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忍殺TRPGリプレイ【ザ・ニンジャズ・オブ・ザ・ショーグン】中編(全テキスト版)

 これは、つのの忍殺TRPGリプレイ「ザ・ニンジャズ・オブ・ザ・ショーグン」中編(06-12)のうち、あらすじやステータス表、ダイスロールやコラム書き、イラストなどを除去した小説テキスト部分のみをまとめたものです。文字数カウントで見たところ、前編(01-06)が1万6335字(2434+2627+2716+2625+2368+3565)、中編(07-12)が1万5122字(1905+2703+2737+2853+2214+2710)で、合計3万1457字です。おおむね2記事で1セクションぐらいの量ですね。後編もそれぐらいにはなるでしょうが、第二部最終章完結までにはまだまだかかりそうです。


07

 一方その頃、キョート城内・ザイバツ電算室では!

「ん……何かこれ……」電算室に勤務する女ハッカーニンジャ・ストーカーはモニタを二度見した。庭園に設置された監視カメラの映像だ。彼女は画面に顔を近づけた。何の変哲もない生け垣と通路の俯瞰だ。

「どうした!」天井が開き、メガネをかけたニンジャが降り立った。電算室を統括するグランドマスター・ヴィジランスだ。

「二度目だな。君は確かに怪訝に思った。二度だ」「そう……ですね」ストーカーはモニタを見据えたまま生返事をした。「ご覧の通り、何も起こってはいな……」「違うな!」ヴィジランスは遮った。「ヒヤリ・ハット!非・平常インシデントが繋がって発生する時、重大インシデントが潜んでいる」

 あらゆる労働者に伝わる警句だ。彼の鋭敏なニンジャ第六感は、キョート城に迫る重大な危機を察知していた!だが!……KABOOOOOM!「「「アバババーッ!」」」ナムアミダブツ!電算室のUNIXが連鎖爆発!不運な奴隷エンジニアたちが巻き込まれて即死!ナムアミダブツ!「「何ッ!?」」

 0101010101010101……緑色の01と粉塵を撒き散らしながら現れたのは、複数の人影だ。キョート城の奥深く、封鎖された密室である電算室に、外部から侵入できる者などいない。なんたる超自然的な重大インシデントか!「ドーモ、ヴィジランス=サン。ハウスバーナーです。久しぶりだなァ!」

ポイズンバタフライです」「ヤモト・コキです」粉塵の彼方から、3人のニンジャがアイサツした。ヴィジランスはさらに複数のニンジャの気配を感知するが、居場所は掴めない。「ドーモ、ザイバツ・シャドーギルド、グランドマスター、電算室担当……ヴィジランスです」「ストーカーです」

 両者アイサツ。ストーカーは脂汗を垂らして青褪めた。「こんな……あり得ない」敵のうち2人は、行方をくらましていたソウカイ・シックスゲイツの「六人」。ヤモトともども、生体LAN端子やサイバネを持たぬ武闘派だ。ハッキングで制圧することができない。一体どこから?何らかのジツか?

「説明はしねェが、死んでもらうぜ!」ハウスバーナーたちは手に手に得物を構えた。ヴィジランスとストーカーもやむなくカラテを構える。一触即発アトモスフィア!

「よかろう!ここは我らがフーリンカザン、勝手知ったる電算室!イヤーッ!」「イヤーッ!」ヴィジランスとストーカーは同時に連続側転!周囲をスキャンしながら情報を共有し、侵入者撃退用セキュリティ・タレットを遠隔起動!さらにヤモトめがけスリケン投擲!BRTTTTTTT!BRTTTTTTTTT!

「「イヤーッ!」」ヤモトは銃弾を見切って躱し、スリケンはハウスバーナーが弾き落とす!「イイイヤァアアアーーーッ!」ポイズンバタフライは裂帛のキアイとともに電光石火で駆け寄り、ブラッドカタナ・イアイ!狙うはストーカーだ!どくん……ストーカーは死の危険を察知し、これを……!

「イヤーッ!」アドレナリンを過剰分泌してブリッジ回避!ワザマエ!だが燃えるダガーを構えたハウスバーナーがサソリめいて襲いかかる!「クタバレーッ!」狙うは心臓!「ヒヤリ!ハット!」ヴィジランスがかばう!彼はストーカーの手首を握ってブレイクダンス回避し、迎撃を繰り出す!

「イイイヤァアアアーーーッ!」ナムサン!これは暗黒カラテ奥義サマーソルトキックだ!SMAASH!「グゥワーッ!」ハウスバーナーは顎をしたたかに蹴り上げられ脳震盪を起こす!ウカツ!「我がエコノミック・カラテをナメてはいけない。わかったかね?」「く、クソが……!」眼の前が揺れる!

「イヤーッ!」ヤモトは桜色のオリガミ・ミサイルを射出!射出!射出!PAPAPAPAPAM!「ンア、アバーッ!」ナムサン!ストーカーは直撃を受けてたちまち昏倒、戦闘不能!「ちいッ……!」ヴィジランスは舌打ちする。ZBRアドレナリンを即座に射てば息を吹き返すだろうが、この状況では!

