忍殺TRPGリプレイ【アーレア・ヤクタ・エスト】01
邦題:賽は投げられた(Alea jacta est)
ドーモ、三宅つのです。これは、しげ=サンのシナリオ案「ハンティング・ハウンド・ドッグ」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意下さい。
ニチョームで騒ぎを起こしたソウカイヤのヌケニンを追い、真実を突き止めるシティ・シナリオです。初期作成から余暇8日程度のニンジャ3-4人を想定していますが、今回はこの2人でやってみましょう。
◆キルキラー(種別:ニンジャ)
カラテ 6 体力 6
ニューロン 5>6 精神力 5>7
ワザマエ 6 脚力 4
ジツ 0 万札 59>23
DKK 0 名声 3
◇装備や特記事項
◉常人の三倍の脚力:脚力+1、連続側転難易度-1
▶生体LAN端子LV1:ニューロン判定ダイス+2、イニシアチブ+1
○生い立ち:キラーマシーン教育 ニューロン-1、ワザマエ+1
◉知識:犯罪、ストリートの流儀、ヤクザの流儀
○立ち位置や性格:反抗心や嫌悪
◆オーガニック・スシ:体力3回復(使い捨て)
◆パーソナルメンポ:精神力と緊急回避ダイス+1
◆伝統的ニンジャ装束:回避ダイス+1
能力値合計:17>18 回避ダイス:6>7
前回の冒険で万札40、名声1、余暇4日を獲得しました。駆け出しの割にはかなりのカネモチです。能力値は十分に高いので装備やスキルを充実させてみましょう。素手の殺人カラテを教育されたので武器は必要ありません。ワザマエが7に達したら「タツジン:コッポドー」でも入れましょう。防具として「パーソナルメンポ」「伝統的ニンジャ装束」を購入します。
ジツがないのでコロス・ニンジャクランのソウルにでも覚醒しようかと思いましたが、まだ第2版での非公式サマリーもありませんし、今回はやめておきます。サイバネを入れるとしてもサイバネアイは前回のアレがあるためイヤです。成長の壁も超えていません。万札6でニューロンを鍛え2D6[16]=7>5=成功。知識系スキルを伸ばすことにし、「ストリートの流儀」「ヤクザの流儀」を学びます。消費万札は20+6+10=36。
◆ヴェノムパピヨン(種別:ニンジャ)
カラテ 5 体力 5
ニューロン 6 精神力 7
ワザマエ 6 脚力 3>4
ジツ 3 万札 58>33
DKK 0 名声 3
◇装備や特記事項
☆カナシバリ・ジツLV3
隣接する3×3マスの敵全員に精神力ダメージ1(回避NORMAL)
回避できなかったモータル全員はターン終了まで一切行動不能となる
効果範囲内の敵1体をカナシバリにする(ニューロン抵抗難易度HARD)
カナシバリ:術者の次の手番開始までその場から動けず、
行動の判定難易度+2、敵からの攻撃・射撃難易度-2される
体力か精神力にダメージを受けると、そのフェイズの終わりに解除
☆◉神経毒触媒:ジツ発動時、精神力1の代わりに即応ダイス1を消費可能
☆◉カウンター・イビルアイ:迎撃発生時に精神力1ダメージ(回避NORMAL、ジツ扱い)
◉魅了(ゼゲン・ジツ):ニューロン+ジツで発動判定(NORMAL)、精神攻撃
6マス以内で視線が通るモブ敵モータル1体を戦闘不能に 出目66でもう1体
◉常人の三倍の脚力:脚力+1、連続側転難易度-1
◆ウィルス入りフロッピー:ハッキング判定ダイス+3(使い捨て)
◆*ブラッドジュエル*:パーソナルメンポ扱い、精神力と緊急回避ダイス+1
◆伝統的ニンジャ装束:回避ダイス+1
○生い立ち:言いくるめ:モータルハント時万札+1
◉交渉:欺き、誘惑
○立ち位置や性格:違和感や外部存在
能力値合計:23 回避ダイス:6>7 即応ダイス:5
前回の冒険で万札40、名声1、余暇4日を獲得しました。能力値は十分なのでジツ系スキルを獲得しましょう。即応ダイスでカナシバリ・ジツが撃てる「神経毒触媒」、迎撃時に体力でなく精神力1を削る「カウンター・イビルアイ」を学びます。後は「伝統的ニンジャ装束」「常人の三倍の脚力」を購入し、回避力を高めます。蝶のように舞い、蜂のように刺すのです。消費万札は5+5+10+5=25。
