忍殺TRPGリプレイ【ワイルド・ダンス・オブ・カタナ・ソード】04
前回のあらすじ:駆け出しの傭兵ニンジャ・ロングソードに、新たな依頼が舞い込んだ。大ヤクザクラン「デッドフィッシュ」のオヤブン、ヘイショウ・シハカタを暗殺せよとのミッションだ。相方につけられた女ハッカーニンジャ・ドントマインドとともに、決戦に挑む!カラダニキヲツケテネ!
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「イヤーッ!」「アバーッ!」ロングソードは前進しながらスリケンを投擲し、クローンヤクザ1体を倒す!「ハハハハハ!」「スッゾコラー!」シハカタは前進しながらチャカガンを構え、残るクローンヤクザとともに撃つ!BLAMBLAM!「イヤーッ!」ロングソードは見切って躱す!「ハハハ!」
シハカタは狂ったように笑う。「銃弾を躱しよるか!マジでニンジャか!死出のハナムケにはちょうどよいわ!」彼の口角から血が流れる。彼の肉体はすでに病魔に冒され、余命幾ばくもない状態だ。好き放題に生きた人生にもはや心残りもなし。否……乱刃の中で戦って死ぬことこそ彼の望み!
「「「ザッケンナコラー!」」」「「「スッゾコラー!」」」BRTTTTTTT!寝室の外ではクローンヤクザたちが闇雲にヤクザベンツへ銃撃!だが防弾仕様ゆえ貫けぬ!なんたる状況判断力の乏しさか!「3人の側近も死んだようだな!後は思う存分、儂らのイクサを愉しもうぞ!」「望むところ!」
戦闘継続
マップ
15ターン目
「死ィィねェェェーーッ!」ギャギャギャギャ!「「「アババーッ!」」」「「「アババーッ!」」」ドントマインドは涙目で笑いながらヤクザベンツをハッキングで動かし、クローンヤクザたちを轢殺!たちまち半数をネギトロに変える!ナムアミダブツ!なんたるアトロシティか!まるでツキジだ!
「「「スッゾコラー!」」」BRTTTTTTT!BRTTTTTT!クローンヤクザたちは緑色のバイオ血液を浴びながらも反撃!だが防弾ヤクザベンツの装甲を貫けない!「kill-9 U!」ZZTZZT!「アバーッ!」さらに1体が遠隔ハッキングを受け、ニューロンを灼かれて即死!「どうだ!いまや私は無敵だ!」狂気!
「イヤーッ!」一方、寝室!ロングソードは間合いをはかりつつ動き、残るクローンヤクザにスリケン投擲!「アバーッ!」命中!即死!「スッゾコラーッ!」シハカタが業物のカタナを振り上げて斬りかかる!彼はイアイドーのタツジンだ!SLASHSH!「イヤーッ!」ロングソードは見切って躱す!
鳴り響く警報、怒号と悲鳴、立ち込める硝煙と血のにおい、折り重なって倒れ伏す死体!「クカカカ……!ヤクザの血が滾るわい!」シハカタは血を吐きながら凄惨に嘲笑う!「儂はタタミの上ではなく、こういう鉄火場で、命の取り合いの中でこそ、くたばりたかったんじゃ……!」狂気!
16ターン目
どくん……! ロングソードとシハカタの周囲の風景が暗転し、両者以外が存在しない空間となる。カラテの高まりが両者のニューロンを加速させ、そのような光景を……いわば限定コトダマ空間を、体感させているのだ!「「イヤーッ!」」両者はほぼ同時に斬りかかる!イアイ!SLAAASH!
両者は交錯し、そして……「グワ……アバーッ!」血しぶきをあげたのは、シハカタだ!ロングソードは無傷!これがニンジャと非ニンジャのカラテの差だ!「アバッ……ハハハ!イヤーッ!」シハカタはキアイを込めてさらなるイアイ!だが!「イヤーッ!」ギャリィン!カタナで逸す!カラテだ!
17ターン目
「「イイイヤァアアアーーーッ!」」ロングソードとシハカタのイアイが交錯!交錯!交錯!SLASHSHSHSHSH!シハカタは肘を狙う致命的な刃を極度に精神を集中させて紙一重回避!体勢を崩しながらも恐るべきイアイを繰り出す!シハカタ流ヤクザ・イアイドー奥義「ボーン・スライサー」だ!