0101010101010101

 ……ストーカーの自我は肉体を離れて浮かび上がり、ぼやけた視界で電算室を見回す。死だ。死が迫っている。ソーマト・リコールが……彼女の視界の中に、銀色の少女とメガネの女が浮かんでいた。『ドーモ、ストーカー=サン。エーリアスです』『ライトウォッチャーです』『……ドーモ』

 3人はアイサツを交わした。肉体を失い、ユーレイと化した2人にとって、ニンジャの肉体をゲットする絶好の機会だ!『悪いが、始末させてもらう』『ますよ!』『AARRGHHHHHHHH!』ストーカーの邪悪な霊魂はサメめいた異様な顎を開き、2人を威嚇する!一撃必殺アトモスフィア!

08

『AAARGHHHHH!』ストーカーは臨死体験によりコトダマ空間認識能力に覚醒!ライトウォッチャーめがけ論理の速度で飛びかかる!SMAASH!『ンアーッ!』命中!油断ならぬ強敵だ!さらに周囲のエテルの流れを読み取り状況がだいたいわかった!『メギツネェ……!殺す殺す殺す!』コワイ!

『『イイイヤァアアアーーーッ!』』エーリアスとライトウォッチャーは論理の速度で反撃のトビゲリ!SMAASH!『AARGHHHH!』命中!コトダマ空間での戦闘ではハッカーニンジャであるストーカーに分があるが、ヴィジランスはコトダマ空間視認能力を持たない。2対1ならば!『GRRRAAA!』

 ストーカーは電子涎を撒き散らしつつ、貪欲な人食いサメめいてライトウォッチャーへ論理の速度で飛びかかる!『イヤーッ!』ブリッジ回避!『『イイイヤァアアアーーーッ!』』エーリアスとライトウォッチャーの反撃!SMASH!『GRRAAGHHH!』命中!だが迎撃!『イヤーッ!』回避!

 ヴィジランスは……コトダマ空間の状況は見えないが瞬時に状況判断し……「イヤーッ!」ストーカーの肉体を置き去りにして、天井裏へ逃走!ナムアミダブツ!だがこの場合はそうするしかない!見事なリスクヘッジだ!ハウスバーナーたちは彼を追跡する!「「「イヤーッ!」」」

『AARGHHHH!』ストーカーが迫る!『イヤーッ!』ライトウォッチャーは見切って回避!『『イイイヤァアアアーーーッ!』』トビゲリで反撃!ストーカーは論理アドレナリンを過剰分泌し『キエーッ!』連続バック転回避!『罪罰罪罰罪罰罪罰……!』ストーカーの論理肉体がサメめいて歪む!

『AAARGHHHH!』ライトウォッチャーの心臓めがけチョップ突き!どくん……!ライトウォッチャーの論理肉体に論理アドレナリンが溢れ、周囲の動きが泥めいて鈍化!『イヤーッ!』間一髪でブリッジ回避!『『イイイヤァアアアーーーッ!』』トビゲリ反撃!『AARGHH!』高速ジグザグ回避!

『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』

『『『イイイヤァアアアーーーッ!』』』おお、ゴウランガ!3つのコトダマ体は電算室を論理の速度で縦横無尽に駆け巡り、死にものぐるいで激闘を繰り広げる!まるで卓球の超高速ラリーだ!互いに致命的な論理重傷を紙一重で躱し、逸し、緊急ブリッジ回避!魂を削り合う!なんたる死闘か!

 だが……やがて……ストーカーが押され始める!2対1では実際ジリー・プアー(訳註:徐々に不利)、論理アドレナリンも弾切れだ!『『イイイヤァアアアーーーッ!』』エーリアスとライトウォッチャーが論理の速度で頭突きを繰り出す!SMAASH!『ンア……アバーッ!』命中!コトダマ体が揺れる!

『『イイイヤァアアアーーーッ!』』『AARGHHHHHHH!』エーリアスとライトウォッチャーの猛攻に、ストーカーは耐えきれない!徐々にニューロンが損傷して動きが鈍る!対する2人も無傷とはいかないが……!『メギツネェェェ……!』ストーカーは自我の01分解に怒りで耐え、ソウルを燃やす!

『GRRRRAAAAAARGGHHHHHHH!』ストーカーは01を撒き散らしながら、異形のサメと化してライトウォッチャーへ突撃!狙うは論理心臓!『アブナイ!』エーリアスがかばう!『AAARGHHHHH!』SMAAAASH!な……ナムアミダブツ!エーリアスの論理肉体が丸呑みにされた!『え……!?』

『ザッ……ケンナコラー!』エーリアスは01に分解してストーカーの顎から抜け出し、再び寄り集まって攻撃!『AAARGHHH!』『『イヤーッ!』』追撃!『AAARGHHHH!』ストーカーは狂い悶える!互いに死力を振り絞る!『罪罰罪罰罪罰罪罰……!メギツネェェェーーーーーーーッ!』

 ストーカーは怒り狂って巨大なサメと化し、エーリアスへ食らいつく!『ウオオオーッ!』論理アドレナリンを過剰分泌して紙一重回避!『キエーッ!』ライトウォッチャーのトビゲリ!『イヤーッ!』ストーカーは瞬時に01分解して躱す!ゴウランガ!『罪罰罪罰罪罰罪罰!罪には!罰を!』

『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』

『イイイヤァアアアーーーッ!』SMAAASH!凄まじいラッシュの果てに、エーリアスの渾身のトビゲリがストーカーの急所に命中!『アババババーッ!サヨ、ナラ!KA-BOO010101OOOOM!ストーカーのコトダマ体は01分解して爆発四散!ナムアミダブツ!インガオホー!

