すんだ」「もったいないね。薪でもいいかい?」「ああ」
持ち込まれた薪を床の上に八本並べ、カラテを研ぎ澄ませる。野次馬が物珍しそうに集まってきた。「イイイ……イヤーッ!」SLAAASH!八本の薪は俺のチョップで瞬時に切断された!「「「アイエエエ!?」」」野次馬たちはぶったまげ、尻もちをついた。「トリックだ!」「切れ目入れただろ!」
「じゃあ、次は瓦割りだな」「瓦って、屋根に敷くあの薄い煉瓦か?」「素焼きだと軽くて脆いだろ。壁作る煉瓦でやってみろよ」「岩でもいいぜ!」野次馬たちは面白がり、煉瓦や岩を次々と持って来た。俺は全部叩き割ってやった。ニンジャのカラテとワザマエがあれば、この程度は朝飯前だ。
「マジかよ」「信じられねえ」野次馬どもの俺を見る目つきが変わった。対抗して挑戦する連中もいるが、誰も俺ほどにはできなかった。俺は得意になり、やり方を伝授してやった。ミームの伝達ってやつだ。「これぐらい大したことないね。君は何か魔法が使えるかい?」魔術師が突っかかってきた。
「魔法ねえ。炎をつけたりはできるぜ」「ほう、やってみたまえ」「屋内じゃ火事になるだろ。外でやるぜ」俺は野次馬を引き連れて外へ。「カトン・ジツ!イヤーッ!」KABOOOOM!「カトン・エンハンス!イヤーッ!」BOOM!「カトン・ジャンプ!イヤーッ!」KABOOOM!「どうだ!」
「なかなかやるじゃないか」魔術師の頬がヒクヒクした。「つっても、魔法はあまり得意じゃあねェんだ。俺の得意技は、このサソリ・ダガーで……」「わ、わかった!」「実力はわかったけど、カネはないんだろ」受付のベイブが目を細めて笑った。「それなら、ビズをひとつこなしてくればいい」
「ギルドの入団試験ってわけか」「そう。君が倒したこのオーガ、まだ結構山にいるらしい。そいつらの巣を見つけ出して、潰して来なよ。一人でね。そしたら冒険者ギルドに登録してあげる」「報酬はマンサツ銀貨五枚になるのか?」「オーガ一匹で銀貨一枚。それならどうだい」「いいだろう」
???
俺はさっそく山へ戻り、ニンジャ第六感やニンジャ感覚を駆使して足跡とにおいを追跡し、オーガの巣を見つけ出した。バイオスモトリじみた害獣どもだ。駆除してやったほうがこの辺の人間のためだろう。「AAARGHHH!」「AARGHHHH!」巣の中には五匹のオーガたちが棲んでいた。「行くぞ!」
「イヤーッ!」SLASHSHSH!ダガーをカトン・エンハンスしてサソリ・ファイティング・スタイル!「アバーッ!」一匹が即死!「グワーッ!」一匹が負傷!「「「「AAARGHHHH!」」」」四匹のオーガが一斉に襲いかかる!「アミーゴ!」サソリ・キックで迎撃!SMASH!「グワーッ!」脳天命中!
「イイヤァアアーーーッ!」SLASHSHSH!「「「アババーッ!」」」ナムアミダブツ!三匹のオーガが切り刻まれ即死!「ゴアオオオン!」残る一匹が襲いかかる!「イヤーッ!」SLAAASH!俺は難なく攻撃を躱し、襲い来るオーガを斬り殺した。これで全滅だ。「ナムアミダブツ」一応、冥福を祈る。
俺はオーガたちの首を回収し、ノーツ村の連中にも報告する。ギルドの受付ベイブは喜んで首を受け取り、ギルドとの契約書にサインを書かせようとした。「ちょい待て。俺は文字が読めねえんだ」「じゃあ読んであげるよ。これはね……」「ああところで、ここの王様に謁見してえんだが……」
「もっと手柄を立てれば、上級冒険者として登録される。その時に謁見できるはずさ」「そうか」「なに、王様を暗殺しようとか?」「しねえよ。話を聞きてえんだ。俺はこの世界の住人じゃあなくて……」「与太話はいいよ。さっさと契約!」ベイブの押しの強さに負け、俺は契約書にサインした。
???
