忍殺TRPGリプレイ【ビー・ユア・トゥルー・マインド】01
ドーモ、三宅つのです。これは古矢沢=サンのシナリオ案「オチャカイ・オブ・フローライト」、および原作小説「ア・クルエル・ナイト・ウィズ・レイジング・フォース・フロム・ソー・サイレント・フィアフル・レルム」などをもとにして、つの次元のAoS世界で起きたことをリプレイ小説化したものです。ネタバレにご注意下さい。
今をときめく例の陰険姑息なザイバツの女ニンジャ、フローライト=サンを敵の襲撃から護衛するミッションです。しかしつの次元では現在ザイバツはロードを討ち取られて崩壊しており、キョート城はオヒガンとの狭間にあり、ニーズヘグたちムーホン組やケイトー・ニンジャがダークニンジャ改めサツガイ・ニンジャの帰還を待っています。彼女の上司パーガトリーはヘリコプターで脱出してキョートに戻り、生き残ったスローハンドとともにザイバツを再建しつつあります。とするとフローライト=サンもキョートにいるか、脱出しそびれてキョート城に取り残されているかということになりますね。ニンジャスレイヤーたちもキョート城に潜入中ですし、後者にしましょう。マスラダと違いフジキド相手だと無慈悲にブッ殺されそうですが。
今回挑むのは、成長の壁を1-2個超えたザイバツニンジャ3人です。つの次元にもオリジナルのザイバツニンジャは何人かいますが、キョート城に取り残されていて、フローライトの味方になれそうなやつらは……いませんね。新たに作成しましょう。
ニンジャ作成
今回は「28ポイントスクラッチビルド」でニンジャを3人作ります。すなわち28ポイントを4つの基本能力値に割り振り、名声10の中堅ニンジャとしてスタートさせます。カラテ・ニューロン・ワザマエは6までは1ポイント、7以上(上限9)は2ポイントで、ジツは3までは2ポイント、4以上(上限5)は3ポイントで1上昇させられます。成長の壁1は2個まで取り除いています。
ゼロから作るのは難しいので、例によって生い立ち表と公式の「ニンジャPCメーカー」を組み合わせてランダムに作成します。2D6を3回振ると[11]=ジンクス、[14]=信心深い、[53]=キラーマシーン教育。これをニンジャPCメーカーに名前として入力し、ベースとなるニンジャを作成します。
ジンクス=サン、おまえはニンジャになった
◆ニンジャネーム:ドゥームアイズ
【カラテ】1【ニューロン】2【ワザマエ】1【ジツ】0(代わりに初期スキルを1個選択)
【体力】1【精神力】2【脚力】2【回避】2 【交渉】1【名声】1【万札】0【DKK】0
生い立ちは『○サイバーゴス』。知識スキルは『◉知識:オイランドロイド』。
初期装備は『ハッキング用フロッピー』。初期サイバネは『テッコ(ローンあり)』だ。
背景タイプ『違和感や外部存在』
能力値合計は1+2+1=4。これに24を足します。あまりにも脆弱なうえテッコとフロッピー持ちのサイバーゴスなので、ザイバツでは違和感を覚える外部存在だったでしょう。フローライト=サンから蔑まれそうですね。
信心深い=サン、おまえはニンジャになった
◆ニンジャネーム:イエローソード
【カラテ】4【ニューロン】5【ワザマエ】1【ジツ】3(カラテミサイルLv3)
【体力】4【精神力】5【脚力】2【回避】5 【交渉】1【名声】1【万札】0【DKK】0
生い立ちは『○元ヒキャク・パルクール』。知識スキルは『◉知識:ドラッグ』。
初期装備は『トロ粉末』。初期サイバネは『ヒキャク(ローンあり)』だ。
背景タイプ『心酔や従順』
能力値合計は4+5+1+6=16。これに12を足します。ドゥームアイズ=サンよりは遥かにマシですが、ワザマエが低いですね。生い立ちといい知識やサイバネといい下っ端のサンシタみがあります。
キラーマシーン教育=サン、おまえはニンジャになった
◆ニンジャネーム:ポイズンアサシン
【カラテ】4【ニューロン】1【ワザマエ】3【ジツ】0(代わりに初期スキルを1個選択)
【体力】4【精神力】1【脚力】2【回避】4 【交渉】3【名声】1【万札】0【DKK】0