なかなか強力になりましたね。なお時系列的には2034年10月頃にあたり、マーシレスフィンガー=サンはドサンコ出張中なので、今回はナビゲーターがいません。頑張りましょう。
◆◆◆
ダンゴウ
ネオサイタマ、デスタニ・ストリート。ふたりのニュービーニンジャ・キルキラーとヴェノムパピヨンのもとに、「プロコンスル」と名乗るニンジャが現れた。彼はソウカイ・シンジケートに所属している手練れだが、片目を負傷していた。早急、かつ内密に、手助けが必要だというのだ。
「……そうしたわけで、愚かなガンドッグ=サンは負け犬めいて逃走し、このあたりを経由してニチョームへ入った。あの地はソウカイ・シンジケートにもザイバツにも与せぬ中立地帯で、ニンジャが率いる自治会が統治しておる。ウカツに手出しは出来んが、お前たちなら忍び込めるだろう」
プロコンスルは苛立ちを隠せぬ顔だ。「あやつめ、ミカジメの横領ばかりでなく、機密情報の入ったフロッピーも盗んでいきおった。さらに、逃走中にはニチョームのオイランを殺害している。凶悪なやつだ!捕獲しなくてもいい、発見次第殺せ!フロッピーは中身を見ずに回収し、私に引き渡せ!」
キルキラーは革張りソファーに寝そべり、反抗的な態度を崩さない。いきなり人のアジトに駆け込んで来て、随分高圧的な男だと見下しているのだ。「そっすか」「き、貴様!目上の年上に向かってなんだその態度は!事態は一刻一秒を争うのだぞ!もしやつがザイバツと接触でもしたら!」
ヴェノムパピヨンはなだめる。「まあまあ。アー、あたしもニチョームはたまに行くので知ってます。協力しますよ」「ふん!そのように素直ならば良い!手分けして探すぞ!」プロコンスルは踵を返し、荒々しく足音をさせて立ち去っていった。「ケッ!オトトイキヤッガレ!めんどくせえな!」
キルキラーは中指を立て、立ち上がる。「せっかくあのクソ野郎がドサンコ出張中で、のんびりできると思ったのによ!」「マーシレスフィンガー=サンも一緒だって。オミヤゲ頼もうかしら」
事前調査
「まずはガンドッグ=サンがどんなニンジャで、どこに住んでたか、だな。あのハゲオヤジに聞くのもめんどくせェし、焦ってたしな」「わざわざ来なくても、IRCで連絡すりゃいいのにねェ」「なんか事情があンだろ」キルキラーは電算機室でUNIXを操作し、ソウカイ・ネットにアクセスする。
ハッキング調査、難易度NORMAL。8D6[12164633]成功。
『ガンドッグ/Gun Dog:ソウカイ・シンジケート所属。モータル名はヨシロク・イヌドウ。28歳。デスタニ・ストリート、カーセージ・ビル622号室在住……』ぞろぞろと彼の個人情報が出て来る。「なんだ、この近所に住んでたんじゃないの」「俺らに言ってくれりゃ捕まえたのにな。手柄稼ぎか」
連絡先のIRCは通じない。物理的に探すしかなさそうだ。「なんか、クセえな。俺はこいつの自宅を探ってみる。ヴェノムパピヨン=サンはニチョームのほうを頼む。あとで連絡して合流しよう」「了解」
ガンドッグの自宅
デスタニ・ストリート、カーセージ・ビル622号室。平凡な雑居ビルだ。扉には鍵。
カラテ判定NORMALか、ワザマエ判定HARD。前者の場合は罠が作動する。キルキラー/KKはワザマエで解錠、6D6[416235]成功。
「よっと」難なく鍵を開けて、罠を外す。室内は雑然としており、UNIX、金庫、それにショットガンやグレネードが並んだ鍵付きのガンラックがある。ガンドッグはこうした武器の扱いに長けていたが、カラテ自体は大したことがないと先程の調査で判明している。「さて、まずはUNIXかな」
ハッキング判定、難易度HARD。8D6[44454264]成功。
破壊して逃げていた可能性もあったが杞憂だった。電源を入れ、生体LAN端子を介してUNIXの内部情報、検索履歴などを洗い出す。ザイバツとの接触情報もあるかも知れない。だが……!
