極楽転送機
「いいか。君には二つ、選択肢がある」
殺風景な部屋。
眼の前でパイプ椅子に縛られ、涙と小便を垂らし、ガタガタ震えている若い男に、俺はいつものように無表情に告げる。
「一つはここで、鉛玉を眉間に食らって素直にくたばること。もうひとつは……」
親指で後ろを示す。こいつの仲間数人が、棺めいた機械装置に寝かされ、管まみれになっていく様を。
「あれだ。半年ほどだが、死ぬまで幸福を味わえる。夢の中でな。あっちの方を俺はお勧めするがね」
若い男は、よだれを垂らしながら叫んだ。少しは骨があったか。
「い、いやだ! 死んだほうがましだ! あれじゃあ、クソッ、生きてるなんて!」
「そうか。じゃあ、ここまでだ」
まあ、俺もそう思う。あれは夢を与え、夢を奪う装置。こいつが知っているとは思えんが。
極楽転送機。俺はそう刻まれた拳銃だ。男は震えながら笑った。極楽へ行けるとでも思ってんのか。
男に3秒与えたあと、宣告する。
「地獄行き」
BLAM!
【だが、続く!】
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