『シューッ……で、どっちが入る』『え、エーリアス=サンから、どうぞ』エーリアスのコトダマ体も01分解しかかっている。物理肉体を獲得しなければ危険だ。『また女かよ……まあ仮住まいだし、シェアしてもいいか。アンタはそこでカロウシしてるモータルの肉体を借りておけ』『アッハイ』

 0101010101……2体のユーレイは死体に取り憑き、仮の肉体を獲得して現世に蘇った。「やれやれ、久しぶりの肉体だぜ。あつつ……ちょっと死後硬直してたな」「わ、私もなんとか……こっちも女の人でしたけど、肉体がモータルだと、なんか動きにくいですねえ」2人はコキコキと首や肩を鳴らす。

「まあ、ここはザイバツの本拠地だ。イクサが始まれば、うまい具合に昏倒するニンジャも、そのうちたくさん出て来るさ。つっても、あんまり他人の肉体を間借りしてると、自我が引っ張られて危険だからな。気を強く持ってろよ」「アッハイ」倫理的には少々問題だが、生きるためには必要だ。

「さて、ハウスバーナー=サンたちはどうしてっかな」2人は天井を見上げた。先程のイクサは相当長引いたようでいて、現世においてはコンマ数秒のことに過ぎない。ヴィジランスとのイクサは、果たして……「あいつの肉体が欲しいところだが、またコトダマ戦闘するのはキツいな。様子見だ」

 2人はしばし座り込み、手に入れた肉体をほぐし、割れたUNIXモニタを鏡代わりに身だしなみを整え、自我に慣らしていく。電算室にいたモータルはUNIX爆発に巻き込まれて全滅だ。……一方その頃、天井裏では!

09


 BRTTTTT!BRTTTTT!ヤモトの背後から侵入者撃退用セキュリティ・タレットが銃弾を撒き散らす!「イヤーッ!」見切って跳躍回避!ヴィジランスは瞬時に状況判断し……「イヤーッ!」ストーカーの肉体を置き去りにして天井裏へ逃走!ナムアミダブツ!だがこの場合はそうするしかない!

 見事なリスクヘッジだ!同時にセキュリティを遠隔ハックし、キョート城内へ『クセモノダー』の秘密暗号を送信!カランカラン……!非電子のカラクリが働き、連動してナリコを鳴らす!「逃がすもんですか!イヤーッ!」ポイズンバタフライは電光石火で動き、天井を斬り裂いて飛びかかる!

「ヒヤリ!」ヴィジランスは華麗にブリッジ回避!「イヤーッ!」ヤモトは後を追って飛び上がりスリケン投擲!「ヒヤリ!」華麗に側転回避!「イヤーッ!」ハウスバーナーは後を追って飛び上がりサソリ・カラテを繰り出す!SLASHSHSH!「ハット!」華麗に跳躍回避!なんたるワザマエ!

 3人は周囲を見回す。プレジデントルームめいた上質な安らぎ空間がそこにあり、壁には様々なエコノミクス・ショドーが貼られていた。電算機室の上に隠された、彼の居室である。壁と一体化した漆塗りの小型冷蔵庫、高級一枚板のデスク、穏やかな光を放つ卓上ボンボリ……エグゼクティヴ!

「随分快適そうなところにお住まいだなァ。下と違ってよ」ハウスバーナーが鼻を鳴らす。「当然だ。私はザイバツ・グランドマスターで、ギルドの要である電算室を統括している。徹夜での仕事が続こうとも、体調やニューロンの冴えには特に気を使わねばならん。非ニンジャの奴隷どもとは違う」

 ヴィジランスはこともなげに言い放った。ナムサン!これがザイバツの標榜する「格差社会」の縮図なのだ!「それも今日で終わりね。アンタはネズミ袋に追い詰められ、3対1。要の電算室はメチャクチャにしてやったわ!」ポイズンバタフライは笑いながらも油断なくブラッドカタナを構える。

 ……凄まじい物理タイピング能力を持ちながらもコトダマ空間認識者ではないヴィジランスは、ナンシー・リーの裏切りをまだ知らない。彼女がニンジャスレイヤーと連絡を取っていることも。ましてや、ナンシーとニンジャスレイヤーが仇敵ソウカイ・シンジケートと手を組むなど想定外だ。

 ナンシーがキョート城電算室にいること自体、グランドマスター以上の極めて一部のニンジャしか知らない。しかし、彼の鋭敏なニンジャ第六感は、キョート城に、ザイバツに迫るただならぬ危機を察知した。「ネズミ袋なのはそちらだ。ここはザイバツの本拠地、どれだけのニンジャがいると思う」