◆
ニチョーム
ネオサイタマ有数の歓楽街、ニチョーム。性的マイノリティたちのアジールという役割も持つこの街は、ソウカイ・シンジケートやザイバツ、ヤクザクランや暗黒メガコーポなどからは中立的な立場をとっている。こうした組織にとっても、そのような場所がある程度存在する方が都合が良いのだ。
この街には当然様々な人とモノ、情報が行き交い、密談や接待の場にも選ばれる。カチグミの中にも様々な性嗜好を持つ者はいる。だが、不可侵であるはずのニチョームでも、しばしば諸勢力の抗争が起きる。その犠牲になるのはいつも弱い立場の者、身寄りのないオイランやゲイマイコなどだ。
ヴェノムパピヨンはビルの上を駆け抜け、マッポカーの後を追い、色付きの風となってニチョームのオイラン殺人現場に到着した。ヴェノムパピヨンは近寄ろうとするが、大きな手に止められた。「マッタ」
「アータ、ニンジャね」背の高い、丸坊主のオネエだ。身長7フィートはあろうか。「この事件と、何か関係あるの?」低い小声で、しかしドスの利いた声で尋ねる。肩に置かれた手の力は強い。「……たぶん。ドーモ、ヴェノムパピヨンです」「ドーモ、ネザークイーンです。あっちで話しましょ」
◆ネザークイーン (種別:ニンジャ)
カラテ 9 体力 12
ニューロン 8 精神力 10
ワザマエ 8 脚力 5
ジツ 5 万札 30
◇装備や特記事項
◇カルマ:善
●連続攻撃2、連射2、時間差、マルチターゲット
◉頑強なる肉体:体力+2
◉不屈の精神:精神力+1
◆パーソナルメンポ、タクティカルスーツ
☆イージス・ニンジャクラン、ジツLV5
☆ムテキ・アティチュードLV3:使用するとダメージ軽減2、即死耐性
★ムテキ・メイル:隣接する仲間をムテキ化してかばう
★★エネルギー・スリケン:軽減成功したダメージ(最大9)を蓄積させ放出
◉知識:ストリートの流儀、ファッション、独立小組織(ニチョーム)など
◉交渉:共感、鼓舞、誘惑、駆け引き など
能力値合計:35 回避ダイス:9
ニチョームの女王ザクロ=サンことネザークイーン=サンです。実際シックスゲイツ級に強く、逆らうと大変なことになるでしょう。
ふたりは近くのゲイバー「絵馴染」へ。「アタシはここのマスターよ。普段はザクロって名乗ってる。お嬢ちゃんは」「カワヒラです」「そう。ソウカイヤ?」「ええ。でも、そちらと敵対するつもりはないわ」店内に客はいない。ザクロはドアの看板を「CLOSED」にし、彼女をカウンターに導く。
「簡潔に言うわ。ついさっき、あたしのアジトにソウカイヤのニンジャが来たの。プロコンスルっていうハゲオヤジ。そいつが言うには、ガンドッグ=サンってニンジャがニチョーム付近へ逃げ込んだって。で、オイランを殺害したっていうの」「プロコンスル。ガンドッグ。なるほど。本当かしら」
ザクロは情報を吟味する。「殺されたのはオイラン……ゲイオイランの、ミノコ=サンよ。カワイイで気立ての良い子だったのに」「そう。ガンドッグ=サンはソウカイヤのヌケニンらしいけど、今……あ、ちょっと待って」ヴェノムパピヨンのIRC端末にノーティス。キルキラーからだ。
「……なるほど。ミノコ=サンの、殺され方は?」「……カラテよ。バイオパンダでも出たんじゃないかって威力の。銃やカタナじゃあないわ」「なるほどね。でもガンドッグ=サンは銃が得意で、カラテはあんまり強くないらしいわ。まあニンジャだし、モータル程度一捻りでしょうけど」
ザクロは頷く。「逆に、プロコンスルって野郎が怪しいわね。はっきりした証拠があるわけじゃ……」「あったのよ。あたしの仲間がガンドッグ=サンの家に潜入して調査したの。そしたら……」
◆
やがてキルキラーがニチョームに入り、「絵馴染」でふたりと合流する。「……信じていいかわからんが、辻褄は合う。ガンドッグ=サンはプロコンスルの横領と裏切りを発見し、感づいたそいつに襲撃されてニチョームへ逃げ込んだってわけだ」「たぶん、ミノコ=サンを殺したのも……!」
ザクロは憤慨するが、慎重だ。ニチョームの守護者として振る舞わねば。「とにかく、ガンドッグ=サンをそいつより先に探さないと。彼の外見とかモータル名、わかる?」「これッス」キルキラーがIRC端末を見せる。
◆ガンドッグ(種別:ニンジャ)
カラテ 3 体力 3
ニューロン 6 精神力 6
ワザマエ 6 脚力 4
ジツ 0 万札 5
◇装備や特記事項
▶ヒキャクLV1:脚力と回避ダイス+1
▶サイバネアイ:ワザマエ判定+2
◆ノーカスタム・チャカガン×2:連射2(難易度HARD)
能力値合計:15 回避ダイス:7 射撃ダイス:8
「アラやだ、イヌドウ=サンじゃない」ザクロがつぶやく。「ミノコ=サンが勤めてた店のお客よ。結構入れあげてたのかも」「じゃあ、一緒にいるところを?」「かもね。そういやあのへんの監視カメラ、故障してたし……彼が壊してたのかも」「なるほどな。彼が行きそうな場所は、他に」その時!
