忍殺TRPGリプレイ【ハングリー・ゴースト】02
前回のあらすじ:ソウカイ・シンジケートの傘下企業、ドンブリ・ポン社の食品偽装に関する機密情報が漏洩した。ソウカイヤ電脳部門筆頭ダイダロスはこれを利用して罠を仕掛け、ジャーナリストを工場に誘き出して捕縛ないし始末させるべく手練れニンジャコンビを派遣!カラダニキヲツケテネ!
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ナムアミダブツ!ジャーナリストと思しきモータルの首が刎ねられた!『ああッ』黒装束のニンジャがうろたえた。彼は紫色の瞳で憎々しげにこちらを睨み、アイサツした。『オノレ……ドーモ、ロートバイトです!』
「ドーモ、クイックランナーです」「キリングウォーカーです」2人はアイサツを返す。「貴様の相棒は殺したぞ。大人しく降伏しろ」『断る』「動機を聞かせろ。どこかの暗黒メガコーポや組織の手先か?」『復讐だ!』ロートバイトは怒り狂い、両腕を広げた。『アクマ!』メキメキメキメキ……!
ロートバイトの小柄な肉体が膨れ上がり、激しい黒煙を噴き出しながら、悪魔じみた異形に変身していく!『ヤンバナ・サシミ事件を知っているか!あの事件でハマチ粉末の供給システムが崩壊し、スシが食えず餓死する人々は前年の300倍に昇った!俺も、俺の家族もだ!このジャーナリストも!』
「なるほどな」2人は納得した。背後に何者かはいるかもだが、このニンジャは単独だ。ならば問題なし!「それじゃあ、後はテメエをブチのめすだけだな」「悪霊めが。引導を渡してくれよう」ナムアミダブツ!慈悲はない!『オノレ、食い殺してやる!AAARGHHHH!』一触即発アトモスフィア!
戦闘継続
1ターン目(続き)
『AAARGHHHH!』ロートバイトはクイックランナーに剛腕で殴りかかる!「イヤーッ!」跳躍回避!「少々手ごわそうだが……2対1、圧倒的有利だ!囲んで叩くぞ!」「おう!」2人のソウカイニンジャは邪悪に嘲笑う!彼らは弱者には強い!そして悲劇にも心を動かすことはないのだ!
2ターン目
「イヤーッ!」クイックランナーは再びトライアングルリープ・トビゲリ!狙うは頭!『イヤーッ!』ロートバイトは見切って躱す!「イヤーッ!」キリングウォーカーは二刀流で斬りかかる!『イィィヤーッ!』見切って躱し迎撃!「ヌウーッ!」ガキィン!クロスカタナ防御!油断ならぬ強敵だ!
3ターン目
「イヤーッ!」クイックランナーは常人の三倍の脚力で縦横無尽に飛び回り勢いをつけてトビゲリ!『イヤーッ!』回避!キリングウォーカーは足場が悪いと見るや踏みとどまり、二刀流で斬りかかる!「イヤーッ!」SLASHSH!『イヤーッ!』見切って回避!だが2対1では防戦一方だ!
『GRRRRR!』ロートバイトはキアイを入れてヘンゲを維持し、キリングウォーカーに襲いかかる!「イヤーッ!」大振りな腕の軌道を見切って回避!当たれば危険だが、当たらねば問題なし!
4ターン目
「イイイヤァアアアーーーッ!」クイックランナーは色付きの風と化してトビゲリ!SMAASH!『グワ、アバーッ!』命中!KRASH!壁に激突!大きく体勢を崩す!「勝機!イイイヤァアアアーーーッ!」キリングウォーカーは邪悪な嗜虐心に目を輝かせながら斬りかかる!狙うは無防備な股間だ!
どくん……ロートバイトはニンジャアドレナリンを過剰分泌させ、これをSLAAAASH!『アバババーッ!』サツバツ!太もも内側の大動脈が切り裂かれて激しく出血!もはや瀕死だ!『アバッ……オノレ……!』ロートバイトは筋肉を収縮させて止血し、憎悪を燃やす!『食い殺して……やる……!』
メキメキメキメキ……!アクマヘンゲをキアイで維持し、キリングウォーカーに襲いかかる!狙うは腕だ!どくん……キリングウォーカーはニンジャアドレナリンを過剰分泌させ、これを……「イイイヤァアアアーーーッ!」ガキィン!クロスカタナで受け、勢いを逸らして防御!ワザマエ!
