忍殺TRPGリプレイ【ジ・イルーシヴ・ニンジャ】02
前回のあらすじ:ネオサイタマを離れた辺境の地・長野県に駐屯するザイバツのニンジャチームを、マスター位階ニンジャ・アンバサダーが訪れた。彼から与えられたミッションは、豪族ムセン・タカハシが所有するレリックアイテムを、手段を問わず入手することだ。カラダニキヲツケテネ!
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「……このところ、ギルドよりの便りも途絶えがちとなり、我ら辺境にある者には心細い日々が続いております。恐れながら、偉大なるロードは、またグランドマスターの方々は、ご健勝であられましょうや」シルバーナイトは奥ゆかしい貴族的な言葉遣いで問うた。アンバサダーはピクリと反応する。
「……無論である。下賤な東夷どもの風に染まり、流言蜚語に惑わされてはならぬぞ」アンバサダーは袂から何かを取り出し、御簾の下から奥ゆかしく差し出した。銀のタヌキ像だ。これはキョート貴族の流儀では「他言無用」を意味する。何か、図り知れぬ事情があるのだろう。
「ご無礼仕りました。委細承知」3人は深々とオジギする。ザイバツ内には目に見えぬ派閥争いの陰謀が絶えず渦巻いており、口外できぬ秘密は無数にある。ならばいつものことだ。このミッションで派閥内の力関係が変化し、誰かが出世し、誰かが失脚するとしても、3人にはもはやどうでもよい。
「では、速やかに行動せよ。ロード・オブ・ザイバツの御為に」アンバサダーはそう告げると、闇の奥に気配を消した。
作戦開始
「……さて、どうする。正面から交渉するか、それとも盗み出すか」エッジビショップは腕組みする。彼は破戒僧であり、殺しも盗みもさほどに躊躇うことはない。「ムセンは殺すなと言われているが、2人の女ニンジャが少々厄介だな。それに問題の指輪はムセンが常に身につけているかも知れんし」
シルバーナイトは顎を撫でて思案する。手段は問わないとはいえ、ギルドの面目に関わる悪行はしない方がよかろう。「ここは、交渉ね。脱税問題をマスメディアにバラすとか脅して、ムセンをザイバツの庇護下に置けばいいわけよ」ゴールデンクイーンは目を細めた。彼女の知能指数は実際高い。
「ソウカイ・シンジケートとか暗黒メガコーポにも狙われてるというしの。護衛がいるとはいえ、庇護者がいた方が心強かろう」「うむ。こちらの方が戦力は上だし、うまくすれば護衛ニンジャたちもザイバツに勧誘できるな。一石二鳥だ」2人も納得する。「決まりね。じゃあ、行きましょ!」
ムセン邸
長野県中央部、諏訪湖。そのほとりに豪族ムセン・タカハシの邸宅が聳え立っている。電子戦争後の混乱期に、武装した私兵を率いてこの地に入り、武力と政治力で支配権を手に入れた男だ。よそ者ながら周辺のシュラインやテンプルへの寄付も欠かさず、今や宗教的な権威をも帯びている。
最高級の菓子折りを手土産とし、六文銭アミュレットを通行手形として、3人は首尾よくムセンと謁見を果たした。「ドーモ、ムセン・タカハシです」応接室にはオイラン姿の女ニンジャが2人立ち、微笑んでいる。「ソーンヘッジドスエ」「フライトラップドスエ」彼女たちはアイサツした。
「ドーモ。ザイバツ・シャドーギルド所属、ゴールデンクイーンです」「シルバーナイトです」「エッジビショップです」3人はアイサツを返し、奥ゆかしく菓子折りを差し出しながら観察する。室内にはクローンヤクザ部隊。護衛ニンジャの2人はともに油断ならないが、実力ではこちらがやや上か。
ムセンは件の指輪をこれ見よがしに見せつけ、来客を値踏みする。「これが欲しいと申すか。カネなら不足しておらぬぞ」ゴールデンクイーンは傲然と胸を張り、ムセンに笑いかける。「それだけでは足りないわね。貴方と、この領地を、ザイバツ・シャドーギルドが庇護してあげる。従いなさい」
ゴールデンクイーンは超然たる貴族的態度で命じる。ムセンはやや気圧された。彼は田舎の豪族に過ぎず、キョート貴族の洗練された立ち居振る舞いや言動には免疫がない。まして相手はニンジャなのだ。「あなた、脱税の疑惑がかかってるわね。タケダ社やソウカイヤなど敵も多いようだし……」
「マッタ」ムセンは震えながらマッタをかけた。ここでウカツに頷けば、左右に控えるニンジャたちに始末されかねない。ニンジャは文明の簒奪者であり、彼のようなモータルの権力者の背後にいて貢物を受ける半神的存在なのだ。「まず、ワシの護衛たちと勝負して、実力を見せていただきたい!」
「フン!」ソーンヘッジは端正な顔を歪め、低い声で邪悪に嘲笑った。「このジジイの領地は俺たちのもんだ。よそ者に渡せるかよ!」「ヒヒ……そういうこと」フライトラップも嘲笑い、ともにオイランのキモノを脱ぎ捨てる!「GRRRR……AARGHHHH!」ソーンヘッジは屈強なオニにヘンゲした!