BLAMBLAMBLAM!複数の銃声!「ザッケンナコラー!」「スッゾコラー!」ドスの利いたヤクザスラング!「イヤーッ!」「イヤーッ!」カラテシャウトと、ニンジャアトモスフィア!まさか!「プロコンスルの野郎が先に見つけやがったか!」「行くわよ!」
◆
路地裏
「見つけたぞ、ガンドッグ=サン!おとなしく投降し、そのフロッピーを渡してもらおう。命まではとらんぞ」路地裏。プロコンスルはクローンヤクザ3人を巧みに展開し、追い詰める。「断る。アンタの横領程度なら見過ごすとこだったが、まさか、ザイバツと……」「黙れ!」プロコンスルが叫ぶ。
「裏切り者はどっちだ。それに、ミノコ=サンを巻き込んじまったのは俺だが、殺したのはテメエだ。ケジメはつけさせてもらう」ガンドッグは二挺拳銃を構える。「フン、モータルに庇われるとは軟弱者めが!とにかく貴様はここで死に、証拠はなくなる!爆発四散してな!」……その時だ!
「ドーモ、プロコンスル=サン。ガンドッグ=サンは見つかりましたか?」キルキラーとヴェノムパピヨンが駆けつける。「ああ、貴様らか。今見つけて始末するところだ。ご苦労だった、帰ってよし」「あの路地の奥っすか」「ええい、見んでいい!貴様らも蜂の巣になりたいのか!」
キルキラーとヴェノムパピヨンは……連続側転!「「イヤーッ!」」
6D6を2つ、[366452][164555]成功。ガンドッグのもとへ到達。
「ドーモ、ガンドッグ=サン。キルキラーです」「ヴェノムパピヨンです」ガンドッグにアイサツ。「ドーモ、ガンドッグです。殺しに来たのか?」「あんたのことは、調べさせて貰った。そういうことだ」「あなたが掴んだ情報は、本当かしら?」ガンドッグは驚き、笑った。
「……ああ、そうだ。全部そこのプロコンスル=サンが」「黙れ!貴様ら!そいつの言葉に耳を貸すな!トドメは我々が刺すから、さっさと立ち去れ!さもないと、貴様らも裏切り者とみなすぞ!」まくしたてるプロコンスル!「イヤーッ!」路地の上からシャウトが鳴り響き、新たなニンジャが!
「ドーモ、ネザークイーンです。ニチョームでドンパチとはいい度胸ね、エエッ?」「ドーモ、プロコンスルです」「ガンドッグです」「キルキラーです」「ヴェノムパピヨンです」全員がアイサツ。「アタシは、ソウカイヤの揉め事に口出しはしないわ。けど、よそでやって。ここはアジールよ」
プロコンスルは激昂!「黙れ黙れ!貴様、庇い立てするか!とにかく、そのガンドッグ=サンをこちらへ引き渡せ!全てそいつが悪い!」「ダメよ。なんかアータ、ミカジメ横領してるんだって?あとなんか、ザイバツと手を組んでるって風の噂に聴いたわよ」「なんだって!?」「まさか!?」
キルキラーとヴェノムパピヨンが白々しく驚く。「嘘だ!嘘だ!貴様ら、さっさとガンドッグ=サンを殺せ!」「いやあ、ザイバツと繋がっている裏切り者の指図なんか受けられねえなァ」「全部ネタはバレてんのよ、ハゲ」プロコンスルは完全にキレた!「ブッ殺す!」一触即発アトモスフィア!
【続く】
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