5ターン目
「「イイイヤァアアアーーーッ!」」クイックランナーとキリングウォーカーは必死で猛攻をかける!ロートバイトはトビゲリを躱し、頭部を狙った致命的な一撃を躱す!だが!SLAASH!『グワー……ッ!』キリングウォーカーのもう一撃が、ニンジャ耐久力を削りきった!アクマヘンゲが解けていく!
『アバッ……ゴボッ』ロートバイトはもとの小柄な姿に戻り、血反吐を吐いて倒れ伏した。メンポが外れ落ち、まだあどけなさの残る痩せた少年の顔があらわになる。「けッ、まだガキじゃねェか」「なかなか手ごわい相手だったな。ソウカイ・シンジケートに忠誠を誓うなら生かしておいてやろう」
『断る……!俺の家族の、復讐を遂げるまでは……!』「じゃあ死ね。覚悟はしてンだろ?」クイックランナーは相手を見下ろし、脚を振り上げてカイシャクの構えをとった。おお、ブッダよ!あなたは今宵も寝ているのですか!
……その時!
???
「イヤーッ!」カイシャク!だが!『AAARGHHHH!』ロートバイトは最後の力を振り絞り、立ち上がって反撃!「グワーッ!?」ウカツ!鉤爪と牙がクイックランナーの皮膚と肉を切り裂き、血を飛び散らせた!『血……血ィィィーッ!』ロートバイトは舌を伸ばし、ベロベロと血を舐める。コワイ!
彼の脳裏にソーマト・リコールがよぎる。故郷のスラム街での明日なき生活。スシ供給の停止。餓える家族。掠奪と殺戮、そして。……彼は、家族の血肉を喰らい、生き延びた。あれから数年、スラム街を抜け出せず餓死しかけていた彼に、悪魔が……悪霊が取り憑いた。彼はニンジャとなった。
ブッダが救わぬのも当然だ。寝ているのだろう。あの時のように。ロートバイトは眼の前の敵を、獲物を、食欲と憎悪のままに食い殺さんと……「イイイヤァアアアーーーッ!」SLASH!キリングウォーカーが二刀を振るい、ロートバイトの首を刎ねた。『……サヨナラ!』KABOOOM!爆発四散!
戦闘終了
「シューッ……手こずらせてくれたな」キリングウォーカーはカタナを振って血を拭い、鞘に納めた。油断ならぬ強敵であった。だが殺した。「これで任務は完了か」「ああ。ジャーナリストの首級と、携帯IRC端末も回収しておくとしよう」「了解!」2人は手分けして死体を探り、首級を拾う。
エピローグ
『……ご苦労さまでした。あなた達に任せたのは実際正解でしたね』ソウカイヤ仮本部、ブリーフィングルーム。モニタに映るダイダロスは帰還した2人をねぎらった。『ジャーナリストやニンジャを捕縛できなかったのは残念ですが、携帯IRC端末とジャーナリストの死体から情報は抜き出せます』
数年前の事件を今頃になって探り出し、ソウカイヤの弱みを突こうとするのであれば、例によってオナタカミやザイバツのしわざであろう。ロートバイトと名乗ったニンジャやジャーナリストの背後には協力者がいるはずだ。芋づる式に情報を抜き、敵の根をイチモ・ダジーンにせねばならない。
『報酬は振り込んでおきます。では』通信終了。2人は深々とオジギしてブリーフィングルームを退出した。「さて、スシでも食うとするか。腹いっぱいに」「風呂とオイランもだな!」2人は下品に談笑する。マケグミが餓死しようがくたばろうが、カチグミとなった彼らにはどうでもいいことだ。
今宵もドンブリ・ポン社はマケグミに安価な食品を提供し、稼いだカネをせっせとソウカイヤに上納する。欲望の都ネオサイタマは眠らない。
【ハングリー・ゴースト】終わり
リザルトな