◆ソーンヘッジ(種別:ニンジャ)
カラテ 7>10 体力 9
ニューロン 6 精神力 14>13
ワザマエ 4>6 脚力 4>6/N>-
ジツ 6 万札 0
攻撃/射撃/機先/電脳 10/ 6/ 6/ 6
回避/精密/側転/発動 10/ 6/ -/12
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:4
◇装備や所持品
◆ニンジャ存在感のオーラ(標準的な)
緊急回避+4、脚力ダメージ軽減1、体力・精神力+2
◇ジツやスキル
☆イバラキ・ニンジャクラン、ジツLV6
☆ヘンゲヨーカイ・ジツLV3
☆◉ニンジャ存在感のオーラ
◉◉グレーター級ソウルの力:ニューロン+ジツ=精神力
★アクマ・ヘンゲ・ジツ:手番開始時に精神力1消費し発動(H)
カラテ+3、ワザマエと脚力+2、素手近接攻撃ダメージ2、側転不可
ジツ値の半分(3ターン)持続、精神力1消費し1ターン延長可能
★★肉体破壊:ヘンゲ時に素手攻撃のみ出目55+で殺伐発生 ナムアミダブツなし
★★ツツモタセ・ジツ
●連続攻撃2
能力値合計:29
「SHHHHHH……!」ぶうんぶうんぶうん……フライトラップの周囲に黒い霧のようなものが巻き起こり、異様な音を響かせる。無数の羽虫の群れだ!
◆フライトラップ(種別:ニンジャ)
カラテ 6 体力 8
ニューロン 7 精神力 14>13
ワザマエ 8 脚力 4/N
ジツ 5 万札 0
攻撃/射撃/機先/電脳 6/ 8/ 7/ 7
回避/精密/側転/発動 9/ 8/ 8/12
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:4
◇装備や所持品
◆ニンジャ存在感のオーラ(標準的な)
緊急回避+4、脚力ダメージ軽減1、体力・精神力+2
◇ジツやスキル
☆ハエ・ニンジャクラン、ジツLV5
☆スウォーム・ジツLV3:手番攻撃時に精神力1消費し発動(N)
術者を中心とした3×3マス、または隣接3×3マスにスウォームを召喚
範囲内の敵の半数(術者が選択)に1ダメージ(回避H)
さらに敵はスウォーム内での能動的行動難易度+1、集中不可
中心点を術者のジツ値まで移動させられる 維持中は集中不可、発動難易度+1
☆◉ニンジャ存在感のオーラ
◉◉グレーター級ソウルの力:ニューロン+ジツ=精神力
★アサルト・スウォーム:手番攻撃時に精神力1消費し発動(H)
術者を中心とする5×5マス以内の敵全員に1ダメージ(回避H)
発動出目66で2回・時間差、666で崩れ付与(モブなら即死)
維持しているスウォームを消費すれば精神力コストなし、発動はそこから
★★分裂による回避:回避判定ないし脱出判定の代わりに使用
体力1と精神力1を消費し発動(H) 1ターン中1回まで、連続使用不可
攻撃を自動的に回避し、瞬時にD3マス移動する(斜め移動・敵マス通過可)
◉◉タツジン:ジツ 敵からのジツの回避・抵抗判定難易度-1
●エテルの引き寄せ:出目666で発動に成功すると精神力1回復(集中時は66)
●兆候の読み取り:コストをもう一度支払って発動判定の振り直し可能
●危険な賭け:戦闘中1回限り使用
コストの2倍を支払い発動難易度+2、回避難易度+1
●連射2、マルチターゲット、時間差
能力値合計:31
「オニとハエか。なんとも不吉よのう」エッジビショップはマニ車メイスを構えた。「3対2。圧倒的有利だ」シルバーナイトはゴールデンクイーンをかばいつつ、ジュー・ジツの構えをとる。「「「ザッケンナコラー!」」」応接室内のクローンヤクザたちもチャカガンを構える!一触即発!
戦闘開始
マップ
1ターン目
「イヤーッ!」ゴールデンクイーンは空中にセイケンヅキ!その背中から黄金の光球が射出され、クローンヤクザたちを薙ぎ払う!PASHSHSH!KBABAM!「「「アババーッ!」」」「オノレ!イヤーッ!」フライトラップは掌を動かし、黒い羽虫の群れを襲いかからせる!
わあんわあんわあんわあん!羽虫の群れは3人を包み込み、視界を遮る!「イヤーッ!」シルバーナイトは跳躍回避し、壁を蹴って勢いをつけ、残るクローンヤクザたちをトビゲリで薙ぎ払う!「「「アババーッ!」」」「オン・クロダノウ・ウン・ジャク!」エッジビショップはマントラを詠唱!
KABOOOM!羽虫の群れが瞬時に焼き払われ消滅!だが!「AARGHH!」爆炎の彼方からソーンヘッジがゴールデンクイーンへ襲いかかる!狙うは脚だ!「キエーッ!」ゴールデンクイーンは華麗に回避し迎撃のキック!「イヤーッ!」見切って回避!「これで3対2。圧倒的にこちらの有利ね!」
戦闘継続
【続く】
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