 ヴィジランスは指をホームポジションに置き、周囲にホロ・キーボードを展開させた。電算室が壊滅しようと彼一人いれば十分だ。ナリコは鳴らし、クセモノ侵入の第一報はできた。ストーカーが命をかけて攻撃を引き受けてくれたからのイサオシだ。「我がエコノミック・カラテは魔技……!」

 ウィーン……ガコン!ガコーン!部屋の床が開き、緊急用戦闘兵器2体がせり上がった!『『モーターヤブは賢く強い』』

 BLAM!ヤモトの後方から銃撃!セキュリティ・ドローンだ!「イヤーッ!」とっさにしゃがみ回避!「サラバ!イヤーッ!」ヴィジランスはドアを蹴破り廊下へ脱出!「逃がすもんですか!イヤーッ!」ポイズンバタフライはブラッドカタナで斬りかかる!SLASHSH!「グワーッ!」一発命中!

「行けッ!」ヤモトはポイズンバタフライの傍らへ駆け寄りつつオリガミ・ミサイルを射出!射出!射出!PAPAPAPAM!「ヒヤリ!」ヴィジランスは紙一重で見切って回避!「イヤーッ!」ハウスバーナーは視界のぐらつきを覚えながら斬りかかる!「ハット!」ヴィジランスは華麗に回避!

『『侵入者を排除するドスエ』』ウイーン……近くの強化フスマがスライドし、オイランドロイド2体が出現!廊下のハウスバーナーとヤモトに襲いかかる!『カラテ!』「アミーゴ!」SMASH!『ピガーッ!』ハウスバーナーはサソリ・キックで迎撃!BLAM!「イヤーッ!」ヤモトは銃弾を躱す!

『『クセモノダー!』』『『クセモノダー!』』さらに頭上を多数のフクスケ・ドローンが飛び回り銃撃!BRTTTTTTT!BRTTTTTT!「「イヤーッ!」」2人のシックスゲイツは難なく回避!「ちょっとばかり厄介ね」ポイズンバタフライは舌打ちする。自分たちはともかく、ヤモトが危険だ。

「ハハハハハ!いいぞ!」3人の猛攻を紙一重でしのぎつつ、ヴィジランスはホロ・キーボードを高速でタイピングして戦闘兵器たちを操縦し、同時に情報収集と情報操作、伝達を行っている!なんたるマルチタスク能力か!

 BRTTTTTT!ヤモトへドローンから銃撃!「イヤーッ!」見切って回避!「イヤーッ!」ヴィジランスは回転ジャンプして壁へ飛ぶ!『ドーゾ、ドスエ』ドアセンサーが瞬時に反応してドンデンガエシ!この部屋の主人であるヴィジランスしか通れない秘密通路だ!「待ちなさい!イヤーッ!」

 SLAASH!ポイズンバタフライは一刀のもとにドンデンガエシ・ドアを両断!だが外には警報を聞きつけた警備クローンヤクザが4体!「スッ……!」「イヤーッ!」ヤモトがドアから飛び出してオリガミ・ミサイルを射出!PAPAPAPAM!「「「「アバババーッ!」」」」瞬殺!薙ぎ払う!

「待てッコラー!」ハウスバーナーが追いすがり、サソリ・ダガーを振り下ろす!「Wasshoi!」ヴィジランスは己を鼓舞するパワーワードとともに緊急ブリッジ回避!そのまま縦回転して、再びのサマーソルトキックだ!どくん……ハウスバーナーはニンジャアドレナリンを過剰分泌し、これを……!

「い、イヤーッ!」紙一重でバック転回避!アブナイ!「ハァーッ、チクショウ!二度も食らうかよ!」「フフフ、惜しい!」ヴィジランスは嘲笑う。『『クセモノダー!』』フクスケ・ドローンたちはポイズンバタフライへ銃撃!BRTTTTTTT!BRTTTTTTT!「イヤーッ!」銃弾の雨を切り払う!

「イヤーッ!」ヴィジランスは連続側転を繰り返し、別のドンデンガエシから離脱!なんたるリスク管理能力か!「チッ、また取り逃がしたか……!」「じゃ、ここを制圧しときましょ。イヤーッ!」SLASHSHSH!『『ピガガーッ!』』KBABAM!ポイズンバタフライは追わず、ドローンを撃墜!

 ドローンやオイランドロイド、モーターヤブは、ヴィジランスの目であり手足だ。戦力を削いでおくことは必要だろう。それに何より、この部屋のどこかにナンシー・リーの物理肉体が保管されているはずだ。まずは彼女を救出せねばならない。ザイバツのニンジャ戦力がここに到達するまでに!

10

「「「イイイヤァアアアーーーッ!」」」SLASHSHSHSH!KBABABABAM!『『『ピガガガガーッ!』』』KABOOOOOM!3人の猛攻によりドローンやオイランドロイドたちは薙ぎ払われ沈黙!ゴウランガ!「シューッ……ちょっとスシをもらうぜ」ハウスバーナーは冷蔵庫を漁り、スシをむさぼった。

「こりゃオーガニック・トロマグロだぜ。大トロじゃねえかと思うんだ……ふざけた味だ。旨過ぎる。罪悪感の味だぜ」「残しときなさい。いずれ必要になるわ」ポイズンバタフライは周囲を警戒する。ここは敵地のど真ん中、脱出するのも困難だ。隠れ潜み、スシを補給しつつ進むしかあるまい。

「フロッピーを見つけた」「なんかの役に立つかも……こっちは、隠し口座の預金通帳と電子ハンコね。もらっときましょう」もっと探せばさらなるお宝がありそうだが、残念ながら長居している暇はない!