SLAAASH!「グワ……アバーッ!」命中!痛烈!ロングソードは深手を負い、おびただしい血を撒き散らす!「ハハハーッ!老いたりとはいえ、儂のワザマエ……心身に刻んだか!若造がァ!」シハカタは血反吐を吐きながら嘲笑う。まるでロングソードにワザマエを伝授するセンセイのように!
ロングソードは呼吸を整え、体内にカラテを循環させる。傷口を筋肉で塞いで止血し、体勢を崩したシハカタめがけ渾身のイアイを放つ!シハカタは刀身でこれを受ける!SLAASH!KRAACK!ロングソードのカタナが折れた!だが!「グワ……アバーッ!」残りの刀身が命中!おびただしい出血!
まさに「肉切り包丁で骨も切る」……防御を捨て、捨て身で敵を倒すことを目指したのがシハカタのイアイであった。ゆえにその一撃を躱されるか耐えられれば、脆い!「これで、死ねるか……アリガトヨ」シハカタは血反吐を吐き、血の海の中に仰向けに倒れた。ロングソードは返り血を拭う。
「このカタナ……名刀『ホネキリ』だ。くれてやる。儂のイアイを継げ……」シハカタの表情は穏やかであった。彼はカネやメンツ、ヤクザの価値観に雁字搦めにされ、ゲコクジョも起こせぬ腰抜けヤクザどもより、しがらみの少ないアウトローの若者にこそ、己のミームを伝えたかったのだ。
ロングソードもそれを察し、神妙な面持ちで頷き、カタナを受け取る。「カイシャクしてやる。ハイクは詠むか」「否。ホネキリとイアイが、儂のハイクだ……」「わかった」ミームの継承、インストラクションは成った。ロングソードはホネキリを振り下ろし、シハカタの首を切断した。
戦闘終了
ロングソードはシハカタの首級をバイオフロシキで包み、スシを食べて負傷を癒やすと、3つの死体が転がる血まみれの寝室を後にした。……廊下は寝室よりもなお酷く、クローンヤクザのネギトロ轢殺死体で溢れている。ドントマインドのしわざだ。彼女は庭まで駆け抜け、暴れまわっているようだ。
「やれやれ」ロングソードは残されたもう一台のヤクザベンツに乗り込み、アクセルを思い切り踏み込んだ。KRAAASH!防弾ガラスを突き破り、ヤクザベンツは裏庭へ飛び出す!「片付いた。逃げるぞ」『は、ハイ!』IRC通信でドントマインドへ連絡し、彼はそのまま土煙をあげ北門から離脱した。
エピローグ
無事に任務を達成した2人は、コバヤシノの指示に従ってヤクザベンツを指定された場所で乗り捨てた後、ネオサイタマのフルタマ再開発地区へと向かった。オムラ系列の低賃金下層労働者が詰め込まれる古ぼけたアパート群が林立する地区だ。余所者が潜り込んでも注意も警戒もされにくい。
八号棟の49号室。殺風景な部屋の真ん中に小さな丸テーブルがあり、サラリマンじみた男が大ぶりのアタッシュケースとIRC端末を手に待っていた。「ドーモ、いつもお世話になっております。例のものを引き渡して下さい」「ああ」ロングソードはバイオフロシキ包みを置き、首級を示した。
「確かに。では、今からお知らせする番号をケースに入力して下さい」サラリマンが番号を告げ、ドントマインドが震える指で入力する。ガゴンプシュー……白い蒸気とともにケースの蓋が開き、信頼性の高いオールド・イェンの万札束が姿を現した。2人は無言でそれを受け取り、平等に分ける。
「では、これで」サラリマンはペコリとオジギし、アタッシュケースにフロシキ包みの首級を納め、何処かへ立ち去っていった。「これで任務は終了だな。もう朝だが、どこか飲みに行くか」「いえ、私は女子高生なので。アリガトゴザイマシタ」ドントマインドはペコリとオジギし、去っていった。
ロングソードもしめやかにその場を立ち去る。彼の腰には折れた安カタナの代わりに、シハカタから受け取った名刀「ホネキリ」がある。骨をたやすく切断し、骨肉の争いを起こさせるという呪われたカタナが。これに見合うワザマエを身に着け、タツジンにならねばなるまい。それが供養だ。
【ワイルド・ダンス・オブ・カタナ・ソード】終わり
リザルトな