生い立ちは『○錠前破り』。知識スキルは『◉知識:バイオ系メガコーポ』。
初期装備は『オーガニックスシ』。初期サイバネは『クロームハート(ローンあり)』だ。
背景タイプ『反抗心や嫌悪』
能力値合計は4+1+3=8。これに20を足します。ニンジャネーム的に毒を使いそうです。バイオ系メガコーポの知識を持つため、ヨロシサンとつながりのあったスローハンド派閥の残党でしょうか。
性別は1D6を振って奇数なら男、偶数なら女とします。[512]=男・男・女。追加で知識系スキル3つ、ないし知識2と交渉1を獲得し、万札80(借金は10まで)で武器・防具・アイテム・サイバネ・スキルを購入します。整理して調整するとこうなります。
ニンジャ完成
◆ドゥームアイズ(種別:ニンジャ)
カラテ 1>6 体力 1>9
ニューロン 2>9 精神力 2>9
ワザマエ 1>8 脚力 5/E
ジツ 0 万札 80>-4
DKK 0 名声 10
攻撃/射撃/機先/電脳 7/10/10/11
回避/精密/側転/発動 10/ 8/ 8/ 0
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:1
◇装備や所持品
▶テッコLV1
▷電磁クローアーム
▶生体LAN端子LV1
◆ハッキング用フロッピー
◆近代的タクティカルニンジャ装束一式
体力+3、射撃+2、緊急回避+1、脚力ダメージ軽減1
◇ジツやスキル
◉ランスキック
◉常人の三倍の脚力
◉タツジン:ハッカー
◉kill-9
●連射2、時間差、マルチターゲット
○生い立ち:サイバーゴス
◉知識:オイランドロイド、サイバネティクス、ザイバツ、山岳エリア 記憶
◉交渉:誘惑 記憶
○背景:違和感や外部存在
能力値合計:4>23
◆イエローソード(種別:ニンジャ)
カラテ 4>7 体力 4>8
ニューロン 5>6 精神力 5>7
ワザマエ 1>7 脚力 6/E
ジツ 3 万札 80>0
DKK 0 名声 10
攻撃/射撃/機先/電脳 7/ 7/ 6/ 6
回避/精密/側転/発動 8/ 7/ 7/ 9
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:4
◇装備や所持品
▶ヒキャクLV1
◆カタナ
◆トロ粉末
◆オーガニック・スシ
◆ニンジャ存在感のオーラ(標準的な)
緊急回避+4、体力・精神力+1、脚力ダメージ軽減1
◇ジツやスキル
☆カラテミサイルLV3
☆◉ニンジャ存在感のオーラ
☆◉レッサー・エンハンスメント:常に武器による攻撃/射撃+1
☆◉ラピッド・カラテミサイル
◉◉タツジン:イアイドー
◉常人の三倍の脚力
◉トライアングルリープ
●連続攻撃2、連射2
○生い立ち:元ヒキャク・パルクール
◉知識:ドラッグ、水路港湾エリア、ザイバツ、サイバネティクス 記憶
◉交渉:理路整然 記憶
○背景:心酔や従順
能力値合計:16>26
◆ポイズンアサシン(種別:ニンジャ)
カラテ 4>7 体力 4>9
ニューロン 1>6 精神力 1>7
ワザマエ 3>10 脚力 6/E
ジツ 0 万札 80>0
DKK 0 名声 10
攻撃/射撃/機先/電脳 8/11/ 7/ 6
回避/精密/側転/発動 10/10/12/ 0
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:0
◇装備や所持品
▶クロームハートLV1
◆アサシンダガー
◆オーガニック・スシ
◇ジツやスキル
◉◉タツジン:アサシネイト・ドー
◉ニンジャソウルの闇
◉トライアングルリープ
◉常人の三倍の脚力
◉電光石火
◉ニンジャアドレナリン強化
●連続攻撃2、連射2
○生い立ち:錠前破り
◉知識:バイオ系メガコーポ、カチグミエリア、公僕の流儀、古代ニンジャ文明 記憶
◉交渉:誘惑
○背景:反抗心や嫌悪
能力値合計:8>23
充分な戦力ですね。では、始めます。
◆◆◆
序