「イヤーッ!」ポイズンバタフライは元の部屋に戻り、モーターヤブへ飛びかかる!SLASH!『ピガガガーッ!』命中!大きなダメージを受け火花を散らす!「「イヤーッ!」」ヤモトとハウスバーナーも飛び込み猛攻を放つ!PAPAPAPAM!SLASHSHSH!『『ピガーッ!』』KABOOOM!一体が爆発!

『『『ピガーッ!排除排除排除!』』』モーターヤブとドローンが銃弾の雨を降らせる!BRTTTTT!BRTTTTTT!「「イヤーッ!」」側転回避!もう一息だ!だが……その時だ!

「……おでましのようね」「ああ」「……!」3人は油断ならぬ強敵の接近を感じ取った!「カカカ……!あの生きのいい連中めが、生きておったか!」ナムアミダブツ!そこに現れたのは、ハウスバーナーとポイズンバタフライを知る男!ザイバツ・グランドマスターの一人、ニーズヘグだ!

「イイイヤァアアアーーーッ!」ニーズヘグは裂帛のキアイとともに連続側転でエントリー!ドア越しに3人を発見し、一番手前にいるヤモトの背中めがけてアフリカ投げナイフじみた邪悪なスリケンを投擲!アブナイ!「イヤーッ!」紙一重で側転回避!「カカカ……ドーモ、ニーズヘグです!」

 ぞくん……3人の背中に戦慄が走った。因縁深いイクサオニだ!「ドーモ、ポイズンバタフライです」「ハウスバーナーです」「ヤモト・コキです!」アイサツを返す!一撃必殺アトモスフィア!

「イヤーッ!」SLAASH!ポイズンバタフライはモーターヤブを一刀両断!『ピガーッ!SAYONARA!』KABOOOM!爆発四散!「行けッ!」ヤモトは残るドローンへオリガミ・ミサイル射出!PAPAPAPAM!『『ピガーッ!』』KABOOOM!爆発四散!「ウオオーッ!」ハウスバーナーは……ドアを封鎖!

 おのれの肉体を防壁とし、ニーズヘグの侵入を一瞬でも防ぐつもりだ!「ここは通さねえぜ!」「カカカ……ベンケ・ニンジャにでもなったつもりか!」ニーズヘグは嘲笑い、ヘビ・ケンを構える!

「イイイヤァアアアーーーッ!」ハヤイ!ニーズヘグは瞬時にハウスバーナーのブロックをすり抜け、ヘビ・ケンをムチ状に変形させて切り刻む!狙うは腕!SLASHSHSHSH!どくん……ハウスバーナーは再びアドレナリンを過剰分泌SLASH!「グワーッ!」命中!毒が傷口を灼く!だが致命的ではない!

「「「イイイヤァアアアーーーッ!」」」3人は瞬時に状況判断し、死にものぐるいでニーズヘグへ斬りかかる!SLASHSHSHSH!どくん……!ニーズヘグはアドレナリンを過剰分泌し、凄惨な笑みを浮かべる!(カカカ……死ぬかもな!)SLAASH!「……グゥワーッ!」致命傷は躱すが大きく負傷!

 ニーズヘグは、ヘビ・ケンをムチからカタナに戻す!「小娘から死ねい!イイイヤァアアアーーーッ!」SLASHSHSH!「させないわ!イイイヤァアアアーーーッ!」ポイズンバタフライがかばい、斬りかかる!SLAASH!「……アバーッ!」サツバツ!ニーズヘグの片腕の肘から先が斬り落とされた!

「ヌウーッ……!」ニーズヘグはとっさに腕を拾い上げる!「イイイヤァアアアーーーッ!」続いてヤモトがイアイ!ワザマエもカラテも他の2人には大きく劣るが、底知れぬものを感じる!SLAASH!「……グワーッ!」痛烈!桜色の光が傷口を苛む!「トドメだ!イイイヤァアアアーーーッ!」

 SLASHSHSHSH!ハウスバーナーのサソリ・カラテが炸裂!「グゥワアアアアーーッ!」ニーズヘグは切り刻まれて苦悶!もはや瀕死だ!「ハァァーッ……!心地よいのう……だが……死ぬわけにはいかぬ……!」与えたダメージは少ないが、情報は掴んだ。持ち帰り報告すべし!これもイクサだ!

「サラバじゃ!イヤーッ!」ニーズヘグは連続側転で逃走!ポイズンバタフライは追わず、ナンシーがいると思しきロックドアめがけてブラッドカタナを振り下ろす!「イイイヤァアアアーーーッ!」SLAAASH!隔壁が一枚両断されたが、その奥にもう一枚!「ハッキングは不得意なのよねェ……」

「イイイヤァアアアーーーッ!」ヤモトが駆け寄ってイアイ!カラテ・エンハンスされたカタナが残る隔壁を……切り裂く!SLAASH!ガゴン……2枚の隔壁が割れて倒れた。その奥には……チャカガンを構えるオイランドロイド!最後の防壁だ!『侵入者を排除しますドスエ』ハウスバーナーが動く!