……それから、数ヶ月が過ぎた。俺は必死で働き、王国周辺のクソ野郎ども……双頭の巨人やら、マンティコアやら、死霊術師やらを倒していった。流石に俺ひとりではキツいんで、冒険者仲間と協力してだ。カラテに自信はあるが、怪物の大軍を一撃でぶっ飛ばすほどの強いジツは持ってねえ。
なんとか上級冒険者とやらになり、王様に謁見したり、学者連中に話を聞いたり、この国の文字をニンジャ学習力で習得して書物を読んだりしてみたが、元の世界に戻る方法なんてものは誰も知らなかった。各地のダンジョンで財宝を獲得しても、契約のせいでギルドが9割5分持っていっちまう。
俺は途方に暮れた。こりゃ、ていのいい奴隷だ。俺にはカラテもジツもあるが、スシを自分で握ったことも、会社を経営したこともねえ。ニンジャになる前は押し込み強盗(スラッシャー)で、鍵開けはできても、まっとうに働いたこともねえ。ヤクザから搾取して上納してた前の世界と同じだ。
しかも契約書のせいで、俺はギルド以外と商売できねえことになってる。国の政治は王侯貴族やカネモチが牛耳っていて、根無し草の俺じゃあ村会議員の選挙にも出れやしねえ。反乱でも企もうものなら密告され、スシや酒に毒が盛られるだろう。実際そうやって死んだ冒険者も結構いるという。
問題はまだある。王国の国境の川の向こうには、ソマシャッテって名の国があり、「魔王」が支配している。もとは見目麗しいエルフが暮らす共和国だったが、魔王はエルフの仲間のふりをして現れ、魔法のアミュレットを作らせてパワーを盗み、国を乗っ取っちまった。今や王国最大の外敵だ。
問題だらけのワドルナッケングリアが、曲がりなりにもまとまっているのは、魔王という外敵のおかげってところはある。もちろん魔王もこっちに工作員を送り込み、王侯貴族やカネモチに賄賂を送り、不満を抱えた民衆を煽って反乱を起こさせようとしている。いっそ、魔王側についちまおうか。
いや、ダメだ。俺は契約書にサインしちまった。拇印もつかされた。あれはマジで魔法がかかっていて、俺はこの王国を裏切れねえ。上級冒険者ともなればなおさらだ。なんでも裏切ったら爪が全部めくれ返って、醜い無力なカエルになっちまうという。俺はもう魔王と戦うしかねえ。その後は……?
周りのベイブは結構ちやほやしてくれるが、それも俺にカネがある時だけだ。冒険者なんて将来性のねえやつと本気で付き合おうなんて女はいねえ。契約書にも書かれている。魔王討伐の期限も刻一刻と迫ってきた。逆らえばおしまいだ。俺は酒と薬物で恐怖と憂鬱を紛らわせた。前の世界と同じだ。
……俺は、空虚だった。いくらカラテやジツが強くても、逆らわずに言われることしかできねえ奴なんて、どこへ行ってもこんなもんだ。
???
「また飲んだくれてるね!」俺は朦朧とした頭を上げて、声の主を見た。耳の尖ったエルフの酒場娘だ。「おいおい。またお前か」「お前じゃないよ。私はエルフの……」「ああ、いい、いい。お前の名前は長くて覚えられねえから」「まったくもう!飲み過ぎ!」酒場娘は俺から酒瓶を取り上げた。
俺はテーブルに突っ伏した。「いいじゃねえかよお。俺……辛いんだ……毎日、空虚で……」「名高い上級冒険者のハウスバーナーさんが、何ダルいこと言ってんの!」「ああ、もう辞めてえんだ……こんな暮らし……」俺は恥も外聞もなく、すすり泣いた。「元の世界に帰りたい……忘れちまう……」
「なら、このポーションを飲みなよ」エルフ娘はからかうように笑い、魔力を感じる瓶をテーブルに置いた。「命の力が溢れてきて、蘇るよ。あんたの役立たずのが」「いらねえ。そういうこっちゃねえんだ」俺は不機嫌な声で答えた。「元気になるし、辛くなくなるよ。空虚な感じも吹っ飛ぶって」
「ヤクはもういい」「つれないなあ……」エルフ娘は俺にしなだれかかる。「やめろ。俺はもう、このままでいい」「このまま、いいじゃない。このまま何もせず、私と楽しいことだけしよ? 永遠なんだから。魔王討伐なんてやめちゃってさ。これ飲んだら契約の呪いも解けるの」「マ?」「マよ」
エルフ娘は蠱惑的に笑い、両眼を輝かせた。「私は魔王様の手下よ。あなたを迎えに来たの。屈辱的な契約なんて破棄して、ソマシャッテにおいで。人間らしい暮らしが待ってるわ」「いや、俺は……契約に逆らうと、爪がどうとか」「嘘よ、そんなの。騙されちゃダメ。さあ、さっさと飲メ!」
突然エルフ娘は恐ろしい声で叫び、俺のメンポを掴んだ!「飲メエエエ!」「アアアアッ!?」凄まじい力でメンポが引っ剥がされ、強引に口を開かされる!俺は身動きが取れない!エルフ娘はポーション瓶の栓を抜くと一気に俺の口に注ぎ込んだ!「アアアアアアア!?」身体が!熱い!