ネオサイタマ上空、現世とオヒガンの狭間に浮かぶキョート城。ロード・オブ・ザイバツを失い、崩壊したザイバツ・シャドーギルドの残党は、なおも戦いを続けていた。スローハンドとパーガトリーの派閥の主だった者たちは地上へ逃げたが、様々な理由で取り残された者、とどまった者がいる。
「アナヤ……こんなことになってしまって……一体、誰の責任なのか……」その一人、女ニンジャ・フローライトは、無限に変化し歪み続ける城内を当てどなくさまよい続けていた。彼女は仲間とはぐれ、取り残されたのだ。
◆フローライト(種別:ニンジャ)
カラテ 6 体力 6
ニューロン 7 精神力 8
ワザマエ 6 脚力 3/H
ジツ 3 万札 20
攻撃/射撃/機先/電脳 6/ 6/ 7/ 7
回避/精密/側転/発動 7/ 6/ 6/11
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:0
◇装備や所持品
◆アームレット(ムチ)
◆伝統的礼装
◇ジツやスキル
☆コソク・ジツ:手番開始または終了時に精神力1消費し発動(N)
術者か隣接する味方の武器1つに戦闘終了までエンハンスをかける
この武器で拘束した敵は、術者のジツ値と同値だけカ/ニ/ワ判定ダイスが低下
攻撃者は不覚状態となり、移動スタイル「牽引」を得る
移動時に拘束対象とカラテ対抗判定(N)を行い、勝利すると通常移動でき、
拘束対象を拘束攻撃射程範囲内に再配置 判定失敗で移動終了
◉ムチ拘束習熟
◉緊急ブリッジ回避
◉暗殺者の眼
◉ニューロンブースト/チルアウト
◉挑発
●時間差、マルチターゲット
◉知識:貴族の流儀、伝統的アート 記憶
◉交渉:煽り、理路整然 記憶
●世間知らず/浮世離れ
能力値合計:25
キョート城内は地獄であった。湧き続けるフェイスレス、発狂したニンジャ、オヒガンの彼方からの謎めいた凝視。そしてホウリュウ・テンプルから打って出たニーズヘグ派閥のムーホン者たち。キョジツテンカンホーの効力も薄れつつある。不思議と空腹は覚えないが、このままでは滅びは必至だ。
やがて、彼女は四つ辻で3人のニンジャと遭遇した。いずれもザイバツニンジャだが、フローライトが所属していたパーガトリーの派閥ではない。敵か、味方か。「ドーモ、フローライトです」彼女は先んじてアイサツを繰り出した。礼儀正しさは、この混沌に一定の秩序をもたらすことができる。
「ドーモ、ドゥームアイズです」ハッカーめいたニンジャがオジギした。「イエローソードです」黄色く輝くカタナを鞘に納めたニンジャがオジギ。「ポイズンアサシンです」毒々しいダガーを鞘に納めた女ニンジャが最後にアイサツした。いずれも油断ならぬ手練れ。アデプト位階であろう。
「私はパーガトリー=サンの弟子、かつ遠縁にあたる者です。貴方達は、ムーホンに与する者ですか」フローライトは警戒しながら尋問する。「俺は違う。上司のヴィジランス=サンもどこにいるのやら」ドゥームアイズは肩をすくめた。彼は見ての通りハッカーだが、電算室にはいなかったらしい。
「俺はケイビイン=サンの派閥だが、あの方は何者かに討ち取られてしまわれたらしい。ならばムーホンに与するわけにもいかぬ」イエローソードは胸を張った。「アタシはスローハンド=サンの部下さ。例の琥珀ニンジャの間にいたんだけど、急に気が遠くなって……気がついたら、変な場所にいて」
ポイズンアサシンは頭を抑え、眉をしかめる。彼女のニューロンには断片的な古代ニンジャ文明の光景が浮かんでは消える。オヒガンと現世の境にいるせいであろう。「そうですか」フローライトは頷く。少なくとも、敵ではないようだ。「では、ともに参りましょう。この城から脱出しなければ」
フローライトの申し出に、3人は頷く。各々が1人でさまようよりは遥かに安全だろう。かくて4人のザイバツニンジャは臨時にチームを組み、現状打破のために動き出すこととなったのである。
行動開始
【続く】
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