「イイイヤァアアアーーーッ!」SLASHSHSH!『ピガーッ!SAYONARA!』KABOOOM!爆発四散!「よぉし!」「……終わったな?よし!」床に空いた穴から、ストーカーがおずおずと顔を出した。「!」「ま、マッタ!俺だ、エーリアスだ!」「私もいますよ!ドーモ、ライトウォッチャーです!」

「……ご苦労さま。半年も寝てたから、体が重いわ」目を覚ましたナンシーは手短に情報交換しつつ、ストレッチを行い体をほぐす。「俺もだ。まあ、こっちは死体だがな」ストーカー……の肉体に憑依したエーリアスが笑う。ライトウォッチャーもモータルの肉体に憑依して復活し、これで6人。

「ヴィジランス=サンを取り逃がしたなら、ストーカー=サンたちの肉体が生きてることを察知して、生体LAN端子から介入して来るかもね。一応処置しといてあげる」「サンキュ」「わ、私もお願いします」ライトウォッチャーとナンシーには以前の因縁もあるが、今は協力し合うべき仲間だ。

「で、これからどうする。グランドマスターは2人撃退したが生きてるぜ。ユカノ=サンを救出して、ザイバツの総大将の首を取るのか?」「そっちはニンジャスレイヤー=サンに任せたいわね。できれば脱出したいけど……」ポイズンバタフライは肩をすくめた。囲んで殴られれば終わりだ。

「安心して。助っ人を呼んであるの」ナンシーがウインクした。「契約のせいで、私は表立ってザイバツには逆らえないけど……まあ何事にも抜け道はあるってわけ。とにかく、ここを離れましょう」「了解」かくして、ナンシー・リーの物理肉体は救出された。では、ドラゴン・ユカノたちは?

11

「クッ……!いいでしょう、受けて立ちますよ!イイイヤァアアアーーーッ!」キョート城本丸、予備電算室。ヴィジランスは負傷をスシで癒やし、重大なタスクに当たっていた。彼にしかできぬ業務……キョート共和国への日本国およびソウカイ・シンジケートによるサイバー攻撃への対処だ!

 たまたまそこに詰めていたヘッジホッグら生体LAN端子持ちのアデプトやアプレンティスは、ヴィジランスによるデスマーチの軍勢に無理やり組み込まれた。実際責任重大だ。これを看過すればキョートは破滅し、ギルドの収入も激減する。右腕のストーカーはもういない。バイタル反応も消えた。

 電算室は彼のドージョーであり、奴隷モータルやニンジャたちはアプレンティス(弟子)であった。ならば、これはアダウチ、弔い合戦だ!冷酷非情なエコノミック・サラリマンの化身である彼は、激しくタイピングしながら新たな仲間たちを鼓舞する!無論、城内の監視と情報操作も同時にこなす!

 ……キョート城内に無数に存在する茶室。その一つ。ドラゴン・ユカノは幽閉塔からここに移され、多数の奴隷オイランたちにかしずかれながら夕食をとっていた。神秘的な防音システムにより、外界の喧騒やナリコの音はここまで届くことはない。だが……不穏なアトモスフィアは伝わる。

 ここに連れて来られて半年。フェイスフルやバンブーエルフ、ディミヌエンドとの面会も少なくなり、彼女は孤独の中にいた。だが……ジャッジメント、あるいはディテクティヴとも名乗る男が、幽閉塔にいたユカノに希望のある情報を伝えてくれた。ニンジャスレイヤーたちが救出に来てくれると。

 可能なのか。否、信じよう。信じるしかない。いざとなれば彼らと合流して戦えばよい。……しかし、ザイバツはなにゆえ自分をここに軟禁しているのか。グランドマスター・パラゴンの言うには、自分は神代のドラゴン・ニンジャその人であり、その記憶が必要なのだと言うが……思い出せない。

 フジサンでのサツガイとのイクサ、ヒャッキ・ヤギョ、そしてシ・ニンジャとの出会いにより、おぼろげながらドラゴン・ニンジャとしての記憶は蘇りつつある。だが……それが自分自身だとは感じられない。この自分、ドラゴン・ユカノは、ドラゴン・ゲンドーソーの孫娘である……はずだ。

 ならば、ユカノとしての自我を保ったままでいよう。ザイバツが求める記憶など、このまま思い出さない方がよい。何らかのジツや拷問で無理やり記憶を引きずり出され、今の自我が失われるなら、むしろセプクしたがよい。かくて彼女は自我を強く保ち、キョジツテンカンホーに抗い続けている。

「ドーモ。お食事はいかがでしたかな」不意に、茶室に小柄な人影が現れた。ロード・オブ・ザイバツの最側近、パラゴンだ。

「ドーモ。大変結構でした」ユカノはオジギした。礼儀正しく振る舞っていれば、この男は丁重にこちらを遇してくれる。「何か思い出されたかな?」「いえ、何も」「では、そろそろやり方を変えてみましょうかな……」

 パラゴンは低く陰気な声で告げ、丁重に彼女を茶室の外へ導く。「そろそろ外へ出してくれるのでしょうか。気分転換がしたくなってきました」「食後の運動をされるといい。カラテ・ドージョーで汗を流し、ゆっくりと湯浴みをされよ」「フェイスフル=サンたちは?」「今はお会いさせられぬ」

「では、あなたがカラテの相手をなさるのですか?」「私ではない」パラゴンは足音もたてず、板張りの廊下を滑るように進む。そして、ドージョーのフスマをしめやかに開いた。ユカノは息を呑む。そこにいたのは……!