『手間をかけさせおって。ハウスバーナーよ!』エルフ娘は床に突っ伏した俺を見下ろし、頭を踏みにじった。「アバーッ……」『お前の契約の呪いは解かれた。それがお前の望みだったな。叶えてやったぞ!そして永遠を生きるがよい……我が奴隷となってな!』エルフ娘は見る見るうちに巨大化!
『シイイヤアアアア!』彼女は邪悪な装束をまとい、背中から巨大な翼を飛び出させ、無数の角を生やし、メンポを自然生成した!ニンジャ!それも、俺なんかじゃ及びもつかないアーチ級ニンジャだ!「ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」『ドーモ、私がソマシャッテの魔王です。アイサツせよ!』
巨大な足が俺の全身を床に抑えつけ、凄まじい圧力をかけてくる!「アバーッ……ドーモ、ハウスバーナーです……」『お前が飲んだポーションは、我との契約の証だ。さあ、ともにゆこう。お前を縛り付けて苦しめた邪悪なる王国、ワドルナッケングリアを滅ぼすのだ……』「アアアア……!」
もうおしまいだ。魔王の魔力が俺を苛み、洗脳していく……!俺の冒険はここで終わってしまう……! その時だ!
???
「Wasshoi!」SMAAASH!『ウッギャアアアア!?』悲鳴!魔王の!魔王の巨大な背中に、何者かがトビゲリを食らわしたのだ!さらに魔王の全身をビリビリと稲妻が苛む!『な、何者だ!?』魔王は苦しみながら壁際に逃れ振り返った。俺は解放された。アンブッシュ者は両眼を爛々と輝かせた!
その眼窩には眼球の代わりに、ダイヤモンドで出来た義眼が嵌っている!「この世には自然科学では説明できない物事が沢山ある。我が名は、異世界転移〆切探偵ザザ!」
『貴様、ニンジャか!?コシャク!』魔王が身構えた。ザザは怪物に向き直った。「否。貴様のような怪異を殲滅する為に、私は来た!」『させぬぞ! こやつは隷属させた!』「喰らえ!義眼光線!」ZZAAP!ザザの宝石の目がビームを放った!『ウッギャアアアア!?』魔王は苦しみ、爆発四散した!
「そ、そんな……アンタは一体……」「元の世界に戻る時だ、ハウスバーナー」ザザは俺を助け起こした。「だけど俺……ポーションを飲んじまって」「ムン!」「オゴーッ!?」腹をパンチされた俺は全部ゲボした。ザザは俺を二度ビンタした。「グワーッ!」「正気に戻ったか」「た、多分……」
「ならば、今こそワドルナッケングリアの勇者として川を渡り、荒廃せしソマシャッテの平和を取り戻せ。お前の契約は解除されたが、あの魔王はブンシンだ。本体と戦わねばならぬ」「元の世界へ戻るんじゃねえのか」「魔王城の奥に、魔王のアミュレットがある。それを用いるのだ」「なるほど!」
俺の全身に、再び活力がみなぎってきた。奴隷契約の呪いが解け、今俺がやるべきことがはっきりとわかった。「俺、やってみるさ……マジになる……ありがとう……ザザ」「よし!」ザザの目が光った!ダイヤモンドの目の光は俺には強すぎる!「アアアアアア!?」俺は悲鳴をあげた!
「アアアアアアア!目の!目の光を!ザザ! その光は俺には強すぎる!」「川を渡り、ソマシャッテへ行くのだ!」「アアアアアアアアア!」「魔王を倒してアミュレットを手に入れ、元の世界に転移するのだ!」「アアアアアアアーーーーッ!」「転移せよハウスバーナー!」「アアアアアアア!」
◇FIN◇
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