「ドーモ、ネペンテスです」

 ドージョーの奥の弓道場でナガユミの鍛錬をしていた女ニンジャは、こちらを振り向いてアイサツした。「ドーモ、パラゴンです」「……ドラゴン・ユカノです」アイサツを返す。「良く似ておられる。まるで双子のように。では一つ、互いに手合わせして見られよ」パラゴンはうっそりと告げた。

 ドラゴン・ニンジャの記憶の手がかりを探していたパラゴンは、ザイバツニンジャ・アラクニッドの占いにより、ネオサイタマにいた女ニンジャ・ネペンテスに目をつけた。そして傭兵ニンジャ・ブラックヘイズと、ネオサイタマ駐留部隊の生き残りのフェイタルに命じて、彼女を誘拐させたのだ。

 イッキ・ウチコワシのエージェントとして彼女が活動を始めた時期は不明だが、ユカノと何らかの関係があるであろうことは見るからにうかがえた。あるいはドラゴン・ニンジャの片割れかも知れない。パラゴンにとって彼女たちの自我や人格などどうでもよいことだ。彼は後ろ手でフスマを閉じた。

「……いいでしょう。腹ごなしの運動をします」ユカノはうなずき、備え付けの高級ジュー・ウェアに着替えて準備運動を始めた。見たところワザマエは互角だが、カラテはこちらが上だ。それにスリケンやナガユミで殺し合うわけではない。あくまで鍛錬だ。しかし、なぜ彼女とカラテをさせるのか。

 それはやはり、自分に記憶を取り戻させるためであろう。……両者は武器を持たず、ドージョーのタタミで向かい合う。ネペンテスの瞳はぼやけ、自我の薄さを感じさせる。ジツによって洗脳状態にあるようだ。ならばむしろ彼女の自我を取り戻させ、協力関係を結ぶことができればよかろう。

 パラゴンは居住まいを正し、組手を見守る。果たしてドラゴン・ニンジャのカラテ記憶は取り戻されるか。「よろしいか。……では、ハジメテ!」

12

「キエーッ!」ユカノから仕掛ける!彼女の現状最強の攻撃手段、トライアングルリープキックだ!「イヤーッ!」ネペンテスは華麗にブリッジ回避!「キエーッ!」ネペンテスもトライアングルリープキック!だがカラテはユカノに及ばない!「イヤーッ!」迎撃のキック!「イヤーッ!」回避!

「「キエーッ!」」2人はほぼ同時にバック転し、壁を蹴り、トライアングルリープキックを繰り出す!SMASH!両者は互いの足を蹴ってカラテ相殺!ワザマエ!タイミングがずれれば実際危険だ!「やはりトビゲリか。ドラゴン・ニンジャも得意としたと伝え聞く……」パラゴンは低くつぶやく。

「「キエーッ!」」2人は短いパンチやチョップを応酬しつつタイミングを推し量り、ほぼ同時にトライアングルリープキック!だが両者これを躱す!カラテではユカノに分があるが、ワザマエは互角だ!双方の髪の毛が数本切れて舞い落ちる!「……やりますね」「そちらも」互いに油断ならぬ相手!

「「キエーッ!」」またもトビゲリだ!ユカノはネペンテスのみぞおちを、ネペンテスはユカノの肩を狙う!食らえば極めて危険!どくん……!両者はほぼ同時にアドレナリンを過剰分泌し、ソーマト・リコールを垣間見る。サラマンダー、アンサラー、そして……ドラゴン・ゲンドーソーの姿を!

 SMAASH!「ンアアアーッ!」痛烈!ユカノのトビゲリがネペンテスに命中!急所は外されたが無視できぬダメージだ!「ドラゴン……!」パラゴンがつぶやく。両者のカラテやワザマエは、ザイバツニンジャで言えばアデプト位階程度。否、ユカノならばマスター位階までは手が届くであろう。

「あなたが誰なのか、私は問いません。あなた自身が思い出し、決めることです」ユカノはドラゴンじみた蒸気を体から立ち昇らせ、ネペンテスを凝視する。カラテとは武道であり、その鍛錬であり、呼吸とともに体内で錬成され循環するエネルギーそのものだ。大気に漂うエテルをユカノは呼吸する。

「スゥーッ……!ハァーッ……!」ユカノのアトモスフィアが変化した。ネペンテスの放つカラテを、ユカノが呼吸によって吸収しているのだ。これぞドラゴン・ドージョー奥義「チャドー呼吸」!パラゴンは刮目した。ユカノの白いジュー・ウェアが赤く染まり、全身の筋肉がパンプアップする!

「キエーッ!」ユカノは目をギラギラと輝かせ、トライアングルリープキック!その威力は先程までとは比較にならぬ!ドラゴン・ドージョーの奥義「ドラゴン・トビゲリ」だ!ネペンテスは躱そうとするが間に合わぬ!ドラゴン!SMASH!「ンアアーッ!」頭部に命中!脳震盪を起こしよろめく!

「い、イイイヤァアアアーーーッ!」ネペンテスは闘志を燃やし、トライアングルリープキックを放つ!だが動きが鈍い!「イヤーッ!」ユカノは蹴りをマワシウケ防御し、天井まで跳躍!「キエーッ!」天井を蹴って急降下トビゲリ!ネペンテスはクロス腕ガード!SMAAASH!「ンアアーッ!」

 サツバツ!ユカノのトビゲリはガードを砕き、ネペンテスの腕を叩き折って、足元に踏み倒した!なんたる無慈悲!「それまで。お見事でござった」パラゴンが手旗をあげ、試合終了を告げた。だが!

『GRRRRRR……AARGHHHHH!』ネペンテスは即座に覚醒し、跳ね起きた!だが様子がおかしい!「待てッ、ネペンテス=サン!」パラゴンが制する。しかしネペンテスはパラゴンとユカノを睨み、アイサツした。『GRRRRR……ドーモ……我こそは……ドラゴン・ニンジャです……!』ナムアミダブツ!

 ナムサン!ニンジャソウルの暴走めいた現象か!?おそらく神代のドラゴン・ニンジャ本人ほどのカラテではないが、先程までのネペンテスとはまるで別人!「……ドーモ、ドラゴン・ユカノです」「パラゴンです」両者はアイサツを返す。「……パラゴン=サン。これは」ユカノは脂汗を垂らした。

「ギルドとしては、必要な情報が手に入ればどちらでも構わぬ」パラゴンは無慈悲に告げた。「そうでしょうね。……あの状態の彼女から、必要な情報が聞き出せれば、ですが」「ならば、鎮めてみせるがよろしい。私なら可能だが、これはそもそも貴女が立ち向かうべき試練ではないかな?」

 パラゴンは理路整然と協力を拒んだ。「……ごもっともです」ユカノは微笑む。『相談はおしまいか、モータルども。先程のお返しをしてくれようぞ』ドラゴン・ニンジャはジゴクめいた声音で宣告した。……大気が歪み、怒れるドラゴンのカラテがみなぎる!一撃必殺アトモスフィア!

『イイイヤァアアアーーーッ!』ドラゴン・ニンジャが先に動き、壁を蹴ってトビゲリ!先程と同じ「ドラゴン・トビゲリ」だ!ユカノは躱そうとするが……SMAASH!「ンアアーッ!」な……ナムアミダブツ!みぞおちに痛烈な蹴りを受け、ワイヤーアクションめいて吹っ飛び壁に激突!ドラゴン!

「ゴボッ……キエーッ!」ユカノは血を吐きながらもトライアングルリープキック!だが軽い!『イヤーッ!』SMASH!「ンアーッ!」対空ポムポム・パンチを食らい、空中へ吹き飛ばされる!『キエーッ!』ドラゴン・ニンジャはトドメのトビゲリ!SMASH!「ンアーッ!」急所を外すが一撃命中!

『イヤーッ!』「イヤーッ!」『イヤーッ!』「イヤーッ!」ユカノとドラゴン・ニンジャはほぼ同時に駆け寄り、ミニマルな木人拳めいたショートパンチを応酬!応酬!応酬!そして反動を利用してバック転し、壁を蹴ってトライアングルリープ・キック!SMAASH!「『ンアーッ!』」互いに命中!

 だが、ユカノはもはや満身創痍!ドラゴン・ニンジャは呼吸とともに負傷を急速に癒やしつつある!パラゴンは固唾をのんで勝負の行方を見守る!

「『イイイヤァアアアーーーッ!』」ドラゴン!2頭の龍はドージョーを竜巻めいて縦横無尽に荒れ狂う!SMAAASH!「ヌウウッ!」パラゴンは目をみはった。最後に立っていたのは……ドラゴン・ニンジャ!ユカノはタタミの上に倒れ伏した!「……それまで」パラゴンは深々とオジギした。

『パラゴンとやら。ここはどこじゃ』「キョート城、本丸。貴女がお作りになられた城でござる」『さようか。ならば、マッポーカリプスが近いということよな』ドラゴン・ニンジャは倒れたユカノを抱き上げた。『湯浴みがしたい。案内せい』「ハイ。その娘は」『我が半身じゃ。こうする』

 ドラゴン・ニンジャは、昏倒したユカノを抱きしめ、肉体ごと吸収した。

 ……な、ナムアミダブツ!ユカノはこのまま神代のニンジャの中に消えてしまうというのか!? そして迫りくるマッポーカリプスとは!? 急げ!ニンジャスレイヤー! 急げ!

【ザ・ニンジャズ・オブ・ザ・ショーグン】中編終わり:続く

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